天使ノ探求者

はなり

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第五章 忘却再生

第81話 思わぬ奇襲

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ルクスリアと詩織は次々と向かってくる眷属崩れ達に苦戦していた。
 
「おい、マジでそろそろ限界だぞ!」
 
「頑張れー、ルクスリア」
 
「相変わらず、むかつくぐらい呑気なやつだな」
 
疲弊してきているルクスリアと違って詩織は華麗に眷属崩れ達を薙ぎ倒していっている。
 
(実際、詩織は平気な顔をしているが、これがいつまで続くか、、)
 
「おい!詩織、何かいい手はないのか!?」
 
「あるにはあるよ」
 
「どんな手だ?」
 
「ルクスリア、頑張って城内に移動できる?私も手伝うけど」
 
「ん?あぁ、了解した」
 
「おっけい」
 
詩織は呑気に返事をすると城内へ入れる門まで一気に眷属崩れ達を薙ぎ倒して行き、ルクスリアもその後に続く。そして詩織が門をぶっ壊すと中からさらに眷属崩れが現れた。
 
「まぁいいか、ちょっと息止めてね」
 
「え?」
 
詩織は巻物を二本取り出すとクナイで両方の巻物に描かれた円の中心を刺すと、片方は水が現れてルクスリアと詩織を包みこむ、そしてもう片方からは勢いよく炎が吹き出して、それが龍になり眷属崩れ達を飲み込んで行き、辺りは一瞬で火の海と化した。
数秒後、二人を包んでいた水が弾けて辺りに雨を降らし火は鎮火した。後に残ったのは日に焼かれた眷属崩れ達の残骸だけだった。
 
「これでよしと、成功したね。火で焼いて再生出来なくしてやった」
 
「ゴホッ!ゴホッ!おい、事前に言ってくれこういうことは」
 
「あー、ごめんごめん。まぁでも結果全滅したよ。城内もほら、この通り」
 
見渡すと再生している者は居なくなり静かになった。
 
「城が燃えなくよかったよ、ありがとう詩織」
 
「どうもー、さぁ行こうか」
 
「!?」
 
二人が階段を上がろうとしたその時、黒い影がルクスリアを城外へ移動させた。
 
「な、なんだ!」
 
ルクスリアが連れ去られた城外を見ると、男が一人ルクスリアの首にナイフを当て立っていた。
 
「これはこれは、ルクスリア殿じゃないですか」
 
「その声はジャックか!」
 
「久しぶりですね、あなたは初めましてですかな。私はジャックザリッパー、この国の新しい王です」
 
「王?まぁなんでもいいけどさ、ルクスリア返してくれない」
 
「報告通りのマイペースな方ですね」
 
「何しに来た、ジャック!」
 
「何って、あなたを攫いに来たんですよ」
 
「何の為に、、」
 
「あなたは知らなくていいですよ、それでは貰いますね」
 
ジャックはルクスリアを気絶させると彼女を抱えて上空に上昇する。
 
「糸音という少女に伝言を、北で待っているとそう伝えなさいな」
 
「あぁ、わかった」
 
「ん?えらく素直ですね」
 
「まぁ、返せって言っても返してくれないし。それと一つ言っておくけど、、、ルクスリアには手を出すなよ」
 
詩織は今までに見せたことの無い冷徹な眼光をジャックに向ける。
 
「わかっていますよ。では」
 
ルクスリアはジャックと共には黒い影となり消えた。
 
「まずいな、、まぁとりあえず上に行くか」
 
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