天使ノ探求者

はなり

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第五章 忘却再生

第99話 椿とルクスリア

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洋館に着くと椿は自分の部屋へと戻っていった。
 
「はぁ、子供とは難しいな」
 
椅子に落ち着くとルクスリアはため息混じりにそんな事を呟いた。
 
「私の時より酷いな、まぁ滞在中頑張って仲良くなるんだな」
 
「また、人ごとみたいに言って」
 
「まぁ、そのうち椿もお前がいい吸血鬼だってわかってくれるさ」
 
「紅羽の言葉を信じるよ」
 
「どうぞ」
 
ミナモさんが三人分のお茶を用意して持って来てくれた。
 
「ありがとう。それでカンナギの館へはいつ行くんだ?」
 
「日も傾いているし、今日はゆっくりさせてもらって明日行くよ、付き添い頼むよ」
 
「任せろ、糸音はどうする?」
 
「私は椿と一緒にいるよ」
 
「じゃあ留守はよろしく頼むよ。ちょっと早いが飯の準備でもするか。ミナモさん!今日は豪勢に頼むよ!」
 
「承知しました」
 
ミナモさんはキッチンへ移動すると、私たち三人はしばらく談笑した。椿は部屋に篭ったまま出てこなかった。


 
ミナモさんがご飯の準備をして、下で三人が談笑している間に椿は時間を持て余していたので、いつもの刀を持ってこっそり家を出て森へと向かった。
 
「はぁ、なんか申し訳ないことしたかな」
 
椿は森の中を歩きながら一人呟いていた。考え事をしていたせいで、後ろからついて来る熊に気づかないでいた。そしてしばらく歩いたところでようやくその存在に気付いて振り返ると刀を構える。
 
「く、熊!?こんなところに、なんで、、」
 
(とにかく、逃げないと、、)
 
椿はゆっくりと後ずさると自分の後ろが崖になっていることに気づいた、そして次の瞬間大きな熊は椿に襲いかかってきた。
 
「うわ!」
 
椿は足を踏み外して崖の下へと落ちていく。


 
「糸音、椿を呼びに行ってくれないか」
 
夕食の準備が整って、糸音は紅羽に言われて二階へとあがる、そして軽く椿の部屋をノックすると反応が無く、気配がしないことに気づくと部屋を開ける。
 
「椿?」
 
部屋は真っ暗で誰も居なかった。糸音は少し焦り、階段を駆け降りてリビングへと向かった。
 
「椿がいないぞ!」
 
「なんだと!?まさか森へ行ったのか」
 
「手分けして探そう。誰か一人残ろう。もし帰ってきて誰も居なかったら行き違いになるかもしれないし」
 
「それなら私が残ります」
 
「じゃあ、三人で森へ探しに行くぞ!」
 
三人はミナモ一人を残して椿の捜索へと向かった。
 
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