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第七章 天使転輪
第197話 朝霜千士と擲槍(一)
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「あーーーー、血が取れねぇ」
千士と擲槍は野党共との一件の翌朝、近くの川に来ていた。
千士は血まみれのまま旅をするのを嫌い、川で血を洗い流すといい半裸で衣服を洗っていた。
「本当に最悪だぁ・・情に任せて殺るんじゃなかった」
そんな昨夜の出来事がまるで無かったかのような雰囲気の千士に擲槍は不意に試したくなって、千士の背後にゆっくりと忍び寄り拳を振りおろした、すると。
ドガッ!!
「いってぇぇッッ!!バカ!何すんだよ!?いきなり!」
擲槍の拳が綺麗に千士の後頭部へとクリーンヒットした。
「あぁ・・すまんな」
「すまんなって・・まぁいいけどよー」
擲槍にはその時の千士はどう考えても昨晩の鬼気迫る男とは思えなかった。
「貴様、強かったんだな。昨晩は驚いたぞ」
「ん?・・あぁ、だから今・・まぁな、自慢できるほどじゃねぇが、そこそこじゃねぇのか。知らんけど。なんかさぁ、昔から怒るとあぁなっちまうんだよ」
「何だあれは怒っていたのか?だとしら何に怒っていたのだ?」
「それは・・はぁ」
千士は神妙な顔で深いため息をつく。
「俺は暗殺者って言っただろ?」
「あぁ、そんなこと言ってたな」
「ただ依頼を受け、人を殺していたわけじゃねぇ。人にあだなす悪だけを標的に殺していた。俺はそういう依頼しか受けない変わった殺し屋だったのさ。だからあの時、野党共の悪行を見た瞬間に昔の血が滾ったって言うのかな。なんかほっとけなかった・・ではないが。なんだろうな自分でもわからねぇが体が動いていたんだよ」
「それで怒っていたのか。ふん、俺にはわからんな。しかし、貴様の昨夜の神技・・あれは目を見張るものがあった」
「はっは、そりゃあどうも。てかよ、前から思ってはいたんだがあんたのその物言い、まるで偉い人か貴族のような物言いだよな。一体あんた何者なんだよ?昨日、俺は名乗ったんだからいい加減あんたの名も教えてくれよ」
「ふん、それもそうか。まぁ昨晩は面白いものを見せてもらったからな。それに貴様に名を聞いておいて俺が名乗らないのも失礼というやつか。なら名のらせてもらおう。いいか一度しか言わぬから心して聞くがよい!俺の名は擲槍。武神であり付喪神の王だ!」
高らかに名乗りを上げるも、千士は最後の言葉に引っ掛かりを覚え眉根を寄せる。
「おいおい、真面目に言ってんのか?」
「俺はいつでも真面目だが」
「はぁ・・まじか・・本物の神様かよ・・・って・・簡単に信じれるかよ」
千士は気の抜けた感じで一人乗りツッコミをした。
「まぁ、それもそうか・・なら」
擲槍は千士が河原においていた荷物の中から一つの小刀を取り上げると念じるように目を閉じ力を与えた。
「?」
擲槍の行動を千士が不思議そうな顔で見ていると、擲槍の手から独りでに小刀が宙へ舞い、光輝いた。
「ふん、どうやら成功したみたいだな」
眩しさに目を細めていると次第に光は消え、そこには何もなくなっていた。
「おいおい、俺の小刀が急に飛んで光って消えただけじゃないか」
「いや、よく見て見ろ。お前の足元を」
擲槍にそう言われて足元を見るとそこにはいつの間にか千士の膝丈くらいの小さな子供が足元にしがみ付いていた。
「おっ!?なんだ!こいつ!?」
「ふっはっはっはっは!!こいつは驚いた!まさか生まれてすぐ擬人化とは!その小刀何年使い古したんだ?」
「小刀って・・まさか!?このちっこい奴が・・俺の愛用していた小刀か!?」
「愛用か・・そういうのもあるのか・・益々、興味深いな」
未だに驚き顔の千士を他所に擲槍は独り言のように呟いた。すると今まで怯えるように黙り込んでいた子供が口を開く。
「・・・はじめまして・・ご主人・様・わっ・・わたしは・・あなた様が・・大切にしてくださってた・小刀・・です」
そう千士の方を見上げたどたどしく弱々しい声を発した。
「ふむ、これはまた驚いたな。まさか人語も話せるとは・・」
擲槍は千士の足元で驚く子供にいつの間にか近づき、またも独り言のように呟く。子供はそんな急に近づいてきた擲槍に驚くと、ボンッ!っと音を立てて元の小刀に戻ってしまった。
「ふん、自在に形態まで変えれるのか!」
「おいっ!いつまでも感心してないでいい加減説明しやがれ!」
千士はいつまでも感嘆の声を上げる擲槍の頭を小突いた。
「あぁ・・すまないな。まずは俺の異能について話そうか」
「異能だと?」
「曲がりなりにも俺は神の一角だからな。そして、俺の能力はモノに対して命を与える能力。まぁ、貴様ら人間にわかりやすく説明すると付喪神を生み出すことができるということだな」
「それならわかる。だが、俺の知っている付喪神ってのは人の形へと変化できるものなのか?」
「いいや。本来、声であれば聞くことはできるが。人間への変化は初めてのケースだな・・それに、言葉を話すとは・・」
「もしかして、使われた・・いや、持ち主が使った年数とかで変わるとか?」
「ふむ。あり得ん話ではないな。ならば試してみるか」
「試す?」
千士がきょとんとしていると擲槍は、昨日千士が野党の一人から拝借した刀の一つに力を込めた。
すると、先ほどと同様に刀は光輝きながら宙へ浮くとそのまま地面へと落下した。
「さて、どうかな?おい、千士・・だったか、その刀拾ってみろ」
「ん?・・あぁ」
千士は目の前で起こったことにしばし驚いたのち、言われた通りに刀を拾うとその柄を握る。すると千士の全身に何か熱いものが走った。
「なんだ!?今のは!?」
「勝手に触るんじゃねぇ!!ガキがよぅ!!」
「なっ!?」
千士はその脳に直接聞こえてくる声に驚き思わず刀を放してしまう。
「ん?どうした?何か言ってたか?」
擲槍には先ほどの声が聞こえていないようだった。
「・・あぁ、なんか今、脳へ直接語り掛ける、っと言うか怒鳴られたよ・・」
「はっはっは!!なんだそりゃ、まぁ大方、元の持ち主ではない奴に手にされて怒ったっというところか」
「まぁ、そうだろうな・・」
千士は再び、先ほどの声をもう一度確かめようと落とした刀を拾いあげた。すると再び男の声と思しき声が脳へ直接響く。
「てめぇ!!一度ならず二度までもこの俺を手にとるか!!そんなに死にたきゃ、殺してやるよ!!!」
「!?」
その声を聞いた千士は無意識のうちに刃を自分に向け喉へと突き立てていた。その様子を見ていた擲槍が急に声を荒げる。
「おい!!そこまでにしておけ・・そこから先は俺が許さぬぞ」
千士は擲槍の見たことない様相にしばらく驚いた後に無意識のうちに、手に持っていた刀を落としていた。
「すまぬな千士。生まれたての小物だと態度がでかいのだ。だがしかし、これで信じてもらえたか?」
千士はゆっくりと小岩へと腰を下ろすとため息交じりに答える。
「あぁ、信じるよ、神様・・」
千士と擲槍は野党共との一件の翌朝、近くの川に来ていた。
千士は血まみれのまま旅をするのを嫌い、川で血を洗い流すといい半裸で衣服を洗っていた。
「本当に最悪だぁ・・情に任せて殺るんじゃなかった」
そんな昨夜の出来事がまるで無かったかのような雰囲気の千士に擲槍は不意に試したくなって、千士の背後にゆっくりと忍び寄り拳を振りおろした、すると。
ドガッ!!
「いってぇぇッッ!!バカ!何すんだよ!?いきなり!」
擲槍の拳が綺麗に千士の後頭部へとクリーンヒットした。
「あぁ・・すまんな」
「すまんなって・・まぁいいけどよー」
擲槍にはその時の千士はどう考えても昨晩の鬼気迫る男とは思えなかった。
「貴様、強かったんだな。昨晩は驚いたぞ」
「ん?・・あぁ、だから今・・まぁな、自慢できるほどじゃねぇが、そこそこじゃねぇのか。知らんけど。なんかさぁ、昔から怒るとあぁなっちまうんだよ」
「何だあれは怒っていたのか?だとしら何に怒っていたのだ?」
「それは・・はぁ」
千士は神妙な顔で深いため息をつく。
「俺は暗殺者って言っただろ?」
「あぁ、そんなこと言ってたな」
「ただ依頼を受け、人を殺していたわけじゃねぇ。人にあだなす悪だけを標的に殺していた。俺はそういう依頼しか受けない変わった殺し屋だったのさ。だからあの時、野党共の悪行を見た瞬間に昔の血が滾ったって言うのかな。なんかほっとけなかった・・ではないが。なんだろうな自分でもわからねぇが体が動いていたんだよ」
「それで怒っていたのか。ふん、俺にはわからんな。しかし、貴様の昨夜の神技・・あれは目を見張るものがあった」
「はっは、そりゃあどうも。てかよ、前から思ってはいたんだがあんたのその物言い、まるで偉い人か貴族のような物言いだよな。一体あんた何者なんだよ?昨日、俺は名乗ったんだからいい加減あんたの名も教えてくれよ」
「ふん、それもそうか。まぁ昨晩は面白いものを見せてもらったからな。それに貴様に名を聞いておいて俺が名乗らないのも失礼というやつか。なら名のらせてもらおう。いいか一度しか言わぬから心して聞くがよい!俺の名は擲槍。武神であり付喪神の王だ!」
高らかに名乗りを上げるも、千士は最後の言葉に引っ掛かりを覚え眉根を寄せる。
「おいおい、真面目に言ってんのか?」
「俺はいつでも真面目だが」
「はぁ・・まじか・・本物の神様かよ・・・って・・簡単に信じれるかよ」
千士は気の抜けた感じで一人乗りツッコミをした。
「まぁ、それもそうか・・なら」
擲槍は千士が河原においていた荷物の中から一つの小刀を取り上げると念じるように目を閉じ力を与えた。
「?」
擲槍の行動を千士が不思議そうな顔で見ていると、擲槍の手から独りでに小刀が宙へ舞い、光輝いた。
「ふん、どうやら成功したみたいだな」
眩しさに目を細めていると次第に光は消え、そこには何もなくなっていた。
「おいおい、俺の小刀が急に飛んで光って消えただけじゃないか」
「いや、よく見て見ろ。お前の足元を」
擲槍にそう言われて足元を見るとそこにはいつの間にか千士の膝丈くらいの小さな子供が足元にしがみ付いていた。
「おっ!?なんだ!こいつ!?」
「ふっはっはっはっは!!こいつは驚いた!まさか生まれてすぐ擬人化とは!その小刀何年使い古したんだ?」
「小刀って・・まさか!?このちっこい奴が・・俺の愛用していた小刀か!?」
「愛用か・・そういうのもあるのか・・益々、興味深いな」
未だに驚き顔の千士を他所に擲槍は独り言のように呟いた。すると今まで怯えるように黙り込んでいた子供が口を開く。
「・・・はじめまして・・ご主人・様・わっ・・わたしは・・あなた様が・・大切にしてくださってた・小刀・・です」
そう千士の方を見上げたどたどしく弱々しい声を発した。
「ふむ、これはまた驚いたな。まさか人語も話せるとは・・」
擲槍は千士の足元で驚く子供にいつの間にか近づき、またも独り言のように呟く。子供はそんな急に近づいてきた擲槍に驚くと、ボンッ!っと音を立てて元の小刀に戻ってしまった。
「ふん、自在に形態まで変えれるのか!」
「おいっ!いつまでも感心してないでいい加減説明しやがれ!」
千士はいつまでも感嘆の声を上げる擲槍の頭を小突いた。
「あぁ・・すまないな。まずは俺の異能について話そうか」
「異能だと?」
「曲がりなりにも俺は神の一角だからな。そして、俺の能力はモノに対して命を与える能力。まぁ、貴様ら人間にわかりやすく説明すると付喪神を生み出すことができるということだな」
「それならわかる。だが、俺の知っている付喪神ってのは人の形へと変化できるものなのか?」
「いいや。本来、声であれば聞くことはできるが。人間への変化は初めてのケースだな・・それに、言葉を話すとは・・」
「もしかして、使われた・・いや、持ち主が使った年数とかで変わるとか?」
「ふむ。あり得ん話ではないな。ならば試してみるか」
「試す?」
千士がきょとんとしていると擲槍は、昨日千士が野党の一人から拝借した刀の一つに力を込めた。
すると、先ほどと同様に刀は光輝きながら宙へ浮くとそのまま地面へと落下した。
「さて、どうかな?おい、千士・・だったか、その刀拾ってみろ」
「ん?・・あぁ」
千士は目の前で起こったことにしばし驚いたのち、言われた通りに刀を拾うとその柄を握る。すると千士の全身に何か熱いものが走った。
「なんだ!?今のは!?」
「勝手に触るんじゃねぇ!!ガキがよぅ!!」
「なっ!?」
千士はその脳に直接聞こえてくる声に驚き思わず刀を放してしまう。
「ん?どうした?何か言ってたか?」
擲槍には先ほどの声が聞こえていないようだった。
「・・あぁ、なんか今、脳へ直接語り掛ける、っと言うか怒鳴られたよ・・」
「はっはっは!!なんだそりゃ、まぁ大方、元の持ち主ではない奴に手にされて怒ったっというところか」
「まぁ、そうだろうな・・」
千士は再び、先ほどの声をもう一度確かめようと落とした刀を拾いあげた。すると再び男の声と思しき声が脳へ直接響く。
「てめぇ!!一度ならず二度までもこの俺を手にとるか!!そんなに死にたきゃ、殺してやるよ!!!」
「!?」
その声を聞いた千士は無意識のうちに刃を自分に向け喉へと突き立てていた。その様子を見ていた擲槍が急に声を荒げる。
「おい!!そこまでにしておけ・・そこから先は俺が許さぬぞ」
千士は擲槍の見たことない様相にしばらく驚いた後に無意識のうちに、手に持っていた刀を落としていた。
「すまぬな千士。生まれたての小物だと態度がでかいのだ。だがしかし、これで信じてもらえたか?」
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