天使ノ探求者

はなり

文字の大きさ
上 下
34 / 199
第三章 幽愁暗恨

第33話 ルミとルナ

しおりを挟む
私たちは父から虐待を受けていた。母は私たちを助けようとはせず、そのまま放置した。世間体を気にしてか親はその事を隠して過ごしていた。まわりには素敵な家族像に映っていただろう。だけど事件は起こった、些細な夫婦喧嘩だった、だけど父が私たちの目の前で母を殺したのだ。妹は泣き叫んだ。私も泣いてたかもしれない、でも自分たちを助けてくれない人なんか、たとえそれが生みの親でも死んで当然だと思っていた。そして父は母の死体を私たちに埋めるように言いつけた。周囲の人達には母親は行方不明になったとか言って誤魔化していたのだろう。そして私たちは都会から離れて山の中で暮らし始めた。
それからは地獄の様な日々だった。父親は強盗や強姦、殺された人たちを私たちが次から次へと埋めに行く、そんな狂った生活が始まった。妹は毎日泣いては殴られて、私は庇うが殴り飛ばされて結局二人共殴られる。ひとしきり殴られたら父は出て行きまた女を探して攫って殺す。精神がおかしくなる思いだったが、私は思っていた。いつか父親を殺して自分達は自由になるんだと。そしてそんな日々が続いたある日、私たちは父親が連れてきた男達に殴られ、犯されかけた。妹が叫び声をあげたその時、家にいた私達姉妹以外が突然倒れた。最初は何が起こったのか分からなかったが、倒れたなら好都合だと思い。私はそのまま家に火を放った。それから私は妹と山の中のさらに奥へと行き洞窟で過ごしていた。幸いにも処世術は身につけていたから衣食住には困らなかった。山では自給自足の生活を送っていた。そんなある日、私がいつもの狩りから帰ってくると妹が倒れていた。原因は不明だが高熱が何日も続いた。そして私は意を決して街へとおりた。誰か治せる者がいないか聞いて回ったがどこにも相手にされずに日が暮れ、そして山に戻り妹の看病をする。そんな生活が数日続いたある日、いつもの様に街で鎮痛剤を盗んで帰ると洞窟の前に喪服の男が居た。最初は警戒した。だがその男は妹を治せるといい、治す代わりに条件をつけてきた。私はその条件をのみ、妹は元気になった。私は異能力者となって力の使い方、あり方などを教わった。そして男の目的を聞き賛同した。これが四ヶ月ほど前の話。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

月は夜をかき抱く ―Alkaid―

深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。 アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...