13 / 199
第一章 報仇雪恨(見)
第12話 覚醒
しおりを挟む
一
うちは真似してばっかだった、母さんの真似ばっかしていた。服装も真似て、喋り方も真似て、本当に子供だ。挙げ句、母さんの見回り組を真似て学園を守ると調子乗って、正義の味方ごっこで死んだなんてただのバカじゃんか。あぁ、死にたく無いな。
「雨か」
シーバはメイの亡骸の前で合掌をしていた。
「本職はやめても弔ってやらんとな」
数分合掌した後、シーバはその場を去ろうとすると突然。雷が落ちた。正確にはメイの亡骸に落ちた。
「死して天に焼かれるか」
「だーれが、焼かれたって!」
シーバは驚愕した。心臓が止まって、何かの拍子で再び動きだすならまだわかる、丸焦げになるならまだわかる、しかし雷という天災で再び動きだすなど聞いたことがないし、それにこの辺りは高い木々がある言わば自然の避雷針がそこかしこにあるにも関わらず、ピンポイントでしかも、天から一番遠い地べたにいるメイに当たるなど奇跡に等しかった。
「神の思し召しですかね」
「神?だぁ?そんなこと知らへんわ!そんなんどーでもええわ!今は最高にいい感じだからここからは上げていくで!」
「どうやら、雷に打たれてハイになっているようですね」
「よーい、どん!」
その瞬間メイは消えた。
(馬鹿な!目で追えないほど速いなど。それに先ほどとはまるで別人の動き!)
次の瞬間、シーバの真正面から飛んでくる人影を視認する、いや視認しかできなかった。いると思った時には既に眼前に拳が迫っていた。
「な!?」
シーバの顔面に強烈な電撃がのった一撃が放たれる!
「おー、すごいすごい!死ぬ前とは格段に電力が上がってパワーも上がってるやん!これでもう一回糸音とやりたいな!っとその前にもう一発いくで!」
メイは跳ねながらシーバを見ると
「・・・・」
「え?マジか、もう終わりかいな、仕方な・・い」
メイは電池が切れた様にその場に仰向け倒れる。
いびきが鳴り始めた頃には雨が上がっていた。
二
「夢を見てるのか、いや死んだから走馬灯か」
糸音は真っ白な世界に居た。
「そういえば少し前にもこんなことがあったな。もしかしてまたそれか」
糸音は何もない世界で一人歩く。
「死後の世界ってマジで何にもないんだな」
そんな呑気なこと言っていると、糸音は一つの足音を聞く。
「誰だ?」
いつの間にか糸音の後ろには男が一人立っていてそして
「やぁ、糸音久しぶり」
志貴によく似たその人物は優しい笑みを浮かべていた。
「すいません、失礼ですが誰ですか?あなたは」
「はっはっ、覚えてないか。なら発動したんだな。良かった。だがここにいるってことは君は死んだね」
「みたいですね。というか発動ってなんのことですか?」
「そうだね。あまり時間もないから手短に言うよ。君に記憶の改ざんを施した。正確にはそうなるように仕掛けたと言ったほうがいいか」
「仕掛けた?」
「あぁ、それを今解くよ。心配するな解除は簡単だよ。僕は夕凪糸衛だ」
名を聞いた。ただただ、その男の声でその名前を聞いただけ。その瞬間、糸音の脳内に今まで志貴との思い出だったものが糸衛との思い出、本来の正しい記憶へと変換され元に戻る。情報、記憶がフラッシュバックされ糸音の時が止まる。そして糸音は全てを思い出すとはいかなかったが。糸衛との思い出を取り戻した。
「師匠お久しぶりです」
糸音は久しぶりに泣いた。自分を育ててくれた父であり師である者との再開だった。
「色々、大変だったな糸音。すまなかった」
「いえ、私の方こそ師匠が死んで仇を討つため家を出たのに結局、何も出来なかった、ごめんなさい」
「あぁ、見ていたよ。僕の為に怒ってくれたんだね、ありがとう。そして君は、いずれその四年の記憶を取り戻す。それはとても大切なものだから自分で取り戻すことに意味がある」
「大切なもの」
糸音の体が唐突に光出した
「おっと、もう時間か」
「どういうことですか!師匠!」
「君の意識が戻ろうとしている」
「意識って、私は死んでないんですか?」
「いや、死んだよ。でもね君は再び・・が・・だ。おもっ・・り・・覚醒・・・い」
「師匠!」
糸衛の声が途切れだす。
「糸音、・・会えて・・かた・・最後に・・おぼ・・お・・ほし・・」
糸衛の最後のセリフを糸音はハッキリと聞いた。
宗谷には気をつけろ。
うちは真似してばっかだった、母さんの真似ばっかしていた。服装も真似て、喋り方も真似て、本当に子供だ。挙げ句、母さんの見回り組を真似て学園を守ると調子乗って、正義の味方ごっこで死んだなんてただのバカじゃんか。あぁ、死にたく無いな。
「雨か」
シーバはメイの亡骸の前で合掌をしていた。
「本職はやめても弔ってやらんとな」
数分合掌した後、シーバはその場を去ろうとすると突然。雷が落ちた。正確にはメイの亡骸に落ちた。
「死して天に焼かれるか」
「だーれが、焼かれたって!」
シーバは驚愕した。心臓が止まって、何かの拍子で再び動きだすならまだわかる、丸焦げになるならまだわかる、しかし雷という天災で再び動きだすなど聞いたことがないし、それにこの辺りは高い木々がある言わば自然の避雷針がそこかしこにあるにも関わらず、ピンポイントでしかも、天から一番遠い地べたにいるメイに当たるなど奇跡に等しかった。
「神の思し召しですかね」
「神?だぁ?そんなこと知らへんわ!そんなんどーでもええわ!今は最高にいい感じだからここからは上げていくで!」
「どうやら、雷に打たれてハイになっているようですね」
「よーい、どん!」
その瞬間メイは消えた。
(馬鹿な!目で追えないほど速いなど。それに先ほどとはまるで別人の動き!)
次の瞬間、シーバの真正面から飛んでくる人影を視認する、いや視認しかできなかった。いると思った時には既に眼前に拳が迫っていた。
「な!?」
シーバの顔面に強烈な電撃がのった一撃が放たれる!
「おー、すごいすごい!死ぬ前とは格段に電力が上がってパワーも上がってるやん!これでもう一回糸音とやりたいな!っとその前にもう一発いくで!」
メイは跳ねながらシーバを見ると
「・・・・」
「え?マジか、もう終わりかいな、仕方な・・い」
メイは電池が切れた様にその場に仰向け倒れる。
いびきが鳴り始めた頃には雨が上がっていた。
二
「夢を見てるのか、いや死んだから走馬灯か」
糸音は真っ白な世界に居た。
「そういえば少し前にもこんなことがあったな。もしかしてまたそれか」
糸音は何もない世界で一人歩く。
「死後の世界ってマジで何にもないんだな」
そんな呑気なこと言っていると、糸音は一つの足音を聞く。
「誰だ?」
いつの間にか糸音の後ろには男が一人立っていてそして
「やぁ、糸音久しぶり」
志貴によく似たその人物は優しい笑みを浮かべていた。
「すいません、失礼ですが誰ですか?あなたは」
「はっはっ、覚えてないか。なら発動したんだな。良かった。だがここにいるってことは君は死んだね」
「みたいですね。というか発動ってなんのことですか?」
「そうだね。あまり時間もないから手短に言うよ。君に記憶の改ざんを施した。正確にはそうなるように仕掛けたと言ったほうがいいか」
「仕掛けた?」
「あぁ、それを今解くよ。心配するな解除は簡単だよ。僕は夕凪糸衛だ」
名を聞いた。ただただ、その男の声でその名前を聞いただけ。その瞬間、糸音の脳内に今まで志貴との思い出だったものが糸衛との思い出、本来の正しい記憶へと変換され元に戻る。情報、記憶がフラッシュバックされ糸音の時が止まる。そして糸音は全てを思い出すとはいかなかったが。糸衛との思い出を取り戻した。
「師匠お久しぶりです」
糸音は久しぶりに泣いた。自分を育ててくれた父であり師である者との再開だった。
「色々、大変だったな糸音。すまなかった」
「いえ、私の方こそ師匠が死んで仇を討つため家を出たのに結局、何も出来なかった、ごめんなさい」
「あぁ、見ていたよ。僕の為に怒ってくれたんだね、ありがとう。そして君は、いずれその四年の記憶を取り戻す。それはとても大切なものだから自分で取り戻すことに意味がある」
「大切なもの」
糸音の体が唐突に光出した
「おっと、もう時間か」
「どういうことですか!師匠!」
「君の意識が戻ろうとしている」
「意識って、私は死んでないんですか?」
「いや、死んだよ。でもね君は再び・・が・・だ。おもっ・・り・・覚醒・・・い」
「師匠!」
糸衛の声が途切れだす。
「糸音、・・会えて・・かた・・最後に・・おぼ・・お・・ほし・・」
糸衛の最後のセリフを糸音はハッキリと聞いた。
宗谷には気をつけろ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
月は夜をかき抱く ―Alkaid―
深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。
アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる