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第五章 忘却再生
第111話 罠
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一
紅羽は治安維持局の司令室へと続く廊下を早歩きでルクスリアのもとへと向かっていた。
「おい!落ち着け紅羽!」
一緒に着いてきた糸音が宥めるが、紅羽は聞かなかった。
ドン!
扉を豪快に開け、ルクスリアに近づくと胸ぐらを掴んだ。
「ふざけるなよ!どうなっているんだ!?」
「おい、紅羽!」
「すまない、紅羽」
「すまないだと!それで済む話じゃねぇだろ!」
「紅羽、まずは話を聞こう」
糸音が紅羽の肩に手を置いて怒りを静める。
紅羽はルクスリアから手を離して、ソファへと座る。
「すまねぇ」
「あぁ。捜索に向かわせた二人の報告によると。本来の任務である盗賊の確保は完了していたそうだ。しかし二人の姿が無かったそうだ。恐らくは帰りの道中で何かあったと見ていいだろう。手掛かりは今のところ無しだ」
「くそ!お前の嗅覚でもどうにもならないのか?」
「私も一度、ブライト地区に行ったが何かで匂いが完全消えていた」
「手掛かりは本当にないのか、、、」
紅羽が意気消沈していると、黙って聞いていた糸音が口を開く。
「三人で手分けして探すぞ、今回は私も参加していいな、ルクスリア」
「し、しかし」
「親友がいなくなったんだ。じっとしていられるか」
「紅羽」
「あぁ、仕方ない」
「よし、わかった。三人でブライト地区へ向かうぞ」
二
事が起こる三日前、ミンダルの近くの森で椿達二人はブライト地区の盗賊達を気絶させて縄で縛り、ミンダルから派遣される治安維持局の部隊の到着を待っていた。
「いやぁ、簡単だったね」
「そうですね、余裕でした!」
「これでようやく兄さんやルクスリアの手伝いができる」
「私もこれから椿姉さんと一緒に仕事ができるのが楽しみです!」
「よろしくな!」
「はい!」
「!?」
二人が話していると、どこからともなく現れた霧が辺りを包んでいった。
「なにか変だぞ!気をつけろジータ」
「はい!」
(敵か!でもこの感じは、、、)
「うっ!」
「ジータどうした!がっ!」
二人は何者かに背後から殴られて気絶してしまった。
やがて霧が晴れていき、二人の男が現れた。
「宗谷さん、とりあえず気絶させましたけど、どうしますか?」
「あぁ、とりあえず。あれを誘き出す為のエサだからな、一応記憶を読み取って私に共有しろ」
「わかりました」
男の一人がジータと椿の頭に手をやり目を閉じた。数分後、男が目を開けて立ち上がる。そして宗谷の頭に手を近づける。
「なるほどな。ジータという娘の記憶はつまらないが、こっちの娘は面白いことができそうだ」
「んで、どうしますか?」
「とりあえず、近くの川へ。そこで仕掛ける」
「わかりました」
二人は宗谷達に連れて行かれた。
三
ルクスリア一行は二日でブライト地区にやって来た。
「こんな近道があるとはな」
「あぁ、今は道も整備してあるから」
「匂いはどうだ、ルクスリア?」
「微かにするな。以前来た時は全くしなかったのだが」
「罠かもしれねぇな」
「慎重に行こう。んでどっちから匂う」
ルクスリアは目を閉じて集中する。
「こっちだな」
「ルクスリア、たしか前にここに来た時、川があっただろ」
「そうか、川だ!近くに川があったから匂いが消えていたのか。それに前に捜索に来た時この森は霧で覆われていた」
「霧か、雨は降って無かったか?」
「そういえば雨は降ってないな。なのに霧か、、」
「おかしいな」
「今は考えても仕方ない、行こう」
一行は川の方へと向かう。そしてしばらく歩いて川へと辿り着いた。
紅羽は治安維持局の司令室へと続く廊下を早歩きでルクスリアのもとへと向かっていた。
「おい!落ち着け紅羽!」
一緒に着いてきた糸音が宥めるが、紅羽は聞かなかった。
ドン!
扉を豪快に開け、ルクスリアに近づくと胸ぐらを掴んだ。
「ふざけるなよ!どうなっているんだ!?」
「おい、紅羽!」
「すまない、紅羽」
「すまないだと!それで済む話じゃねぇだろ!」
「紅羽、まずは話を聞こう」
糸音が紅羽の肩に手を置いて怒りを静める。
紅羽はルクスリアから手を離して、ソファへと座る。
「すまねぇ」
「あぁ。捜索に向かわせた二人の報告によると。本来の任務である盗賊の確保は完了していたそうだ。しかし二人の姿が無かったそうだ。恐らくは帰りの道中で何かあったと見ていいだろう。手掛かりは今のところ無しだ」
「くそ!お前の嗅覚でもどうにもならないのか?」
「私も一度、ブライト地区に行ったが何かで匂いが完全消えていた」
「手掛かりは本当にないのか、、、」
紅羽が意気消沈していると、黙って聞いていた糸音が口を開く。
「三人で手分けして探すぞ、今回は私も参加していいな、ルクスリア」
「し、しかし」
「親友がいなくなったんだ。じっとしていられるか」
「紅羽」
「あぁ、仕方ない」
「よし、わかった。三人でブライト地区へ向かうぞ」
二
事が起こる三日前、ミンダルの近くの森で椿達二人はブライト地区の盗賊達を気絶させて縄で縛り、ミンダルから派遣される治安維持局の部隊の到着を待っていた。
「いやぁ、簡単だったね」
「そうですね、余裕でした!」
「これでようやく兄さんやルクスリアの手伝いができる」
「私もこれから椿姉さんと一緒に仕事ができるのが楽しみです!」
「よろしくな!」
「はい!」
「!?」
二人が話していると、どこからともなく現れた霧が辺りを包んでいった。
「なにか変だぞ!気をつけろジータ」
「はい!」
(敵か!でもこの感じは、、、)
「うっ!」
「ジータどうした!がっ!」
二人は何者かに背後から殴られて気絶してしまった。
やがて霧が晴れていき、二人の男が現れた。
「宗谷さん、とりあえず気絶させましたけど、どうしますか?」
「あぁ、とりあえず。あれを誘き出す為のエサだからな、一応記憶を読み取って私に共有しろ」
「わかりました」
男の一人がジータと椿の頭に手をやり目を閉じた。数分後、男が目を開けて立ち上がる。そして宗谷の頭に手を近づける。
「なるほどな。ジータという娘の記憶はつまらないが、こっちの娘は面白いことができそうだ」
「んで、どうしますか?」
「とりあえず、近くの川へ。そこで仕掛ける」
「わかりました」
二人は宗谷達に連れて行かれた。
三
ルクスリア一行は二日でブライト地区にやって来た。
「こんな近道があるとはな」
「あぁ、今は道も整備してあるから」
「匂いはどうだ、ルクスリア?」
「微かにするな。以前来た時は全くしなかったのだが」
「罠かもしれねぇな」
「慎重に行こう。んでどっちから匂う」
ルクスリアは目を閉じて集中する。
「こっちだな」
「ルクスリア、たしか前にここに来た時、川があっただろ」
「そうか、川だ!近くに川があったから匂いが消えていたのか。それに前に捜索に来た時この森は霧で覆われていた」
「霧か、雨は降って無かったか?」
「そういえば雨は降ってないな。なのに霧か、、」
「おかしいな」
「今は考えても仕方ない、行こう」
一行は川の方へと向かう。そしてしばらく歩いて川へと辿り着いた。
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