稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第1章 変化の始まり

生活の変化 #4

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『他の種族でも基本は同じだ。魔神や鬼神がいい例だろ?』

ニヤッとドヤ顔を披露するギルレイ。

「ドヤるな!アハハッ」

<確かにな>

(真面目な顔で返すなよ…)

『まあでも神格しんかくと呼ばれる存在がある種族だけだな。人種ひとしゅでは魔神や鬼神。魔犬ではフェンリルが神格と言われる』

「人種って魔族以外には神格はいないのか?」

『あるにはあるらしいが生まれたことがないんだ。竜人族は2万年前にいたみたいだが一人だけだったな…竜神だ』

(竜神…まんまだな。でも…)

「なんで一人しかいないんだろうな?」

『それは種族の特性だろうな…血の気の多い種族だからな…戦闘狂とも言うのか?』

(ギルレイは遠い目をしている。わかるよ)

<それではなれないな…>

(クライも遠い目だ…うんうん。わかる)

「確かに…その一人は逆に凄いな」

『そうだな。細かい条件にも当てはまったんだ。でなければ神格にはなれない』

大まかな条件は皆の知るところだ。しかし、細かな条件はなった者にしか分からない。

「神格かぁ…凄いよな!」

<リミルもそのうちなんじゃね?>

(軽い!軽いよークライ!)

「ハハハッ、無理だ。公開されてる条件にすら当てはまらないんだから。それより、森の覇者だよ!」

『そうだな。クライ、森の支配者になってからどれくらい経つ?』

ニコニコしてたのが急にギルドマスターの顔になる。

(切り替え早いよな)

<んー結構長いな。5年とかか?>

「たぶんそれくらいだろ」

『結構前からだったんだな…フェンリルになってからか、なる直前かと思ってたよ』

ギルレイは驚き顔だ。この顔はリミルもクライも結構好きで時々二人でどうやって驚かそうか考えたりもする。

「驚かせられたな、クライ」

<ああ、ステータスみたときも一瞬驚いてたけど賛辞のほうが大きかったからな>

『ハハハッ、今日は慌てたり驚いたり忙しい日だ』

(ギルレイが楽しそうで何よりだ)

「5年だとそろそろ新しいやついてもおかしくないよな?」

5年もあれば新たに強い魔物が複数生まれているだろう。ただ、覇者になったものがいるのかは暴れ出したりしない限りわからない。

『そうだな…支配者が森にいないとなると動き出すかもしれないな。神格になるような奴か堕ちる奴か要観察だな』

神格か堕ちるかというのは両極端であって、どちらにもならずひっそりと暮らしているものがほとんどだが、動くとしたらそのどちらかしかない。
街の治安に関わってくる可能性があるのかどうか見極める必要があるからこその要観察だ。
ギルドマスターとしての務めだ。

<ああ、一応森の魔犬達にも気をつけるよう注意を促しておくよ>

クライも魔犬達の王としての動きだ。

『魔犬の王か…』

(それよりホームポイント変えるなら早い方が良いな。ついうっかりで森に行ってたらギルドまで時間がかかる)

「ギルレイの家に行くのは何時頃だ?」

『ああー、そうだな…今から行くか?』

ギルレイは思案げに手を顎に添えている。

「早い方が助かる」

『よし、なら行くぞ!』

三人はギルドマスターの部屋を出た。ギルレイは先程リミル達を案内してくれた受付嬢に声をかける。

『あ、リリアン!今から二人を俺ん家連れてってくるから何かあったら本部の管理者の誰かに当たってくれ』

『了解ですっ!ギルマス』

「ギルマス?」

『ギルドマスター、略してギルマスですっ!』

うさぎ獣人の可愛くてハキハキした人だ。

「おお!ギルマスのギルレイ。言いやすいな!」

『じゃあ頼んだぞー』

そう言いながら俺の肩に手を回して引きづっていく。俺はその間リリアンに手を振る。クライは家に入ったことがないからか、はしゃいで先に外に出ていた。

<早く行くぞ!人の家ってどんなのか気になる!>

「確かになー!俺は宿は入ったことあるけどギルドの個室にベッド置いたような場所だぜ!机と椅子はあってもちっさくて寝る場所って感じだな。床も壁も天井も木材で出来てるけどそれ以外はホームと変わらないんじゃね?あくまで俺が行ったことある宿はだけどな?家ってどんなのだろうな…」

(くゆう俺も家というのは外からしか見たことはない)

<そうか、確かにギルドの個室は上も下も壁も木材だな…そこにベッドがあるだけ…こう言っちゃなんだが簡素だな。ホームとあまり変わらなそうだ。ギルレイの家が楽しみだ>

二人してハードルを上げる。

『あんま期待すんなよ?ギルドの造りとそう変わらないし、二人にやる部屋も宿となんら造りは変わらない。ただ、お前らの好きに物を置いていいから自由に飾れば良い。ベッドだけだと足りないから家具は一緒に見に行ってやるから』

(なるほど…部屋が幾つかあるってのは何となく想像してたけど自由に装飾するのか…ギルレイの部屋を見せてもらって参考にしよう)

「ギルレイの部屋も見せてくれ!装飾の参考にするから」

『俺はあんまり飾るタイプじゃねぇけどな…リビングや応接間も見れば比較出来るか』

(応接間はお客が来る部屋だよな…リビングってのは何の部屋だろうな?)

「楽しみだ!」

『期待し過ぎんなって、ガッカリするから…そういや宿に行ったことあるって?リミルはホームで宿に泊まるのは勿体無いって言ってなかったか?』

(あれ?知ってるよな?知ってるはず…)

「そうだな。宿をイメージしとくよ、ガッカリしないように……宿に行くのは自分の金じゃないときだ…言っただろ?覚えてないのか?」

『ああ…そうか。すまん。失念していただけで覚えてる』

申し訳なさそうな顔してる。そんな顔して欲しいわけじゃないんだけどな。

「覚えてるなら良かったよ。それよりどれくらいで着くんだ?」

『そうか?…ああ、もう着いたぞ。ここだ』

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