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第四章 捲土重来
第53話 Paradise city
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「ここが、ペルシャナですね」
「こりゃまた随分と明るい街だな」
「油断するなよ、この街は明るいが汚い」
糸見とフィ、シーバの三人は遊の依頼でペルシャナに来ていた。
ここペルシャナは南方の街、金と欲望が渦巻く摩天楼。この街は一夜で人生が逆転すると言われているそしてこの街の二つ名はパラダイスシティと呼ばれている。
「金と欲望か」
三人は人混みをかき分けて進んでいく。
「んで、件のカジノはどこですか、ボス」
「もうじきだ」
今から向かうカジノはこの街の曰くを生んだとされる、カジノミッシェル。
カジノミッシェルには黒い噂がある、今回の依頼はその噂を暴き、ある情報を聞き出さなければならない。
「憂鬱だな」
「たしかに憂鬱ですね。依頼内容が今までにない程ハードですから」
「それも、そうだが、志貴、、直接的ではないが奴を助けることになるっていうのがな」
糸見はあの戦いの後、考えていた。自分はこれからどうするべきなのか。志貴への恨みは晴れてはいない。だが自分が誰のために、何の為に刃を振るうべきなのか。今回、依頼を受けたのも何か見つかるかもしれないと思い受けたのだった。
「着いたか」
件のカジノの前に着くと、屈強なスーツの男達が数人居て、入り口を出入りする客と前でたむろする若者で賑わっていた。
カジノの年齢制限は成人以上で、階層によって客層が違う。地下一階が若者向けのゲームやダーツ、ビリヤード、ボーリングが有り、その全てに賭け金が掛かっている。
一階はスロットマシーンが埋め尽くしている。ここは若者というよりは二十代後半~三十代後半までが大半を占めている。
二階は吹き抜けになっていて、ここではポーカー、競馬ができる。しかし二階へはVIPのみが入れようになっていて、金を積めば誰であろうと入れるが。出る際もお金がいるので確実に二階で勝たないと帰れない。
「さて、どうしたもんかな。ん?」
糸見は入り口にいる警備員に目を向ける。
「どうしましたか、ボス」
「いや、、よし!このまま入るぞ」
「おいおい、いいのかよボス」
二人は少し困惑したが、ボスを信じて入ることにした。
特に何事もなくカジノに入ることができた三人。中に入ると至る所にスロットマシーンが並んで客で賑わっていた。負けて叫ぶ者、勝って喜ぶ者、中にはそれ見て楽しむ者もいた。
「さて、とりあえず二手に分かれようか。二人は下に行ってくれ、私はこの階を調べる」
「了解しました、ではお気をつけて。行くぞシーバ」
「おうよ!何かあったら呼んどくれ」
二人を見送ると糸見はまず、お手頃なスロットマシーンに座り回す。どうやらレートは一枚、四千円、八千円、一万二千円の三つのレートを選べる仕様になっている。
「そうだな、、」
少し考えて、糸見は八千円のレートを選択してマシーンを回す。数分回していると
トゥルートゥトゥルートゥトゥルー!
糸見の台から当たりの音が鳴り響く。台の上のメモリの数が増えていく。
「おいおい、姉ちゃんすげぇな。大当たりじゃねぇか」
「おー!すげぇな」
「若いのにやるなぁ」
周りに人が集まってきて、目立ってしまう糸見、そしてスーツの男が来ると。
「お客様、おめでとうございます。現在のメモリが123600枚となりました。高額になりますのでこちらへ」
「あぁ」
糸見はスロットマシーンが立ち並ぶ奥の部屋へと案内された。そこには男が一人ソファに座ってワインを飲んでいた。
「君が、スロットコーナーを沸かせていたガールだね」
糸見は一目見て確信した。見透かした様な目で大仰にソファに座っているこの男が、このカジノのオーナー、ゴトー・リスク、遊の言っていた宗谷と夜月に繋がっているであろう人物。
「こりゃまた随分と明るい街だな」
「油断するなよ、この街は明るいが汚い」
糸見とフィ、シーバの三人は遊の依頼でペルシャナに来ていた。
ここペルシャナは南方の街、金と欲望が渦巻く摩天楼。この街は一夜で人生が逆転すると言われているそしてこの街の二つ名はパラダイスシティと呼ばれている。
「金と欲望か」
三人は人混みをかき分けて進んでいく。
「んで、件のカジノはどこですか、ボス」
「もうじきだ」
今から向かうカジノはこの街の曰くを生んだとされる、カジノミッシェル。
カジノミッシェルには黒い噂がある、今回の依頼はその噂を暴き、ある情報を聞き出さなければならない。
「憂鬱だな」
「たしかに憂鬱ですね。依頼内容が今までにない程ハードですから」
「それも、そうだが、志貴、、直接的ではないが奴を助けることになるっていうのがな」
糸見はあの戦いの後、考えていた。自分はこれからどうするべきなのか。志貴への恨みは晴れてはいない。だが自分が誰のために、何の為に刃を振るうべきなのか。今回、依頼を受けたのも何か見つかるかもしれないと思い受けたのだった。
「着いたか」
件のカジノの前に着くと、屈強なスーツの男達が数人居て、入り口を出入りする客と前でたむろする若者で賑わっていた。
カジノの年齢制限は成人以上で、階層によって客層が違う。地下一階が若者向けのゲームやダーツ、ビリヤード、ボーリングが有り、その全てに賭け金が掛かっている。
一階はスロットマシーンが埋め尽くしている。ここは若者というよりは二十代後半~三十代後半までが大半を占めている。
二階は吹き抜けになっていて、ここではポーカー、競馬ができる。しかし二階へはVIPのみが入れようになっていて、金を積めば誰であろうと入れるが。出る際もお金がいるので確実に二階で勝たないと帰れない。
「さて、どうしたもんかな。ん?」
糸見は入り口にいる警備員に目を向ける。
「どうしましたか、ボス」
「いや、、よし!このまま入るぞ」
「おいおい、いいのかよボス」
二人は少し困惑したが、ボスを信じて入ることにした。
特に何事もなくカジノに入ることができた三人。中に入ると至る所にスロットマシーンが並んで客で賑わっていた。負けて叫ぶ者、勝って喜ぶ者、中にはそれ見て楽しむ者もいた。
「さて、とりあえず二手に分かれようか。二人は下に行ってくれ、私はこの階を調べる」
「了解しました、ではお気をつけて。行くぞシーバ」
「おうよ!何かあったら呼んどくれ」
二人を見送ると糸見はまず、お手頃なスロットマシーンに座り回す。どうやらレートは一枚、四千円、八千円、一万二千円の三つのレートを選べる仕様になっている。
「そうだな、、」
少し考えて、糸見は八千円のレートを選択してマシーンを回す。数分回していると
トゥルートゥトゥルートゥトゥルー!
糸見の台から当たりの音が鳴り響く。台の上のメモリの数が増えていく。
「おいおい、姉ちゃんすげぇな。大当たりじゃねぇか」
「おー!すげぇな」
「若いのにやるなぁ」
周りに人が集まってきて、目立ってしまう糸見、そしてスーツの男が来ると。
「お客様、おめでとうございます。現在のメモリが123600枚となりました。高額になりますのでこちらへ」
「あぁ」
糸見はスロットマシーンが立ち並ぶ奥の部屋へと案内された。そこには男が一人ソファに座ってワインを飲んでいた。
「君が、スロットコーナーを沸かせていたガールだね」
糸見は一目見て確信した。見透かした様な目で大仰にソファに座っているこの男が、このカジノのオーナー、ゴトー・リスク、遊の言っていた宗谷と夜月に繋がっているであろう人物。
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