熱が冷めたら

Makia

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熱が冷めたら

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「遊佐ナイスー!」
「お前やっぱり部に入れよ~」
「俺は遊びでやるのが一番好きなんだよ」 
「遊佐カッコいい~!」
外から聞こえる歓声に目をやると、俺の好きな人がまた囲まれている。
「はぁ、今日もカッコいいな、、」
俺は遊佐が好き。
いつから好きになったんだろうと思うがいつ考えても思い出せない。気づいたら目で追っていたという可能性もある、、。遊佐は誰にでもやさしいからモテるのも仕方ない。イケメンだし。

ー不毛だよな。ー
男が男を好きって、、誰にでもいえる相談でもないしな、、。だから、自分の恋愛のはなしはあまりしないし、好きな人がいるのか聞かれてもいないと答える。
だが、他の人の恋路は気になるもの。特に自分の好きな人の話なら尚更。

最近噂で遊佐には好きな人がいると聞いた。噂だから本気にはしてないが少々気にはなる。本人に聞けば早い話だけとそんな勇気全くない。俺が遊佐を好きだってばれたくないし。この気持ちは誰にもいわず墓場までもってくつもり。遊佐に本当の気持ちを言って嫌な気分にさせるのも嫌だし、嫌われるのなんてもっと嫌だから。
でも、俺のなかで遊佐と最近仲良くしてる女の子が遊佐の好きなやつかな?と思っている。

そんなある日、俺は遊佐と掃除当番が同じになり、ゴミ袋が2つあるがどっちをもつか聞くと
「俺重たい方もつよ!お前細いから持てねーだろ(笑)」
遊佐は冗談交じりに言ってきた。
「そ、そんなことねーよ!でも、ありがとう」
「おう!」


ーやっぱり優しいなー
また更に好きになりそうだ。

この際だからあの子との関係を聞いてみよう。
「あ、あのさ!そういえば最近神崎さんと仲良いよな!もしかして付き合ってたりする??」
俺は、少し躊躇いながら遊佐に聞いた。
すると、遊佐は少し驚いた表情を見せたがすぐに口を開いた。
「あー。神崎さん?最近委員が一緒になって作業内容の話してるだけで付き合ってるとかそんなんじゃないよ!」
俺は少しほっとした表情を見せた。
「そ、そっか!委員一緒なんだ!知らなかった。」
「そうなんだよ。それで趣味とかも共通点あったから話してるだけだよ!」
すると上からクラスの奴がこちらに向かって叫んでいた。
「遊佐ー!先生が呼んでるぞー!」
「まじか!おっけー。すぐ行く!」

「そうそう!今日帰り寄りたいとこあるからついてきて!じゃっまた!」
遊佐はそう言ってゴミ袋を2つぽいッと捨てて教室へ戻った。

帰りに立ち寄った店に花火大会のポスターが貼られてたのを見つけた。

ーあいつ、花火大会いくのかな?ー
もう誰かに誘われてる可能性あるよな、、神崎さんとかにも、、。でも、誰もいなかったら、、。誘ってみよう。

帰り道、俺は遊佐に夏祭りについて聞いた。
「遊佐は今度の花火大会いくのか??」
「あー!そろそろその時期だな!いやー、今のところ行く予定ないかなっ」
「そ、そうなんだっ」
「お前は?」
「俺?俺はいけたらいきたいなーって感じかなっ」
「じゃあ、一緒に行かね?」
遊佐からの誘いで俺は驚いた。
まさか、誘ってくれるとは、、。と言うか誰とも行く予定なかったんだ。。
「行きたい!いこうぜっ」
俺は嬉しさのあまり笑顔で返事をしてしまった。
「お前なんか嬉しそうだなっ、そんなに花火大会いきたかった?」
「あ。いゃっ、そーゆーわけじゃ、、。」

遊佐との約束で気分が現になってしまってた。
気を付けないと。


ー当日ー。
周りは友達やカップルで屋台は賑わっていた。それに対し俺たちは男2人で夏祭り。周りの目が少々気になる。

ー遊佐に迷惑かけないようにしないと。ー

俺は少し早くついたので遊佐を待っていた。少しして遊佐から電話が来た。
「もしもし」
「もしもし?俺だけど今着いたー!お前どこいる?」
「えっと、正面の鳥居の入り口にいるよ」
「了解!すぐいく!」
遊佐はそう言って電話を切った。
待っていると、向こうから遊佐が走ってきた。
「ごめんっ、待った?」
「いや、全然!俺もさっき着いたし」
「そっか、てか走ってきたからあっつーっ」
遊佐は少しいきをきらしながら自分の服をパタパタし始めた。
服の隙間から見える微かな肌に俺はドキッとしてしまい思わず視線をそらした。
「お前、浴衣できたんだ!」
「あ、うん。親に花火大会行くって言ったら浴衣あるから来てけって無理やり、、。似合ってないよな。」
「全然!似合ってるよ!レアな姿みれたからラッキー」
「茶化すなよっ」
「悪い悪い(笑)でも本当に似合ってるよ」
「…ありがとう。」

ー遊佐も浴衣来てきてたらきっと、いや絶対似合ってただろうな。ー

「腹減ったしなんか食べようぜ」
「そうだなっ、なに食べたい?」
「俺焼きそばと、たこ焼きと、ミルクせんべいとか、たい焼きとか!あと~、、」
「食べたいもの多すぎだろ(笑)」
「花火まで時間あるしとりあえず、いろんな店まわろーぜ」

俺たちは花火大会が始まる時間までいろんな屋台を食べ歩いた。

「ふぅ~、結構食ったな!どれも旨かった~」
「主にお前ばっか食ってたけどな。良く食うよなー。」
「お前が逆に食わなすぎなんだよ(笑)そんな細いからだでよく倒れないよな」
「俺だって食べるときは食べるよっ」
「じゃあ、今度大食いしにいこうぜ!」
「えっ、うん、、。」
「なんだよ、やっぱり大食いは無理か?(笑)」
「い、いけるし!」

ー大食いはできるかわかんねーけど、また遊佐と出掛ける約束できたっ!ー

「てか、そろそろ花火始まるよな?俺良いスポット知ってるんだ!いこうぜ!」
「あっ、ちょっ、、」
遊佐はそう言って俺の手を引いて、花火が良く見れると言う場所まで行った。

「ここ!めっちゃ良くない?」
「確かに綺麗に見れそう、良くこんな場所知ってたな」
「去年来たときに知ったんだ~!そん時もめっちゃ綺麗に見れたから次もここで見ようって思ってさ!でも、行く予定はしてなかったからお前と行けて良かったよ」
「そうなんだっ、それわ良かった。」

少し話をしてるうちに花火大会が始まった。
無数の色が夜空に浮かび、綺麗な花火が次々に打ち上げられていた。

「綺麗だな~!」
「本当だ、綺麗ー」
「今日天気も晴れて良かったな!」
「確かに!こんなに綺麗にみれるんだな」
「だろ?去年見つけて良かった!」

遊佐はこちらを向きながら笑顔でそういった。
そしてまた、綺麗な花火を見上げた。
遊佐の満面の笑みと横顔姿がとても綺麗で、俺の鼓動が早くなる。

ー駄目だ、このままじゃ俺の気持ちを伝えてしまいそうになる。ー

すると遊佐が俺の方をみて
「来年もまた来ようなっ」
と笑顔で言った。

2人きりでみる花火と遊佐の笑顔が眩しくて、俺はつい口にだしてしまった。

「好き」

その言葉と同時に今日一番の花火がうち上がった。
自分が無意識に言っていたのに驚いて遊佐の方をみると遊佐も驚いた表情を見せた。
「え、今ー、。」

遊佐が俺になにかを言おうとした時、後ろから声が聞こえた。

「あれ?遊佐くん??」

後ろを振り返ると神崎さんとその友達がいた。

「びっくりー!遊佐くんも花火みに来てたんだ!」
「おー、お前も見に来たの?」
「そうそう!凄い偶然だね!」
「だな!屋台はみたか?」
「さっき軽くみたよ~!閉まってなかったら帰りに買って帰るつもり!」

2人は他愛ない会話をしてた。

ーやっぱり神崎さん、遊佐の事っー

微笑ましい2人をみておれはその場から離れたくなった。

「花火も見れたし俺帰るわ!」
「え?まだ花火上がってるぞ!」

遊佐が俺を引き留めようとしたが、その時神崎さんが声を上げた。

「あ、あの!遊佐くん!ちょっと今時間いいかな?」
「え?でもっ、、」

遊佐は俺の方を向いたが遊佐が言葉を発する前に俺が声を重ねた。

「神崎さんが話あるみたいだぞっ。ちゃんと聞いてやらないと!じゃ!俺帰るわー!またな!」

そう言って俺は遊佐に背を向けて帰っていった。

ー俺の言葉聞かれてないよなー

花火の時に無意識に言ってしまった言葉が頭から離れない。今頃神崎さんは遊佐に告白してるんだろうな、、。あの2人お似合いだし、俺には勿体ない。

「これで良かったんだ、、。」

俺は、今にもこぼれ落ちそうな涙をグッと堪え、階段を下りた。

「ーーっ。」

履いていた草履のひもが切れ、足から崩れ落ちた。すると我慢していた涙が溢れでて、俺は泣きながら1人で帰った。


翌日、目の腫れが治まらないのと2人がもう付き合ったのであろうと思い、学校に行く気にもなれず休んだ。

休んでいると、お母さんが部屋に入ってきた。
「あんた、昨日お祭りから帰ってきてから調子悪そうだけど大丈夫?今日はゆっくりしときなさいよー。」
「うん。大丈夫っ、ありがとう。」

夕方頃またお母さんが部屋に入ってきた。
「あんたにお客さんだよー。」
「えっ?」

そう言って部屋にはいってきたのは遊佐だった。
「よっ!体調どうだ??」
「あー。うん、大丈夫っ!」

ー正直今はメンタル的にもヤバイから会いたくなかったな。ー


二人でしばらく沈黙になり、耐えられなくなった俺が昨日のその後の事を聞いた。


「き、昨日あれから何かあった??」
「何かって??」
「えっと、、付き合ったり、、とか?」
「あー。、、なにもなかったよ。」
「え?……そうなんだ」

俺は、少し安堵したような表情で言った。
正直2人はもう付き合ったと思ったから俺は驚いた。

「確かに、神崎さんには告白されたけど断った。」
「…なんで?」
「他に好きな人いるから」
「そうなんだ……。」

ーやっぱり遊佐は好きな人いるんだな。そりゃそうだよなお前にもすきな人はいるよな。やっぱりこの気持ちは黙っていよう。ー

「お前さっ、昨日花火のとき何か言ってただろ?何て言ってたんだ?」
「え?」
「神崎さん来る前になんか言ってきたじゃん。」
「あ、あー!あれは、ありがとうって言ったんだよ!一緒にお祭り行ってくれて!」

俺は咄嗟に嘘を着いた。だってその方が迷惑かけないと思ったからだ。

「違うだろ。」
「え?」

遊佐の言葉に俺は驚いた。

「ごめん。実はさ、聞こえてた。」

俺は、遊佐の言葉に動揺した。まさか、聞かれてたなんて思わなかった。

ー何か言い訳しないと、このままじゃ友達でいられなくなる。ー

俺は熱もあるなかでてんぱり、必死に言い訳の言葉を探した。

「へっ、変な意味じゃないよ!友達!友達としてすきってこと!」

俺は必死に嘘を着いた。
自分で自分を傷つけた。

ーこれでいい。これからも友達でいれるなら。ー

「…。お前、嘘へたくそすぎ。表情がわかりやすいんだよ。」

俺は、遊佐の言葉に動揺し熱もあったせいか上手く頭が回らなかった。

「…ごめん。男が男を好きとか気持ち悪いよな…。迷惑だよなっ、忘れてくれ。」

俺は遊佐の顔をみることができなくて下を向いた。すると、遊佐が俺に質問をした。

「それじゃあ、俺も気持ち悪いってことなのかな??」
「…えっ?」

塞げてた顔を上げると、遊佐が俺にキスをした。

「…ッ!!」

ーなにがおこった!?ー


俺が顔を赤くして固まっていると遊佐は少し微笑んだ。

「なんだよその顔(笑)
明日はちゃんと学校こいよ、今の感想を聞かせてくれ。待ってるからな。」

遊佐は俺にそう言って頭をポンポンと触って帰った。

「…ッえ。嘘だろ…。」

俺は訳がわからなくしばらくボーッとした。

俺と遊佐は同じ気持ちってこと??
遊佐にそんな素振り見えなかったけど、、。
いつからだろう。嘘じゃないよな、、。
やっぱりこの気持ちは無かったことにしたくない、あの時みたいにもう逃げない。


この熱が冷めたら、明日は学校に行って勇気を出して、遊佐にちゃんと俺の気持ちを伝えよう。そしたら、俺の未来も考えも少しずつ変わっていくかな。
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