天使ノ探求者

はなり

文字の大きさ
上 下
158 / 199
第七章 天使転輪

第157話 異能暴走

しおりを挟む
「異能の暴走、、、」
 
メイはその言葉を聞いた途端、真剣な顔つきになる。それもそのはず、それはメイにとっても心当たりのあることだったからだ。
 
「異能力者が全員、私達みたいにしっかりとコントロールできるわけではありませんわ。むしろ、異能を発現したての頃なんてあまり上手くコントロールができませんでしたし。ただ単にコントロールできないのであれば鍛錬すれば数日で日常生活を送る上で問題なく能力をコントロールできますわ。しかしそうじゃなく、あくまでこれは私の推測ですが。先日のルカさんの件や私が知っている情報を元に考えると異能には意思の様なモノがあると私は思っていますの」
 
「そんな、、力に意思なんて、、」
 
そう言うメイには心当たりは合った。あの時のルカがまさしく異能に操られている風だったことを思い出す。
 
「そう考えた時、何が原因で暴走するのか。おそらく異能の力は精神に大きく作用されると思われますの。実際に、あの時のルカさんや私が今まで見てきました異能力者の暴走は自己の精神的不安によるモノで起こり得ることだと考えられます」
 
「たしかにあの時、ルカの様子はおかしかった。じゃあ、そうなった時、やっぱり、、あん時みたいにしないといけないってことなんか、、」
 
「あの時は力の核が表へ出てきていましたが、あんなのは稀でしょう」
 
「じゃあ、どうすれば、、」
 
「言ったでしょう。異能は精神に起因すると。ならば正常に戻せばいいのですわ。まぁ、とは言ってもそれほど簡単な話ではないのですが」
 
「なるほど。じゃあ、もし次に誰かが異能を暴走させたら、声をかければええんやな」
 
「声が届くのかはわかりませんが。やってみる価値はあるでしょう。それに解決策は今のところそれしかないでしょう。もしくは最悪の場合、異能の核を壊してしまうか」
 
「待ってくれ。それって大丈夫なんか?」
 
「いいえ。さっきも言いましたが異能は精神に起因する。ならばその逆も言えますわ。つまり核を壊せば、最悪の場合、その人間は廃人になりますわね」
 
「そんなのダメや!」
 
「ならば方法は一つですわね。ですが覚えておきなさいメイ、人生にはここぞって時に心を鬼にして決めなければならない選択を迫られるもあると言うことを」

メイは涼香との会話を思い出して、目の前で正気を失って、今にも飛びついてきそうなルミを見る。
 
「涼香が言っていた、その時っていうのが今かもしれんな」

メイは大きく息を吸い込むと大声でルミへと呼びかける。
 
「ルミィ!!!うちがなんとかしたるさかい!任せときやぁ!!!!」
 
「うがぁぁぁぁ!!」
 
次の瞬間、ルミは雄叫びにも似たような声をあげて襲いかかってきた。メイはかろうじて攻撃を避けながら後ろへと下がる。
ルミは何故か一旦動きを止めて、再びこちらを警戒していた。
 
(なんか止まったな、、もしかしたら、ルミの自我が出てきたのかもしれんな。せやけどまずいな、体力がもうもたへん。それにもう電力切れやし、、)
 
「ええい!根性やぁ!!」
 
メイは自分の頬を叩くとルミへと駆け出した。そして、少し遅れてルミもメイへと駆け出す。ルミの鋭い爪がメイの体へと食い込む。
 
「ぐっ!!痛っいなぁ、、、ルミィィィ!!!!お前はこんなことでええかぁ!!!」
 
メイはルミの心へ届く様に叫びながら、ルミの手を掴んで頭突きをかました。それが効いたのか、ルミは悲痛な顔で後ろへと下がった。
 
「くっ、、そ、、はぁ、、はぁ、、」
 
(まじか、、意識が朦朧としてきたな、、せやけど、今のうちができることと言えば、、)
 
ルミの鋭い爪が食い込んだところから、ドバドバと血が流れ出てきて、メイはたまらず膝をつき、項垂れる。メイは最後の力を振り絞る勢いでルミへと呼びかける。
 
「ルイィィ!!目覚ませやぁぁぁぁ!!!!ルカが!!妹が見たらどう思うんじゃあ!!!!!!」
 
メイはそのまま倒れ込んでしまった。
 
(あかん、、、死ぬのか、、今度こそ、、)
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

裏切りの扉  非公開にしていましたが再upしました。11/4

設樂理沙
ライト文芸
非の打ち所の無い素敵な夫を持つ、魅力的な女性(おんな)萌枝 が夫の不始末に遭遇した時、彼女を襲ったものは? 心のままに……潔く、クールに歩んでゆく彼女の心と身体は どこに行き着くのだろう。 2018年頃書いた作品になります。 ❦イラストはPIXTA様内、ILLUSTRATION STORE様 有償素材 2024.9.20~11.3……一度非公開  11/4公開

桜の華 ― *艶やかに舞う* ―

設樂理沙
ライト文芸
水野俊と滝谷桃は社内恋愛で結婚。順風満帆なふたりの結婚生活が 桃の学生時代の友人、淡井恵子の出現で脅かされることになる。 学生時代に恋人に手酷く振られるという経験をした恵子は、友だちの 幸せが妬ましく許せないのだった。恵子は分かっていなかった。 お天道様はちゃんと見てらっしゃる、ということを。人を不幸にして 自分だけが幸せになれるとでも? そう、そのような痛いことを 仕出かしていても、恵子は幸せになれると思っていたのだった。 異動でやってきた新井賢一に好意を持つ恵子……の気持ちは はたして―――彼に届くのだろうか? そしてそんな恵子の様子を密かに、見ている2つの目があった。 夫の俊の裏切りで激しく心を傷付けられた妻の桃が、 夫を許せる日は来るのだろうか? ――――――――――――――――――――――― 2024.6.1~2024.6.5 ぽわんとどんなstoryにしようか、イメージ(30000字くらい)。 執筆開始 2024.6.7~2024.10.5 78400字 番外編2つ ❦イラストは、AI生成画像自作

今日は僕の命日

あやめ_綾眼
ファンタジー
孤独なティネスは行く先で、夢を追う少女と出会う。 しかし2人を取り巻く環境は刻々と変化を続けていく。 精巧な活字による感情表現に力を入れています。よかったら読んでいって下さい。

いつだって二番目。こんな自分とさよならします!

椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。 ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。 ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。 嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。  そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!? 小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。 いつも第一王女の姉が優先される日々。 そして、待ち受ける死。 ――この運命、私は変えられるの? ※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

満天の星空に願いを。

黒蝶
ライト文芸
色々な都合で昼間高校ではなく、別の形で高校卒業を目指していく人たちがいる。 たとえば... とある事情で学校を辞めた弥生。 幼い頃から病弱で進学を諦めていた葉月。 これは、そんな2人を主にした通信制高校に通学する人々の日常の物語。 ※物語に対する誹謗中傷はやめてください。 ※前日譚・本篇を更新しつつ、最後の方にちょこっと設定資料を作っておこうと思います。 ※作者の体験も入れつつ書いていこうと思います。

北野坂パレット

うにおいくら
ライト文芸
 舞台は神戸・異人館の街北野町。この物語はほっこり仕様になっております。 青春の真っただ中の子供達と青春の残像の中でうごめいている大人たちの物語です。 『高校生になった記念にどうだ?』という酒豪の母・雪乃の訳のわからん理由によって、両親の離婚により生き別れになっていた父・一平に生まれて初めて会う事になったピアノ好きの高校生亮平。   気が付いたら高校生になっていた……というような何も考えずにのほほんと生きてきた亮平が、父親やその周りの大人たちに感化されて成長していく物語。  ある日父親が若い頃は『ピアニストを目指していた』という事を知った亮平は『何故その夢を父親が諦めたのか?』という理由を知ろうとする。  それは亮平にも係わる藤崎家の因縁が原因だった。 それを知った亮平は自らもピアニストを目指すことを決意するが、流石に16年間も無駄飯を食ってきた高校生だけあって考えがヌルイ。脇がアマイ。なかなか前に進めない。   幼馴染の冴子や宏美などに振り回されながら、自分の道を模索する高校生活が始まる。 ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・オーケストラそしてスコッチウィスキーや酒がやたらと出てくる小説でもある。主人公がヌルイだけあってなかなか音楽の話までたどり着けないが、8話あたりからそれなりに出てくる模様。若干ファンタージ要素もある模様だが、だからと言って異世界に転生したりすることは間違ってもないと思われる。

【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します!

夕姫
ライト文芸
Vtuber事務所『Fmすたーらいぶ』の1期生として活動する、清楚担当Vtuber『姫宮ましろ』。そんな彼女にはある秘密がある。それは中の人が男ということ……。 そんな『姫宮ましろ』の中の人こと、主人公の神崎颯太は『Fmすたーらいぶ』のマネージャーである姉の神崎桃を助けるためにVtuberとして活動していた。 同じ事務所のライバーとはほとんど絡まない、連絡も必要最低限。そんな生活を2年続けていたある日。事務所の不手際で半年前にデビューした3期生のVtuber『双葉かのん』こと鈴町彩芽に正体が知られて…… この物語は正体を隠しながら『姫宮ましろ』として活動する主人公とガチで陰キャでコミュ障な後輩ちゃんのVtuberお仕事ラブコメディ ※2人の恋愛模様は中学生並みにゆっくりです。温かく見守ってください ※配信パートは在籍ライバーが織り成す感動あり、涙あり、笑いありw箱推しリスナーの気分で読んでください AIイラストで作ったFA(ファンアート) ⬇️ https://www.alphapolis.co.jp/novel/187178688/738771100 も不定期更新中。こちらも応援よろしくです

処理中です...