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第1章 変化の始まり
買い物と魔物 #6
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「そういや冒険者が持ち込んだ知識をギルドが調査して真偽を確かめてるんだっけ?一人しか事例がなければどうするんだ?」
『情報提供者が本人であれ他者であれ、基本的に本人を調べるからな…』
「拒否は…されないか。ギルドに居られなくなるもんな」
『まあな。そういう決まりだからな』
『そういった知識を広めるか広めないかはどういった基準で決まるのか聞いてもよろしいですか?』
『大まかになら。本人に迷惑が掛かりそうな件は秘匿する。だが、知られた方が本人の為になるのであれば広める』
『では今回の件については?』
『今までは知られない方がいいと考えられてきたが今回のように従魔と魔物を一緒くたに考えられる危険性も項目に追加して会合で話し合いだな』
『知られる方が不味い場合はこのまま秘匿というのもあるということですね?』
『ああ。だがまあ…違う方法での解決という事もあるかも知れないがな』
『それはどういう?』
『これ以上は正式に発表されるのを待ってくれ』
『そうですね、申し訳ありません』
「個人での知識の共有は禁止とかされてる訳でもないんだからグレモスから話せば良くないか?ギルドの発表に拘ってるように見えるけど」
『拘ってるわけではないんです。ただ、なぜと。八つ当たりかも知れませんね…』
ギルレイは寝ているピギルーイを見ながら口を開く。
『誰のせいでもねぇよ。ピギルーイが元に戻りさえすれば良い話だし。手遅れでもねぇんだから』
『そうですね。噂もどうにかしなければ』
『ピギルーイを辞めさせれば店に被害は無かったんだろ?なんで辞めさせなかったんだ?』
『彼は根は良い人なんですよ。僕を強盗から助けてくれた恩人でもありますし、ホストとしても非常に優秀です。それにうちの従業員に彼を好きな子がいまして…彼は知らないと思いますがその子が言うには番だそうです』
「え、番って持つ種族同士なら互いに分かるもんなんでしょ?」
『ええ。ですが、彼は番を亡くしたばかりで、一瞬すれ違っただけだった様ですので気づかなかったのでしょう。彼が落ち着いたら引き合わせようと思っていたのですが…彼女も心配してました』
『だってよ。起きてるんだろ?』
『え?起きていたんですか?』
「自分の話をされてると起き難いよね」
『………申し訳ない』
『いえ、せめて従魔は意思疎通が出来ることだけでも話しておくべきでした』
『そうですか…やっぱりあれは実際に聞こえて…』
『何があった?』
『実は番がゴブリンに襲われまして、その方の冒険者チーム全員が亡くなったのですが、その一月後くらいにグレモスのレストランに食べに来たお客様の中にゴブリンを従魔にした冒険者の方が来ていて…違うゴブリンだと思って接客していたのですが配膳しに行った時にゴブリンと話しているのを聞いてしまって…』
『なんて言っていたんだ』
『次はどのチームを襲う?と』
『それは確かか?』
『はい。離れる直前でしたので。ゴブリンがそう言い、冒険者は馬鹿野郎っ!と小声で怒鳴っていました。その時は空耳が聞こえたのかとも考えましたが従魔ですら許せなくなってしまって…』
『そうか…ゴブリンを従魔にしている冒険者はこの街には一人しかいない。あいつは前から問題があってギルドで目を付けてたんだが森での行動までは監視していなかったからその隙をつかれたのか。早急に捕まえて取り調べる』
『お願いします。彼らの無念を晴らしてください』
『ああ。ギルドに連絡を入れる。…ああ、ギルレイだ。捕まえて欲しいやつがいる。…は?森が?直ぐに出られるのは?そうか…こちらからは俺と白のフェンリル連れと竜人族が一人応援に向かう』
<ギルレイ、何かあったのか?>
『森でオーバーフローだ。リミル、クライ、ピギルーイ。一緒に戦って貰うぞ』
『ピギルーイはうちの従業員ですよ?』
『汚名返上のチャンスだろ』
『俺そのリミル?に一発でやられる程度ですが戦力になりますか?』
『リミルは高位冒険者だ。歯が立たなくて当たり前だろ?』
『そう…ですか…俺無謀なことしてたんですね…』
「武器とか防具必要なら貸すよ?種族レベルどれくらい?」
ギルレイは種族レベル5から使えるようになる《武具収納》から装備を取り出しササッと準備する。ちなみに《拘束》はとっくに解除していた。
『36ですね。武具は持っていません。警棒などの警備系ならありますが…』
「え…と、ならこの辺かな…得意な武器は?」
『職業的にガントレットが使いやすいですね』
「おっけー。じゃあこれかな。汚名返上ならその制服のまま上から着なよ」
ピギルーイも装備ができた。
『おし、じゃあ行くか』
『情報提供者が本人であれ他者であれ、基本的に本人を調べるからな…』
「拒否は…されないか。ギルドに居られなくなるもんな」
『まあな。そういう決まりだからな』
『そういった知識を広めるか広めないかはどういった基準で決まるのか聞いてもよろしいですか?』
『大まかになら。本人に迷惑が掛かりそうな件は秘匿する。だが、知られた方が本人の為になるのであれば広める』
『では今回の件については?』
『今までは知られない方がいいと考えられてきたが今回のように従魔と魔物を一緒くたに考えられる危険性も項目に追加して会合で話し合いだな』
『知られる方が不味い場合はこのまま秘匿というのもあるということですね?』
『ああ。だがまあ…違う方法での解決という事もあるかも知れないがな』
『それはどういう?』
『これ以上は正式に発表されるのを待ってくれ』
『そうですね、申し訳ありません』
「個人での知識の共有は禁止とかされてる訳でもないんだからグレモスから話せば良くないか?ギルドの発表に拘ってるように見えるけど」
『拘ってるわけではないんです。ただ、なぜと。八つ当たりかも知れませんね…』
ギルレイは寝ているピギルーイを見ながら口を開く。
『誰のせいでもねぇよ。ピギルーイが元に戻りさえすれば良い話だし。手遅れでもねぇんだから』
『そうですね。噂もどうにかしなければ』
『ピギルーイを辞めさせれば店に被害は無かったんだろ?なんで辞めさせなかったんだ?』
『彼は根は良い人なんですよ。僕を強盗から助けてくれた恩人でもありますし、ホストとしても非常に優秀です。それにうちの従業員に彼を好きな子がいまして…彼は知らないと思いますがその子が言うには番だそうです』
「え、番って持つ種族同士なら互いに分かるもんなんでしょ?」
『ええ。ですが、彼は番を亡くしたばかりで、一瞬すれ違っただけだった様ですので気づかなかったのでしょう。彼が落ち着いたら引き合わせようと思っていたのですが…彼女も心配してました』
『だってよ。起きてるんだろ?』
『え?起きていたんですか?』
「自分の話をされてると起き難いよね」
『………申し訳ない』
『いえ、せめて従魔は意思疎通が出来ることだけでも話しておくべきでした』
『そうですか…やっぱりあれは実際に聞こえて…』
『何があった?』
『実は番がゴブリンに襲われまして、その方の冒険者チーム全員が亡くなったのですが、その一月後くらいにグレモスのレストランに食べに来たお客様の中にゴブリンを従魔にした冒険者の方が来ていて…違うゴブリンだと思って接客していたのですが配膳しに行った時にゴブリンと話しているのを聞いてしまって…』
『なんて言っていたんだ』
『次はどのチームを襲う?と』
『それは確かか?』
『はい。離れる直前でしたので。ゴブリンがそう言い、冒険者は馬鹿野郎っ!と小声で怒鳴っていました。その時は空耳が聞こえたのかとも考えましたが従魔ですら許せなくなってしまって…』
『そうか…ゴブリンを従魔にしている冒険者はこの街には一人しかいない。あいつは前から問題があってギルドで目を付けてたんだが森での行動までは監視していなかったからその隙をつかれたのか。早急に捕まえて取り調べる』
『お願いします。彼らの無念を晴らしてください』
『ああ。ギルドに連絡を入れる。…ああ、ギルレイだ。捕まえて欲しいやつがいる。…は?森が?直ぐに出られるのは?そうか…こちらからは俺と白のフェンリル連れと竜人族が一人応援に向かう』
<ギルレイ、何かあったのか?>
『森でオーバーフローだ。リミル、クライ、ピギルーイ。一緒に戦って貰うぞ』
『ピギルーイはうちの従業員ですよ?』
『汚名返上のチャンスだろ』
『俺そのリミル?に一発でやられる程度ですが戦力になりますか?』
『リミルは高位冒険者だ。歯が立たなくて当たり前だろ?』
『そう…ですか…俺無謀なことしてたんですね…』
「武器とか防具必要なら貸すよ?種族レベルどれくらい?」
ギルレイは種族レベル5から使えるようになる《武具収納》から装備を取り出しササッと準備する。ちなみに《拘束》はとっくに解除していた。
『36ですね。武具は持っていません。警棒などの警備系ならありますが…』
「え…と、ならこの辺かな…得意な武器は?」
『職業的にガントレットが使いやすいですね』
「おっけー。じゃあこれかな。汚名返上ならその制服のまま上から着なよ」
ピギルーイも装備ができた。
『おし、じゃあ行くか』
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