天使ノ探求者

はなり

文字の大きさ
上 下
66 / 199
第四章 捲土重来

第65話 ゲームセット

しおりを挟む
ゴトーは事務室から出ると階段を降りていった。そして糸見達のいるホールへと向かう。
 
「ん?何だ誰もいないのか」
 
ゴトーは目的のホールへ着くと辺りを見渡す。しかし、人影一つすら無かった。そしてゴトーは地下への階段へと向かったが、何かにひっかかり転けた。
 
「あいたっ!なんだ!」
 
糸にひっかかり転けたことを確認すると辺りを警戒しながら立ち上がる。
次の瞬間、体が動かなくなった。
 
「な、なんだ!な、なぜ動かん!」
 
「引っ掛かったな間抜けが」
 
すると闇の中から四人の人影が現れた。
 
「ミセス、糸見、何故、お前が!それにモーティブ!貴様裏切ったのか!」
 
「いいや、俺は最初から仲間じゃないですよ、利害の一致であんたのゲームに乗ったんだ」
 
「な、なんだと!ふざけるな!いいのか、ミセス糸見、モーティブはまだ死んでない、ゲームは終わっていませんよ」
 
「いや、終わった。その糸は異能殺しだ、ゲームは終わり、私たちの勝ちだ」
 
「く、くそ!まぁ、気に入りませんが認めましょう。楽しめたのは事実ですからね」
 
「なんだ、えらくあっさりだな。これでいいのか」
 
「ああ、助かった」
 
糸見はフィの懐から薬を取り出すとフィと少年に飲ませる。
数秒後、二人は目を覚ました。
 
「こ、ここは、、、終わったのか」
 
「あぁ、よくやってくれたなフィ」
 
「ボス、シーバもそれに、そっちは誰だ?怪我をしているみたいだが」
 
「あぁ、俺はモーティブ。敵だったが負けたから、今は敵ではない」
 
「よくわからんが敵ではないのか」
 
糸見はゴトーに近づいて座ると話しを切り出した。
 
「さぁ、宗谷についての情報を教えてくれ」
 
「いいでしょう。奴らは北の国、ヘイオーの外れの島にいる」
 
「そんな島、本当にあるのか?」
 
「あぁ、宗谷の異能で霧に包まれた海の上に浮かんでる」
 
「なるほどな、っで敵は何人いる?」
 
「さぁな、少なくとも私がいた時は七人いたがおそらく増えているだろうな、アイツは今未凪と夜月とも協定を組んだんだから」
 
「ここの噂は知っているのか?」
 
「あぁ、シファが勝手にやっていたのだろ。私は咎めない、金になるからと言っていたからな」
 
シーバがそれを聞きつけゴトーを殴る。
 
「くそが!」
 
「おい、シーバ、やめとけ」
 
フィがそれを止める。そしてゴトーは気絶してしまった。
 
「まぁいい、必要な情報は最小限手に入れた。任務は達成だ、あの女に伝えるとしよう」
 
糸見は立ち上がると今度は座っていたモーティブに声をかける。
 
「モーティブ、お前何故私を糸見様と呼ぶ。呼び方にどこと無く何かを感じた、それが何かわからないが、昔会ったことがあるのか?」
 
「感服するぜ、糸見様。あぁ、俺は昔四々皇家に支えていた戦士だ」
 
「な、なんだと!じゃあ、奴と、ゴルドーと同じか」
 
「あぁ、だがゴルドーは俺よりも前に四々皇家にいた。俺は糸見が去った後から雇われた。抜けたのは三年前だ、あんたの話は母君から聞いていたからな」
 
「母さんか、懐かしいな。元気にしているのか?」
 
「あぁ、あんたの噂を教えてくれたのも母君だった」
 
「そうか」
 
「ボス行きましょう。早く報告して休暇を取りましょう」
 
「あぁ」
 
糸見はゴトーを縛る糸を解いて、別の糸で再び縛ると出口へ向かう。
 
「おい、何している行くぞ、モーティブ」
 
「いいのか?敵の俺を」
 
「何言ってんだ、お前は私に負けた。だからもう私についてこいって言ってるんだ」
 
「なっ!、、ふっふ、、無茶苦茶だな」
 
モーティブは立ち上がり糸見達の後を追い、歩み出す。カジノでの報告を遊達が受け取るのはこれより三日後のことであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

月は夜をかき抱く ―Alkaid―

深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。 アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...