天使ノ探求者

はなり

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第六章 修羅夢語

第122話 激闘

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まだ日も完全に上っていない早朝に糸音は目を覚まして静かに家を出た。外には詩織とルクスリア、ジータが居た。ミナモは糸音との約束で早朝からすでに家にいなかった。
 
「いこう」
 
四人は椿が待つあの場所へと向かった。
 
「兄さん、もうじき全てが終わるよ。アイツを苦しめて。兄さんが苦しんだようにアイツを、、、」
 
一人だだ広い草原に座っていた椿は立ち上がり。こちらへ向かってきた糸音の方へと向いた。
 
「きたか」
 
「やっぱりここだったか」
 
「この場所は因縁の場所。この場所で兄さんはお前に殺された。そして今日、お前もここで仲間と共に死ね」
 
「もう一度聞く。もうやめよう椿」
 
「くどいぞ!私のこの憎悪は誰にも止められない!お前を殺してもきっと止まらんだろう。だからといってお前がのうのうと生きているのは許せない!」
 
「お前の気持ちはわかる。だが、ここで死ぬわけにはいかない」
 
「なんだ、兄さんの様に殺すのか?悪人はなんであれ殺すのがお前の正義だと聞いたが、なら人を殺した私はなんであれ悪人か?」
 
「殺したのか?」
 
「少し前にな」
 
「そうか。だけどお前は殺さないよ。私はもう殺し屋ではないから」
 
椿はいきなり糸音に向かっていき和刀で斬りかかってきてそれを糸音は針剣で受け止める。
 
「お前のその態度が昔から気に入らなかったんだ。何もかもを見透かした様なその態度に!」
 
「私はこういう人間だ」
 
椿は次から次へと重たい連撃を繰り出す。
 
(重たい、、これが椿の恨みか、、)
 
「始まったな」
 
離れたところでルクスリア達三人はその様子を見ていた。
 
「まぁ、私らは静かに見てるしかないけどねー」
 
「糸音さん」
 
糸音は椿の連撃を全て受け止めると隙を見て椿に斬り込む。
 
「!?」
 
しかし椿はそれを避ける気配がなかった。だから糸音は針剣を既のところで止めた。
 
「なにしてる、夕凪糸音!」
 
椿は糸音を思いっきり殴り飛ばした。糸音は吹っ飛んでいき、それを追うように椿が和刀を投げる。糸音はすぐに体制を立て直し、放たれた和刀と共に向かってきた椿は糸音に向かっている和刀を手にすると、そのまま勢いを殺さず糸音へと強烈な突きを入れる。しかし糸音はこれを針剣で盾にして受け止める。
 
「あまいな椿」
 
「!?」
 
糸音は拳を握り、椿を思いっきり殴ると、椿は後方へと吹っ飛んで仰向けに倒れる。
 
(さっきのは神鳴か、、でも、あれは全力じゃなかった、、)
 
「甘いのは私か」
 
そう言って椿は起き上がると和刀を構える。
 
「もういい、お前を殺す事だけ考える」
 
(目つきが変わった、、目を私は知っている、、
 
次の瞬間、椿は和刀を糸音へと投擲する。
 
(来たか!神鳴)
 
しかし糸音の予想は外れた。投げられた和刀を追いかけてくるがそれを掴まずに拳で柄の先端を押し出した。飛行する和刀は椿の拳の押す力によってさらに加速した。
 
(避けれない!)
 
「くっ!」
 
糸音は高速で真っ直ぐに飛んでくる和刀を針剣で薙ぎ払おうとするが、威力が強すぎて払いきれなかった。糸音はそのまま仰け反りバランスを崩す。椿は弾かれた和刀を再び手にすると、糸音へ乱れ突きを入れる。糸音は全てを交わしきれず、横腹や頬を刃が掠める。体制を立て直して、椿の突きを針剣で払いのけて、蹴りを入れる。椿の横腹にもろに入るが、怯まず糸音の足をそのまま掴み、和刀を振り下ろす。すかさず糸音は針剣で自らの足に振り下ろされる和刀を針剣で受け止めた。そして糸音は空いている手を握りしめて椿の顔に拳を叩き込む、がしかしそれは避けられる。椿はそのまま糸音に頭突きをお見舞いする。ふらつきながら両者は少しだけ離れる。糸音は少しだけ眩暈がして膝をつく。
 
「石頭が、、」
 
「往生際が悪いやつだ!さっさと殺されればいいのに」
 
糸音は立ち上がり針剣を再び構える。
 
「なら、やってみろよ」
 
「言われなくても殺してやるよ!」
 
椿は再び和刀を糸音へ投擲する。さっきよりかなり短い距離にも関わらず、和刀を投げてくる。
 
(リーチが短い分、さっきより速い!)
 
糸音は自分に向かってくる和刀を完全には避けれず肩に突き刺さる。
 
「くっ!」
 
近づいてきた椿は糸音の肩に突き刺さった和刀を持つと横に薙ごうとする。しかし糸音は針剣でそれを防ぐと、足で椿に蹴りを入れて離れる。糸音の肩から和刀が抜けてそのまま椿は倒れる。
 
「くっ!やるじゃないか。でも今ので肋骨は折れただろ」
 
「くそが!もう少しで殺せたのに!」
 
椿は少しふらつきながら立ち上がり、再び両者は睨み合う。そして戦いの様子を見ていたルクスリアはあることに気づく。
 
「なぜ、異能を使わないんだ糸音は」
 
「たしかに異能を使えばもっと優勢に戦えるはず」
 
「糸音にも思うところはあるんだよーきっと」
 
「なんだ、思うところって」

「まぁ、黙って見てなよ」
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