天使ノ探求者

はなり

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第六章 修羅夢語

第115話 再開

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私は人をたくさん殺した。正せるであろう悪も全て切り捨ててきた。例外無く、私の手に残るのは血塗られた針と血の匂い。最初に人を殺した時は正直覚えていない。いつの間にか殺していた。その時思った事といえば人ってこんな簡単に死ぬんだなって。命を軽んじていたのかもしれない。でも、あの時は違った、あの時、気づくと私は紅羽を大事な仲間を刺していた。その時、感じた辛さは命の重さだったのか。手に伝わる温かい血を私は一生忘れないだろう。その時から私はもう人は殺さないと人殺しをやめたのだろうか。殺さず、人を正す。それが今の私の生き方。でも、過去は消えない、全てを思い出した後、私は果たして今まで通り、人殺しをせずに悪を正すことはできるだろうか。いや、そうしないといけない。でないと私が私ではなくなる気がする。殺しでは悪を正せない。

 
「ん、、ここは、、」
 
糸音は柔らかいベッドの上で目を覚ました。
起き上がり窓を見ると海岸がすぐそこにあって海がみえた。
 
「どうやら、生きているみたいだな」
 
ガチャ!
 
扉が開いて外から一人の女が入ってくる。
 
「あらあら、起きたのか糸音」
 
「詩織?なんで」
 
「あんた海岸で落ちていたんだよ。いやぁ、驚いたわ。こんな形で再開がするなんて、、ってあれ、私のこと覚えてるの?知り合いからは記憶無くしたって聞いてたけど」
 
「ああ、思い出したよ。全部」
 
「そう、、、じゃあひとまずおかえり」
 
「ふっ、ただいま」
 
「とりあえず朝食作るわー」
 
「あぁ、ありがとう」
 
詩織はキッチンへと向かった。糸音は立ち上がると少しよろけた。
 
「まだ少しぼーとするな。ちょっと外へ出るか」
 
外へと出て少し歩いて海の方へ向かい潮風を頬に感じながら海を見つめる。
 
「ここは、、ヘイオーか、通りで寒いわけだ」
 
しばらく海を眺めていると詩織が呼びに来た。
 
「久しぶりのヘイオー、寒いだろ?」
 
「あぁ、寒いな」
 
「じゃあ、温まらないとな」
 
二人は家へと戻る。朝食には魚やら貝やらが並んでいて、えらく豪勢に見えた。
 
「いつも、こんな朝飯を?」
 
「いや、今日は特別!糸音との再開にね!まぁ実際はもう三日経ってるんだけどね」
 
「なっなんだと!?早く行かないと!」
 
糸音は椅子から立ち上がると外へ向かうがそこで詩織は声をかける。
 
「待て、糸音!何処へ行くんだ?仲間のもとか?それとも椿のところか?」
 
「それは、、」
 
「まぁ、座れ。飯を食ってから話をしても遅くはないよ」
 
「あぁ、すまない」
 
糸音は大人しく座って朝食を食べた。食べ終えると詩織は紅茶を作って持ってきた。
 
「おい!こんなのんびりしている暇は私にはないんだぞ!」
 
「大丈夫だよ、糸音の仲間は無事だ。京での事、ヘルヘェブルでの事は全て知っている」
 
「無事なら良かった、何故こんな事を知っているんだ?」

「あれから私も色々あってねー。情報屋もやってるんだ」

「そうだったのか」
 
糸音は立ち上がるとまた扉へ向かった。しかしまたもその背に詩織は声をかける。
 
「おいおい、今度は何処へ行くんだ?椿のところか?何処にいるか知っているのか?」
 
「私はもう一度、椿に会わないといけない」
 
「そうか。んで場所はわかるのか?」
 
「、、、、、」
 
「はぁ、まぁまず座れよ」
 
糸音は再び椅子へと座る。
 
「それでどこにいるんだ?その口ぶりだと知っているんだろ」
 
「あぁ、このヘイオーにいる」
 
「なっ、なんでこの国に!?」
 
「さぁね、それは本人に聞かないとわからないから。でも何処へ向かっているかはわかるよ」
 
「ミンダルか」
 
「そう。どうする?糸音」
 
「行くよ。私はあの子に会わないといけない」
 
「了解!あっ、この情報はただでいいよー」
 
「げっ、金取るつもりだったのか」
 
「そりゃあね。でも仲間だから特別だよー」
 
「仲間か、、詩織はどうするんだ?」
 
「もちろん、ついて行くよー。ルクスリア達ピンチかもだし」
 
「それは椿が、って事か」
 
「多分ねー。まぁ、とりあえず向かいますか!」
 
家を出ると詩織はもう一つあった小屋へと向かう。
 
「詩織、何処行くんだ?」
 
「こっちにいいのがあるんだよー」
 
糸音は詩織の後を追うと小屋の鍵を開けて中へ入る。電気をつけると中にはバイクが一台置いてあった。
 
「ジャアーン!私の愛車でーす!これでミンダルまですぐだよー」
 
「驚いたな、詩織がバイクとは」
 
「なんか失礼じゃない?」
 
「ごめんごめん。じゃあ頼むよ」
 
「まかせろー」
 
詩織はバイクに跨りその後ろに糸音が乗る。
 
「ミンダルへゴー!」
 
二人はミンダルへと急ぎ向かった。
 
 

 
 
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