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主役交代!?商人トラキーネ
しおりを挟む宇宙。
それはすべての世界を包み込む、雄大にして
全世界の起源であるとともに、全生命体の課題。
技術が進歩し、昔よりかははるかに身近に
なったとは思いますが、まだまだそちら側には
遠いロマン。わからないことが多すぎる故。
しかし、最近の話題になっているモノを考えれば、
宇宙ははるかにそちら側には近しいのです。
例えば宮廷や大正浪漫には、時間移動技術が
必要にはなりますが、まだまだそれらはそちらの
技術的には実現できそうにはないし、転生には至っては
そうそう易々と起こるわけもないし、ましてや
前世云々がこの現実にあると、確たることが
実証された… されたっけ?アレされたんだっけ…
ま、まぁとにかく!是非ともご覧ください。
壮大にして美しい大宇宙の 大海原を舞台にした、
この作品を。『異世界転生モノがいい!』とか、
『エイリアンなんているわけねーだろバーロー』
なんて言わないで さぁ!!
宇宙の海をゆっくりと飛び続ける、平面の大地を
模した要塞の名は『ジャークネス』。
平面の大地の上には立ち並ぶのはギラギラな
輝きを放ち続ける摩天楼。そしてその中央に
鎮座するは、ジャークネスの統べる者達の根城に
して、絶対的権威の象徴でもある『ダークパレス』。
その内部にある部屋の一つは大広間。そこには
ジャークネスを統べる者達、『コズモル家』が
食事を楽しんでいた。黒い玉座に座り、料理を
美味しそうに食べる黄緑の着ぐるみのような
生命体と、その隣に座り ワイングラスに着ている
服装と同じ オレンジ色の液体を喉に流し込んだ、
この私、 『マルチー・トラキーネ』が中心になって。
「いやぁいい いやぁいい… やっぱり
ドルちゃんの料理も美味いねぇ…」
「エヘヘ~?そーかな~?」
「まっ、ジイの次にだけど」
「ありゃりゃ~?やっぱし~?」
そんな他愛のない会話を繰り広げるオリ君と
ドルちゃんこと、『ドルマンヨ』。そんなこの子が
作った今日の料理は…
【ハゲタカの肉をふんだんに使ったチキンカレー】
「いやぁ、昨日はビーフストロガノフとして
今日はカレー… このふたつってなんか似てない?」
「うんうんわかる~!ウミギちゃ~ん。
でもちゃ~んと新規で作ったからね~。
今日は結構な自信作なんだよ~?」
「あぁごめん… もふもふが切れた…!
ドルちゃん、抱きつかせろい!!」
「うわっ!まぁ食べ終わったからいいけど~
ほらヴァルちゃん ちゃんと口ふいて…」
この子は、着ぐるみのマスコットみたいな姿
してるけど、いわば私のサポーター的な存在。
家事全般を請け負ってくれている。身体も結構
もふもふ… 否、もっふもっふしてるので ほらほら、
今みたいにヴァルちゃんやウミギちゃんが
頻繁に抱きついてくるんですよこれが!
私も疲れた時はドルちゃんに抱きつくのは
もはや疲労回復のルーティンでもある。
ちなみに、ドルちゃんに性別の概念はないらしい。
なので女性がいくらドルちゃんに抱きつこうが、
女性である私がドルちゃんと一緒にいようが、
決して何も起こるようなことはない。
すると、ドルちゃんが私の元に寄ってくる。
「なかなかこの子達の保護者~…
板についてきたっぽいんじゃない?」
「やめてよねぇ… まるであのふたりが死んだ
ようなことを… まぁ確かにこの子達と
会うのはしばらくぶりだけどさぁ…」
「流石はトラキーネおばさんだ~!」
「誰がおばさんだっての!!」
私はドルちゃんをはたこうとしたが、
ドルちゃんはするりとそれをかわし、
私を思わずすっ転んだ。それを見て笑うみんな。
さぁて、この作品を追っている人は
どこか違和感を感じるかもしれない。
それもそのはず、この子達の両親にして
この作品の"前"主人公と"前"ヒロインは先週、
ワームホールに飲み込まれ、そのまま消息を
絶ってしまったのだ。アレからもう1週間。
「このイス、すっかりドルちゃん用だね~」
「エヘヘ~!やっぱりワイが
ロワちゃんのポジションなのかな~?」
しかし、両親が1週間もいなくなるというのは
惑星破壊やら、悪事やら、その他諸々の出張やらで
前々にもあったらしく、何より彼らは両親達の無事を
信じてやまないので、心配するようなことは
なかった。それに、代わりにココにいる 私たちも
彼らは顔見知りで、なおかつ今までのやり取りから
察された通り、仲良し全開なので 特に大きな
問題にはなっていない。それはジャークネス全体に
対しても同様だ。あのふたりは仮にもジャークネス
の王と妃的な存在。だが、あのふたりがいなかろう
がジャークネスはちゃんと回っている。他の惑星や王国は
王や妃といった君主や王族がいなくなると、
たちまち国が回らなくなり 瓦解していくモノだが…
そこがジャークネスとその辺の違いでもあるのだ。
まぁそもそも、上に立つモノがいなくなって滅びるモノ
なんて、所詮はその程度のモノでしかないわけだけど。
「それはそうとトラちゃん、久々に来てくれた
から ゲームとかいろいろやってくれたけど…」
「あっ、楽しかったよ~、ヴァルちゃん。でも
今度は私のやることに… 付き合ってくれるかな?」
「えぇ、どこに行って、どこと商談されるので?」
「え~っとねぇ、惑星 トードーのマッドリクサーの
センター会館でオメガコネクトさんとだよ~?
サヒダちゃ~ん」
「ありがとドルちゃ~ん!」
抱きつくサヒダちゃん。この中ではオリ君と
並んで真面目なのだが、ドルちゃんの緩さには
勝てないよねぇ こりゃあ。
「それじゃあ… 見た感じ、みんなお昼も食べ
終わったみたいだし、そろそろ準備しますかね…」
私はそう言って、大広間を出て 別の部屋に行き、
トランクを開けた。そこに入っていたのは
無数のカード。今日 オメガコネクトに
売るつもりの商品。…さぁて、今から皆様に
ご覧いただくとしましょう。この
マルチー・トラキーネが、コズモルチーが悪役と
しての生業として やっている悪逆非道のように、
どういったことを生業にしているのかを… ねぇ。
んんん… 肌で感じる大気の感触、
全身で感じる地面の感触がわかる。
意識がやっとハッキリしてきてたようだ。
どのくらい 意識をなくしていたんだろう…
地面の感触を全身で感じていたことから、
倒れていたらしい。体を起こし 見回すと、
そこには鬱蒼と茂ったジャングルのように
生えしきった木々と、深緑色の大地だった。
上を見上げると、木々に囲まれながらも
薄オレンジ色の空が見え、そこからわずかに
光が差す。そうだ…!他のみんなは…!?
そう思った瞬間、何やら声が聞こえてくる。
私は思わず茂みから声のする方を覗いた。
「無事でよかったわロワピ~♡」
「俺がこの程度でくたばるわけねぇだろ
エレピ~♡ でも早く戻らなねぇとなぁ…」
「だ~いじょうぶよ!ロワピ~なら
必ずなんとかしてくれるって~ん♡」
「ありがとエレピ~~~っ♡」
ロワイヤル君とエレーネアがいた。あぁやって
イチャついてるのはまぁいつもの話だが。
私はその光景に結構 イラつくと…
「無事ならばその人は武人!」
肉体より先に真っ先に口が動いていた。
その瞬間、ロワイヤル君とエレーネアの肉体は
一瞬にして氷に包まれた。ようやく私の存在を
理解したらしいふたりに、私はため息をついた。
そして、ふたりと共にすぐ近くに倒れていた
他のみんなも起こして、私たち全員は
ロワイヤル君とエレーネアのいた場所に集った。
「まぁとにかく、皆様 ご無事で何よりです」
「それより、ここは一体...」
「え?ここってジャークネスじゃ...」
「いやいつからこんな
ジャングルになったの!?」
エレーネアのボケにアオイヤル君のツッコミが
響くと、ミドイヤル君が何かに気づいた。
「あっ!おいみんな、アレ!」
ミドイヤル君が指した方向を見ると、
そこには ボロボロに半壊したゾード達が
あった。合体形態、ゼノン・デストロワイヤルの
状態であのワームホールに吸い込まれたハズ
だけど、落ちた時に分解してしまったらしく、
ロワドルーン、アカトライカー、アオサブマリン、
ミドルジェットでそれぞれ煙を上げていた。
「こりゃあボロボロだな...」
「この有様だと、修理には
三日はかかるかもね...」
「「「「三日!?」」」」
驚くエレーネア、アカイヤル君、
イエーネア、グリーネア。すると、
ジイさんが何かに気づき、歩き出す。
私たちもそれに気づき、ついていくと...
そこにあったのは、薄オレンジ色の空と、
広大な海。奥には他に島らしきモノも
確認できる。しかし、気のせいかなぁ...?
海の色がどことなく紫に見える。
「ちょっと... この島の周辺の海、
もしかして… "毒"じゃないの!?」
声をあげるアオイヤル君。それを見て、
ジイさんは片眼鏡で紫色の海を見て、分析した後、
右腕から触手を出して、海に付け始める。
しばらくして、触手をあげて収めると、
ジイさんはこう言った。
「えぇ… アオイヤル様の言うように、
この海、全部毒ですよ!」
「マジか...?」
「...となると、もしかしたらココは
惑星 ロスティアだろうね...」
ミドイヤル君が驚くとともに、私がそう結論を
述べると、アカイヤル君が真っ先に驚く。
「ロスティアって... あの、"失われし惑星"の!?」
その問いに、私は頷いた。
惑星 ロスティア。
いかなる星座系に属さない、宇宙のだいぶ外れ側に
存在する惑星。この惑星は別名、"失われし惑星"と
呼ばれており、誰一人として近寄る者はいない。
何故なら、ココは生命体がとても住めるような環境
ではないからだ。先程の通りに海面の100%は有毒、
手入れもされていない茂り放題な自然、
その上にこの惑星に棲みつき始めた理性なき怪獣達
などなど… まさしく自然が支配する危険な惑星なのだ。
文明などとはほとほと無縁な野生だけの世界。
「だったら尚更 早く帰らないと!こんな物騒な
惑星にはいられないわよっ!」
「帰るったってエレーネアちゃん…
頼みの綱のゾードがアレじゃあ…」
「じゃあどーすんだよアオイヤル!?俺たちゃ
何日ココにいるのかもわかんねーんだぞ!?
もし俺たちが3日ここに過ごしたとして、
ジャークネスのあるとこじゃあ、30日か…
あるいは3年くらいは経ってるなんてことも
あるかもしれねぇんだぜ!?」
ロワイヤル君が語ったことはいわゆる『相対性理論』。
物体の運動が光の速さに近づくほどに
時間の経ち方が遅くなる現象。例えるならば、
宇宙で1年くらい過ごすと、地球ではなんと50年
が経っているというモノ。しかし、いかにSFとは
いえど この作品全体とその世界観の骨子は
ギャグマンガ的なアレなので、そういった
難解な話はないと… 信じたい。
「ロワイヤル君にしては 珍しいことを
言うじゃないか。頭でも打ったのかい?」
「俺をなめんな!!とにかく… 万が一って
こともあるし、早くしないと…」
その時、グリーネアが何かを
思いついたような表情を見せた。
「…!そうだ!確か、この惑星には
あったはずです!『メカナ・オーシ』の花が!」
「…そうか!アレがあればなんとかなる!」
「「なに?メカ直しの花?」」
ロワイヤル君とイエーネアの疑問に
グリーネアが語り始める。
「メカナ・オーシの花。その花の根からは
メカにとっては上質な油が出て来るんです」
「その花が、この惑星にあると」
「えぇ。あまりにも貴重な品種で、この惑星
くらいでしか採れないモノだそうで…」
「流石は木属性だな!やっぱオメー、
植物の知識はスゲーぜ!」
「いえいえ、アカイヤル君そんな…」
「とにかく、まずはみんなで
その花を見つけるぞ!」
「いや、手分けしてやった方が早くない?」
「いやいやアオお前 手分けなんかしたら
迷子になっちまうだろうが!」
「確かに… スマホも圏外って出てるしねぇ…
これじゃあ位置情報はもちろん、
通話だってままならないし」
「あっ!そうでちゅか~!あおいやるきゅんは
そんなこともわからないおばかちゃんでちゅか~!
んなこまかいこともかんがえられない
あおいやるきゅんはおおばかちゃんでちゅね~!」
突如 赤ちゃん言葉でアオイヤル君をバカに
し始めるロワイヤル君。原因はすぐわかった。
グリーネアとジイさんが話し始める。
「もしかして前回の話で、アオイヤル君達が
私たちに何も話さずにコトを進めたこと
やっぱり気にしているのでしょうか…」
「で、ここぞとばかりに反撃してると」
「叩いてあげようか?」
アオイヤル君は懐から青いハリセンを出すと、
ロワイヤル君の態度は一転。
「すみませんでした許してください!!」
「「弱腰すぎワロタwww」」
エレーネアとミドイヤル君はそう笑う。
まぁ何はともあれ、メカナ・オーシの花を
目指して、私たち9人の惑星 ロスティアでの
大冒険が、幕を開けたのである。
「いかがでしょうか、そちらの
望む品であろう『ゴバクカード』。」
「うむ… 確かに。かつてこの国家、
マッドリクサーに生息していた
トードー星人の亡骸と言われているモノ…」
私は今、オメガコネクトの会長、
ブルース・シントニオ氏に新商品、『ゴバクカード』
を売りつけていた。シントニオ会長の側には
大男と優男の側近が2人。向かって左にいる
斧を構えた大男の方の名は、
『ザキュラ・バラックス』。
シントニオ会長の護衛人。
もう1人、向かって右にいる糸目の優男の方は、
『カワルヌ・ズ・クルストル』。
シントニオ会長の秘書を務めている。
「かつて… この国家 マッドリクサーは、突如 現れ、
後に破壊神と謳われる『マッシュ・シンゾー』の
手によって、滅亡へと陥りました。しかし、
僅かに生き残ったトードー星人の尽力によって、
このマッドリクサーはなんとか滅亡せずに 文明を
長らえている… この国家の主なデータです」
「ふむ…」
カワルヌ氏の解説に、考え込むシントニオ会長。
私のそばにいたドルちゃんが話を続ける。
「それでそれで~♬ マッシュ・シンゾーは
殺したトードー星人の力を、このゴバクカードに
封じて、宇宙中に散らばらせたんだよね~!
そしてそして~♫ それをトラちゃんが宇宙中から
か・き・あ・つ・めてぇ~~~?」
「こうして、セットで売ることが出来たわけです。
大変だったんですよォ?ある時は惑星 ネッケツで
燃え盛る火山を潜り抜け 手に入れ、またある時は
惑星 セレブでオークションに出されてて
それを500億でなんとか落札して手に入れて…
ほんでまたある時は、惑星 マスマティックの複雑な
計算を力づくでぶっ壊して手に入れたりと…」
その言葉にシントニオ会長は不敵な笑みを見せる。
「フッ… その苦労料で、高くつかせる気か?」
「フフフ… まっ、そうですねぇ。こっちとて商売。
まぁ シントニオ会長ほど懐の厚い御方であらば、
私の想像する倍を出してくれる… と信じてます」
「貴様!シントニオ様に向かってなんたる…」
「ま~ま~ま~♫」
不遜な口を察知し、私に詰め寄ろうとした
ザキュラ氏をドルちゃんが止めた。ザキュラ氏は
表情を若干 緩めながら、引き下がる。
フフ、隠せてねーでやんの。
「しかし… 噂によると、そのマッシュ・シンゾー、
力を受け継いだトードー星人が最近、現れたとか」
「それはどこの発信でしょうか」
「この惑星の都市伝説系動画によく出ていてな…
まぁ、こーゆーのが一番 アテにできぬだろうが…」
そういうザキュラ氏とカワルヌ氏に私はこう返す。
「へぇ… もしいたら見てみたいところですねぇ」
「やめておけ。そんなこと言って、ホントに
出てきたらどうするんだ?」
シントニオ様の冗談に、私は微笑を返した。
「いや~、私たちは表でガードですか…」
「まぁとは言っても、誰も来ないから
実質 ヒマなんだけどねぇ…」
「ダメですよオリンピアス様、ウミギロン!
いざとなった時 誰か来たりでもしたら…」
「オメガの方が貸切とか言ってなかった~?
だから来るこたぁないとは思うけど…」
現在、ボク達 子供達は、センター会館の
外でトラちゃんの商談の護衛を任されたが、
言った通り、誰も来る様子がないので 護衛と
言っても、形無し同然だった。まぁその方が
いいのはわかっているが、こうもヒマだとねぇ…。
「それにしてもトラちゃんと会うのはいつぶり
だろ…。あぁやって姿を見たのは…
2年くらい前が最後かなぁ」
「まぁあの頃はトラちゃんも
忙しかったらしいですし…」
「2年前っつたらアレじゃん、オリお前が
独りで惑星破壊を成し遂げた頃じゃん!」
「いやお前、別にそんな前じゃねぇだろ…
お前じゃないの?独りで惑星破壊を
成し遂げたのって確か」
「あぁ、そうだったなぁ… 最近 殺しばっかりで
惑星破壊は あんましてないからなぁ…」
「まっ、兄であるボクを見習って もっと破壊し、
もっと殺し、悪役としての箔をつけるといいさ。
破壊と殺しは、悪役にとっての基本中の
基本だからねぇ…。それなくして何が悪役か」
「いやお前より私の方が殺ってるでしょうが!」
言い争いになりそうな状況をミギヒダが仲裁する。
そんないつもの流れになろうとしたその時…
「気配を感じる… ゴバクカードの…」
「「「「!?」」」」
「な、なんだお前は!?」
ぼく達の前に、ただならぬ気配を漂わせて
現れたのは、額に金環をつけた青年だった。
「ここからゴバクカードの気配を感じる。
回収させてもらおう…!破壊神、
『マッシュ・シンゾー』の名の元に!!」
彼がそう言った瞬間、赤い仮面を纏い、
胸にはライオン、そして四肢は水棲系を模した
怪物に変貌し、僕達に向かって容赦ない攻撃を
加えた。慌ててそれを避ける僕達。
「いきなりなんなのもう!?」
「唐突なのはいつものことだけど…
戦うにゃ まだゴングはなっちゃいないよ!!」
「ゴバクカードって… 確かトラちゃんの
今回の商品だったはずですよ…!」
「あぁ!だったら尚更 行かせられないな…
お前達、行くぞ!ここは絶対に守り抜く!」
オリンポスピアを構えたぼくの号令に、
ヴァルーナ達3人も各々の武器を構え、
「「「よっしゃあ!!」」」
…と続く。そして僕達はマッシュ・シンゾーなる
謎の存在と、戦い始めたのだった。
惑星 ロスティアにて ボロボロのメガゾードを
治すべく、『メカナ・オーシの花』を探すことに
なった俺たち。とりあえずジャングルレベルに
茂った森を抜けると… そこには谷と、
そこらそこらに蔦が生い茂る遺跡のような
地形があった。それこそ この惑星が、
別名、"失われし惑星"と呼ばれている所以だった。
かつて… とゆーか大昔、この惑星には、確かな
文明があって、それなりに栄えていたらしい。
しかし、そこに住む民たちは 文明が栄えている
ことに調子づいて、ワガママになって 欲張りに
なって、憎み合い・殺し合いの末に 最終的にゃ
自分たちの手で せっかくの文明にトドメを刺して、
自滅していったのである。珍しくこの惑星は
消滅はせず、惑星の廃墟だけがそのまま残った結果、
今のような"失われし惑星"に成り果てていったワケ。
まぁよくある話だわな。俺たちコズモルチーが手を
出さずとも、自分たちの醜い悪意や行動が原因で
勝手に滅んでいった惑星は数知れない。
そんな時、前方から何やら凄まじい音が
響いてくる。何かが飛んでくるような音で、
しかもこっちに来ている…!
「ハッ!みんな伏せろ!!」
俺が声を張り上げたが、次の瞬間 アオイヤルと
ブルーネアは 音の主であろう、ハゲタカのような
宇宙動物に加えられていってしまった…!?
「「うわぁぁぁーーーーーっ!!」」
「あぁっ!アオイヤルとブルーネアが!」
「んっ…?あの鳥、あそこに止まるわ!」
ミドイヤルとイエーネアが言うと、
鳥は谷の麓に着地し、悠々と佇んだ。
麓といっても、俺らからしてみれば、
結構上の方にある…!俺は頭をかき、叫んだ。
「あぁぁもっ クッソォ!面倒ごと増やしがって!」
「助けましょう!アオイヤル様はともかく、
ブルーネア様がいなかったら
メガゾード直りませんからね!あぁでも、
ロワイヤル様も直せるんだった…」
俺は懐から手のひらサイズのデストロワイヤルを
取り出した。以前とゆーか… 10話くらいに
言及された、ミクロ化しておくだけで時間が経てば
直る、自動損傷修復システム。ブルーネアと俺の
技術力の甲斐あって、なんとかゾードにも
導入されたけど… ブルーネア曰くゾードとなると
自動損傷修復には流石に時間がかかる、下手すりゃ
それだけでは1週間くらいはかかるかもしれない
とのこと。
「俺でもゾードの修理となると時間
かかっちまうからなぁ…。まぁいい!ゾードが
壊れてなかったらこのまま帰ってたけど、
壊れてるし お前らのこと助けてやるよ!」
「あ~んっ♡ ロワピ~ったらん、や・さ・し・い♡
まるで仏様みたいだわ~ん♡ ホラホラホラ!
感謝しなさいよふたりとも!!」
次の瞬間、俺たちふたりの体中に 凄まじい
殺気と威圧感が走った。距離はだいぶあるけど、
それは未だハゲタカに咥えられているアオイヤルと
ブルーネアのふたりからのモノであることはわかった。
「ハッハッハッハッハッ… な~んて悪いことは
言いませんぜ、お供を助けるのは 上に立つ
者として当然の責務だからねぇ」
「そうよぉ、あたし達のた~いせつな部下だもん!
見捨てるなんてこたぁありえないわよ~ん…」
「いやおふたりとも、今 あのふたりに
ビビって訂正しませんでした?」
グリーネアのツッコミをよそに、俺たちは谷を
登り始めた。ジイの触手に掴まって登ったり、
トゲトゲだらけのデカい怪獣がいたので 見つからない
よう息を潜めたり、イエーネアがチョコを持って
いたので、休憩しながらみんなで食べたりと…
「「アイツら助ける気あんのか…」」
イラつき気味にアオイヤルとブルーネアが
そう呟いたのはナイショ。まぁ何はともあれ、
なんとかハゲタカがいる麓側に辿り着いた。
「何このデカい芋虫…」
水色、黄色、赤の体色をしたデカい芋虫が
そこら中を這っている。幸いにも俺らを見ても
攻撃してくるようなことはない。そんな芋虫達を
乗り越えて、ようやくハゲタカのもとに辿り着いた。
「おい鳥!そのふたりを返しやがれ!!」
アカイヤルの啖呵に ハゲタカは嘲笑に似た
鳴き声を返すと、再び飛び立とうとした。
アオイヤルとブルーネアを咥えたまんまで。
「うわぁぁっ!?この鳥、どこに向かう気だ!?」
ハゲタカはまるで、俺たちを翻弄するかのように
空を飛び回る。言い忘れていたけど、クラウンも
損傷していて使えない。だからゾード共々
メカナ・オーシの花で直す必要があるのだ。
「あの野郎…!だったらこうしてやる!」
ミドイヤルはそう言うと、高くジャンプ!
そして風太刀丸を構えた。
「宇宙忍法!空駆け!!」
こっ、この技は…!!ミドイヤルは
空中をまるで走るように駆けながら、
ハゲタカをすれ違いざまに斬った。ハゲタカは
「クエーッ!!」って叫びながら 咥えていた
アオイヤルとブルーネアを落とし、
ハゲタカ自身も下降していく。
「トドメよ!スパークダーツ!!」
エレーネアはエレネアローから光の矢を放射し、
ハゲタカは空中で射抜かれ、爆散していった。
そして落ちてきた アオイヤルはアカイヤルが、
ブルーネアはイエーネアがナイスキャッチした。
「やったぜ!」
ミドイヤルはそう言いながら、地上に着地。俺と
エレーネアはそんなミドイヤルを褒めそやすのだった。
「いやぁ、ナイスファインプレイだったぜ~
ミドイヤル!あの技を使うとは… 似合ってたよ」
「すっごいじゃないのミドイヤル~♡
今の技ってハリケン…」
「うっ、うるせーっ!!ちょ、ちょ、
ちょっとは強くなったろ!?」
「あぁ、出会った頃よりずっとな!」
俺がやろうとしたことをアカイヤルが
やりやがった。大きな手でミドイヤルの頭を
撫でる。さっきまでとは違い、
ミドイヤルはとっても嬉しそうだ。
「兄ちゃん…」
「ふぇ?」
「…あっ、…ああ~… それよりも!ふたりは?」
「あぁ、大丈夫だよ…」
イエーネアの肩を借り、アオイヤルと
ブルーネアがやってくる。
「ありがとうみんな。おかげで助かったよ」
「気を取り直して、メカナ・オーシの花を!」
全員は深く頷いた。さぁ、探索再開と行こう!
…と、その時 エレーネアが声をかけてくる。
「この子、乗せてくれるみたいよ?」
エレーネアと一緒にいるのは さっきも見た、
水色、黄色、赤の体色をしたデカい芋虫だった。
そして、俺たちはこの芋虫… 『バナチィアン』に
乗りながら 谷を登っていった。
「それにしても… さっきのハゲタカもどき、
とんでもなかったですよね。まさか、
アオイヤル様とブルーネア様を…」
「アイツの名称は『ジャンプ』。イタズラ好きな
性分でね。ああやって 人様のモノや、時には
その人様自身を攫っては楽しむ 厄介なヤツなんだ。
その結果、あらゆる惑星で駆除運動が始まって、
今となっちゃあ ここらの惑星くらいにしか
生息している品種がいないからねぇ…」
そんなことを話していると、さっきなんとか
やり過ごしたトゲトゲだらけのデカい怪獣が現れ、
俺たちにむかって咆哮を上げた。
「うわっ!こ、コイツさっきの!」
「コイツは、『ゴクヨム』!黒曜石を肉体に持つ、
この惑星くらいにしかいないレアな怪獣だ…!」
ミドイヤルが驚き、ブルーネアがそう解説する。
ゴクヨムは俺たちに向かって
口から水色の火球を放つ。
「そっちの方向に向かって咆哮!」
ブルーネアがすんでのところで氷を発生させ、
防御したはいいが、ゴクヨムは攻撃の手を
やめない。俺とイエーネアは果敢に飛びかかった。
…が、ゴクヨムの両手についている鎌によって
発生した斬撃波によって、俺達は飛ばされて
その衝撃に アオイヤルとグリーネアを巻き込んで
バナチィアンから落ちてしまう。
「あっ!ロワイヤル!!みんな!!」
「ロワイヤル様!!皆様!!」
慌ててジイが触手を出して助けようとするが、
ゴクヨムの攻撃を喰らい 間に合わず、
俺たちは下の樹海に落ちてしまったのだった…
惑星 トードーのセンター会館の外、太陽が煌々と
輝く中、僕たちはマッシュ・シンゾーなる輩と
戦い続けていた。ぼくのオリンポスピアと、
相手の得物であろう槍がぶつかり合う。
「よしスキあり!」
槍同士のぶつかり合いの隙をつき、ヴァルーナ達
3人はホルスターからヴァルナスチームガンを
取り出し、3人同時にシュート。ボクだけが
かわすかと思いきや、マッシュ・シンゾーの方も
瞬時にかわし、火炎弾を放つ。それを喰らい、
3人はダメージを受けてしまう。
「あっ!貴様ァ!!」
ぼくはそれにキレて、背中の翼で猛スピードで
飛び、マッシュ・シンゾーに体当たり。
からのキックをお見舞いする。それにより、
マッシュ・シンゾーは地上へと墜落した。
「おのれ…!喰らえ!デス・ラナンキュラス!」
マッシュ・シンゾーは太陽系のイメージと共に
地球を模したビームを発射する。その威力の
前に、ぼく達は倒れ 地をなめるしかなかった。
商談は怪しいように見えて、順調に進んでいた
ところ、あっちの方からなんか爆発音が聞こえる。
まさか… オリ君達に何かあったんじゃ!?
「うわ~っ!いったいなんだろこの爆発~!?」
周りながらうろたえ出すドルちゃん。
私は商談中だということも忘れ、
彼らの元へ向かおうとする。が…
「行くのか?…まだ商談は終わってないぞ?」
シントニオ会長の一声で我に帰る。
ザキュラ氏が得物の大斧を構える。
「あなたが行かずとも、このザキュラが加勢を!」
「いや待て」
しかし、シントニオ会長に止められた。
私は彼らに背を向けながら、言葉を紡ぎ出す。
「…確かに、悪役と並び これは私の重大な仕事。
ほっぽり出すなんてことはできません。しかし!
あの子達の… "今"の保護者は、私なんですよ」
その言葉を聞いて、シントニオ会長は息を吐いて…
「700億」
「……え?」
「このゴバクカード全部、700億で買った。
だから商談はもう終わりだ。次の行先へ
行くんだ、トラキーネおばさん。カワルヌ」
「あっ、御意!ただちに支払いを」
シントニオ会長のこの計らいに、私は…
「ありがとうございます…!けど、
おばさんって歳じゃないですよっ!
行くよドルちゃん!!」
「ドル~!!」
ドルちゃんを伴い 部屋を出た。
このトラキーネ、確かにお金がなによりも好きで
それ故 こういった商人業をしていることは確か。
でも、金で買えない者がいることも確かなのだ。
「よろしいのですか…?シントニオ会長…」
「問題はない、カワルヌ。彼女も次の長官
らしいからな…。すぐに片付けるだろう。この後も
予定があるんだ。700億を置いたら 行くぞ」
「御意!しかし… 彼女があの子達を連れていると
いうことは彼らは…!もしや、
アオイヤル様にも何かが…」
「見縊んな!!」
心配の言葉を漏らすザキュラとその言葉で
心配の表情を見せ始めたカワルヌを、俺は
大声で一喝した。
「アイツを誰と心得る…!?この俺、
ブルース・シントニオの息子だぞ…!
アイツら共々、簡単にくたばりやしない…」
ポチャ… ピチャ… と、水が滴るような音が響く。
その音で僕… ブルース・アオイヤルは目を
覚ました。辺りを見やると ロワイヤル、
イエーネアちゃん、グリーネアちゃんが
倒れている。僕は慌てて駆け寄り、
ロワイヤルを揺さぶったが…
「うわぁ!」
「だああぁぁぁ~~~っ!?」
突然 顔を上げたロワイヤルに
ぼくは仰天の叫びを上げた。
「ヘッヘッヘッヘッ… 驚いたろ?」
「この野郎…」
とはいえ、この叫びでイエーネアちゃんと
グリーネアちゃんも目覚めたらしく、
僕たちは状況を整理し合う。
「確か… 僕たちはゴクヨムって怪獣に
やられて落ちたはずだよね…?」
「あぁ、あの穴からこの洞窟に
落ちてきたんだろうな」
ロワイヤルの指した方向には空が見える穴が。
すると、イエーネアちゃんが
なにかに気づいたような表情を見せる。
「ん?」
「どうしたの イエーネアちゃん?」
「いや、なんか変な匂いしない…?」
「「「え…!?」」」
「もしかして誰か屁したの?」
「失礼すぎんだろお前!!」
「いや、屁とかの匂いじゃなくてさ…
あっちからしない?」
僕達は何やら匂い始めたイエーネアの後を
ついて行く。洞窟を進み、彼女が止まった先に
あったのは… 四輪のオレンジ色の花だった。
「もしかして… 匂いはこの花から?」
「うん。なんか油っぽい匂いがするでしょ?」
「油…!?ひょっとして、この花が…!!」
「あーっ!!あったあった!!コレだよコレ!
コレがメカナ・オーシの花だ!!」
僕が花に手を触れようとしたその時、
何者かによって跳ね飛ばされてしまう。
「イテテテ… ん?あっ!!ブルーネアちゃん!!」
「えっ?あぁ~っ!!アオイヤルく~ん!!」
なんともナイスタイミングな幸運。
無事にブルーネアちゃん達を始め、
他のみんなとも無事に合流できたのだった。
ジイさん曰く、あの後 ゴクヨムは自分たちで
討伐し、身体の黒曜石を奪い そして僕たちが
落ちた ここら周辺を調べてたら、合流したと
いう。そして、僕の見立て通り、あのオレンジの
花はやはり『メカナ・オーシの花』。確かに
花のデザインはどことなくメカっぽいし、
根っこからヌルヌルした油も出ている。
これさえあれば、ゾードが治る!早速、
洞窟を出た僕たちは ゾードを元の大きさに
展開させ、ブルーネアちゃんは早速 修理に
取り掛かり始めた。すると、ロワイヤルは何かに
気付いたような顔で、洞窟の方へと向かう。
それに気付いた僕とイエーネアちゃん、
グリーネアちゃんもあとをつけた。
さっき出た洞窟の隣の洞穴に、何やら
地下へ続く階段のようなモノがあったのだ。
「きっとまだ時間はあるだろ…
ちょっと見てみようぜ」
「けど、みんなに報告しなくていいのかい?」
「すぐ終わるだろこんなの…」
こうして、僕たちは階段を降りてゆく。
そして辿り着いた先にはあったのは…
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「コレは一体…!?」
家紋のような形をしたロゴを中心に、一眼では
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わんさかある、明らかに怪しい部屋だった。
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「とにかく!コレはみんなに報告しないと…!」
僕がスマホを操作し始めた瞬間、ロゴが急に
光出し、部屋は突然 崩れ始めたのだ。
「「「「うわぁぁぁぁ~~~っ!?」」」」
「なによいきなり突然!?」
「部屋が、崩れます!このままでは生き埋めに!」
「あぁんもう!全部の書類拾うのは
無理かっ!なら…!」パシャッ
「みんな、脱出だ!!」
僕の一声と共に、僕たちは階段を走り登る。
そして、地上へ出た頃には 入口の洞穴も
完全に閉じられた。
「…一体、なんだったのよあの部屋…」
「とりあえず、書類は3つくらい掻っ払って
きたぜ…。なんて書いてあんのかは知らんけど」
「僕もこの文字はわからない… 。ブルーネア
ちゃんにあとで解読を頼んでみよう」
「とりあえず、この件はまた今度だ。それより
あの部屋 きんもちわるかったな…」
確かに。そこら中に夥しい数の
解読不能な文字が書かれていたのだ。
トラウマになるのも無理はない。
「あ"~っ、ちょっくらブルーネア手伝って、
忘れてくることにしてきま~す!!」
そう言って、ロワイヤルは
ブルーネアちゃんの元へと向かった。
一方、僕たちはマッシュ・シンゾーの前に
絶体絶命のピンチに追い込まれていた。
「フッ… トドメだ!」
マッシュ・シンゾーが槍を振り上げた瞬間、
ビーム弾が彼を直撃。そのビーム弾が放たれた
方向を見ると、そこから歩いてきたのは
トラちゃん。そしてドルちゃんも一緒に。
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「邪魔したくなかったんだよ…!あたし達が
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少し険しい表情から、幾分か穏やかな表情に
なり、ヴァルーナの頭を撫でた。
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どうってことない… ってね」
「くぅぅ…!!こんのぉぉ~~~っ!!」
マッシュ・シンゾーはヤケクソになったのか、
火炎弾や水の弾を連射するが、トラキネイザーを
両方ともビームガン形態にした トラちゃんに
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トラキネイザーを両方とも、剣に変え 両方とも
投げる。そして空中で一回転し 連続キックを
叩き込む。マッシュ・シンゾーを地に付かせる
頃には、トラキネイザーもトラちゃんの方に
落ちてきて、それをすかさずキャッチして
マッシュ・シンゾーを一刀… いや二刀両断!!
「行っけ~っ!!そこでトドメだトラちゃん!!」
「OK、あの世へ投げ売ったげようか…」
トラちゃんはその一言と共にエネルギーを溜めた
剣状のトラキネイザーをX字にクロス。
「カッティングスタッグ!!」
重ね鋏のような形になったトラキネイザーで
マッシュ・シンゾーを挟んで 掴み…
そのまま動かして切り刻んだのだった。
なんとか相手は抜け出したものの、
致命傷を負ったのは明らかだ。
「ぬぁぁぁ… ヤッ、クモォォォォッ…」
変なことを言いながら
マッシュ・シンゾーは爆発四散。
トラちゃんはソンブレロを天に投げて、
「処分完了っと!」
キャッチしてて、再び被り直した。
「いやった~っ!!流石トラちゃんだ~!!」
ちなみにこの間、ドルちゃんは
何をしてるのかというと、ずっと応援していた。
ちなみにトラちゃん曰く、ドルちゃんも
戦える。でも自分からは戦いたがらない… らしい。
「ここがこうして… これがこうで… よしっ!
みんな、ゾードが完全に治ったよ!!」
「喜べ~!これで帰れるぞ~!!」
『よっしゃ~~~っ!!』
ロワドルーンを最後に、メカナ・オーシの花の
油を併用したことで ゾードは短期間で修復が
完了した。そして、私たちは全員 ゾードに
乗り込み、惑星 ロスティアを後にした。
「一刻も早く帰らねぇと…
どれくらいかかってるのか…」
「そんなかかってないとは思いますがねぇ…」
「だったら、ジャークネスに早く付くには、
ゼノン・デストロワイヤルの飛行スピードがいい。
ただ、負担も結構かかるけど…」
「よしお前達!合体だ!!」
「いや決断早いな!?まぁとにかく…」
「「「「超鎧装!!」」」」
ゾードはゼノン・デストロワイヤルへと合体。
四体分のゾードのパワーがこもった
飛行スピードで、一気に宇宙の海を駆け抜ける。
そのスピードによる負担は 搭乗している私たちも、
そしてゾードにも半端なく及んでいる。…が、
こういう時の私たちは一切合切 ノーブレーキ。
止まることは決してないのだ。
こうして取引の一切が終わり、私たちは
ジャークネスへと帰還する。私が戻る頃には
シントニオ会長一行はおらず、
アタッシュケースの中の700億だけがあったのだ。
「いやぁ、トラちゃんカッコよかった~」
「これからはちゃ~んと私を呼ぶんだよ?
私が来なかったら、危なかったからねぇ…」
「「は~い…」」
「でもでも~、ドラちゃんすごかったでしょ~?
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「いやぁ、どうかなぁ…」
「え~?オリ君何その目~!?」
そんな風に雑談しながら ダークパレスに入ろうと
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ゼノン・デストロワイヤル。となると、もしや…
「アレって、ゼノン・デストロワイヤル!?」
「とゆーことはまさか!!」
「おぉ、父さん達が帰ってきたのだ!!」
口々に嬉しさを口にする子供達。ヴァルーナ
ちゃんに至っては、喜びの感無量的な表情してる。
「ほぉ… やっぱり帰ってきたか…。まぁ、あれしき
じゃ終わりじゃないってことは 知ってたけどさ…」
私がそう呟くと、ゼノン・デストロワイヤルは
着地すると同時に、途端に身体中から火花を上げ、
四体のゾードに分離。そのまま動かなくなった。
やがて四体のゾードは小さくなっていった。
それからしばらくして、こっちに歩いてくる者が。
そう この作品の主人公"だった"男、
コズモル・ロワイヤルに、この作品の
ヒロイン"だった"女、コズモル・エレーネア、
そしてジイことクラーケ・デム・ザップ。
暴将のレッダー・アカイヤル、
策将のブルース・アオイヤル、
豪将のキールス・イエーネア、
賢将のスカイグ・ブルーネア、
速将のグリング・ミドイヤル、
聖将のキミルド・グリーネア。
彼ら9人が、帰ってきたのだ。
「「父さ~~~ん!!母さ~~~ん!!」」
嬉しそうに両親の元へ向かっていく子供達。
オリ君とヴァルちゃんは母の元に向かって
抱きついてきた。慈愛の表情でそれを抱きしめる
母。スルーされてこんな表情の父。
こんな表情→(´・ω・`)
「よかった…!みんな無事で…!!」
「みんなしぶといからずっと生きてるって信じてた
けどさぁ…!でもやっぱ心配だったよ!!」
「ごめんね… オリンピアスにヴァルーナ」
「けど、俺たちはこうして無事に帰ってきたからさ」
「信じてくれてありがとなっ!」
アカイヤルさんは豪快にオリ君とヴァルちゃんの
頭を撫でる。この再会に全員の顔は嬉しそう。
彼らの全体に、暖かな空気感が満ち満ちる。私は
その団体様特有の空気感に耐えきれず、即座に
その場をあとにしようとしたその時、凄まじい
光の速さで回り込まれ、剣を突きつけられた。
それが誰なのかは一目瞭然だった。
「やっと思い出したわ… あの時、デリィーハが
変化したあの怪物… アレは『スコルトン』!
そしてあの兵隊は『スコルトルーパー』!
…それを生み出せる存在は、アンタだけ。
つまり!あの時 あのスコルトンに細工をして、
あたし達を惑星 ロスティアに送った張本人は、
アンタってことよ!トラキーネ!!」
目の前のピンクの女に啖呵を切られ、
私も負けじと 銃形のトラキネイザーを向けた。
張り詰めた空気が、その場を支配する。
「せ~いかい。でも悪く思わないでよ。『姉様』…」
そうです。目の前のピンクの女…
コズモル・エレーネアは私の『姉』。彼女の
旧姓は『マルチー』。私の現姓も『マルチー』。
2話あたりでロワ兄が姉様の旧姓について
言及していたはず。まぁそんなことはさておき、
何故 私は姉と義兄、そしてその仲間達を
惑星 ロスティアに送ったのでしょうか?
Galaxy Day"s 第13話、今回はここまで。
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