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第五章 忘却再生
第85話 ミリオド
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翌日、三人は出立の準備をして城を出る。
「さて、案内任せたぞ詩織」
「任されよ!多分普通に行けば三日くらいで着くよ」
糸音は詩織のでかい荷物を見て尋ねる。
「なぁ、それなんだ?」
「あぁ、これ。これはねー防寒着だよ。絶対死ぬから、もちろん糸音達の分もあるから安心して」
「そ、そうか、、じゃあ行こう」
北の森へと入って行く三人。何事も無く二日が過ぎて、ようやくカルテナ地区に入った。
「うー、寒いなー、やっぱり。言ったでしょ死ぬって!私天才!」
「そうだな。たしかに、これだけ厚着しているのになんて寒さなんだ」
「こりゃ傷に堪えるな」
三人は森を抜けると山道を登っていた。山肌は雪が積もり綺麗な雪景色が一面に広がっていた。詩織曰く、カルテナ地区の八割は山らしい、そして周りを山で囲まれた窪地にミリオドという街があり、その後ろにロンドルグと呼ばれる要塞があるとの事。このロンドルグはその昔、悪党を捕えて入れておく要塞監獄と呼ばれていたらしい。
「ところで、ジャックって奴は強いのか?対峙したんだろ詩織は?」
「あー、たしかに風格はあったかな。でも、たいした事ないかもねー、強さだけならね」
「どういう事だ?」
「ルクスリアから聞いたことがあるんだけど、そのジャックっていう奴は頭がすごくきれるらしい。だから用心した方がいいって言ってたな」
そして糸音は疑問に思っている事を聞いた。
「なぁ二人共、ルクスリアとの付き合いは長いだろ?前から思っていたんだが、カサンドラやクレイン、ライクそしてジャック、この四人、やけにルクスリアの事を知っている風に見えた。実際、カサンドラとクレインとの会話を聞いていて、まるで昔の知人の様な感じだった。ルクスリアって何者なんだ?」
二人は顔を見合わせる。
「たしかに付き合いは長い、だが俺たちはあいつの過去を何一つとして知らないんだ」
「たしかに、私も知らない。興味がなかったと言えば嘘になるかもしれないけど、気にすることではなかったからな」
「そうか、なら会って直接聞こう」
「そうだな」
三人はそれ以降、会話は控えて峠を越えることに集中した。そしてようやく街を目視で確認できるところまで辿りついた。
「よっしゃあ、着いたな」
「眷属崩れがいるかもしれない、油断は禁物だ」
「とりあえずあの街の向こう側が雪の要塞ロンドルグだ」
「そこに居るんだな」
三人は街を目指して再び歩み始めた。そして要塞の街、ミリオドに着いた。
「さて、案内任せたぞ詩織」
「任されよ!多分普通に行けば三日くらいで着くよ」
糸音は詩織のでかい荷物を見て尋ねる。
「なぁ、それなんだ?」
「あぁ、これ。これはねー防寒着だよ。絶対死ぬから、もちろん糸音達の分もあるから安心して」
「そ、そうか、、じゃあ行こう」
北の森へと入って行く三人。何事も無く二日が過ぎて、ようやくカルテナ地区に入った。
「うー、寒いなー、やっぱり。言ったでしょ死ぬって!私天才!」
「そうだな。たしかに、これだけ厚着しているのになんて寒さなんだ」
「こりゃ傷に堪えるな」
三人は森を抜けると山道を登っていた。山肌は雪が積もり綺麗な雪景色が一面に広がっていた。詩織曰く、カルテナ地区の八割は山らしい、そして周りを山で囲まれた窪地にミリオドという街があり、その後ろにロンドルグと呼ばれる要塞があるとの事。このロンドルグはその昔、悪党を捕えて入れておく要塞監獄と呼ばれていたらしい。
「ところで、ジャックって奴は強いのか?対峙したんだろ詩織は?」
「あー、たしかに風格はあったかな。でも、たいした事ないかもねー、強さだけならね」
「どういう事だ?」
「ルクスリアから聞いたことがあるんだけど、そのジャックっていう奴は頭がすごくきれるらしい。だから用心した方がいいって言ってたな」
そして糸音は疑問に思っている事を聞いた。
「なぁ二人共、ルクスリアとの付き合いは長いだろ?前から思っていたんだが、カサンドラやクレイン、ライクそしてジャック、この四人、やけにルクスリアの事を知っている風に見えた。実際、カサンドラとクレインとの会話を聞いていて、まるで昔の知人の様な感じだった。ルクスリアって何者なんだ?」
二人は顔を見合わせる。
「たしかに付き合いは長い、だが俺たちはあいつの過去を何一つとして知らないんだ」
「たしかに、私も知らない。興味がなかったと言えば嘘になるかもしれないけど、気にすることではなかったからな」
「そうか、なら会って直接聞こう」
「そうだな」
三人はそれ以降、会話は控えて峠を越えることに集中した。そしてようやく街を目視で確認できるところまで辿りついた。
「よっしゃあ、着いたな」
「眷属崩れがいるかもしれない、油断は禁物だ」
「とりあえずあの街の向こう側が雪の要塞ロンドルグだ」
「そこに居るんだな」
三人は街を目指して再び歩み始めた。そして要塞の街、ミリオドに着いた。
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