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第七章 天使転輪
第158話 罪の罰
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「ここはどこだ?」
ルミは顔を少し上げて辺りを見る。そこには何もなく、ただ一人ぽつんと座っていた。自分が弱いことを認めたルミは丸くなって、ただただ来る終わりを待っていた。
「そうだった。もう私はいないんだったけ。そりゃあ、そうだよね。たった一人の家族である妹を救えなかったんだ。それだけじゃない、約束も破って一人のうのうと生き残ってしまった。あぁ、あの時死ねなかったのは私の罪でこれが罰。それなら甘んじて受け入れるよ」
ルミは再び目を閉じた。すると夢の様なモノが始まる。それは妹との懐かしい日々、そうやって妹との記憶を繰り返す。それが今のルミにできる最大の償い。きっとそんなことは償いなどではないと言う人がいるだろう。しかし、ルミにとっては繰り返し思い出して、再び目を覚まして、妹がいない世界で自暴自棄になり、また目を閉じる。そうやって罪と罰を繰り返していた。最初のころは怯えて、涙を流して許しを乞うていた。だが、何回目の時からか忘れてしまったが、既に涙さえも流せない。ただただ、心に矢が刺さった悲痛な思いを誰にも言えずにただ自己で完結する。それを輪廻する。そうやって知らず知らずのうちに自身の精神が壊れていくの待つ。もしかしたらもう既に壊れているのかも知れないと。しかし、ルミにはもう考えることさえ放棄した。ただ自身の終わりを待つ。
「終わるまで何回でも受け入れるよ。これが私の罰だから」
そして決まって、目を閉じて見る夢の最後は妹からの罵声だった。もう何回も繰り返し、繰り返される。そして、目を開けて再び妹のいない世界で悲しみと後悔を味わう。
(もう何回目だろう、、わからない、、)
そう思っていたルミの耳に何か聞こえた気がした。
「ル、、、かぁ、、」
「なんだろう、、気のせいか、、でも聞いたことがある声だ、、」
その声を聞くと何故か不思議な気持ちになった。怒りとも違う、何かわからない。そして、また聞こえる。今度は割とはっきり聞こえた。
「ルミィ!!!目覚ませやぁぁ!!!ルカが!!!妹が見たらどう思うんじゃあ!!!」
その声を聞きルミは暗闇の中で立ち上がる。
「うるさいな、、」
「そうだよ、うるさいよね。お姉ちゃんは気にしなくていいよ」
目の前にぼやけた妹、ルナの姿が現れる。
「あぁ、気にしてないさ。ところでお前は誰だ?」
「何言ってるのお姉ちゃん。私だよルナだよ!あ!そっか、もうお姉ちゃんの心は死んでるから私のことすら忘れちゃったんだね」
「違うな。お前はルナなんかじゃない。ルカは死んだ」
目の前のルカの目つきが変わる。そして、少し声色を変えて言葉を放つ。
「へぇ、、それで?お前は罪から目を逸らして、罰から逃げるのか?」
「こんなのは罰でもなんでもない。私のただの独りよがりの偽善だ。こんなことが妹のためだとは思えない」
再びルナの幼い声に戻った。
「何それ?意味わかんない。さっきの声だけでそこまで変われる?普通」
「そうだな。だけど、アイツの声を聞いてムカついた。ただそれだけだ」
「ふざけるな!そうか、そうか、妹の私をおいてのうのうと現実を生きるんだね。一生許さないよ」
「もう」
「?」
ルミは顔をあげて目の前にいるルナに言い放つ。
「もう許してなんて言わない。私は一生それを背負って生きていく。それが本当の私の罰。だから、私は死ねない、例え妹との約束を違えたとしても」
「そんな勝手なこと許されないよ!姉さん!」
目の前にいるルナから黒い手が伸びてきてルミの体を掴む。
「はっは、姉さんのことが好き過ぎなところまで似せてくるのか。全くタチの悪い異能だ」
「なっ!何故わかる!?」
「当たり前だろ。私の異能なんだからわからないはずがないんだ。口調もバラバラで気持ちが悪い。私はルナの姉さんだぞ。それにルナはルミ姉さんって言うんだ。覚えとけ」
その瞬間、暗闇が晴れてルミの体が閃光に包まれた。
ルミは顔を少し上げて辺りを見る。そこには何もなく、ただ一人ぽつんと座っていた。自分が弱いことを認めたルミは丸くなって、ただただ来る終わりを待っていた。
「そうだった。もう私はいないんだったけ。そりゃあ、そうだよね。たった一人の家族である妹を救えなかったんだ。それだけじゃない、約束も破って一人のうのうと生き残ってしまった。あぁ、あの時死ねなかったのは私の罪でこれが罰。それなら甘んじて受け入れるよ」
ルミは再び目を閉じた。すると夢の様なモノが始まる。それは妹との懐かしい日々、そうやって妹との記憶を繰り返す。それが今のルミにできる最大の償い。きっとそんなことは償いなどではないと言う人がいるだろう。しかし、ルミにとっては繰り返し思い出して、再び目を覚まして、妹がいない世界で自暴自棄になり、また目を閉じる。そうやって罪と罰を繰り返していた。最初のころは怯えて、涙を流して許しを乞うていた。だが、何回目の時からか忘れてしまったが、既に涙さえも流せない。ただただ、心に矢が刺さった悲痛な思いを誰にも言えずにただ自己で完結する。それを輪廻する。そうやって知らず知らずのうちに自身の精神が壊れていくの待つ。もしかしたらもう既に壊れているのかも知れないと。しかし、ルミにはもう考えることさえ放棄した。ただ自身の終わりを待つ。
「終わるまで何回でも受け入れるよ。これが私の罰だから」
そして決まって、目を閉じて見る夢の最後は妹からの罵声だった。もう何回も繰り返し、繰り返される。そして、目を開けて再び妹のいない世界で悲しみと後悔を味わう。
(もう何回目だろう、、わからない、、)
そう思っていたルミの耳に何か聞こえた気がした。
「ル、、、かぁ、、」
「なんだろう、、気のせいか、、でも聞いたことがある声だ、、」
その声を聞くと何故か不思議な気持ちになった。怒りとも違う、何かわからない。そして、また聞こえる。今度は割とはっきり聞こえた。
「ルミィ!!!目覚ませやぁぁ!!!ルカが!!!妹が見たらどう思うんじゃあ!!!」
その声を聞きルミは暗闇の中で立ち上がる。
「うるさいな、、」
「そうだよ、うるさいよね。お姉ちゃんは気にしなくていいよ」
目の前にぼやけた妹、ルナの姿が現れる。
「あぁ、気にしてないさ。ところでお前は誰だ?」
「何言ってるのお姉ちゃん。私だよルナだよ!あ!そっか、もうお姉ちゃんの心は死んでるから私のことすら忘れちゃったんだね」
「違うな。お前はルナなんかじゃない。ルカは死んだ」
目の前のルカの目つきが変わる。そして、少し声色を変えて言葉を放つ。
「へぇ、、それで?お前は罪から目を逸らして、罰から逃げるのか?」
「こんなのは罰でもなんでもない。私のただの独りよがりの偽善だ。こんなことが妹のためだとは思えない」
再びルナの幼い声に戻った。
「何それ?意味わかんない。さっきの声だけでそこまで変われる?普通」
「そうだな。だけど、アイツの声を聞いてムカついた。ただそれだけだ」
「ふざけるな!そうか、そうか、妹の私をおいてのうのうと現実を生きるんだね。一生許さないよ」
「もう」
「?」
ルミは顔をあげて目の前にいるルナに言い放つ。
「もう許してなんて言わない。私は一生それを背負って生きていく。それが本当の私の罰。だから、私は死ねない、例え妹との約束を違えたとしても」
「そんな勝手なこと許されないよ!姉さん!」
目の前にいるルナから黒い手が伸びてきてルミの体を掴む。
「はっは、姉さんのことが好き過ぎなところまで似せてくるのか。全くタチの悪い異能だ」
「なっ!何故わかる!?」
「当たり前だろ。私の異能なんだからわからないはずがないんだ。口調もバラバラで気持ちが悪い。私はルナの姉さんだぞ。それにルナはルミ姉さんって言うんだ。覚えとけ」
その瞬間、暗闇が晴れてルミの体が閃光に包まれた。
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