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第七章 天使転輪
第139話 1人じゃない
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一
「おいおい、キリがねぇな!てか、その異能マジでうざいぜ!」
「面白いでしょう」
槍士はイナフの使う異能に苦戦していた。
(物を投げたところでそれはすぐに移動させられてしまうし。試しに接近戦で拳を叩き込んでは見たものの、それは拳が当たる寸前でワープさせられて自分へと帰ってくるし)
「本当に厄介だ」
「さて、降参しますか?もっともあなた達は殺さないといけないんで、誰1人として逃しませんよ」
「そうかい。じゃあちょっと、上げていきますか!」
「何を見せてくれるのですかね?」
槍士は槍を構えて低い姿勢で足に力を入れると駆け出す体制をとる。
「穿つぜ」
次の瞬間、槍士の姿が消えた。
(さっきまでとはまるで動きが違う!?やつは、、どこへ行った!)
イナフは警戒を強める。そして槍士はイナフの頭上に現れて、凄まじい速さで槍を突いた。イナフはそれをかろうじて避けたが、槍の衝撃で辺りに砂埃が舞う。
「これが狙いですか!まだまだ甘いですね!」
イナフは自身の周りに無数のワープホールを作り出す。
「君の槍はどうしたって私には届かないんですよ!」
「いいや、届くぜ」
「!?」
さっきまで真上にいた槍士はいつの間にかイナフの真下にいた。そして、先ほどと同じ体制をとって今度は至近距離で槍を構える。
「捩れ、穿つ」
二
「お前の槍は槍ではないんだって知ってるか?」
「何だよいきなり」
朝霜邸にて連日連夜激しい喧嘩をしていた蘇匁亜と槍士は互いに体力が尽きて地面に横になっていた。
「俺たち朝霜家は憑依術が全てではない。その特殊な武具を扱うのもまた朝霜家の特権だ。憑依から得たもので戦い、そして積み重ねるのが朝霜家だ。まぁお前にはわからんか」
「おいおい、馬鹿にすんじゃねぇよ。まぁ、、、言ってることはわかる。それで、俺の槍はただの槍ではない事は知っている、だけどそれがどうしたんだ?」
「知っていてもわかってなければ意味がない」
「どういうことだよ?」
「擲槍にでも聞いて見るんだな」
「なんだよ、、、」
蘇匁亜は立ち上がってその場を去っていった。そして再び横になり槍士は目を閉じる。
(なぁ、擲槍。どう言う事だ?)
(何がだ?)
(おい!聞いていただろ兄貴との会話)
(あぁ、相変わらずくだらん会話だ。それで槍の使い方についてだったか?)
(まぁ、そんなところだ。何かこう、、アドバイスみたいなのでもいいから言ってくれ!)
(面倒なやつだ。そうだな、、、強いて言うなら自由であれ、だな)
(なんだよ、それ。全然わかんねぇよ)
(習うより慣れろだ。実践でもなんでもいいからどんなものでも試してみろ。わかったらさっさと兄貴と喧嘩でもしてこい)
槍士は目を開けて飛び起きた。そして、彼方の方に見える蘇匁亜に向かって、槍を構えると姿勢を低くして駆け出す準備をする。
「色々試すか、、、」
三
槍士はイナフの真正面下から槍を突いた。そして槍は一定の間隔を開けて鎖で繋がれて分裂する。それはワープからワープへと数珠繋ぎのようになった。凄まじい速さでワープホールをくぐり抜ける。
「面白い!だが意味がないことですよそれは!ワープはどこまでも続きます!それでどうやって私に攻撃を当てるんですか?」
「俺の槍も永遠に伸びるんだぜ!」
やがてイナフの周りには鎖がワープホール越しに取り囲んでいた。
「捕らえた!」
「なっ!?」
槍士は持っていた槍の柄を引っ張るとイナフはワープホールごと縛り上げられ、バランスを崩して倒れる。
「だが攻撃は当たりませんよ」
「それはどうかな」
槍士はイナフの顔に凄まじい速さで拳を叩き込む。しかし、それはイナフの顔には当たらず拳はイナフがギリギリで展開したワープホールに入って、槍士は横から自分の拳をくらった。
「なっ、、に!?」
槍士が自分の拳をくらったが、それと同時に槍の切先が一人でにイナフの心臓を穿った。
「すまねぇな、俺は1人じゃねぇんだわ」
「ば、かな、、武具が意思を持つもの、、な、のか?」
「あぁ、扱いづらいがな」
「なるほ、どな、、、」
イナフは息絶えた。イナフの上からゆっくりと立ち上がり槍を元に戻す。
「悪くはなかったぜ。だが、ちっと、疲れたな」
槍士は自分の手に持っていた槍を見る。
「ありがとな」
(、、、、、、)
槍の主は反応しなかった。
「なぁ、なんでここ最近答えてくれないんだ、、、、」
「おいおい、キリがねぇな!てか、その異能マジでうざいぜ!」
「面白いでしょう」
槍士はイナフの使う異能に苦戦していた。
(物を投げたところでそれはすぐに移動させられてしまうし。試しに接近戦で拳を叩き込んでは見たものの、それは拳が当たる寸前でワープさせられて自分へと帰ってくるし)
「本当に厄介だ」
「さて、降参しますか?もっともあなた達は殺さないといけないんで、誰1人として逃しませんよ」
「そうかい。じゃあちょっと、上げていきますか!」
「何を見せてくれるのですかね?」
槍士は槍を構えて低い姿勢で足に力を入れると駆け出す体制をとる。
「穿つぜ」
次の瞬間、槍士の姿が消えた。
(さっきまでとはまるで動きが違う!?やつは、、どこへ行った!)
イナフは警戒を強める。そして槍士はイナフの頭上に現れて、凄まじい速さで槍を突いた。イナフはそれをかろうじて避けたが、槍の衝撃で辺りに砂埃が舞う。
「これが狙いですか!まだまだ甘いですね!」
イナフは自身の周りに無数のワープホールを作り出す。
「君の槍はどうしたって私には届かないんですよ!」
「いいや、届くぜ」
「!?」
さっきまで真上にいた槍士はいつの間にかイナフの真下にいた。そして、先ほどと同じ体制をとって今度は至近距離で槍を構える。
「捩れ、穿つ」
二
「お前の槍は槍ではないんだって知ってるか?」
「何だよいきなり」
朝霜邸にて連日連夜激しい喧嘩をしていた蘇匁亜と槍士は互いに体力が尽きて地面に横になっていた。
「俺たち朝霜家は憑依術が全てではない。その特殊な武具を扱うのもまた朝霜家の特権だ。憑依から得たもので戦い、そして積み重ねるのが朝霜家だ。まぁお前にはわからんか」
「おいおい、馬鹿にすんじゃねぇよ。まぁ、、、言ってることはわかる。それで、俺の槍はただの槍ではない事は知っている、だけどそれがどうしたんだ?」
「知っていてもわかってなければ意味がない」
「どういうことだよ?」
「擲槍にでも聞いて見るんだな」
「なんだよ、、、」
蘇匁亜は立ち上がってその場を去っていった。そして再び横になり槍士は目を閉じる。
(なぁ、擲槍。どう言う事だ?)
(何がだ?)
(おい!聞いていただろ兄貴との会話)
(あぁ、相変わらずくだらん会話だ。それで槍の使い方についてだったか?)
(まぁ、そんなところだ。何かこう、、アドバイスみたいなのでもいいから言ってくれ!)
(面倒なやつだ。そうだな、、、強いて言うなら自由であれ、だな)
(なんだよ、それ。全然わかんねぇよ)
(習うより慣れろだ。実践でもなんでもいいからどんなものでも試してみろ。わかったらさっさと兄貴と喧嘩でもしてこい)
槍士は目を開けて飛び起きた。そして、彼方の方に見える蘇匁亜に向かって、槍を構えると姿勢を低くして駆け出す準備をする。
「色々試すか、、、」
三
槍士はイナフの真正面下から槍を突いた。そして槍は一定の間隔を開けて鎖で繋がれて分裂する。それはワープからワープへと数珠繋ぎのようになった。凄まじい速さでワープホールをくぐり抜ける。
「面白い!だが意味がないことですよそれは!ワープはどこまでも続きます!それでどうやって私に攻撃を当てるんですか?」
「俺の槍も永遠に伸びるんだぜ!」
やがてイナフの周りには鎖がワープホール越しに取り囲んでいた。
「捕らえた!」
「なっ!?」
槍士は持っていた槍の柄を引っ張るとイナフはワープホールごと縛り上げられ、バランスを崩して倒れる。
「だが攻撃は当たりませんよ」
「それはどうかな」
槍士はイナフの顔に凄まじい速さで拳を叩き込む。しかし、それはイナフの顔には当たらず拳はイナフがギリギリで展開したワープホールに入って、槍士は横から自分の拳をくらった。
「なっ、、に!?」
槍士が自分の拳をくらったが、それと同時に槍の切先が一人でにイナフの心臓を穿った。
「すまねぇな、俺は1人じゃねぇんだわ」
「ば、かな、、武具が意思を持つもの、、な、のか?」
「あぁ、扱いづらいがな」
「なるほ、どな、、、」
イナフは息絶えた。イナフの上からゆっくりと立ち上がり槍を元に戻す。
「悪くはなかったぜ。だが、ちっと、疲れたな」
槍士は自分の手に持っていた槍を見る。
「ありがとな」
(、、、、、、)
槍の主は反応しなかった。
「なぁ、なんでここ最近答えてくれないんだ、、、、」
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