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第七章 天使転輪
第192話 天使天輪(一)
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一
「志貴、俺たちのこの異能、お前はどう見る?」
兄は唐突にそんなことを聞いてきた。この時、何故そんなことを聞いてきたのかは今でもわからない。
「どうって言われてもな。不思議な力だとしか言いようがないね。最も、その力の根源には興味があるけどね」
「この力の根源、玉のことか。一体誰がどうやって。何の為に作ったのか。いいや、これはもしかすると人外の者により産み落とされたモノなのかもしれない。一見美しく見えるが、俺にはそれよりも禍々しいモノにも見える」
兄は手に持っていた薄く虹色に輝く小さな玉を見つめながら言う。
「そうだな、人外というと神様とかか?はっは、本当にいるなら願いを叶えてくれるかもな」
「神、いや、あるいは悪魔か天使か。いずれにしてもこの力は危険だ。俺たちが管理しなくてはならないな。もし悪の手に落ちれば大変なことになるのは明白。この力は世界を変える。実際、俺たちの先代はそれをやろうとした」
「だね」
「まぁ、天使にはいずれ会うつもりだから。その時にでも聞くとしようか」
「そうだな・・・・え?はぁ?大丈夫か兄さん?今、軽く聞き流すところだったけど、まさか本当にいるとか言わないよな?」
「いるさ。実際に会ったからな」
驚いた。兄さんも冗談を言うのかと。この時、兄は何かを懐かしむ様に遠い目をしていた。
「はっは!冗談だろ?いつだよ?」
「随分、昔にな」
「ふうーん、まぁ本当にいるって言うなら会ってみてぇな、死ぬまでにはな」
二
「って言ってたっけかな、僕は」
地上を照らす、上空にいる天使ウラノスを見上げ昔、兄とのやりとりを思い出しながら呟く。
「本当はこの世界でこの力を使うのは避けたかったんだが。まぁ時間を掛けなければ問題なかろう」
志貴はウラノスがいる上空へと一気に浮上し、目の前で対峙する。
「へぇ、驚いたな。その羽、本物か?」
「ふん、貴様の目には一体何に見えるんだ?」
「はぁ、本物の天使様か。随分メルヘンになったなぁ」
「貴様のその感じ、先ほどは驚いてはいたが今はえらく堂々としている。会ったことがあるのか天使に?」
「いいや、会ってはいない。ただ聞いただけだ」
「聞いたか・・たしかにこの世界にはまがい物だらけの伝承ばかりだ。まさかそれを鵜呑みにしているわけでもなさそうだが」
「伝承ね。たしかに馬鹿げた話だらけだ。俺が聞いた話は本物の天使の話だよ。というより今、本当にいたんだと確信に至ったよ」
「一体誰に聞いたんだ?まぁ、言われても知らんだろうが」
「だろうね。まぁ、うちの兄からの話さ。兄は昔、天使に会ったことがあるとか言ってたよ。兄はくだらない嘘はつかないから、そん時は驚いたよ。まさかそんなことを言うなんてな。まぁ半信半疑が今、真実になった、それだけの話さ」
「随分、博識な兄だな。その兄とやらから色々話を聞いてみたいものだ」
「もういないよ」
「そうか、残念だ」
「ところでさぁ、なんで生きてんだ?完全に肉塊にしたはずなんだけど」
「見ての通り蘇っただけだ。天使に死はない、最も例外も存在するが、万に一つとしてこの場で俺が殺されることなどないだろう」
「そうかぁ・・企画外、詰みだなこりゃあ」
「さて、しつこいようだがもう一度聞く。俺と来い。来れば、お前も上位の存在、天使になれる、と言われたらどうする?魅力的ではないか?」
「つまらんな。残念だが、不死にゃあ興味はないね。それに、そんなメルヘンな姿になっちゃたら妹達に笑われるからな」
「そうか。なら気持ちよく跡形も無く消してやる」
ウラノスが翼をひろげると眩い光とともに羽が四方に散る。その一枚一枚は眩い光を帯びていた。
「貴様ら諸共、ここら一帯を吹き飛ばしてもいいが、それでは少し味気ないからな。まずは貴様だけを消すとしよう」
「はっは、まずいな・・」
「兄さん!!」
糸音が志貴の元へと行こうとしたが動けなかった。いや、正確には閉じ込められていた。
「なんだ!?これは!」
糸音達の周りにはいつのまにか空気の壁が張られていた。
「糸音!!!そこから出るな!!」
志貴は地上にいる糸音へと叫ぶ。
「まぁ、出れないけどな・・・あとは頼んだぞ」
「流石の貴様も、諦めたか」
「ただ諦めたんじゃないけどねー、最後にとっておきをお見舞いしてやるよ」
「志貴、俺たちのこの異能、お前はどう見る?」
兄は唐突にそんなことを聞いてきた。この時、何故そんなことを聞いてきたのかは今でもわからない。
「どうって言われてもな。不思議な力だとしか言いようがないね。最も、その力の根源には興味があるけどね」
「この力の根源、玉のことか。一体誰がどうやって。何の為に作ったのか。いいや、これはもしかすると人外の者により産み落とされたモノなのかもしれない。一見美しく見えるが、俺にはそれよりも禍々しいモノにも見える」
兄は手に持っていた薄く虹色に輝く小さな玉を見つめながら言う。
「そうだな、人外というと神様とかか?はっは、本当にいるなら願いを叶えてくれるかもな」
「神、いや、あるいは悪魔か天使か。いずれにしてもこの力は危険だ。俺たちが管理しなくてはならないな。もし悪の手に落ちれば大変なことになるのは明白。この力は世界を変える。実際、俺たちの先代はそれをやろうとした」
「だね」
「まぁ、天使にはいずれ会うつもりだから。その時にでも聞くとしようか」
「そうだな・・・・え?はぁ?大丈夫か兄さん?今、軽く聞き流すところだったけど、まさか本当にいるとか言わないよな?」
「いるさ。実際に会ったからな」
驚いた。兄さんも冗談を言うのかと。この時、兄は何かを懐かしむ様に遠い目をしていた。
「はっは!冗談だろ?いつだよ?」
「随分、昔にな」
「ふうーん、まぁ本当にいるって言うなら会ってみてぇな、死ぬまでにはな」
二
「って言ってたっけかな、僕は」
地上を照らす、上空にいる天使ウラノスを見上げ昔、兄とのやりとりを思い出しながら呟く。
「本当はこの世界でこの力を使うのは避けたかったんだが。まぁ時間を掛けなければ問題なかろう」
志貴はウラノスがいる上空へと一気に浮上し、目の前で対峙する。
「へぇ、驚いたな。その羽、本物か?」
「ふん、貴様の目には一体何に見えるんだ?」
「はぁ、本物の天使様か。随分メルヘンになったなぁ」
「貴様のその感じ、先ほどは驚いてはいたが今はえらく堂々としている。会ったことがあるのか天使に?」
「いいや、会ってはいない。ただ聞いただけだ」
「聞いたか・・たしかにこの世界にはまがい物だらけの伝承ばかりだ。まさかそれを鵜呑みにしているわけでもなさそうだが」
「伝承ね。たしかに馬鹿げた話だらけだ。俺が聞いた話は本物の天使の話だよ。というより今、本当にいたんだと確信に至ったよ」
「一体誰に聞いたんだ?まぁ、言われても知らんだろうが」
「だろうね。まぁ、うちの兄からの話さ。兄は昔、天使に会ったことがあるとか言ってたよ。兄はくだらない嘘はつかないから、そん時は驚いたよ。まさかそんなことを言うなんてな。まぁ半信半疑が今、真実になった、それだけの話さ」
「随分、博識な兄だな。その兄とやらから色々話を聞いてみたいものだ」
「もういないよ」
「そうか、残念だ」
「ところでさぁ、なんで生きてんだ?完全に肉塊にしたはずなんだけど」
「見ての通り蘇っただけだ。天使に死はない、最も例外も存在するが、万に一つとしてこの場で俺が殺されることなどないだろう」
「そうかぁ・・企画外、詰みだなこりゃあ」
「さて、しつこいようだがもう一度聞く。俺と来い。来れば、お前も上位の存在、天使になれる、と言われたらどうする?魅力的ではないか?」
「つまらんな。残念だが、不死にゃあ興味はないね。それに、そんなメルヘンな姿になっちゃたら妹達に笑われるからな」
「そうか。なら気持ちよく跡形も無く消してやる」
ウラノスが翼をひろげると眩い光とともに羽が四方に散る。その一枚一枚は眩い光を帯びていた。
「貴様ら諸共、ここら一帯を吹き飛ばしてもいいが、それでは少し味気ないからな。まずは貴様だけを消すとしよう」
「はっは、まずいな・・」
「兄さん!!」
糸音が志貴の元へと行こうとしたが動けなかった。いや、正確には閉じ込められていた。
「なんだ!?これは!」
糸音達の周りにはいつのまにか空気の壁が張られていた。
「糸音!!!そこから出るな!!」
志貴は地上にいる糸音へと叫ぶ。
「まぁ、出れないけどな・・・あとは頼んだぞ」
「流石の貴様も、諦めたか」
「ただ諦めたんじゃないけどねー、最後にとっておきをお見舞いしてやるよ」
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