天使ノ探求者

はなり

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第七章 天使転輪

第173話 森の中で(三)

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「何故、絶対に来ないと言い切れる?」
 
「それは、ここがアジトだからだ」
 
「本当の?」
 
「あぁ。お前達からの襲撃はすでにわかっていた。だから、こちらで先に策を講じていたのだ」
 
「待て!何故俺たちがこの日に来るとわかっていた?」
 
「仲間に記憶を操作できる者がいてな。お前達の仲間の一人の記憶を少し変えさせてもらった。は我々の仲間だと思い込んでいる。だから、お前達の動きは手に取るようにわかった」
 
(ここへ来てから妙に用意が周到だと思ったが、やはり仲間の誰かが裏切ったということか)
 
「一つ言っておくが。そいつを責めてやるな。こちらが記憶を変えただけだからな。最初からこちら側であったということではない。記憶を改変したのは、つい先日の話だからな。全く間抜けな奴だ。のこのこアジトへやってきて捕まったのだからな。まぁ、何かショックを与えれば元に戻ると思うぞ」
 
「ふざけたことを、、、一体そいつは誰だ!?」
 
「ふむ、ここで教えてもいいが。それだと面白くないな。そうだな、お前が我々の仲間になるなら教えてやるぞ」
 
「誰がなるかよ」
 
「それは残念だ」
 
(こいつの言っていることが本当なら、早く皆んなと合流しないと)
 
「さっきも言ったが誰もここへは来ない。それに私からは逃げることもできん」
 
宗谷はまるで真宵の心でも読んでいたかのようにそう答えた。

「そういえば。さっきも言っていたが誰も来ないと何故言える?それにここが本当のお前らのアジトっていうのはどう言う意味だ?」
 
「言葉の通りだ。お前達が四方から来ることはわかっていたから、この島の各海岸線に空間移動の異能を仕掛けておいたんだ。侵入すれば別の空間へと飛ぶようにな」
 
「ふん、そんな大掛かりな仕掛けに先生達が気づかないと?」
 
「実際気づいてなかっただろ。なんせ、その異能力者は優秀だからな。そいつの能力は空間を生み出して、そこへ閉じ込めることができる力だ。そして、その空間から出るには術者を殺すか、解除させるかの二択しかない。生憎そいつは現在、私の手から離れているから、今はどこにいるのかもわからないな。まぁ、これは全部私の計画ではないがな」
 
(もし、それが本当なら。まずいな、、世界のバランスの危機だ)
 
「私の知る限りの強者は皆、この世に居なくなったということになる。今後の世界を見るのもまた一興だが、私は行く場所があるので生憎そうもいかないものでな」
 
「どこへ行くんだよ」
 
「そうだな、その前に一つ問おう、お前は神を信じるか?」
 
「はっはっ、いきなりなんだ?信仰でもしようって言うのか?」
 
「まぁ、そういう反応になるだろうな。しかし、本当にいるんだよ、それがな」
 
「ふん、バカバカしい。話はもういいか?お前が何をするのかには興味はあるが。今はなんであろうとそれを止めるのが俺たちの役目だ」
 
「役目か。それこそくだらんな、いや無駄というべきか。この私を止めようとも、もう遅い。もうじきが目覚める。そしたら私はこの世を去る」
 
「なんだ?死ぬのか?」
 
「いいや、この世界からということだ」
 
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