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第1章 変化の始まり
生活の変化 #2
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リミルは中に入って辺りを見回し、受付をみる。
ギルドの建物はとても大きく広く造られている。
入って直ぐはゆったりしたスペースになっており、そこを囲む壁が依頼ボードになっている。
その奥には木製の背もたれのない長椅子が整列している。喧嘩が起きないよう、広めに作られたクッションが固定されており、一人分のスペースがわかり易くなっている。背もたれがないのはパーティで固まって座り話しやすいようにとの工夫である。
さらにその奥に受付があり、今は6人ほど受付の人がいる。受付カウンターの左右には階段があり、奥にあるロフトのような場所に続いている。
階段の横は通路が奥まで続き、右奥には解体部屋、左奥には取り調べ室がある。地下牢へ続く階段が取り調べ室から地下へと伸びている。
解体部屋や取り調べ室の手前はそれぞれ個室が並んでいる。個室は個人依頼の相談やパーティで内密の話をするために使われる場所で2階もある。2階の個室にはロフトから通路が続いている。
そのロフト部分は酒場になっており、奥にカウンターがある。奥に向かってバーカウンター右側に[魔導エレベーター]が2つ設置されている。左側にはギルド受付スペースから死角になるように御手洗がある。受付裏、ロフト下の部分は関係者以外立ち入り禁止となっている。
受付カウンター左側に目的の人物がいた。
近づいて挨拶する。
「やあ、マスター」
『ハハハッ、それじゃあバーのマスターと変わらねぇな。ちゃんとギルレイって呼んでくれよ。それか皆みたいに愛称でも良いぞ?』
そう軽い調子で話すのはギルドマスターのギルレイだ。
「ハハッ、ギルレイって呼ぶの俺だけだもんな!愛称で呼ぶわけないだろ?フフッ」
『だろうな、それで?なんか用事か?』
ギルレイの優しい眼差しはリミルの好きな表情の一つだが、ソワソワと落ち着かない気分になる。
「あぁ、そろそろ旅に出ようかと思ってな、高位として認められたしクライも進化したし俺自体の成長も止まってて成人越えてたみたいだし…」
最後は言い訳みたいで早口になっていた。
『は?もう?今から?』
ギルレイは焦っている様子だ。あまり見たことがない光景に周りもザワつく。
「うん…そのつもりだけど…何か不味い?」
一応旅立ちに向けて色々準備は整えていた。あとはポーション屋で必要なポーションを揃えるだけのはずだ。
『ああ、非常に不味い!詳しくは奥で話すから少し待っててくれ』
(ギルレイにしては慌てた様子だ。何かあったのかもしれない)
「わかった」
二人は長椅子エリアの端の方へ移動しリミルは椅子にクライは床に座る。
<なんだろうな?あいつにしては珍しい>
「ああ…何かあったのかもな?」
**
暫く待っていると受付嬢の一人が二人を呼びにきた。リミルたちはそれについて行く。
普段入れない扉へ通されて少し驚く。
受付裏は幾つか扉があったが一番左側はギルドマスターの部屋だったみたいだ。応接セットと奥に大きな机、そのさらに奥に机に合わせた椅子がある。
『待たせてすまない、二人とも掛けてくれ』
リミルはソファにクライはリミルの近くの床に座った。
ギルレイも向かいのソファに座る。
普段あまり見ることがないギルドマスターとして厳格な威厳のある顔付きになったギルレイが口を開く。
『早速だがまずは確認事項がある。クライ、種族は何になっている?お前の口から聞いた後、鑑定しなければならない』
<俺の種族はフェンリルになっている、進化したのは最近だ。確認してくれ>
クライはギルレイのことを信頼しているようで、鑑定をあっさり許可した。
一連の流れを見ていたリミルがポツリと呟く。
「そっか、珍しいもんな…」
『協力感謝する。《鑑定》』
(俺も一緒に確認しとこう)
☆☆☆☆☆
*名前 クライ
*種族 フェンリル:白銀
*契主 リミル
*状態 少し空腹
*職業 魔法詠唱者、精霊使い、拳闘士
*称号 リミルの家族、森の支配者、魔犬の王
☆☆☆☆☆
(称号が変わってる。同系統のものは上書きされるようだ。俺のも{捨て子}がなくなって{クライの家族}ってのが増えてたから上書きじゃないかと思ってたんだ)
「森の覇者の次は支配者だったんだな!王ってのはフェンリルになったからかな?あと白銀ってのはなんだ?」
ギルレイは種族の確認が取れたため普段通りの表情に戻った後、リミルの発言により称号を見て驚きつつもクライを褒め、リミルの質問に答えた。
『あんなだだっ広い森を支配しちまったのか?すげぇなクライ!リミル、白銀ってのはな、フェンリルに存在する色による希少性と優劣を示すものだ。白銀は中でも高位の存在だ。最近目撃された色はクライを含めて上から白銀、赤、黒、青、緑だな。ただ、クライのは確認できたから白銀と言ったが野生であれば他と同じように確認が取れなかっただろうから白と言っていただろうが。そんな中、緑が比較的生まれやすい事だけは確認が取れている。それから、優劣と言ったがあくまでもフェンリルの中で、だ。元々生まれにくい存在だから強くて当然だ。そういった希少で強い存在についての情報はギルドで共有することになってるんだ。だから、数日前に冒険者の従魔から白が生まれたという話は直ぐに広められたが浸透するのに時間がかかっているんだ。白だと広めたが白銀だと訂正するべきかは会合で決めることになるだろうな…』
ギルドの建物はとても大きく広く造られている。
入って直ぐはゆったりしたスペースになっており、そこを囲む壁が依頼ボードになっている。
その奥には木製の背もたれのない長椅子が整列している。喧嘩が起きないよう、広めに作られたクッションが固定されており、一人分のスペースがわかり易くなっている。背もたれがないのはパーティで固まって座り話しやすいようにとの工夫である。
さらにその奥に受付があり、今は6人ほど受付の人がいる。受付カウンターの左右には階段があり、奥にあるロフトのような場所に続いている。
階段の横は通路が奥まで続き、右奥には解体部屋、左奥には取り調べ室がある。地下牢へ続く階段が取り調べ室から地下へと伸びている。
解体部屋や取り調べ室の手前はそれぞれ個室が並んでいる。個室は個人依頼の相談やパーティで内密の話をするために使われる場所で2階もある。2階の個室にはロフトから通路が続いている。
そのロフト部分は酒場になっており、奥にカウンターがある。奥に向かってバーカウンター右側に[魔導エレベーター]が2つ設置されている。左側にはギルド受付スペースから死角になるように御手洗がある。受付裏、ロフト下の部分は関係者以外立ち入り禁止となっている。
受付カウンター左側に目的の人物がいた。
近づいて挨拶する。
「やあ、マスター」
『ハハハッ、それじゃあバーのマスターと変わらねぇな。ちゃんとギルレイって呼んでくれよ。それか皆みたいに愛称でも良いぞ?』
そう軽い調子で話すのはギルドマスターのギルレイだ。
「ハハッ、ギルレイって呼ぶの俺だけだもんな!愛称で呼ぶわけないだろ?フフッ」
『だろうな、それで?なんか用事か?』
ギルレイの優しい眼差しはリミルの好きな表情の一つだが、ソワソワと落ち着かない気分になる。
「あぁ、そろそろ旅に出ようかと思ってな、高位として認められたしクライも進化したし俺自体の成長も止まってて成人越えてたみたいだし…」
最後は言い訳みたいで早口になっていた。
『は?もう?今から?』
ギルレイは焦っている様子だ。あまり見たことがない光景に周りもザワつく。
「うん…そのつもりだけど…何か不味い?」
一応旅立ちに向けて色々準備は整えていた。あとはポーション屋で必要なポーションを揃えるだけのはずだ。
『ああ、非常に不味い!詳しくは奥で話すから少し待っててくれ』
(ギルレイにしては慌てた様子だ。何かあったのかもしれない)
「わかった」
二人は長椅子エリアの端の方へ移動しリミルは椅子にクライは床に座る。
<なんだろうな?あいつにしては珍しい>
「ああ…何かあったのかもな?」
**
暫く待っていると受付嬢の一人が二人を呼びにきた。リミルたちはそれについて行く。
普段入れない扉へ通されて少し驚く。
受付裏は幾つか扉があったが一番左側はギルドマスターの部屋だったみたいだ。応接セットと奥に大きな机、そのさらに奥に机に合わせた椅子がある。
『待たせてすまない、二人とも掛けてくれ』
リミルはソファにクライはリミルの近くの床に座った。
ギルレイも向かいのソファに座る。
普段あまり見ることがないギルドマスターとして厳格な威厳のある顔付きになったギルレイが口を開く。
『早速だがまずは確認事項がある。クライ、種族は何になっている?お前の口から聞いた後、鑑定しなければならない』
<俺の種族はフェンリルになっている、進化したのは最近だ。確認してくれ>
クライはギルレイのことを信頼しているようで、鑑定をあっさり許可した。
一連の流れを見ていたリミルがポツリと呟く。
「そっか、珍しいもんな…」
『協力感謝する。《鑑定》』
(俺も一緒に確認しとこう)
☆☆☆☆☆
*名前 クライ
*種族 フェンリル:白銀
*契主 リミル
*状態 少し空腹
*職業 魔法詠唱者、精霊使い、拳闘士
*称号 リミルの家族、森の支配者、魔犬の王
☆☆☆☆☆
(称号が変わってる。同系統のものは上書きされるようだ。俺のも{捨て子}がなくなって{クライの家族}ってのが増えてたから上書きじゃないかと思ってたんだ)
「森の覇者の次は支配者だったんだな!王ってのはフェンリルになったからかな?あと白銀ってのはなんだ?」
ギルレイは種族の確認が取れたため普段通りの表情に戻った後、リミルの発言により称号を見て驚きつつもクライを褒め、リミルの質問に答えた。
『あんなだだっ広い森を支配しちまったのか?すげぇなクライ!リミル、白銀ってのはな、フェンリルに存在する色による希少性と優劣を示すものだ。白銀は中でも高位の存在だ。最近目撃された色はクライを含めて上から白銀、赤、黒、青、緑だな。ただ、クライのは確認できたから白銀と言ったが野生であれば他と同じように確認が取れなかっただろうから白と言っていただろうが。そんな中、緑が比較的生まれやすい事だけは確認が取れている。それから、優劣と言ったがあくまでもフェンリルの中で、だ。元々生まれにくい存在だから強くて当然だ。そういった希少で強い存在についての情報はギルドで共有することになってるんだ。だから、数日前に冒険者の従魔から白が生まれたという話は直ぐに広められたが浸透するのに時間がかかっているんだ。白だと広めたが白銀だと訂正するべきかは会合で決めることになるだろうな…』
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