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第1章 変化の始まり
生活の変化 #5
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住宅街と呼ばれる通りに入ってすぐの大きな家だ。ここには個人の持ち家が等間隔で建っている。戸建てと言うやつだ。
庭も広く、それぞれの敷地はこの都市の紋章が彫られた柵で囲まれている。
正面の[魔導馬車]1台が余裕で通れる門をくぐって庭を通り、敷地中央に建てられた二階建ての白と青を基調としたシンプルな外見の家に入る。
玄関で靴を脱ぎ出されたスリッパを履く。
「すげぇ…」
<ああ…《清潔》>
クライは自分を魔法で綺麗にしてあがる。
玄関は広く、靴を脱いで置いておく場所も上がった場所も宿の一部屋くらいあるんじゃないかと思う程だ。
正面にクライが二体通れそうな通路があり、左側の壁に階段が奥から手前に向かって昇るようについている。骨組みに板が付けられたような、向こう側が見える造りの階段だ。
左右に扉があり、階段奥左手と廊下最奥にも扉がある。
『右側の扉がリビング。皆で寛ぐスペースだ。ダイニングとキッチンもある。キッチンが料理をする場所で、それを食べるためのテーブルや椅子があるのがダイニングだ。うちはリビングの奥にダイニングとキッチンが続いている造りになっている』
そう言ってギルレイは扉を引いて開ける。リミル達は覗きこみ驚く。広い。リミルは思わず、宿の部屋何個分だよ、と呟いている。身長2m越えのギルレイが三人くらいゆったり寝れるコの字型のデカいソファとその真ん中にローテーブル。コの字の開いている、門側の壁面には暖炉がある。暖炉の足元からローテーブルにかけて四角く大きい深い蒼色のボンデッドカーペットが敷いてある。扉の向かい側の壁は大きなガラス張りの窓で薄い光の[魔導カーテン]がしてある。
(なるほど、皆で寛ぐのがリビングか)
ソファの向こう、奥側のダイニングには薄い色の木材で作られた4人がけのテーブルと椅子があり、最奥に[魔導キッチン]がある。キッチンは広く大きく機能的で、奥の壁面とダイニングに向いた対面との一体型である。
<凄いな…>
「うん…広くて落ち着いてて良い雰囲気だ…」
(凄すぎて思ったことしか言えねぇ)
『普段はここで過ごすことになるな。キッチンの左右に扉があるが、右側は外に続いている。ゴミなんかを出す時に使うが二日に一度、掃除に来てくれているお手伝いさんがやってくれるから俺らはほとんど使わないな。ゴミ自体も業者が回収してくれるし。俺らがよく使うのは左側の扉だ』
(お手伝いさんにゴミの回収業者…ファンタジーだ…いや、金持ちか…)
「左は何なんだ?」
『今日の夜使い方を教えるが風呂だ』
「風呂…俺も使っていいのか?」
『もちろん。クライもそのうち洗ってやる。毛並みが良くなるぞ』
<それは是非頼む>
(嬉しそうだな、おい)
「確かにこれは嬉しいな…」
『喜んで貰えて嬉しいよ。さ、次行くぞ』
ギルレイが玄関の方へ行くのでリミル達はついて行く。
『この通路の奥にある扉は手洗いだ。クライ用のは裏庭に別に作るからそれまでは今まで通りで頼む』
<ああ、作ってくれるのか?森のままでもいいぞ?>
(マーキングもあるしな?)
『出来るだけリミルと離れないようにしたいからな…お前が手洗いに行ってる間にリミルに何かあったら嫌だろ?』
(それはそれは……有難い気遣いだが…釈然としねぇ)
<それは嫌だな。ありがたく作ってもらう>
『使い方は完成したら教えるな。じゃあ次は応接間だ』
今度は玄関を挟んでリビングと反対側の扉を引っ張って開ける。
さっきの部屋のダイニング部分くらいの広さ。
少し豪華だがゴテゴテしておらず落ち着いた雰囲気の応接間だ。
三人がけのゆったりした大きめのソファが向かい合うように置かれており、ソファに合ったローテーブルがその間に置いてある。部屋中央にソファよりも広い範囲で円形の毛氈が敷かれており、[魔導エアコン]と本棚が窓のない廊下側の壁面に設置されている。
<豪華だが落ち着いてるな>
「ここがお客さんが入る部屋だな?」
『そうだ。客はこの部屋にしか通さないし、元々客は少ない。ギルドに来るからな』
「本棚くらいしか用事なさそう」
『ああ、ここの本棚には触るな。資料しか入ってないし、ギルドの物だからな。勝手に読まれないよう本棚に鍵がかかっている。本なら上の部屋だ』
「そうか、じゃあここの部屋に用事ないな」
『お前に客が来るかも知れねぇだろ?』
(いや、俺に用事とかないでしょ。それこそギルド通すでしょ)
「それこそギルド案件だろ?」
『そうか。まあ、あまり使わない部屋だ。いざと言う時ないと困るがな』
(確かにな…客来た時プライベート無くなるのは嫌だもんな。ある方がいい)
『隣は俺の部屋だ』
「へー!みたい!」
『こっちからも行けるが階段横の扉からも入れる。どうぞ』
そう言って応接間奥の壁面、廊下側にある扉を押し開ける。
入った部屋の応接間側の壁面は全て鍵付きの本棚だった。
外側の壁面に大きな机があり、手前に革張りのキャスター付きの椅子。少し離れて小さめのテーブルと1人がけのソファ。
応接間と反対側の壁面中央に扉。
廊下側の壁面中央にも扉。
庭も広く、それぞれの敷地はこの都市の紋章が彫られた柵で囲まれている。
正面の[魔導馬車]1台が余裕で通れる門をくぐって庭を通り、敷地中央に建てられた二階建ての白と青を基調としたシンプルな外見の家に入る。
玄関で靴を脱ぎ出されたスリッパを履く。
「すげぇ…」
<ああ…《清潔》>
クライは自分を魔法で綺麗にしてあがる。
玄関は広く、靴を脱いで置いておく場所も上がった場所も宿の一部屋くらいあるんじゃないかと思う程だ。
正面にクライが二体通れそうな通路があり、左側の壁に階段が奥から手前に向かって昇るようについている。骨組みに板が付けられたような、向こう側が見える造りの階段だ。
左右に扉があり、階段奥左手と廊下最奥にも扉がある。
『右側の扉がリビング。皆で寛ぐスペースだ。ダイニングとキッチンもある。キッチンが料理をする場所で、それを食べるためのテーブルや椅子があるのがダイニングだ。うちはリビングの奥にダイニングとキッチンが続いている造りになっている』
そう言ってギルレイは扉を引いて開ける。リミル達は覗きこみ驚く。広い。リミルは思わず、宿の部屋何個分だよ、と呟いている。身長2m越えのギルレイが三人くらいゆったり寝れるコの字型のデカいソファとその真ん中にローテーブル。コの字の開いている、門側の壁面には暖炉がある。暖炉の足元からローテーブルにかけて四角く大きい深い蒼色のボンデッドカーペットが敷いてある。扉の向かい側の壁は大きなガラス張りの窓で薄い光の[魔導カーテン]がしてある。
(なるほど、皆で寛ぐのがリビングか)
ソファの向こう、奥側のダイニングには薄い色の木材で作られた4人がけのテーブルと椅子があり、最奥に[魔導キッチン]がある。キッチンは広く大きく機能的で、奥の壁面とダイニングに向いた対面との一体型である。
<凄いな…>
「うん…広くて落ち着いてて良い雰囲気だ…」
(凄すぎて思ったことしか言えねぇ)
『普段はここで過ごすことになるな。キッチンの左右に扉があるが、右側は外に続いている。ゴミなんかを出す時に使うが二日に一度、掃除に来てくれているお手伝いさんがやってくれるから俺らはほとんど使わないな。ゴミ自体も業者が回収してくれるし。俺らがよく使うのは左側の扉だ』
(お手伝いさんにゴミの回収業者…ファンタジーだ…いや、金持ちか…)
「左は何なんだ?」
『今日の夜使い方を教えるが風呂だ』
「風呂…俺も使っていいのか?」
『もちろん。クライもそのうち洗ってやる。毛並みが良くなるぞ』
<それは是非頼む>
(嬉しそうだな、おい)
「確かにこれは嬉しいな…」
『喜んで貰えて嬉しいよ。さ、次行くぞ』
ギルレイが玄関の方へ行くのでリミル達はついて行く。
『この通路の奥にある扉は手洗いだ。クライ用のは裏庭に別に作るからそれまでは今まで通りで頼む』
<ああ、作ってくれるのか?森のままでもいいぞ?>
(マーキングもあるしな?)
『出来るだけリミルと離れないようにしたいからな…お前が手洗いに行ってる間にリミルに何かあったら嫌だろ?』
(それはそれは……有難い気遣いだが…釈然としねぇ)
<それは嫌だな。ありがたく作ってもらう>
『使い方は完成したら教えるな。じゃあ次は応接間だ』
今度は玄関を挟んでリビングと反対側の扉を引っ張って開ける。
さっきの部屋のダイニング部分くらいの広さ。
少し豪華だがゴテゴテしておらず落ち着いた雰囲気の応接間だ。
三人がけのゆったりした大きめのソファが向かい合うように置かれており、ソファに合ったローテーブルがその間に置いてある。部屋中央にソファよりも広い範囲で円形の毛氈が敷かれており、[魔導エアコン]と本棚が窓のない廊下側の壁面に設置されている。
<豪華だが落ち着いてるな>
「ここがお客さんが入る部屋だな?」
『そうだ。客はこの部屋にしか通さないし、元々客は少ない。ギルドに来るからな』
「本棚くらいしか用事なさそう」
『ああ、ここの本棚には触るな。資料しか入ってないし、ギルドの物だからな。勝手に読まれないよう本棚に鍵がかかっている。本なら上の部屋だ』
「そうか、じゃあここの部屋に用事ないな」
『お前に客が来るかも知れねぇだろ?』
(いや、俺に用事とかないでしょ。それこそギルド通すでしょ)
「それこそギルド案件だろ?」
『そうか。まあ、あまり使わない部屋だ。いざと言う時ないと困るがな』
(確かにな…客来た時プライベート無くなるのは嫌だもんな。ある方がいい)
『隣は俺の部屋だ』
「へー!みたい!」
『こっちからも行けるが階段横の扉からも入れる。どうぞ』
そう言って応接間奥の壁面、廊下側にある扉を押し開ける。
入った部屋の応接間側の壁面は全て鍵付きの本棚だった。
外側の壁面に大きな机があり、手前に革張りのキャスター付きの椅子。少し離れて小さめのテーブルと1人がけのソファ。
応接間と反対側の壁面中央に扉。
廊下側の壁面中央にも扉。
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