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本編
第184話
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「なにを言い出すかと思えば……」
溜息まじりにレノは続ける。
「タビト君のインタビューを読んだり聞いたりしてないのか?ウル・ラドに注ぐ彼の情熱は半端じゃないぞ」
「そんなのわかってるよぉ。でも、居場所がなくなれば辞めざるを得ないでしょぉ?」
この瞬間ミツキの顔に浮かんだ悪魔的な笑みに、彼は心底ぞっとした。
「どういう意味だ」
「もうミツキだけのタビトになってほしーの。ステージでキラキラしてるタビトのことがだいすきだから応援したかったしぃ、人気アイドルの恋人っていうステータスがあるのって気分よかったけどぉ……あんな冷たい態度とられるの、もーヤダ。このままだとケンカになっちゃいそーだからぁ、ふたりの仲にヒビが入るまえに辞めさせちゃおーと思って」
「だから……居場所がなくなれば、ってどういう意味だよ?」
「言葉通りだけど?」くりっとした瞳を愛らしく瞬かせて、「ウル・ラドをぐっちゃぐちゃに壊して解散に追い込むの。タビトはアイドルじゃなくたってじゅうぶんやってけるもん」
「壊すって……」言葉が途切れ、その顔に苦渋が満ちる。「どうやって?いったいなにを考えてるんだ?」
「あんなグループ、タビトがいなくなったらすぐ壊れちゃうだろうから、引き抜けたらいちばんラクなんだけどぉ……無理じゃん?どんなにカネ積んだってうちの事務所に来てくれるわけないし。だからぁ、内側から壊しちゃう」
「……内側から?」
「そ。まずはぁ、セナから崩していこーと思ってんの」
「やめとけ」
彼は短くも断固とした口調で言い放った。
「えー、ウル・ラドがなくなるのはぁ、レノにだって都合がいいでしょぉ?だから計画を話したんだけど?」
「俺はウル・ラドのファンだ。解散は望まない!」
「ファンだなんて嘘ばっか。アキラに執着してるだけのくせに」
レノの顔から血の気が引く。黙り込んだ彼を前にうっすらと目を細めて、彼女は続ける。
「バンドでメジャーデビュー目指してたアキラが遠い存在になっちゃうのが怖くて、うちのアイドルオーディション受けたんじゃないのぉ?同じ音楽業界なら接点も多いもんねぇ」
「……憶測でものを言うのは関心しないな」
「あれぇ?ミツキの言うこと間違ってた?ごめぇーん」
テーブルに置いた大きな手が固く握りしめられているのを、ミツキは視界に捉えた。彼を横目で見遣りつつ更に目を細くし、ほとんど満面の笑みになりながら言う。
「ま、芸能界入りして近づいたところでアキラとヤヒロの絆にはどうしたって勝てないしぃ、部外者は涙目で退散するしかないかぁ」
奥歯をきつく噛んだレノのこめかみには、青筋が浮いている。
中学高校と密度の濃い時間を3人で過ごし――ヤヒロに隠れてアキラとふたり、かけがえのない時を過ごしたこともあるとはいえ、結局あのふたりの特別な関係性に割り込むことはできなかった。そのとき感じた疎外感を第三者に見透かされ、彼の胸中は屈辱に震えていた。
ミツキは愉快そうな顔で相手の反応を窺いつつ、ベビーピンクのバケットバッグを開きリップスティックを取り出すと、唇に色をのせながら言った。
「ミツキに協力してくれたらぁ、悔しい気持ちがちょっとは晴れると思うけどなぁ。ウル・ラドがなくなったらアキラは芸能界引退するでしょぉ?あの家の跡取りはアキラだけだしぃ、夢破れちゃったらもぉ逃げらんないじゃん?ヤヒロは弟たちのために芸能界にしがみついてくだろーし、ニコイチも終わりってわけ」
けらけらと声を上げて笑う。
「正直、気分いい。ミツキはぁ……アキラもヤヒロもだいっきらいなの。あのふたりの関係、めっちゃ気持ち悪いもん……」
ようやく唇を開いたレノは、緊張に乾いた舌で言う。
「セナ君から崩すって言ったな。彼は他の誰よりもアイドルとしての矜持がある。思い通りにはいかないぞ」
「キョージってなぁに?」
「……プライド」
「ふぅん。ならカンタンじゃん」
「なんでそうなるんだよ」
彼は額を押さえて唸る。
リップスティックを手の中で弄びながら、ミツキは瑞々しい唇を尖らせた。
「だって、アイドルとしてのプライドがあるならこだわりもすごいってことでしょぉ?いまのウル・ラドの活動ってアイドルってよりアーティスト寄りだし、不満溜めてんじゃなぁい?」
レノは、司会を務めている音楽トーク番組「PRISM ROOM」でのセナを思い出す。収録のあいだ、彼はほとんどトークに参加しなかった。しなかったというより、できなかったという方が正しいかもしれない。
彼は確かに精巧な作りのビスクドールのようにすばらしく美しいが、ただそれだけ――非凡なる者たちの中に放り込まれた凡人だ。突出した才能を持つメンバーに囲まれているばかりに、彼はすっかり埋没してしまっている。繊細な性格であるなら、自分の存在意義に疑問を持ってもおかしくない。
「あのメンバーん中じゃ、いっちばん意志よわそーだから狙ってたんだけどぉ……アイドルらしい活動がしたいってモヤモヤしてんなら落とすのはもっとラク」
「……どうするつもりだ」
「ま、見ててよぉ。レノのチカラが必要なときは連絡するから」
「協力するとは言ってないぞ」
「復讐のチャンスだよぉ?」
「――復讐?」
きつく眉をひそめた彼を上目遣いで見て、
「アキラがメジャーデビューできるようにめっちゃがんばったんでしょぉ?あいつをうちの事務所に迎えるために、チーフマネージャーとか音楽関係者……社長にまで直談判してさぁ、いろいろ裏で手ぇ回したらしいじゃん?それなのにヤヒロに取られちゃった。努力がぜーんぶ水の泡……」
砂でできた過去に呑み込まれるのを感じて息苦しくなり、レノはシャツの襟元を引っ張る。
アキラが、あんなにもこだわっていたバンドマンとしての夢を手放してアイドルになろうとしている――レノがそれを聞いたのは……すこしでもアキラの夢に近い場所にいたくて、ストルムミュージックが開催したアイドルのオーディションに参加していた頃のことだ。
風の噂で耳にしたとき、とても信じられなかった。卓越した音楽的才能を持ちながら、外見重視の世界で若さを切り売りすることを選ぶだなんて……アキラがそんな未来を自ら選択するはずがない。きっと個人の力ではコントロールできない何かが起こって、望まぬ道を歩かざるを得なくなったのだと思った。
アキラには本来進むべき道がある――レノはある種の使命感に燃えた。彼を救い出さねばという思いを胸に、血のにじむ努力でオーディションを一位通過したレノは、事務所の新たな稼ぎ頭と期待されるアイドルグループ「ミュトス」のリーダーという今のポジションを得た。そして周囲の音楽関係者やスタッフと積極的に交流して彼らの懐へ巧みに入り込み、時にはその身を犠牲にしながらアキラの才能を売り込んだ。
その結果、まだデビュー前のアイドルという立場であるにもかかわらず……レノはストルムミュージックの上層部を動かした。脅威になる前に手中に収めるべきだという助言を聞き入れた幹部らにより“新人ロックバンドのメンバー”というポジションが用意され、それを切り札としてスカウトマンがアキラに接近。ストルムとしては異例の手段でオフィスウイルドからの引き抜きが試みられたのだ。
しかし、当の本人はそれを蹴った。
「サシャから聞いたんだけどぉ……あんた、お偉方に取り入るためにけっこうエグいことやってたんだって?あんなに自分を犠牲にしたのにぃ、夢を捨ててまでヤヒロといっしょにいたいんだってことがわかっただけだったねぇ。から回ってる姿見て、ふたりともゲラゲラ笑ってただろーなぁ。かわいそ」
「うるさい……」
顔を下に向け、レノは絞り出すような声でつぶやく。明らかな怒りが感じられたが、彼女は怯む様子もなく淡々と言葉を継いだ。
「いまのウル・ラドの勢い、知ってるでしょぉ?このまま放っとけば、もっともーっと売れちゃうよ。いつかミュトスも追い抜かされちゃうかもねぇ。こっちの厚意を踏みつけてバカにするようなヤツらがどんどんのし上がってくの、指くわえて見てるだけでいーのぉ?」
レノは伏せていた顔をゆっくりと上げる。
充血した瞳で睨んでくる彼に視線を返したミツキは、鋭い八重歯を覗かせ不敵に笑った。
溜息まじりにレノは続ける。
「タビト君のインタビューを読んだり聞いたりしてないのか?ウル・ラドに注ぐ彼の情熱は半端じゃないぞ」
「そんなのわかってるよぉ。でも、居場所がなくなれば辞めざるを得ないでしょぉ?」
この瞬間ミツキの顔に浮かんだ悪魔的な笑みに、彼は心底ぞっとした。
「どういう意味だ」
「もうミツキだけのタビトになってほしーの。ステージでキラキラしてるタビトのことがだいすきだから応援したかったしぃ、人気アイドルの恋人っていうステータスがあるのって気分よかったけどぉ……あんな冷たい態度とられるの、もーヤダ。このままだとケンカになっちゃいそーだからぁ、ふたりの仲にヒビが入るまえに辞めさせちゃおーと思って」
「だから……居場所がなくなれば、ってどういう意味だよ?」
「言葉通りだけど?」くりっとした瞳を愛らしく瞬かせて、「ウル・ラドをぐっちゃぐちゃに壊して解散に追い込むの。タビトはアイドルじゃなくたってじゅうぶんやってけるもん」
「壊すって……」言葉が途切れ、その顔に苦渋が満ちる。「どうやって?いったいなにを考えてるんだ?」
「あんなグループ、タビトがいなくなったらすぐ壊れちゃうだろうから、引き抜けたらいちばんラクなんだけどぉ……無理じゃん?どんなにカネ積んだってうちの事務所に来てくれるわけないし。だからぁ、内側から壊しちゃう」
「……内側から?」
「そ。まずはぁ、セナから崩していこーと思ってんの」
「やめとけ」
彼は短くも断固とした口調で言い放った。
「えー、ウル・ラドがなくなるのはぁ、レノにだって都合がいいでしょぉ?だから計画を話したんだけど?」
「俺はウル・ラドのファンだ。解散は望まない!」
「ファンだなんて嘘ばっか。アキラに執着してるだけのくせに」
レノの顔から血の気が引く。黙り込んだ彼を前にうっすらと目を細めて、彼女は続ける。
「バンドでメジャーデビュー目指してたアキラが遠い存在になっちゃうのが怖くて、うちのアイドルオーディション受けたんじゃないのぉ?同じ音楽業界なら接点も多いもんねぇ」
「……憶測でものを言うのは関心しないな」
「あれぇ?ミツキの言うこと間違ってた?ごめぇーん」
テーブルに置いた大きな手が固く握りしめられているのを、ミツキは視界に捉えた。彼を横目で見遣りつつ更に目を細くし、ほとんど満面の笑みになりながら言う。
「ま、芸能界入りして近づいたところでアキラとヤヒロの絆にはどうしたって勝てないしぃ、部外者は涙目で退散するしかないかぁ」
奥歯をきつく噛んだレノのこめかみには、青筋が浮いている。
中学高校と密度の濃い時間を3人で過ごし――ヤヒロに隠れてアキラとふたり、かけがえのない時を過ごしたこともあるとはいえ、結局あのふたりの特別な関係性に割り込むことはできなかった。そのとき感じた疎外感を第三者に見透かされ、彼の胸中は屈辱に震えていた。
ミツキは愉快そうな顔で相手の反応を窺いつつ、ベビーピンクのバケットバッグを開きリップスティックを取り出すと、唇に色をのせながら言った。
「ミツキに協力してくれたらぁ、悔しい気持ちがちょっとは晴れると思うけどなぁ。ウル・ラドがなくなったらアキラは芸能界引退するでしょぉ?あの家の跡取りはアキラだけだしぃ、夢破れちゃったらもぉ逃げらんないじゃん?ヤヒロは弟たちのために芸能界にしがみついてくだろーし、ニコイチも終わりってわけ」
けらけらと声を上げて笑う。
「正直、気分いい。ミツキはぁ……アキラもヤヒロもだいっきらいなの。あのふたりの関係、めっちゃ気持ち悪いもん……」
ようやく唇を開いたレノは、緊張に乾いた舌で言う。
「セナ君から崩すって言ったな。彼は他の誰よりもアイドルとしての矜持がある。思い通りにはいかないぞ」
「キョージってなぁに?」
「……プライド」
「ふぅん。ならカンタンじゃん」
「なんでそうなるんだよ」
彼は額を押さえて唸る。
リップスティックを手の中で弄びながら、ミツキは瑞々しい唇を尖らせた。
「だって、アイドルとしてのプライドがあるならこだわりもすごいってことでしょぉ?いまのウル・ラドの活動ってアイドルってよりアーティスト寄りだし、不満溜めてんじゃなぁい?」
レノは、司会を務めている音楽トーク番組「PRISM ROOM」でのセナを思い出す。収録のあいだ、彼はほとんどトークに参加しなかった。しなかったというより、できなかったという方が正しいかもしれない。
彼は確かに精巧な作りのビスクドールのようにすばらしく美しいが、ただそれだけ――非凡なる者たちの中に放り込まれた凡人だ。突出した才能を持つメンバーに囲まれているばかりに、彼はすっかり埋没してしまっている。繊細な性格であるなら、自分の存在意義に疑問を持ってもおかしくない。
「あのメンバーん中じゃ、いっちばん意志よわそーだから狙ってたんだけどぉ……アイドルらしい活動がしたいってモヤモヤしてんなら落とすのはもっとラク」
「……どうするつもりだ」
「ま、見ててよぉ。レノのチカラが必要なときは連絡するから」
「協力するとは言ってないぞ」
「復讐のチャンスだよぉ?」
「――復讐?」
きつく眉をひそめた彼を上目遣いで見て、
「アキラがメジャーデビューできるようにめっちゃがんばったんでしょぉ?あいつをうちの事務所に迎えるために、チーフマネージャーとか音楽関係者……社長にまで直談判してさぁ、いろいろ裏で手ぇ回したらしいじゃん?それなのにヤヒロに取られちゃった。努力がぜーんぶ水の泡……」
砂でできた過去に呑み込まれるのを感じて息苦しくなり、レノはシャツの襟元を引っ張る。
アキラが、あんなにもこだわっていたバンドマンとしての夢を手放してアイドルになろうとしている――レノがそれを聞いたのは……すこしでもアキラの夢に近い場所にいたくて、ストルムミュージックが開催したアイドルのオーディションに参加していた頃のことだ。
風の噂で耳にしたとき、とても信じられなかった。卓越した音楽的才能を持ちながら、外見重視の世界で若さを切り売りすることを選ぶだなんて……アキラがそんな未来を自ら選択するはずがない。きっと個人の力ではコントロールできない何かが起こって、望まぬ道を歩かざるを得なくなったのだと思った。
アキラには本来進むべき道がある――レノはある種の使命感に燃えた。彼を救い出さねばという思いを胸に、血のにじむ努力でオーディションを一位通過したレノは、事務所の新たな稼ぎ頭と期待されるアイドルグループ「ミュトス」のリーダーという今のポジションを得た。そして周囲の音楽関係者やスタッフと積極的に交流して彼らの懐へ巧みに入り込み、時にはその身を犠牲にしながらアキラの才能を売り込んだ。
その結果、まだデビュー前のアイドルという立場であるにもかかわらず……レノはストルムミュージックの上層部を動かした。脅威になる前に手中に収めるべきだという助言を聞き入れた幹部らにより“新人ロックバンドのメンバー”というポジションが用意され、それを切り札としてスカウトマンがアキラに接近。ストルムとしては異例の手段でオフィスウイルドからの引き抜きが試みられたのだ。
しかし、当の本人はそれを蹴った。
「サシャから聞いたんだけどぉ……あんた、お偉方に取り入るためにけっこうエグいことやってたんだって?あんなに自分を犠牲にしたのにぃ、夢を捨ててまでヤヒロといっしょにいたいんだってことがわかっただけだったねぇ。から回ってる姿見て、ふたりともゲラゲラ笑ってただろーなぁ。かわいそ」
「うるさい……」
顔を下に向け、レノは絞り出すような声でつぶやく。明らかな怒りが感じられたが、彼女は怯む様子もなく淡々と言葉を継いだ。
「いまのウル・ラドの勢い、知ってるでしょぉ?このまま放っとけば、もっともーっと売れちゃうよ。いつかミュトスも追い抜かされちゃうかもねぇ。こっちの厚意を踏みつけてバカにするようなヤツらがどんどんのし上がってくの、指くわえて見てるだけでいーのぉ?」
レノは伏せていた顔をゆっくりと上げる。
充血した瞳で睨んでくる彼に視線を返したミツキは、鋭い八重歯を覗かせ不敵に笑った。
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