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第五章 忘却再生
第84話 妹の為
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詩織と糸音は城の中にある空いている部屋で紅羽を寝かせると、交代で見張りをすることにした。
「とりあえず、応急処置はしたけど、とりあえず目覚めるまではここに居よう」
「あいよ」
それから二日が経つとようやく紅羽が目を覚ました。
「お、おう、おはよう糸音」
「やっと起きたか」
「何日経った?」
「二日だな」
「そうか、すまねぇな。詩織とルクスリアは?」
「あぁそれなんだが、、」
扉を豪快に開け放ち室内に入ってくる詩織。
「帰ったよ糸音、って、あーやっと起きたか兄貴」
「よう、相変わらずだな詩織」
「起きて早々で悪いんだが、今後について話をしたい」
「あぁ」
紅羽のいるベッドに椅子を持って来て詩織が座ると話を始める。
「まず、ルクスリアがジャックザリッパーに攫われた」
「まじか」
「詩織、ジャックは何か言っていたのか?」
「たしか、北で待っているって言ってたな」
「北と言えば、カルテナ地区、首都はたしかロンドルグだな」
「うー、たしか寒いところだよね。一回行った事あるけどこの季節、雪積もってて極寒なんだよね。この国が北にあるってだけで寒いっていうのにさらに北なんだから嫌になるよ全く」
「紅羽、調子は?」
「明日には動けるさ」
「じゃあ、明日、北のカルテナ地区へ向かおう。詩織、道案内は頼んだ」
「うい」
三人は話を終えると紅羽を残して部屋を去って行った。
夜になり糸音は紅羽に軽食を届けにいく。
ノックをして中へ入ると紅羽は横になって目を閉じていた。
「あぁ、糸音か、世話かけるな」
「いや、いいよ。一人で食べれるか?」
「食べられないって言ったら食わしてくれるのか?」
「そりゃ、、まぁ、な」
「冗談だ、食べれるよ」
「な、ならさっさと食え!全く」
「ふっふ」
「何がおかしい」
「いや、故郷の妹を思い出してな」
「そういえば紅羽の故郷ってどこなんだ?」
「俺の家はフール大陸のカンナギの京の外れにあるんだ」
「そうだったんだな。私もフール大陸出身だ」
「だろうな、夕凪家っていやぁ有名だからな」
「何故この国に?」
「北のカルテナ地区に一際でかい山があるんだが、そこから見える景色が綺麗なんだ。それを妹に見せたくてな」
「まさか、それだけでこの革命に?」
「あぁ、馬鹿げてるだろ?でも妹の為なら馬鹿げててもいいさ。俺が見せたいんだから」
「ふっふ、まぁ紅羽らしいじゃん」
「糸音はどうしてこの革命に?」
「さぁな、もう忘れてしまったよ」
「なんだ、残念だな」
「明日から大変だから、早く寝ろよおっさん」
「おいおい!まだ若いぞ俺は!」
手を振り糸音は部屋を去っていく。
「とりあえず、応急処置はしたけど、とりあえず目覚めるまではここに居よう」
「あいよ」
それから二日が経つとようやく紅羽が目を覚ました。
「お、おう、おはよう糸音」
「やっと起きたか」
「何日経った?」
「二日だな」
「そうか、すまねぇな。詩織とルクスリアは?」
「あぁそれなんだが、、」
扉を豪快に開け放ち室内に入ってくる詩織。
「帰ったよ糸音、って、あーやっと起きたか兄貴」
「よう、相変わらずだな詩織」
「起きて早々で悪いんだが、今後について話をしたい」
「あぁ」
紅羽のいるベッドに椅子を持って来て詩織が座ると話を始める。
「まず、ルクスリアがジャックザリッパーに攫われた」
「まじか」
「詩織、ジャックは何か言っていたのか?」
「たしか、北で待っているって言ってたな」
「北と言えば、カルテナ地区、首都はたしかロンドルグだな」
「うー、たしか寒いところだよね。一回行った事あるけどこの季節、雪積もってて極寒なんだよね。この国が北にあるってだけで寒いっていうのにさらに北なんだから嫌になるよ全く」
「紅羽、調子は?」
「明日には動けるさ」
「じゃあ、明日、北のカルテナ地区へ向かおう。詩織、道案内は頼んだ」
「うい」
三人は話を終えると紅羽を残して部屋を去って行った。
夜になり糸音は紅羽に軽食を届けにいく。
ノックをして中へ入ると紅羽は横になって目を閉じていた。
「あぁ、糸音か、世話かけるな」
「いや、いいよ。一人で食べれるか?」
「食べられないって言ったら食わしてくれるのか?」
「そりゃ、、まぁ、な」
「冗談だ、食べれるよ」
「な、ならさっさと食え!全く」
「ふっふ」
「何がおかしい」
「いや、故郷の妹を思い出してな」
「そういえば紅羽の故郷ってどこなんだ?」
「俺の家はフール大陸のカンナギの京の外れにあるんだ」
「そうだったんだな。私もフール大陸出身だ」
「だろうな、夕凪家っていやぁ有名だからな」
「何故この国に?」
「北のカルテナ地区に一際でかい山があるんだが、そこから見える景色が綺麗なんだ。それを妹に見せたくてな」
「まさか、それだけでこの革命に?」
「あぁ、馬鹿げてるだろ?でも妹の為なら馬鹿げててもいいさ。俺が見せたいんだから」
「ふっふ、まぁ紅羽らしいじゃん」
「糸音はどうしてこの革命に?」
「さぁな、もう忘れてしまったよ」
「なんだ、残念だな」
「明日から大変だから、早く寝ろよおっさん」
「おいおい!まだ若いぞ俺は!」
手を振り糸音は部屋を去っていく。
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