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第三章 幽愁暗恨
第24話 怪物
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一
「お前、吸血鬼の俺より力があるんじゃねぇか」
投げ飛ばされてそのまま木に引っ掛かってぶら下げられている、短髪吸血鬼は火憐に話しかける。一方で火憐は退屈そうに丸太の上で足をぶらぶらさせている。
「そんなことないんじゃないか。現に今、お前それ力尽くで壊せるんじゃね。やってみてよ、怒んないからさ」
「おいおい、敵にそんな事言っていいのか」
「いいよ、どうせ逃げても捕まえるから」
「捕まえる?そういや、殺すとか言ってなかったけか?お前ら」
「そうなんだけどさ、よくよく考えると一人生捕りにして情報抜き取らないとだめだったんだよね。だからこうして捕まえているんだよ」
「なるほどな、さて」
男は鎖に繋がれていたがいつの間にか地面に立っていた。
「はぁ、めんどくさいな」
火憐はさも怠そうに鎖を取り出すと振り回しはじめる。
「おいおい、そんな振り回して。俺に当たって死んだらどうするんだ」
「大丈夫だろ、吸血鬼だし」
火憐は一頻り振り回すと鎖の先を男に目掛けて振り飛ばす。
男は避け、後ろの木が倒れる。
「まじか、当たったら痛えやつじゃん」
火憐は鎖をもう一つ取り出して両方の腕に持って振り回しはじめる。すると火憐の腕に鎖が巻き付きそして鎖と鎖を摩擦させて火を起こした。
「やーめた。生捕りにできたらするからさ、頑張って生きてね」
「は?っておい!待て!」
間髪いれずに男に襲いかかる。火のついた両腕で拳打を繰り出す火憐。
「あっつ!」
男は避けれてはいるが火の範囲が広すぎて徐々に炎に焼かれる。
「私ってさ、耐熱半端ないんだよね。火も触れるし、試した事ないけど食べれるんじゃないかな、火」
「異能か、全く厄介だな。これじゃあ灰になっちまうぜ。ん?」
男は足元を見やる。男の意識はそこで途切れた。
「引っ掛かった引っ掛かった」
火憐は頭が無くなって木から逆さになった男を見ながら無気力に笑った。
ニ
「もういいな」
「随分と律儀ですわね」
どう城を落とすか数分考えていた涼香。
そして城門が開き中から砂の兵士が次から次へと進撃して来る。
「待ってもらったからな!こちらも礼儀として待ったまでだ!」
兵士が涼香まで辿りつき次から次に砂の剣で襲いかかる。
「ククククク!薙ぎ倒してさしあげましょう!」
涼香は笑いながら氷刃で裂き、氷槍を生み出し次々と兵士達を元の砂に変えていく。
「悪魔だな。だが」
城の砲台から砂の弾丸が放たれる。
「!?」
涼香は器用にも弾丸の雨を避けて兵士を薙ぎ倒して前に進んでくる。
「弾切れはないから安心しろ!それからこいつも追加だ!」
城から砂の壁が無数に開きそこから砂の槍が放たれる。
「!?」
涼香は足元を見ると砂の手が再び足を掴んでいた。
「ここら一帯は領地だ!分身で逃げようとしても無駄だ!手が砂を触れている限り俺は体温でサーチできる、貴様は本体だ!」
全ての槍、弾丸、が兵士ごと涼香に降り注ぐ。
巻き上げられた砂塵がはれ、跡形もなく無くなっていた。
「体温はなし、跡形もなくこの世から消えたか。全く、とんだ化け物だったな」
シェイが立ちあがろうとしたその時、辺りの温度が急激に下がっていく感覚を覚える。
「なんだ!?」
城の下、先ほど涼香がいた辺りに季節はずれの吹雪が舞う。
「いや、焦りましたわ。私もまだまだですね」
「ば、ばかな!たしかに、確かに体温は消えた。確実に死んだ筈だ!分身はいなかった筈!」
「簡単ですよ。それは私が最初から本物ではないからですよ」
「どう、言う事だ!?なら本体は離れたところにいると言うのか!?」
「本体はこの世に居ませんわよ」
シェイは戦慄した。今自分は何と戦っているのか。化け物では到底言い表せない、怪物の中の怪物に自分は挑んでしまったんだと。
「うおーーーー!!」
「あら気が触れましたのね」
城から再び攻撃の雨が降り注ぐ。しかし涼香は優々と交わして兵士を薙ぎ倒して城の目前までやってきた。そして、足元に氷の柱を作りシェイの玉座までやってきた。
「お、おまえは何なんだ!!人の皮を被る鬼か、怪物か、悪魔か、ははははははははははははははははっははははははっははははははは!!!」
「楽しめましてよ、ありがとう」
氷刃がシェイの真上に振り下ろされる。
「ぁぁああ、やはり戦いは面白いですわね。特に最後の顔。クククククククククク!!あっ!生捕りでしたわね。火憐に期待しましょうか。獲物で遊ぶのは辞められませんね」
「お前、吸血鬼の俺より力があるんじゃねぇか」
投げ飛ばされてそのまま木に引っ掛かってぶら下げられている、短髪吸血鬼は火憐に話しかける。一方で火憐は退屈そうに丸太の上で足をぶらぶらさせている。
「そんなことないんじゃないか。現に今、お前それ力尽くで壊せるんじゃね。やってみてよ、怒んないからさ」
「おいおい、敵にそんな事言っていいのか」
「いいよ、どうせ逃げても捕まえるから」
「捕まえる?そういや、殺すとか言ってなかったけか?お前ら」
「そうなんだけどさ、よくよく考えると一人生捕りにして情報抜き取らないとだめだったんだよね。だからこうして捕まえているんだよ」
「なるほどな、さて」
男は鎖に繋がれていたがいつの間にか地面に立っていた。
「はぁ、めんどくさいな」
火憐はさも怠そうに鎖を取り出すと振り回しはじめる。
「おいおい、そんな振り回して。俺に当たって死んだらどうするんだ」
「大丈夫だろ、吸血鬼だし」
火憐は一頻り振り回すと鎖の先を男に目掛けて振り飛ばす。
男は避け、後ろの木が倒れる。
「まじか、当たったら痛えやつじゃん」
火憐は鎖をもう一つ取り出して両方の腕に持って振り回しはじめる。すると火憐の腕に鎖が巻き付きそして鎖と鎖を摩擦させて火を起こした。
「やーめた。生捕りにできたらするからさ、頑張って生きてね」
「は?っておい!待て!」
間髪いれずに男に襲いかかる。火のついた両腕で拳打を繰り出す火憐。
「あっつ!」
男は避けれてはいるが火の範囲が広すぎて徐々に炎に焼かれる。
「私ってさ、耐熱半端ないんだよね。火も触れるし、試した事ないけど食べれるんじゃないかな、火」
「異能か、全く厄介だな。これじゃあ灰になっちまうぜ。ん?」
男は足元を見やる。男の意識はそこで途切れた。
「引っ掛かった引っ掛かった」
火憐は頭が無くなって木から逆さになった男を見ながら無気力に笑った。
ニ
「もういいな」
「随分と律儀ですわね」
どう城を落とすか数分考えていた涼香。
そして城門が開き中から砂の兵士が次から次へと進撃して来る。
「待ってもらったからな!こちらも礼儀として待ったまでだ!」
兵士が涼香まで辿りつき次から次に砂の剣で襲いかかる。
「ククククク!薙ぎ倒してさしあげましょう!」
涼香は笑いながら氷刃で裂き、氷槍を生み出し次々と兵士達を元の砂に変えていく。
「悪魔だな。だが」
城の砲台から砂の弾丸が放たれる。
「!?」
涼香は器用にも弾丸の雨を避けて兵士を薙ぎ倒して前に進んでくる。
「弾切れはないから安心しろ!それからこいつも追加だ!」
城から砂の壁が無数に開きそこから砂の槍が放たれる。
「!?」
涼香は足元を見ると砂の手が再び足を掴んでいた。
「ここら一帯は領地だ!分身で逃げようとしても無駄だ!手が砂を触れている限り俺は体温でサーチできる、貴様は本体だ!」
全ての槍、弾丸、が兵士ごと涼香に降り注ぐ。
巻き上げられた砂塵がはれ、跡形もなく無くなっていた。
「体温はなし、跡形もなくこの世から消えたか。全く、とんだ化け物だったな」
シェイが立ちあがろうとしたその時、辺りの温度が急激に下がっていく感覚を覚える。
「なんだ!?」
城の下、先ほど涼香がいた辺りに季節はずれの吹雪が舞う。
「いや、焦りましたわ。私もまだまだですね」
「ば、ばかな!たしかに、確かに体温は消えた。確実に死んだ筈だ!分身はいなかった筈!」
「簡単ですよ。それは私が最初から本物ではないからですよ」
「どう、言う事だ!?なら本体は離れたところにいると言うのか!?」
「本体はこの世に居ませんわよ」
シェイは戦慄した。今自分は何と戦っているのか。化け物では到底言い表せない、怪物の中の怪物に自分は挑んでしまったんだと。
「うおーーーー!!」
「あら気が触れましたのね」
城から再び攻撃の雨が降り注ぐ。しかし涼香は優々と交わして兵士を薙ぎ倒して城の目前までやってきた。そして、足元に氷の柱を作りシェイの玉座までやってきた。
「お、おまえは何なんだ!!人の皮を被る鬼か、怪物か、悪魔か、ははははははははははははははははっははははははっははははははは!!!」
「楽しめましてよ、ありがとう」
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「ぁぁああ、やはり戦いは面白いですわね。特に最後の顔。クククククククククク!!あっ!生捕りでしたわね。火憐に期待しましょうか。獲物で遊ぶのは辞められませんね」
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