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第1章 変化の始まり
生活の変化 #3
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「ほへぇ~、だからまだ旅に出られないのか?混乱させないため?」
『まあそうだな。それとリミル、お前を護るためでもある』
「俺を?」
『ああ、フェンリルは希少だからな、狙う馬鹿が出てくるんだ。従魔なら尚更な…従魔契約はそれぞれの意思によってするものだがそれを知らない奴が奪って自分のモノにしようとすることがあるんだ。要するに馬鹿だ』
頭を抱えて項垂れているところをみると何度もそういった輩を見てきた様だ。
<ギルレイも大変なんだな>
(クライが同情なんて珍しい。ギルレイだからか)
「暫く出られないのか…森の家、片して来ちゃったから住む所ないな…」
もう一度住めるようにするのは大変面倒で時間がかかる。魔法か野営セットでも良いが何日かかるか分からないのにゆっくり休めないのはキツい。かといってホームにいるのに宿を取るとか金の無駄遣いだ。
『ああ、それなら心配要らない。俺ん家に二人とも住んでもらうことになっている』
当然のように言ってのけるが、ただの一冒険者がギルドマスターの家に住んで良いものなのか甚だ疑問だ。
<ギルレイの家か、楽しみだな!>
クライは満更でもないようだ。
「え、良いのか?家族は?」
『息子たちは独立してそれぞれ家庭がある。アンリエットは…』
「ああ、悪かった…」
『いや、大丈夫だ。アンリはリミルのことを3人目の子どもだと言っていた。俺も大切に思ってる。遠慮すんな』
ギルレイの優しい眼にやはりソワソワする。
(父親ってこんな感じなのか?)
「んじゃ、ありがたく!」
『ホームポイント自体、俺の家に設置しても良いんだぞ?森だと戻って早々襲われることもあるだろ?』
(今まで行ったことすらないのに急にどうしたんだ?やはり何か事情があるのか…?)
<何度もあるな。気づいた方が返り討ちにするっていう決まりだ>
(クライは楽しそうだな、おい)
『ホームってのは休める場所って意味もあるんだ。森に愛着はあるかも知れねぇけどホームでくらいちゃんと休め』
(とても心配してくれているのはわかる)
「んー、でもギルレイに迷惑かけるのは良くないだろ?お客さんいたらどうすんだよ…」
『二人に部屋をやるからそこをホームポイントにすれば客とばったりってのはなくなるだろ。客は応接間にしか通さねぇしな』
(なるほど…広いんだな)
「じゃあ行ってみて居心地良かったらそうする!」
『ハハハッ、そうか。居心地良いとイイな』
ギルレイが身を乗り出してリミルの頭をワシャワシャと撫でて席に戻る。
(頭を撫でられるのはこれで二人目だな。夫婦揃って優しいんだから)
「懐かしいな…アンリも撫でてくれたんだ。俺が言葉を覚える度に」
(アンリ…アンリエットは俺に言葉を教えてくれた恩人だ)
『そうか…言葉の教材を家から持ち出そうとした時は驚いたな。懐かしい…お前に言葉を教えてる時のアンリは昔のように生き生きしてた。ありがとうな』
「こっちこそ、すっごい助かったからお互い様だな。俺はあの頃幾つかの音しか知らなかったからな」
(森の中で冒険者を見かけてこっそり追いかけて話し声を聞いていたがサッパリ分からなかった。だから行動を真似ることにして、同じ獲物を素早く狩ってギルドまで付いていった。その頃は毛皮を着ていたので街では浮いてたと思う)
『あ?でも名前は言えたって聞いたぞ?』
ギルレイはその時の事を思い出すように目を細めながらどこか遠くを見ている。
「森で後をつけていた冒険者たちが話してた音で好きなのを並べただけだと思う。それと、何となく呼ばれた気がしたんだ。リミルって」
『そうか…それを言ってなかったらアンリが勝手に名付けていたかもな?フフッ』
「文字が読めるようになってから自分ステータスみたけど、名前のとこしっかりリミルだった。自分で付けたことになったのか親が付けたのを覚えてたのか、今じゃ分からないけど。そういえば、さっきはなんで慌ててたんだ?俺が出るくらいであんなに慌てないだろ?」
リミルはステータスの話題を振ってしまって、慌てて話題を変えた。
<ギルレイが慌てるほどのことが起こったのか?>
クライもそれとなくリミルの援護をする。
『あ?ああ…二人が今ここを離れるのは不味いんだ。お前らが不在の森がどうなるかという点とさっき言った浸透してない点、それからもう一つあるが今は言えない』
またもやギルドマスターとしての顔になった。
「そうか…今はってことは言えるようになったら言ってくれるんだろ?」
『ああ!もちろん』
そう言って表情を崩した。
(ならその時で良い。今考える必要はない)
<森か…そんなに変わらないとは思うが新たな森の覇者がでれば問題かもな…フェンリルになれるような奴なら問題ないがそうでなければ危険か。魔犬以外の種族はよく分からんな>
クライの言うように、フェンリルであれば問題ない。でもフェンリルになれるのは魔犬と呼ばれる種族のなかでも強く、気高く、守る者がいる心優しき者だけだ。堕ちるような者はなれないしフェンリルになれば何があっても堕ちることはない。
『まあそうだな。それとリミル、お前を護るためでもある』
「俺を?」
『ああ、フェンリルは希少だからな、狙う馬鹿が出てくるんだ。従魔なら尚更な…従魔契約はそれぞれの意思によってするものだがそれを知らない奴が奪って自分のモノにしようとすることがあるんだ。要するに馬鹿だ』
頭を抱えて項垂れているところをみると何度もそういった輩を見てきた様だ。
<ギルレイも大変なんだな>
(クライが同情なんて珍しい。ギルレイだからか)
「暫く出られないのか…森の家、片して来ちゃったから住む所ないな…」
もう一度住めるようにするのは大変面倒で時間がかかる。魔法か野営セットでも良いが何日かかるか分からないのにゆっくり休めないのはキツい。かといってホームにいるのに宿を取るとか金の無駄遣いだ。
『ああ、それなら心配要らない。俺ん家に二人とも住んでもらうことになっている』
当然のように言ってのけるが、ただの一冒険者がギルドマスターの家に住んで良いものなのか甚だ疑問だ。
<ギルレイの家か、楽しみだな!>
クライは満更でもないようだ。
「え、良いのか?家族は?」
『息子たちは独立してそれぞれ家庭がある。アンリエットは…』
「ああ、悪かった…」
『いや、大丈夫だ。アンリはリミルのことを3人目の子どもだと言っていた。俺も大切に思ってる。遠慮すんな』
ギルレイの優しい眼にやはりソワソワする。
(父親ってこんな感じなのか?)
「んじゃ、ありがたく!」
『ホームポイント自体、俺の家に設置しても良いんだぞ?森だと戻って早々襲われることもあるだろ?』
(今まで行ったことすらないのに急にどうしたんだ?やはり何か事情があるのか…?)
<何度もあるな。気づいた方が返り討ちにするっていう決まりだ>
(クライは楽しそうだな、おい)
『ホームってのは休める場所って意味もあるんだ。森に愛着はあるかも知れねぇけどホームでくらいちゃんと休め』
(とても心配してくれているのはわかる)
「んー、でもギルレイに迷惑かけるのは良くないだろ?お客さんいたらどうすんだよ…」
『二人に部屋をやるからそこをホームポイントにすれば客とばったりってのはなくなるだろ。客は応接間にしか通さねぇしな』
(なるほど…広いんだな)
「じゃあ行ってみて居心地良かったらそうする!」
『ハハハッ、そうか。居心地良いとイイな』
ギルレイが身を乗り出してリミルの頭をワシャワシャと撫でて席に戻る。
(頭を撫でられるのはこれで二人目だな。夫婦揃って優しいんだから)
「懐かしいな…アンリも撫でてくれたんだ。俺が言葉を覚える度に」
(アンリ…アンリエットは俺に言葉を教えてくれた恩人だ)
『そうか…言葉の教材を家から持ち出そうとした時は驚いたな。懐かしい…お前に言葉を教えてる時のアンリは昔のように生き生きしてた。ありがとうな』
「こっちこそ、すっごい助かったからお互い様だな。俺はあの頃幾つかの音しか知らなかったからな」
(森の中で冒険者を見かけてこっそり追いかけて話し声を聞いていたがサッパリ分からなかった。だから行動を真似ることにして、同じ獲物を素早く狩ってギルドまで付いていった。その頃は毛皮を着ていたので街では浮いてたと思う)
『あ?でも名前は言えたって聞いたぞ?』
ギルレイはその時の事を思い出すように目を細めながらどこか遠くを見ている。
「森で後をつけていた冒険者たちが話してた音で好きなのを並べただけだと思う。それと、何となく呼ばれた気がしたんだ。リミルって」
『そうか…それを言ってなかったらアンリが勝手に名付けていたかもな?フフッ』
「文字が読めるようになってから自分ステータスみたけど、名前のとこしっかりリミルだった。自分で付けたことになったのか親が付けたのを覚えてたのか、今じゃ分からないけど。そういえば、さっきはなんで慌ててたんだ?俺が出るくらいであんなに慌てないだろ?」
リミルはステータスの話題を振ってしまって、慌てて話題を変えた。
<ギルレイが慌てるほどのことが起こったのか?>
クライもそれとなくリミルの援護をする。
『あ?ああ…二人が今ここを離れるのは不味いんだ。お前らが不在の森がどうなるかという点とさっき言った浸透してない点、それからもう一つあるが今は言えない』
またもやギルドマスターとしての顔になった。
「そうか…今はってことは言えるようになったら言ってくれるんだろ?」
『ああ!もちろん』
そう言って表情を崩した。
(ならその時で良い。今考える必要はない)
<森か…そんなに変わらないとは思うが新たな森の覇者がでれば問題かもな…フェンリルになれるような奴なら問題ないがそうでなければ危険か。魔犬以外の種族はよく分からんな>
クライの言うように、フェンリルであれば問題ない。でもフェンリルになれるのは魔犬と呼ばれる種族のなかでも強く、気高く、守る者がいる心優しき者だけだ。堕ちるような者はなれないしフェンリルになれば何があっても堕ちることはない。
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