天使ノ探求者

第五章 忘却再生

第90話 死闘

ルクスリアはジャックへと駆け出した。
　
「ん？」
　
ルクスリアは鋭く鋭利な爪でジャックに突き立て、ジャックがそれを受け止める。
　
「おやおや、あなたは本当に面白い。まさか吸血鬼を抑え込むとは。これは楽しめそうですね」
　
ジャックも爪を尖らせてルクスリアの攻撃に応戦する。凄まじい速さでぶつかり合う両者、しかし、やはり体が慣れてないせいかルクスリアは少しずつ余裕が無くなっていく。
　
「まだまだですね！」
　
「くっ！」
　
ジャックの爪が腹に刺さり、そのまま投げ飛ばされる。ルクスリアはすぐに回復して立ち上がる。
　
「もう少しで馴染みそうだ」
　
ルクスリアは自身の剣を見つけるとその場所まで一瞬で移動する。そして剣を手に取ると自分の腕を切って血を流すと、その血を操作して剣へ纏わせる。
　
「ほう、面白い。血液操作ですか」
　
「ルク、、スリア、どうなって、、いる」
　
「おー、起きたか、、糸音」
　
糸音と詩織は気を取り戻すと立ち上がり紅羽の元へと歩く。
　
「おう、二人共、大丈夫なのか？」
　
「あぁ、それよりどうなっている？」
　
「あぁ、ルクスリアが吸血鬼の力を抑えて正気に戻ったよ」
　
「はっは、まさか吸血鬼になっちまうとはな」
　
ルクスリアは二人が起きた事に気づくと一瞬で糸音達の元へと近づいた。
　
「大丈夫か、二人共？」
　
「あぁ、ルクスリアこそ、いけるのか？」
　
「絶好調だよ」
　
「さっすがだね」
　
「談笑はそこまででよろしいですかな？」
　
「あぁ」
　
ルクスリアが一歩前へ出ると血剣を構える。
次の瞬間、二人は消えると、あちこちで火花が散り始める。吸血鬼同士の高速の打ち合いが始まる。
　
「なるほど、血で剣の強度を上げたのですね」
　
「その通りだが、それだけではないぞ」
　
ルクスリアは剣先をジャックに向けると剣先から血の針がジャックへ向かって飛んでいく。さらにルクスリアは剣を一振りして血の斬撃をジャックに放つ。凄まじい血の斬撃をジャックは自身の鋭利な爪で受け止めるが耐えられず壁まで吹っ飛んだ。
　
「これが吸血鬼同士の死闘か」
　
三人は二人の戦いを見ていた。
　
「すごいよね、、」
　
「だが、まだだ」
　
ジャックが姿を消した。正確には影となり移動していた。そして、ルクスリアは忍び寄るジャックに気づかずに後ろから爪で貫かれた。
　
「がは！」
　
「これが私の力だ」
　
「なる、、ほど、ね」
　
ルクスリアは体を回転させて、爪から逃れるとジャックに向き直る。
　
「驚きましたね、痛くないんですか？」
　
「痛いさ、でも死なないんだから」
　
「たしかにそうですね」
　
「さぁ、だいぶ慣れてきた、ここからだ。その妙な力を破る方法を見つける」
　
「楽しみですね」