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第五章 忘却再生
第82話 吸血鬼の血
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「どうした殺し屋!そんなもんか!」
「くっ!」
糸音はライクの手刀の剣舞に押されていた。
斬撃の速さは言うまでもなく、糸音は斬撃一つ一つに神経を尖らせて対応していく。しかし、流石の糸音も動きが鈍ってくる。そして、重い一撃が糸音に入り壁まで吹っ飛んだ。
「終わりか?なら死ね」
ライクが接近して手刀が糸音の喉元に迫る。しかしその斬撃は糸音には届かなかった。
「なんだ、まだ生きていたのか」
「勝手に殺すなよ、吸血鬼」
紅羽が和刀で斬撃を防いでいた。そのまま和刀でライクを薙ぎ払うが、ライクは後方へ退ける。
「大丈夫か、糸音」
「あぁ、助かった」
「二人でやるぞ」
「面白い、かかってこい」
二人はライクへ駆け出す。紅羽の和刀の動きに合わせて、糸音の針剣がライクを襲う。
「ほう、さっきよりはマシか。思ったよりもやるな紅羽とやら、だが」
ライクは紅羽の隙をついて拳を脇腹にヒットすると、またもや壁まで吹き飛ぶ。
「ぐっ!」
「異能を使えよ、殺し屋」
「言われなくても、もう使っている」
糸音は空中に固定された音を指で操作する。
ライクは神経を集中させて、音の位置を探るが全く感知できなかった。そして右腕が音と共に弾ける。後方へ退けるライクだが、その場所にも音があり、背中から弾けると、よろけざまにさらなる音がライクを立て続けに音の爆弾が襲いかかる。
「や、やったのか」
紅羽が立ち上がり糸音の元へやってくる。
「いや、まだだな」
ライクは頭だけになっていたがすぐに再生を始め、元通りになる。
「面白い異能だ、しかし本当に音の場所がわからない。吸血鬼じゃなかったら死んでいたよ」
「はぁ、だめだったか」
「なぁ、お前はどうやって吸血鬼になったんだ?」
「ん?いいだろう、俺を一度殺した褒美に教えてやる、これだ」
ライクは小さな赤い液体が入った小瓶を見せてきた。
「なんだ、それは」
「これはある吸血鬼の血液さ、これを体内に入れる事によって吸血鬼化に成功した」
「な、馬鹿な!そんな事で吸血鬼になれるものなのか」
「そういうことか、通りで眷属崩れが多すぎるはずだ」
「どういうことだ?」
「大方、そいつの言っていることは事実だ、本来、人間の吸血鬼化は吸血鬼に噛まれる事によってなるものだ、しかし噛まれると言う行為を省いた事で正規の吸血鬼ではない。あまり詳しくは知らないがその行為に意味があるそうだ。しかしこいつは吸血鬼の血を体内に入れるだけで吸血鬼になった、謂わゆる擬似眷属だ。もちろん正規の眷属では無い者に噛まれた人間はもちろん眷属崩れになる。だが、何故お前が吸血鬼の血液なんて物を持っているんだ?」
「ジャックだよ」
「なに、、」
「ジャックザリッパーだよ!あいつが俺に渡した!奴には感謝しねぇとなぁ、おかげで俺は吸血鬼となり、この国の均衡を崩すことに成功した。クレインは弱すぎたよ、だが!同時期にお前達が現れた。正確には夕凪糸音、お前がだ!俺は思ったよ、こいつとなら面白い戦いが、俺の渇きを癒してくれると!」
「そうか、簡単に情報をくれる馬鹿で助かる」
「なんだ、まるで俺を殺してこの場から去れると思っているのか?」
「私達がお前を殺すからな」
「はっはっはっ!やってみろ殺し屋!」
「紅羽、何秒あいつを足止めできる?」
「そうだな、せいぜい三十かな」
「十分だ、頼んでいいか?」
「了解!」
紅羽はライクへと駆け出す。
「おいおい!お前かよ!」
「悪いな」
糸音は針と糸を取り出して空中で編みだす。
「くっ!」
糸音はライクの手刀の剣舞に押されていた。
斬撃の速さは言うまでもなく、糸音は斬撃一つ一つに神経を尖らせて対応していく。しかし、流石の糸音も動きが鈍ってくる。そして、重い一撃が糸音に入り壁まで吹っ飛んだ。
「終わりか?なら死ね」
ライクが接近して手刀が糸音の喉元に迫る。しかしその斬撃は糸音には届かなかった。
「なんだ、まだ生きていたのか」
「勝手に殺すなよ、吸血鬼」
紅羽が和刀で斬撃を防いでいた。そのまま和刀でライクを薙ぎ払うが、ライクは後方へ退ける。
「大丈夫か、糸音」
「あぁ、助かった」
「二人でやるぞ」
「面白い、かかってこい」
二人はライクへ駆け出す。紅羽の和刀の動きに合わせて、糸音の針剣がライクを襲う。
「ほう、さっきよりはマシか。思ったよりもやるな紅羽とやら、だが」
ライクは紅羽の隙をついて拳を脇腹にヒットすると、またもや壁まで吹き飛ぶ。
「ぐっ!」
「異能を使えよ、殺し屋」
「言われなくても、もう使っている」
糸音は空中に固定された音を指で操作する。
ライクは神経を集中させて、音の位置を探るが全く感知できなかった。そして右腕が音と共に弾ける。後方へ退けるライクだが、その場所にも音があり、背中から弾けると、よろけざまにさらなる音がライクを立て続けに音の爆弾が襲いかかる。
「や、やったのか」
紅羽が立ち上がり糸音の元へやってくる。
「いや、まだだな」
ライクは頭だけになっていたがすぐに再生を始め、元通りになる。
「面白い異能だ、しかし本当に音の場所がわからない。吸血鬼じゃなかったら死んでいたよ」
「はぁ、だめだったか」
「なぁ、お前はどうやって吸血鬼になったんだ?」
「ん?いいだろう、俺を一度殺した褒美に教えてやる、これだ」
ライクは小さな赤い液体が入った小瓶を見せてきた。
「なんだ、それは」
「これはある吸血鬼の血液さ、これを体内に入れる事によって吸血鬼化に成功した」
「な、馬鹿な!そんな事で吸血鬼になれるものなのか」
「そういうことか、通りで眷属崩れが多すぎるはずだ」
「どういうことだ?」
「大方、そいつの言っていることは事実だ、本来、人間の吸血鬼化は吸血鬼に噛まれる事によってなるものだ、しかし噛まれると言う行為を省いた事で正規の吸血鬼ではない。あまり詳しくは知らないがその行為に意味があるそうだ。しかしこいつは吸血鬼の血を体内に入れるだけで吸血鬼になった、謂わゆる擬似眷属だ。もちろん正規の眷属では無い者に噛まれた人間はもちろん眷属崩れになる。だが、何故お前が吸血鬼の血液なんて物を持っているんだ?」
「ジャックだよ」
「なに、、」
「ジャックザリッパーだよ!あいつが俺に渡した!奴には感謝しねぇとなぁ、おかげで俺は吸血鬼となり、この国の均衡を崩すことに成功した。クレインは弱すぎたよ、だが!同時期にお前達が現れた。正確には夕凪糸音、お前がだ!俺は思ったよ、こいつとなら面白い戦いが、俺の渇きを癒してくれると!」
「そうか、簡単に情報をくれる馬鹿で助かる」
「なんだ、まるで俺を殺してこの場から去れると思っているのか?」
「私達がお前を殺すからな」
「はっはっはっ!やってみろ殺し屋!」
「紅羽、何秒あいつを足止めできる?」
「そうだな、せいぜい三十かな」
「十分だ、頼んでいいか?」
「了解!」
紅羽はライクへと駆け出す。
「おいおい!お前かよ!」
「悪いな」
糸音は針と糸を取り出して空中で編みだす。
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2024.6.1~2024.6.5
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執筆開始
2024.6.7~2024.10.5 78400字 番外編2つ
❦イラストは、AI生成画像自作
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