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第一章 報仇雪恨(見)
第2話 元凶
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一
夕ヶ丘学園は二階建てで中庭を囲む様にして建っている。空き部屋がいくつかあり二階の各部屋を数人の生徒が寮部屋として使っている。
そんな寮部屋が並ぶ最奥の部屋の扉をツグハはノックする。
「失礼します。志貴様、あ、いえ学園長」
「いや言い直さなくてもいいよツグハ」
長身でシルバーの長髪、一見女性にも見えなくもなく、容姿端麗。夕凪家当主であり夕ヶ丘学園学園長の夕凪志貴は本が積んである机から寝ぼけ眼でそう答えた。
「学園長、いつも言ってるでしょう、出した本はきちんと直して下さい、後ここでは寝ないでくださいとあれほど言ったでしょう」
「あー、すまないツグハ、いつもの悪い癖で寝落ちしてしまった」
「まったく、ご自分で片付けてくださいね」
「了承しました。それはさて置き」
「さて置かないでください。さて置いてしまったら後で私が片付ける事になるんで、先に本を片付けてください」
「え、でも・・・」
「何か?」
ツグハは鬼の形相でせまる。
「了承しました」
渋々答えた志貴であった。
「さて、本も片付いたので本題に入ろうかな。糸音の様子はどうだい?」
「はい、今朝もお変わりなくいつも通りでした、ですが何かこう心が抜けているような感じでした」
「そうか、ツグハには伝えておこう。あの子には記憶がないんだ、いや正確にはある記憶だけが抜けている」
「ある記憶?」
「あぁ、糸音はね、家を出て僕が見つけるまでの約四年間の記憶が無いんだ、自分が殺し屋であること異能については覚えていたよ。それと記憶の混濁が見られる。兄貴との思い出を私との思い出に上書きされている様なんだ。先日病院でも兄さんの名前を聞いたら急に倒れだしてね。だから糸音の前では気をつけてくれると助かるよ」
「わかりました。それにしても原因は何なのでしょうか?」
「こればかりはわからん。まぁゆっくり思い出していけばいいさ、もしかしたら辛いことなのかもしれないしね」
「辛いこと、、」
ツグハは何かを思い出すかの様な悲しい表情になる。
「あぁ、すまないツグハ」
「いえ、いいんです」
「そうか。ところで糸音のやつ遅くないか」
「たしかに遅いですね。二度寝はしてないと思いますけど、、、あ、もしかして」
ツグハは訝しむ顔で
「メイに今日、糸音が来る事伝えましたか?」
それから少し間をおいて
「あっちゃー、忘れてた!」
二
糸音はイライラしていた、それもそのはず、訳もわからず攻撃をされているのだから
「いい加減にしろ!」
糸音が痺れを切らして蹴りで反撃する。
「ようやく反撃しよったな!いい蹴りやったで今の!こっからが本番やー!」
チャイナガールはさっきよりも速く糸音に詰め寄った。
速い!!
糸音は攻撃を交わしつつ隙を窺う。
ここか!!
瞬時に左の横腹に拳を叩き込む!
「グッゥ!今のは効いたでー!せやけど痺れとるんとちゃうか?」
糸音は手に妙な感覚を覚えた。雷ほどではないが静電気よりも強い痺れを感じた。
「電気か?妙な妖術を使う。いや異能か?」
「せや!うちは少しだけ電気を作り出す事ができるんや!」
「なるほどな、自家発電か」
「なんかその言い方気に食わんなー。まぁええわ、次で終わりにしたる!!」
自らの拳に電気を作りだして構える。
「はぁ、やれやれ仕方ない」
糸音は前に手を出し指を鳴らす構えをとった。
「あーそういや名乗ってなかったな、うちの名は雷々メイや!」
名は体を表すというがまんまだな。
さっきよりも、より速い拳打が糸音を襲う。しかし拳が当たる寸前、メイの眼前で指が弾かれる。
メイはそのまま後方に飛んでいき倒れた。
「グッッ!も無く倒れたな。すまないが加減が難しくてな。お前が電気を操れるのと同様で私は音を操ることができる、まぁ死にはしないよ、、、って聞こえてないか。しかし、こいつのせいで今の場所が分からなくなってしまった」
糸音は迷ってしまった。
夕ヶ丘学園は二階建てで中庭を囲む様にして建っている。空き部屋がいくつかあり二階の各部屋を数人の生徒が寮部屋として使っている。
そんな寮部屋が並ぶ最奥の部屋の扉をツグハはノックする。
「失礼します。志貴様、あ、いえ学園長」
「いや言い直さなくてもいいよツグハ」
長身でシルバーの長髪、一見女性にも見えなくもなく、容姿端麗。夕凪家当主であり夕ヶ丘学園学園長の夕凪志貴は本が積んである机から寝ぼけ眼でそう答えた。
「学園長、いつも言ってるでしょう、出した本はきちんと直して下さい、後ここでは寝ないでくださいとあれほど言ったでしょう」
「あー、すまないツグハ、いつもの悪い癖で寝落ちしてしまった」
「まったく、ご自分で片付けてくださいね」
「了承しました。それはさて置き」
「さて置かないでください。さて置いてしまったら後で私が片付ける事になるんで、先に本を片付けてください」
「え、でも・・・」
「何か?」
ツグハは鬼の形相でせまる。
「了承しました」
渋々答えた志貴であった。
「さて、本も片付いたので本題に入ろうかな。糸音の様子はどうだい?」
「はい、今朝もお変わりなくいつも通りでした、ですが何かこう心が抜けているような感じでした」
「そうか、ツグハには伝えておこう。あの子には記憶がないんだ、いや正確にはある記憶だけが抜けている」
「ある記憶?」
「あぁ、糸音はね、家を出て僕が見つけるまでの約四年間の記憶が無いんだ、自分が殺し屋であること異能については覚えていたよ。それと記憶の混濁が見られる。兄貴との思い出を私との思い出に上書きされている様なんだ。先日病院でも兄さんの名前を聞いたら急に倒れだしてね。だから糸音の前では気をつけてくれると助かるよ」
「わかりました。それにしても原因は何なのでしょうか?」
「こればかりはわからん。まぁゆっくり思い出していけばいいさ、もしかしたら辛いことなのかもしれないしね」
「辛いこと、、」
ツグハは何かを思い出すかの様な悲しい表情になる。
「あぁ、すまないツグハ」
「いえ、いいんです」
「そうか。ところで糸音のやつ遅くないか」
「たしかに遅いですね。二度寝はしてないと思いますけど、、、あ、もしかして」
ツグハは訝しむ顔で
「メイに今日、糸音が来る事伝えましたか?」
それから少し間をおいて
「あっちゃー、忘れてた!」
二
糸音はイライラしていた、それもそのはず、訳もわからず攻撃をされているのだから
「いい加減にしろ!」
糸音が痺れを切らして蹴りで反撃する。
「ようやく反撃しよったな!いい蹴りやったで今の!こっからが本番やー!」
チャイナガールはさっきよりも速く糸音に詰め寄った。
速い!!
糸音は攻撃を交わしつつ隙を窺う。
ここか!!
瞬時に左の横腹に拳を叩き込む!
「グッゥ!今のは効いたでー!せやけど痺れとるんとちゃうか?」
糸音は手に妙な感覚を覚えた。雷ほどではないが静電気よりも強い痺れを感じた。
「電気か?妙な妖術を使う。いや異能か?」
「せや!うちは少しだけ電気を作り出す事ができるんや!」
「なるほどな、自家発電か」
「なんかその言い方気に食わんなー。まぁええわ、次で終わりにしたる!!」
自らの拳に電気を作りだして構える。
「はぁ、やれやれ仕方ない」
糸音は前に手を出し指を鳴らす構えをとった。
「あーそういや名乗ってなかったな、うちの名は雷々メイや!」
名は体を表すというがまんまだな。
さっきよりも、より速い拳打が糸音を襲う。しかし拳が当たる寸前、メイの眼前で指が弾かれる。
メイはそのまま後方に飛んでいき倒れた。
「グッッ!も無く倒れたな。すまないが加減が難しくてな。お前が電気を操れるのと同様で私は音を操ることができる、まぁ死にはしないよ、、、って聞こえてないか。しかし、こいつのせいで今の場所が分からなくなってしまった」
糸音は迷ってしまった。
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