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第七章 天使転輪
第160話 弱さと罪
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静かに見つめ合う時間がゆっくりと流れる。そして交わす言葉もなく二人は動きだした。互いにゆっくりと歩み寄る。そして、互いの拳が当たる間合いへと近づいて時が数秒止まり、同時に動きだす。互いの拳が顔に当たる。そしてすぐさま二撃目を突く。そしてまた次の一手を与える。避けるという作業を体力的にみて、両者の意見が一緒になった結果だった。そう、これは互いが互いの攻撃を避けることはしない戦い方、要はシンプルな殴り合い。しかし、それも連続では続かずルミの一撃でメイは膝をつく。
「ぺっ!!そんなもんか!!そんなんで終われるかよ!」
ドカッ!
ルミは口の中にある血を吐き出してメイを煽っては、また一発入れる。その度にメイは倒れたがすぐに立ち上がり反撃の一撃を突く。
「まだまだじゃ!」
ドカッ!
両者一歩も退かず、互いの拳で殴り合う。ゆっくりと互いの体力が削られていく。
「お前は!ルナを殺した!私はそれが許せない!どうなっても、、どうやっても、、許せない!!」
「わかっとるわ!でもな!あの時はな、あぁするしかなか他になかったんや!その後、自分の無力さに後悔したわ!!それで今度お前に会った時、どう声かけていいか考えとったけど!うちはやっぱりアホからや何も思いつかんかった!!お前の気持ちも復讐もわかる!うちもお前の立場ならそうしていた!」
「なら!何故殺されない!!私はお前の死を望んでいた!」
ルミはメイに近づいて一発拳を入れる。倒れそうになったメイの胸ぐらを掴むと再び二撃目、三撃目、四撃目を入れる。ゆっくりだが想いがのった拳はメイには本当に重く感じた。その一発一発がメイへと叩きつけられる。そして、五撃目でようやくルミの拳を止めるとメイはルミを思いっきり殴った。そして、今度はメイがルミの胸ぐらを掴み一発入れる。
「たしかに!うちがあの時、撃ってなかったらルナは生きていたかもしれない!でも、あの時ルナに言われて撃ったんや、そしたらこないな結果になって後悔した。そして自分の無力さを痛感したわ!」
「そんなのはいいわけだ!あの時お前が撃ってなかったらルナは死ななかった!」
ルミは掴まれたままメイへ頭突きをする。
「くっ!、、、ならお前はそれで、世界が滅んでもええ言うんか!」
「妹のいない世界なんて滅んでもいい!」
「そんなんルナは思ってないやろ!ルナはお前を、、お前を守るために死んだんやぞ!!」
今度はメイがルミへ頭突きをする。
「くっ!、、、なんだと、、、」
メイは掴んでいた胸ぐらを離す。ルミはそのまま少し後ろへとよろけて膝をつく。
「正確には、この世界を守るためやけどな。あのままだと世界はルナの異能によって滅んでいたかもしれへんかったんや!」
「なんで、、、そんな、、そんなこと」
「なんや?そんなことないってか?それがあるんや!!異能の暴走は下手すりゃ世界を滅ぼせるんや!特にルナみたいなタイプの異能はなぁ、それ一つで世界が一つ滅ぶ危険があったんや!そんな危険なもん背負って、覚悟決めて死んだルナは男前やでほんま、、、」
「なんだよ、、それ、、、それじゃあルナは生まれてきたことが世界にとっての悪やったってことなんか、、、」
「何言うてんねん!!そんなこと絶っっっっっったいないわ!!生まれてきたあかん人なんておらんわ!!あれはな誰も悪くないんや、、誰もな、、」
メイは少しだけ悲しい表情を見せながらそう言った。
「もう、いいよ、、ルナ、、今行くよ、、」
「!?」
ルミは懐からナイフを取り出すと自身の喉へと刺そうとした。しかし、ギリギリのところでメイがその手を掴む。
「アホか!!」
メイはルミからナイフを奪い投げ捨てる。そして、ルミの頬を打った。
「ほんまにアホやな!!自暴自棄になるんもええ加減にせぇや!お前が死んでルナが喜ぶんか?ルナは最後にお前に言ってたんや!私が死んでもルミ姉さんは生きてほしい、だから約束は破棄するって言ってたんや!!」
「なんだよそれ、、そんなの、、ちくしょう、、」
ルミはそのまま横たわり腕で顔を隠して静かに泣いた。
「ルミ、お前はうちを許さんやろう。でも、それでもいい。これはうちが言うべきやろうから言うけどな。お前の、ルナを守れなかった弱さが罪と言うなら、うちもあの場をああいう方法でしか解決できなかった弱さが罪や。その罪を背負ってお互いに生きて行こうや。ルナはうちが殺したも同然や、うちはこの罪を背負っていく。だからルミ、お前はルナの分まで生きてくれや」
ルミは静かに泣き続けた。そして最後に一言だけ言って再び泣き続けた。
「ルナ、、、ごめんよ、、、」
「ぺっ!!そんなもんか!!そんなんで終われるかよ!」
ドカッ!
ルミは口の中にある血を吐き出してメイを煽っては、また一発入れる。その度にメイは倒れたがすぐに立ち上がり反撃の一撃を突く。
「まだまだじゃ!」
ドカッ!
両者一歩も退かず、互いの拳で殴り合う。ゆっくりと互いの体力が削られていく。
「お前は!ルナを殺した!私はそれが許せない!どうなっても、、どうやっても、、許せない!!」
「わかっとるわ!でもな!あの時はな、あぁするしかなか他になかったんや!その後、自分の無力さに後悔したわ!!それで今度お前に会った時、どう声かけていいか考えとったけど!うちはやっぱりアホからや何も思いつかんかった!!お前の気持ちも復讐もわかる!うちもお前の立場ならそうしていた!」
「なら!何故殺されない!!私はお前の死を望んでいた!」
ルミはメイに近づいて一発拳を入れる。倒れそうになったメイの胸ぐらを掴むと再び二撃目、三撃目、四撃目を入れる。ゆっくりだが想いがのった拳はメイには本当に重く感じた。その一発一発がメイへと叩きつけられる。そして、五撃目でようやくルミの拳を止めるとメイはルミを思いっきり殴った。そして、今度はメイがルミの胸ぐらを掴み一発入れる。
「たしかに!うちがあの時、撃ってなかったらルナは生きていたかもしれない!でも、あの時ルナに言われて撃ったんや、そしたらこないな結果になって後悔した。そして自分の無力さを痛感したわ!」
「そんなのはいいわけだ!あの時お前が撃ってなかったらルナは死ななかった!」
ルミは掴まれたままメイへ頭突きをする。
「くっ!、、、ならお前はそれで、世界が滅んでもええ言うんか!」
「妹のいない世界なんて滅んでもいい!」
「そんなんルナは思ってないやろ!ルナはお前を、、お前を守るために死んだんやぞ!!」
今度はメイがルミへ頭突きをする。
「くっ!、、、なんだと、、、」
メイは掴んでいた胸ぐらを離す。ルミはそのまま少し後ろへとよろけて膝をつく。
「正確には、この世界を守るためやけどな。あのままだと世界はルナの異能によって滅んでいたかもしれへんかったんや!」
「なんで、、、そんな、、そんなこと」
「なんや?そんなことないってか?それがあるんや!!異能の暴走は下手すりゃ世界を滅ぼせるんや!特にルナみたいなタイプの異能はなぁ、それ一つで世界が一つ滅ぶ危険があったんや!そんな危険なもん背負って、覚悟決めて死んだルナは男前やでほんま、、、」
「なんだよ、、それ、、、それじゃあルナは生まれてきたことが世界にとっての悪やったってことなんか、、、」
「何言うてんねん!!そんなこと絶っっっっっったいないわ!!生まれてきたあかん人なんておらんわ!!あれはな誰も悪くないんや、、誰もな、、」
メイは少しだけ悲しい表情を見せながらそう言った。
「もう、いいよ、、ルナ、、今行くよ、、」
「!?」
ルミは懐からナイフを取り出すと自身の喉へと刺そうとした。しかし、ギリギリのところでメイがその手を掴む。
「アホか!!」
メイはルミからナイフを奪い投げ捨てる。そして、ルミの頬を打った。
「ほんまにアホやな!!自暴自棄になるんもええ加減にせぇや!お前が死んでルナが喜ぶんか?ルナは最後にお前に言ってたんや!私が死んでもルミ姉さんは生きてほしい、だから約束は破棄するって言ってたんや!!」
「なんだよそれ、、そんなの、、ちくしょう、、」
ルミはそのまま横たわり腕で顔を隠して静かに泣いた。
「ルミ、お前はうちを許さんやろう。でも、それでもいい。これはうちが言うべきやろうから言うけどな。お前の、ルナを守れなかった弱さが罪と言うなら、うちもあの場をああいう方法でしか解決できなかった弱さが罪や。その罪を背負ってお互いに生きて行こうや。ルナはうちが殺したも同然や、うちはこの罪を背負っていく。だからルミ、お前はルナの分まで生きてくれや」
ルミは静かに泣き続けた。そして最後に一言だけ言って再び泣き続けた。
「ルナ、、、ごめんよ、、、」
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