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第五章 忘却再生
第107話 三年後
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一
「くっ!」
「えいやー!」
糸音と椿は森の広場で剣を交えていた。椿の一刀で糸音の針剣が手から離れた。
「やるなー、椿」
「やったぁ!やっと糸音から一本取れた!」
「すごい成長速度だな」
「でしょー!私って剣の才があるのかも」
「自惚れてはダメだぞ」
「わかってるよー」
糸音と椿は16になった。あれからも糸音は椿との稽古を続けていた。しかし実践などは無くただ剣の技術のみを磨いていた。
「おっと、そろそろ帰ろうか椿」
「そだね、帰りに孤児院に寄ってミトナさんに手作りクッキーを貰うんだったね」
「じゃあ行くか」
「うい」
二人は孤児院へと向かった。
「椿姉ちゃんだ!」
椿と糸音は孤児院へやってくると前に居た子供が椿に駆け寄ってくる。
「ジータ、今日もお掃除ご苦労様」
ジータは私たちが孤児院によく行くようになって椿と一番仲の良い子供だ。歳も椿と糸音とさほど変わらない。ジータは治安維持局のお手伝いもしていて戦闘経験も少しある。昨今、復興も落ち着きだした頃、少しずつ燻っていたジャック達の残党が再び動きだしていた。それを捕まえるのが治安維持局の仕事の一つだ。
「最近、悪い人が増えてるから。ジータも少し忙しいんだけど、今日は椿姉ちゃんが来るからお休みもらったの。それと、、、英雄さんともお話ししたいから」
ジータは少しもじもじしながら糸音の方を見る。目が合った糸音は少しだけ照れながら頷く。
「たいへんだなジータも、よし!後で糸音と三人で出かけるか!その前に、ミトナさんはいるかい?」
「やったぁ!ミトナさんなら中だよ」
案内されて孤児院の中へと入るとミトナが子供達に囲まれていた。
「あら、やっと来たわね二人とも」
「どうも、ミトナさん。クッキー貰いに来ました」
「ちょっと待ってね」
子供達は椿と糸音のもとへとやってきて、皆んな一斉に話出す。
「あのね、あのね、糸音さん聞いてくださいよ、、」
「今度私と遊んでくださいよ、、」
糸音と椿はミトナがクッキーを持ってくるまでの間たくさんの子供に振り回された。
しばらく子供達と遊んだ後、ミトナさんはカゴにクッキーをたくさん入れて持って来た。
「ごめんなさいね、ほら!皆んな!お姉さん達が困るでしょ、さよならの挨拶をして!」
「はーい」
糸音と椿は子供達からの挨拶を受け取ると手を振り孤児院を後にする。そして、出た先に居たジータが笑顔で近づいてきた。
「長かったね、チビ達に色々振り回されたでしょ」
「うん、皆んなかわいいね」
椿はニヤニヤしながら言った。
「椿、顔がやばいよ」
「え!本当に!ってか失礼だよ糸音!」
「ごめんごめん」
「二人って仲良いコンビですよね」
「そりゃ、親友だからねー」
「そうだな」
「いいなぁ、私もそんな風にできる親友が欲しいな」
「いつかできるって、ジータなら」
「そうですかね」
三人は一度クッキーを置く為に椿達の家へと向かう。
「おう!今日はジータも一緒か」
「紅羽さん、帰ってたんですね!」
「今回は早めに片付いたんで早々に切り上げて帰ってきたんだ」
「おかえり、兄さん!」
「おう、ただいま!おっ!」
椿は紅羽に思いっきり飛びつくと、勢いで紅羽は後ろに倒れた。この兄妹は何年経っても変わらず仲が良かった。
「紅羽、今朝ルクスリアからの伝言をもらった。治安維持局で待ってるから帰ってきたら早くこいだって」
「はぁ、相変わらず人使いが荒いな、吸血鬼様は」
二人は立ち上がり、紅羽は椿の頭を撫でてその場を後にした。
「よし!私達の家へゴー!」
二
三人は家について、糸音がノックすると中からミナモが現れた。
「これはまたたくさん貰いましたね」
「今日のおやつだね」
「おやつっていう量ではないけどな」
「楽しみです!」
「また出掛けるんですか?」
「うん!まぁ夕刻には帰るよ!」
「では、いってらっしゃいませ」
三人は家を後にして街の店巡りをした。少し遊んだ後、椿はジータと共に治安維持局の訓練場へと向かい、糸音は家へ帰る。
「くっ!」
「えいやー!」
糸音と椿は森の広場で剣を交えていた。椿の一刀で糸音の針剣が手から離れた。
「やるなー、椿」
「やったぁ!やっと糸音から一本取れた!」
「すごい成長速度だな」
「でしょー!私って剣の才があるのかも」
「自惚れてはダメだぞ」
「わかってるよー」
糸音と椿は16になった。あれからも糸音は椿との稽古を続けていた。しかし実践などは無くただ剣の技術のみを磨いていた。
「おっと、そろそろ帰ろうか椿」
「そだね、帰りに孤児院に寄ってミトナさんに手作りクッキーを貰うんだったね」
「じゃあ行くか」
「うい」
二人は孤児院へと向かった。
「椿姉ちゃんだ!」
椿と糸音は孤児院へやってくると前に居た子供が椿に駆け寄ってくる。
「ジータ、今日もお掃除ご苦労様」
ジータは私たちが孤児院によく行くようになって椿と一番仲の良い子供だ。歳も椿と糸音とさほど変わらない。ジータは治安維持局のお手伝いもしていて戦闘経験も少しある。昨今、復興も落ち着きだした頃、少しずつ燻っていたジャック達の残党が再び動きだしていた。それを捕まえるのが治安維持局の仕事の一つだ。
「最近、悪い人が増えてるから。ジータも少し忙しいんだけど、今日は椿姉ちゃんが来るからお休みもらったの。それと、、、英雄さんともお話ししたいから」
ジータは少しもじもじしながら糸音の方を見る。目が合った糸音は少しだけ照れながら頷く。
「たいへんだなジータも、よし!後で糸音と三人で出かけるか!その前に、ミトナさんはいるかい?」
「やったぁ!ミトナさんなら中だよ」
案内されて孤児院の中へと入るとミトナが子供達に囲まれていた。
「あら、やっと来たわね二人とも」
「どうも、ミトナさん。クッキー貰いに来ました」
「ちょっと待ってね」
子供達は椿と糸音のもとへとやってきて、皆んな一斉に話出す。
「あのね、あのね、糸音さん聞いてくださいよ、、」
「今度私と遊んでくださいよ、、」
糸音と椿はミトナがクッキーを持ってくるまでの間たくさんの子供に振り回された。
しばらく子供達と遊んだ後、ミトナさんはカゴにクッキーをたくさん入れて持って来た。
「ごめんなさいね、ほら!皆んな!お姉さん達が困るでしょ、さよならの挨拶をして!」
「はーい」
糸音と椿は子供達からの挨拶を受け取ると手を振り孤児院を後にする。そして、出た先に居たジータが笑顔で近づいてきた。
「長かったね、チビ達に色々振り回されたでしょ」
「うん、皆んなかわいいね」
椿はニヤニヤしながら言った。
「椿、顔がやばいよ」
「え!本当に!ってか失礼だよ糸音!」
「ごめんごめん」
「二人って仲良いコンビですよね」
「そりゃ、親友だからねー」
「そうだな」
「いいなぁ、私もそんな風にできる親友が欲しいな」
「いつかできるって、ジータなら」
「そうですかね」
三人は一度クッキーを置く為に椿達の家へと向かう。
「おう!今日はジータも一緒か」
「紅羽さん、帰ってたんですね!」
「今回は早めに片付いたんで早々に切り上げて帰ってきたんだ」
「おかえり、兄さん!」
「おう、ただいま!おっ!」
椿は紅羽に思いっきり飛びつくと、勢いで紅羽は後ろに倒れた。この兄妹は何年経っても変わらず仲が良かった。
「紅羽、今朝ルクスリアからの伝言をもらった。治安維持局で待ってるから帰ってきたら早くこいだって」
「はぁ、相変わらず人使いが荒いな、吸血鬼様は」
二人は立ち上がり、紅羽は椿の頭を撫でてその場を後にした。
「よし!私達の家へゴー!」
二
三人は家について、糸音がノックすると中からミナモが現れた。
「これはまたたくさん貰いましたね」
「今日のおやつだね」
「おやつっていう量ではないけどな」
「楽しみです!」
「また出掛けるんですか?」
「うん!まぁ夕刻には帰るよ!」
「では、いってらっしゃいませ」
三人は家を後にして街の店巡りをした。少し遊んだ後、椿はジータと共に治安維持局の訓練場へと向かい、糸音は家へ帰る。
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