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第五章 忘却再生
第92話 復興
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「本当に終わったんだな」
「あぁ、まさかあんたが吸血鬼になるなんてな」
糸音とルクスリアは要塞と呼ばれた建物の残骸を見ながら話していた。あの後、街の子供と牢屋に捕えられていた生き残った大人達とクレインバルドにいるルクスリアの元部下だった者達による支援で要塞の後片付けと新しく建物を作り直す作業に取り掛かっていた。
「本当に助かったよ、糸音」
「そりゃ良かった。そういや体は何ともないのか?」
「あぁ思いの外、平気だよ。血は皆から分けてもらえる事になったから、大丈夫だよ。皆んなには感謝しかないな」
「そうか」
「なぁ、糸音、、」
「なんだ?」
ルクスリアは真剣な面持ちで糸音に向き直る。
「これからどうするんだ?もしよかったら一緒に、、」
「そうだな、考えとく。そういや詩織は仕事の依頼が完了したみたいだから、明日には次の仕事の依頼があるからここを出るみたい」
「そうか」
「そういえば、結局ジャックはどこで吸血鬼の血を手に入れたんだ?」
「わからないな、そこらへんも落ち着いたらゆっくり調べるさ」
その後、少し雑談をして二人は作業に戻った。そして夜になり、借りていた宿でゆっくりしていると紅羽が糸音を訪ねに来た。数回のノックの後、扉の向こうで紅羽が尋ねてきた。
「おう、今大丈夫か?」
「あぁ、いいよ」
「ちょっと付き合ってくれ」
糸音は頷くと二人は家を出た。行き先は告げられず、なくなく紅羽の後を追う糸音。いつのまにか辺りは木々に囲まれた森が続いていた。
「おい、どこまで行くんだ」
「まぁ、黙ってついて来なって」
「はぁ」
言われて大人しく後をついていく。そして数分歩いていくと少し開けた場所に出る。
「ここは、、」
「ほら、前に言っただろ。妹に見せたい景色があるってさ、ここだよ。ここからの眺めがいいんだ、今はまだ復興途中で灯りが少ないが、数年も経てばもっといい眺めになるぜ。それから空を見ろよ」
空を見上げるとそこには数えきれない程の無数の星の海が広がっていた。
「こりゃあ凄いな」
「だろ、早く見せてやりたいぜここからの景色もこの空も」
しばらく二人は静かに空と眼下に広がる景色を見ていた。糸音はこれからどうするかを考えていた。実家に戻る気にもならないし、この国にいるのも違う気がした。
「なぁ糸音、俺と一緒に来ないか?」
「え?」
「特に深い意味はないぜ、俺と妹、それからお手伝いさんが実家にいるんだが、四人で暮らさないか、もしよかったらなんだけど」
「そう、、だな。まぁ行くところもないし厄介になるよ」
「おう!妹と仲良くしてやってくれ。多分、年は同じだからさ気が合うんじゃねぇか」
「だといいな」
「あぁ、まさかあんたが吸血鬼になるなんてな」
糸音とルクスリアは要塞と呼ばれた建物の残骸を見ながら話していた。あの後、街の子供と牢屋に捕えられていた生き残った大人達とクレインバルドにいるルクスリアの元部下だった者達による支援で要塞の後片付けと新しく建物を作り直す作業に取り掛かっていた。
「本当に助かったよ、糸音」
「そりゃ良かった。そういや体は何ともないのか?」
「あぁ思いの外、平気だよ。血は皆から分けてもらえる事になったから、大丈夫だよ。皆んなには感謝しかないな」
「そうか」
「なぁ、糸音、、」
「なんだ?」
ルクスリアは真剣な面持ちで糸音に向き直る。
「これからどうするんだ?もしよかったら一緒に、、」
「そうだな、考えとく。そういや詩織は仕事の依頼が完了したみたいだから、明日には次の仕事の依頼があるからここを出るみたい」
「そうか」
「そういえば、結局ジャックはどこで吸血鬼の血を手に入れたんだ?」
「わからないな、そこらへんも落ち着いたらゆっくり調べるさ」
その後、少し雑談をして二人は作業に戻った。そして夜になり、借りていた宿でゆっくりしていると紅羽が糸音を訪ねに来た。数回のノックの後、扉の向こうで紅羽が尋ねてきた。
「おう、今大丈夫か?」
「あぁ、いいよ」
「ちょっと付き合ってくれ」
糸音は頷くと二人は家を出た。行き先は告げられず、なくなく紅羽の後を追う糸音。いつのまにか辺りは木々に囲まれた森が続いていた。
「おい、どこまで行くんだ」
「まぁ、黙ってついて来なって」
「はぁ」
言われて大人しく後をついていく。そして数分歩いていくと少し開けた場所に出る。
「ここは、、」
「ほら、前に言っただろ。妹に見せたい景色があるってさ、ここだよ。ここからの眺めがいいんだ、今はまだ復興途中で灯りが少ないが、数年も経てばもっといい眺めになるぜ。それから空を見ろよ」
空を見上げるとそこには数えきれない程の無数の星の海が広がっていた。
「こりゃあ凄いな」
「だろ、早く見せてやりたいぜここからの景色もこの空も」
しばらく二人は静かに空と眼下に広がる景色を見ていた。糸音はこれからどうするかを考えていた。実家に戻る気にもならないし、この国にいるのも違う気がした。
「なぁ糸音、俺と一緒に来ないか?」
「え?」
「特に深い意味はないぜ、俺と妹、それからお手伝いさんが実家にいるんだが、四人で暮らさないか、もしよかったらなんだけど」
「そう、、だな。まぁ行くところもないし厄介になるよ」
「おう!妹と仲良くしてやってくれ。多分、年は同じだからさ気が合うんじゃねぇか」
「だといいな」
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