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風+煙=大嵐!?
しおりを挟む俺様達 コズモルチーファミリーの悪しき行いで
救われた奴もいれば、酷い目にあった奴もいる。
前回はそんなお話。今回はミドイヤルと
ヴァルーナのお話。このふたりのコンビが
はてさて何をもたらすことやら…。
はぁ… 俺の人生、なんでついてないんだろう。
大学卒業後に就職して、はや25年。俺は今まで
会社のために尽くしてきた。周りが結婚する中、
趣味もなく ただ仕事を… 自分でいうのもなんだけど
頑張ってきた… と思う。だけど、昇進とか給料UPも
なく、気づいたら会社を解雇になっちまった。
風の噂に聞いた話によると、俺が解雇になった理由は、
俺があの会社の中で唯一 独身だから… だそうだ。
いくらなんでもあんまりすぎるだろ!?仕事云々の理由で
解雇になるってなら、まだわかるよ?でもそんなの
いくらなんでも納得がいかない。必死の抗議も虚しく、
これ以上騒いだら 『警察を呼ぶ』と万能の脅しを
喰らい、それ以上は抵抗ができなかった。畜生…
俺は今までこのカタ 女にモテず、それどころか
女に興味すら湧かなかった。あぁ、転職しようにも
もう俺は40代の後半間近だ。やろうにしても難しい
だろう… さっき労基に行ったが 忙しそうだったし…
となると、俺のやることはもうひとつしかない。
俺はひとつの決意を胸に、ビルを登った。登るたびに
まるで天に続く階段を登っているような、恍惚の気分へと
誘われた。そして、その先にある屋上。それが俺には
まるで天国のように見えた。そこからビル街が一挙に
見渡せる。まるで天から人を見下ろしている、神のように
でもなった気分だ。…そして 俺はボロボロの革靴を
脱ぎ、ビルの淵へと立った。考えてもみれば、
今まで 俺の人生はパッとしなかった。
そこらへんの、良く言えば ありふれたもので、
悪く言えば 平凡で退屈。そして美しくもない。
だから… 最期くらいは、この天から
高く、気高く、美しく、あの空へと羽ばたこう。
「何?おじさん、自殺?」
羽ばたこうとした瞬間、高くもどこか低い女の声が
響く。声色からして若い女らしい。
俺は振り向きもしなかった。こちらに来る
足音が響く。しかし、いくら女でも
俺を止めようとしたって無駄だ。
「この高さ… 落ちりゃあおじさん、
ただじゃあすまないんじゃない?ここのビルの
真下にある焼肉屋のおっちゃんのこと
考えてみなって。おじさんが自分の店の近くで
飛び降りたことで、悪い噂立っちって 客足が
減って、やがては焼肉屋が経営難に陥って、
そしておっちゃんも、おじさんの二の舞をたどる」
「……お嬢ちゃん、勘違いしないでもらいたい。
別におじさんは死にに来たわけじゃない。
おじさんの背中に、まだ空が飛べる翼が
あるかどうか、確かめに来ただけさ」
「……何があったか知らないけど、おじさんだって
悲しむ人… 1人くらいはいるんじゃないの?
…何よりさ、こんなとこで死なれたら私が迷惑」
「命を粗末にすんな、ザーコ…」
女は俺の隣に何かを置いたようだった。
ようやく俺が隣を見てみると、そこには
予想外すぎる光景が広がっていた。
年端もいっていないであろう 怪しげだが派手な
服装を着た、推定で小学生~中学生くらいの女の子が
暗殺者が使うようなスナイパーを構えていたのだ。
スナイパーを見るだけで漂う本格的な黒光りと
重さ。どう見ても子供の玩具の類ではない。
俺がそんなわけのわからない光景に、
言葉を失っていると 女の子は続けた。
「……あぁ、聞こえなかった? 私はここで
やらなきゃならない仕事があるんだよね。
依頼されてから、何週間も前から緻密に練ってきた
計画… 今日、この時、そしてこの場所でなければ
狙えない私の獲物…!今このビルで騒ぎを起こされたら、
私の今までの努力全てが水の泡。だから……
命を粗末にしない方がいいよ ザーコ」
「いやアンタに言われたくないよ!!」
マゼンタのリボンが胸についてる
かなりデカいテディベア、真っ白い
もっふもふしているぬいぐるみ、
確認できるだけでも21個はある
猫やらキャラクターやらのぬいぐるみ。
もしかしたらそれ以上はベッドの奥にあるカモ
しれないけど、もうそれもわからない。
ここは私、コズモル・ヴァルーナの部屋だ。
もうこの部屋だけで暮らせるんじゃないかって
くらいだだっ広い。けどそこら中に本だの紙だの
散乱してるけど、どうかほっといてほしい。
どうしてもこういう広い部屋だと、自ずと片付けに
苦労するのだ。そもそも片付け自体 苦手なタイプだし…
「ハァ… しっかしホントしけた報酬だわな」
今回の報酬は343万円。こないだの報酬は
1000万超えてたから、尚更 しけたと感じてしまう。
今日、私は惑星 アキッズのIT企業の社長を暗殺した。
途中、なんだか自殺しそうなおっさんも
いたけど、とりあえずあの場から遠ざけてはおいた。
そのおっさんがどうなったのかは知らない。
まぁとにかく、何事もなく暗殺は成功した。
暗殺の依頼者は同業他社の社長。ビジネス絡みの
怨みが動機らしい。最初は子供である
この見た目故、ナメられた態度を取られたが、
コズモルチーの存在であることを伝えたら、
途端に縮みやがって 媚び売って来やがった。
まぁ、あんな風にナメられることにはもう慣れてる。
今までの依頼者も大抵はそうだった。
見た目だけで判断する。私をガキだと思って軽んじる。
この私をそこらへんのゴミみてぇなガキと
一緒にすんなってーの!そしてコズモルチーの
者であることを言うか、私の射撃の腕を
見ると、途端に連中は態度を手のひら返しさせる。
それにもまた、慣れている。まぁ、ソイツらは
全員 私のことナメたから、爆殺したけどね♫
今回の依頼者だってビルごとドカンした。
全ては私をナメるアイツらが悪い。
まぁ、私がよっぽど悪いわけだけど…
「…あとあと、最近は… なんというのかなぁ…
どうも、弱っちい虫ケラばっかり暗殺してる
ような気がする。はぁ~、たまにはもっと
殺り甲斐のあるようなヤツ出てこないかなぁ…」
自分で言うのもなんだけど、子供の言うような
セリフじゃないのはわかる。でも、前回の
エネルギーマン・ベンの件以降、どうにも
満たされない感じがするのだ。これが戦闘狂の
哀しい性って奴かねぇ。とりあえず私は
のどが渇いたので、替えのデカビタを取りに
台所に向かった。飲み終わった2つの空きボトルは
床に散乱してる。転びかねないから後で捨てないと…
台所に向かう途中、何やら話している両親を
見かける。だが、その後ろから何やらただならぬ
殺気を感じた。誰のモノかはわからないけど。
「でさぁ、一度でいいから俺、岩を
ふりかけにしてみたいわけよ」
「うん、岩は食べ物じゃないからね?」
「別に食うわけじゃねぇよ
岩をふりかけて、敵を潰して、倒すの」
「ふぇ~、それはなかなかパワフルそうだな~…」
相変わらずわけのわからない会話を
繰り広げていたその時、後ろからその
殺気を放っていたであろう人物が、
両親に飛び掛かった。
「うおりゃああああああああああっ!!」
姿はよく見えないけど、叫び声が高い。
もしや… そう思う前に両親、というか
ピピピのロワイヤルは得物の
エンペライトセーバーの一振りから
発した風で飛び掛かった人物を一瞬にして
吹っ飛ばした。えっ?ピピピって何だって?
本来の呼び方はパパ。でもパパじゃなくてピピ。
んでピピピ。この呼び方が割とおもろいんですわな
こりゃ。この呼び方のきっかけが未だに
覚えてない。まぁそんなことはさておき…
飛び掛かった人物は「イテテ…」と後頭部を
かいていた。声の高さからしてそうだろうなぁ
とは思ってたけど、やっぱりミドイヤルさんだった。
「ヘッ、不意打ちたァ案外 姑息なもんだな。
こんなザマじゃ、俺を越えるなんて無理ぽだぜ?」
「…ッ!その余裕… 最初から、分かってたのかよ…?」
「まぁぶっちゃけね、あたしも殺気は薄々感じてた」
「…ったく、今回は気分いいから見逃すけどよ。
次やったら!またなんか雑用やらせっかんな!」
え?ウチ、そーゆールールだっけ?ブラック… とは
言い切れないか。相手にも非あるわけだし。
「行きましょ♡ ロ~ワピ~♡」
「そうだね~♡ エ~レピ~♡」
くっ殺状態のミドイヤルさんをよそに、
ふたりはイチャコラしながら去っていった。
ミドイヤルさんは顔を上げると、大きなため息を
ついた。私はとりあえず近づいてみる。
「はぁぁぁぁ~~~… マジ… 情けなっ…」
「…ダイジョブっスか?」
「あら… ちょっと、恥ずかしいとこ
見られちったなぁ…」
私が声をかけると、ミドイヤルさんは
少しだけ赤面して頬をかいた。
「いつかアイツを… ヴァルーナちゃんのパパを
超えるくらい…、ロワイヤルの助けなんて
借りないくらい強くなってやる。…あの時、
そう啖呵を切ったのに、この有様だよ。
ホントマジ情けないし…」
「あの時とは?」
「ロワイヤルとアオブル以外、空間に
閉じ込められたことあったでしょ?
その時の前に、ちょっと色々あってね…」
この一件を知りたい人は、4話を見てくださいね♫
「まぁ、そりゃミドイヤルさん。ピピピを超えるなんて
無謀に等しき技っスよ?知ってるでしょ?
あの人は…」
「コレまで数多の惑星や世界を滅ぼしてきた
コズモルチー・ファミリーの首領。もとより
簡単じゃないってことはわかってる。だからああやって
不意打ちでもしないと一本取れないって思ってさ…
…それと、ピピピって何?」
「パパって意味。でもパパじゃなくてピピ。
んでピピピ。この呼び方が割とおもろいんですわ」
「おもろいの… かなぁ?まぁとにかく、
アイツ… ロワイヤルを超えようったって、別に
コズモルチーの首領の椅子が欲しいわけじゃない。
ただ、アイツよりも強いってことを証明したいだけで…」
妙に曖昧だな… 証明してどうするんだって
ずっと思ってた。少なくとも あの空間に
閉じ込められた時から、なんとなく。
正直なところ、あんまり覚えてないわけだけど…
「…証明してどうするわけ?ピピピよりも
強いってことで、周りからチヤホヤされたいの?
それとも、なんかこう…、認められたい… とか?」
「!」
認められたいって言うと、ミドイヤルさんはハッとした
様子で 私を見た。どうやら、このリアクションから
見て、認められたいってところは図星らしい。
そして、ミドイヤルさんが何か言おうとした時、
一応… 兄のオリンピアスが通りかかった。
「一応じゃない!本当の兄だ!」
「いや冗談だって…」
「まぁそんなことより、ヴァルーナに
ミドイヤルさん。至急司令室に来いだってさ」
そう言って兄さんは司令室に向かった。
私たちは何事かと顔を見合わせながらも、
司令室へと向かった。
「とりあえず、この話はまた後で!」
「そうさせてもらいますわ」
司令室に入ったヴァルーナちゃんと
俺、ミドイヤル。そこには既にロワイヤルに
エレーネア、オリンピアスにミギヒダちゃんら、
ジイに俺以外の六帝将。みんな勢揃いだ。
「来たようだね。いきなりで悪いけど、
ちょいとこれを見てほしい」
本来 ロワイヤルが座っているであろう
1人用の回るソファに座っている
ブルーネアがそう言いながら、ソファの
目の前にあるコンソールを操作する。
すると、前方の巨大モニターに
『コズモルチー・ファミリー滅べ』
『犯罪者の一家に生きる価値なし』
『クソゴミゴロツキ共に生き場所いらん』
『今世紀最大の滅ぶべき存在』
…などと書かれたプラカードを掲げる
エイリアンたちが映し出された。
「な~んだ、俺らのファンじゃねーのか…」
「んなわけあるかい、しかし… コレは、
一種の挑発と受け取っても、いいのかな…?」
「挑発?ってか、どっかで見たようなのも
ある… 取り消せよこれに書かれてんの…」
落胆してる様子のアカイヤル。
冷静にツッコミつつ分析するアオイヤル。
エレーネアの問いかけにブルーネアが応える。
「あぁ。このデモがあったところは、
エリダヌス座系の惑星 プラスタン・ワールド。
プラスタンと呼ばれる特殊な生命体が
ヒューマノイド型エイリアンと
暮らしている惑星だよ」
「プラスタン… う~ん… 知ってはいるけど、
そこは今のところ襲ってもいないし、誰かを
潜伏させてるワケでもねぇ。だからどうも
こうやってデモされるような覚えが…」
「我等の悪名は宇宙中で轟いている。たとえ
襲っていない惑星でも、度し難い悪事を
していれば、こうやってヘイトが向けられても
おかしなことじゃないと思うんだよね」
ロワイヤルの疑問にブルーネアはそう返す。
すると、オリンピアスが口を挟む。
「にしたってバカな連中だ… こんなことしたって
逆に我等の嗜虐に火をつけるだけだというのに…」
「決めた。あたし コイツら殺して来るわ」
「「ちょ!?ヴァルーナ様!?」」
「まぁ~、あーゆーのは多少 慣れてるとはいえ、
やっぱり見ていたらクソムカつくだけ。
『ムカつく奴らはとにかく殺せ』。
ウチらのモットーでしょ?」
躍起になるヴァルーナちゃんの姿を見て
俺もなにやら、ココロに火が付いたらしい。
「ロワイヤル。さっきは俺の負け
だったけど、次はそういかねーからな!」
「あ?どういうこった?」
「俺もヴァルーナちゃんと一緒に連中を殺す。
もしコレが成功したら、俺の勝ちってことで…」
「あぁ、いいぜ?」
「えっ!?ちょっと、いいのかい!?」
アオイヤルの驚く口が挟まれる。
「そんだけ大口叩けるんだったら、実際に
それを証明してほしいところだな。あと、
それと同時に ヴァルーナと一緒にやるってんの
なら、何があってもヴァルーナを守れ。いいな?」
「ヘッ、そんなの楽勝だし?」
「んじゃ、いってら~♫」
ロワイヤルのその軽さにちょっと癪に
触るかもしれない。でも俺は気にせずに司令室を
出た。ヴァルーナちゃんはそれについていこうと
するが、ミギヒダちゃんに止められる。
「ヴァルーナ様!」
「私たちも~!」
「いや、今回2人は待機でいいよ」
「いやしかし…」
「心配いらないよ。別に守ってもらう必要がない
くらい、私は強いからね… じゃ、いってきま~す」
そう言って、ヴァルーナちゃんも司令室を出た。
「本当に大丈夫なの、ロワピー?」
「いい機会だ。アイツに、本当の強さの
なんたるかを教えてやれる… な」
「なるほど、それでヴァルーナ様と
行かせたというワケですね」
「あーゆーのは一から百まで口で教えても
わかんねぇ。自分でわからせるのが吉ってモンだ。
もし… ちょっとでもソレがわかったら…
ブルーネア、"アレ"をアイツに与えてやろうぜ」
「あぁ、完成したばかりの"アレ"ねぇ…」
「本当にいいの?もしヴァルーナちゃんが、
ミドイヤルと… なんかこう、いい雰囲気に
でもなったら… いくら歳の差でもさぁ…!」
「どこ気にしてんのイエーネアちゃん!?」
「あぁ~、大丈夫っしょ。アイツ別にロリコン
ってワケでもないんだしさ。それにアイツにゃ
既にグリーネアがいるだろ?そこからロリに
手を出すようなヤツじゃあ… ないと思うけど」
「何を言ってるんですかロワイヤルくん!?」
「顔赤いですよグリーネアさん」
「図星か何かですかグリーネアさん」
「うるさいよバカホントにミギヒダ!!」
両親専用の乗り物、ロワイヤクラウンと
エレネアクラウンには、六帝将用のモノも
存在している。まぁ見た目はロワイヤクラウンと
エレネアクラウンをそれぞれのイメージカラーに
塗り替えて、ピエロのような顔つきが多種多様な
表情になっているというのが相違点だけど。
私達が乗っているのはピエロのような楽しそうに
してる、喜怒哀楽でいえば『楽』の表情をした
ミドイヤルさん専用の、『ミドイヤクラウン』。
それで私たちふたりは惑星 プラスタン・ワールド
へと向かったのだった。
「へっ!見てろぉ、必ずロワイヤルの奴を
"ぎゃふん"と言わせてやる!」
「それもう死語っスよ?」
「いやマジ…?もう使われてない系?」
「完全に使われてない系です」
そんなしょーもない雑談をしながら
惑星 プラスタン・ワールドに入ったその時!
当然 クラウンの前方から飛んできて、
クラウンはそれをモロに喰らって大炎上。
慌てて私たちはクラウンから飛び降り、脱出。
次の瞬間、クラウンは大爆発。下はかったい岩場
だったけど、着地の衝撃は ミドイヤルさんが風を
操って 軽減させてくれたみたいでなんとかなった。
「随分と手荒い歓迎だねぇ…」
「お前か?俺のクラウンをあんなことに
してくれちゃったのは…」
私たちの目の前に現れたのは、ボロボロの
冒険服と、大臣あたりが来そうな高貴そうな服を
来た、若そうな男だった。
「ほぉ、まさか獲物がホントにやって来るとはな…
とりあえずテキトーな噂を流して、挑発させて
みたが、まさかこうも大当たりを引くとは…」
「アンタかい?私たちに対する挑発的なデモの
張本人は?それと、獲物ってどっちよ?」
「その緑の方だ」
「え?俺?なんで俺を…」
「とりあえず、せっかく来てくれたんだ…
もっと手厚く歓迎しよう。
スタッグマ、ブラストオン!」
その言葉と共に男は、クワガタムシのような
ナゾの生命体、おそらくスタッグマという
名前らしいけど… とにかくそれをどこから
ともなく召喚すると、なんとそいつと合体!
クワガタムシの怪人に変貌した。
「とりあえず… 抵抗するってんなら、
力づくで吐いてもらうよ!」
「行くぜぇっ!」
私たちはそれぞれの得物を構え、クワガタ怪人に
立ち向かった。まずはミドイヤルさんがふたつの
風太刀丸を振り上げるが、クワガタ怪人の腕に
ついた鎌で受け止められる。すかさず私は
ヴァルナスチームガンを連射したが、
クワガタ怪人は今度は 翼竜のような生命体を
どこからともなく召喚すると、
「ワイバーギン、ブラストオン!」
今度はそのワイバーギンって奴と合体。
空を飛ぶ翼竜の怪人になり、私の連射をかわした。
「なんだアイツの能力!?」
「ブラストオンとか言ってたけど…
あの生命体と合体して、こんな…」
「そうだ。プラスタン・ワールド出身の存在は、
このようにプラスタンと融合し、超常的な力を得る。
お前達など、このトゥマースの敵ではない!」
「はぁ、トーマス?機関車?」
「トゥマースだ!ふんっ!
ザナグル、ブラストオン!」
トゥマースという男、今度は火山弾のような
プラスタン、ザナグルと合体し 巨大な流れ星に
なって、地面に激突。私たちはその反動で遠くに
吹っ飛ばされてしまった。しかし、ミドイヤルさんは
なんとか私の元に寄って、私を抱きかかえた。
私は驚きながらも、引き剥がす力はなかったので
なすがままにすることにした。そして、
ほどなくして 私の意識は途切れたのだった。
ポツポツとかすかに聞こえる音により、
私は目を覚ました。上半身を起こして見渡すと…
ここは、洞窟だ。あっ、そうだミドイヤルさんは!?
私は立ち上がろうとすると、高い声が洞窟に響く。
「あっ、起きたんだヴァルーナちゃん」
「ミドイヤルさん… もしかして、
ココまで運んでくれたんですか?」
「うん、そう」
「ありがとうございます。しっかし…
まさかこんな… あれだけ大口叩いた癖に、
あたしら こんなボロ負けだなんて…
こりゃあ、ピピピ達に連絡して応援を…」
「応援ならムリさ。ココ圏外だもん」
スマホを見てみると、見事に圏外。
なんてこったぃ。こりゃあ連絡は取れない…
スマホから目を離すと ようやくミドイヤルさんの
姿を目にする。ミドイヤルさんはその辺から
取ってきたのか、薪を持っている。
焚き火でもやろうとするのは明白だった。
私はそれに慌ててツッコんだ。
「いや、何焚き火やろうとしてんスか!?」
「だって、この洞窟寒いっしょ?」
「確かに言われてみれば…」
「だからあっためてあげるの。薪は持ってきたし…」
「だったら火はあたしがやりますわ」
私はヴァルーナスチームガンを取り出し、
ミドイヤルさんが置いた薪達に向かってバキュン。
見事に火はつき、大きく燃え上がった。
「それにしても… ミドイヤルさんにも
いいとこあるんですね。強さ強さウザいだけ
かと思ったら… ちと見直しましたぜ」
「ヴッ… いっ、いや… ストレート過ぎでしょ…
それに、ヴァルーナちゃんを守るのは…」
「父に、守れって言われたからですよね。
知ってますよ。…全く、『守ってもらう必要がない
くらい私は強い』…なんて、大口叩いた癖に…
今こうしてミドイヤルさんの助けなくちゃ、ホントに
どうなってたことか…。まだまだですよ、私…」
私は力なくへたり込んだ。いつだってそうだ。
私はいっつも自信満々。大いばりしてる癖して、
やっぱりそこはまだまだ最年少。悪役としても、
戦士としても、勉強不足なことばっかりだ。
そしてその度に、どれほど父に母にジイや、
みんなに助けられているのだろう。まぁもちろん、
その逆だってある。私が父に母にジイや、
みんなを助けることだってある。特にオリンピアス。
アイツ 兄の癖に時々 ちょいと頼りないところも
あるからさ。そこをまぁ、私がカバーしてる感じだ。
そんな私の弱さを見たら、ミドイヤルさん なんて
言うかな? 強い奴がいいはずだしさ、絶対
『マジねーわ』とか言うんじゃ…
「それが、ヴァルーナちゃんの弱さ… なんだ」
「えっ?えっ、えぇ…」
「認められたい。…さっき、ヴァルーナちゃんが
俺に言ったこと。アレ、実は当たってるんだ」
……………あぁ!そんなこと言ったな私。
じゃあ、ミドイヤルさんが強さを求めるのは、
認められたいってこと…?……誰に?
ちんぷんかんぷんなあたしに構わず、
ミドイヤルさんはどこか寂しそうにこう話し始めた。
「俺にはどうしても勝ちたい相手がいた。
けど何度やっても、何度挑んでも、
その人に勝つことはできなかった…」
「…その人っていうのは、一体…?」
「う~ん… あっ!俺にとって、特別な人ってとこかな」
「…? …! あっ、もしかしてグリーネアさ」
「いや違うからね」
「違うんかい!ミドイヤルさんの特別な人って
いったら、グリーネアさんぐらいしか見当が…」
「いやそんな風に思われてんの俺!?
とゆーか、アイツとは別にそんなんじゃ…」
そう言いながらも顔を赤らめるミドイヤルさん。
なるほどねぇ。でも、グリーネアさんじゃないと
したら、特別なその人っていうのは一体… 私の考えは
突如 発生した爆発によってかき消された。
「ここにいたのか… 随分と手こずらせてくれる…」
「おっ、お前…!何故ココが…!?」
「この惑星は俺の庭も同然だ。
あの吹っ飛び様から考えて、つく場所はだいたい
計算がつく。さっきの場所より、だいぶ遠いがな…」
「くっ…!」
そこにいたのはクワガタムシの怪人…
もとい、トゥマース。すると、たった今
ここであることを思いついた私は、
ミドイヤルさんに耳打ちする。
「ねぇミドイヤルさん… なんとかこの状況を
打開できるかもしれない方法を思いついた」
「ホントにできるわけ?」
「多分ね」
「…不安。でもとりま言ってみて」
「あたしの肩から煙を最大出力で放射して、
父さん達に知らせる。確かジャークネスはまだこの惑星の
衛星軌道上にあるはずだから、きっと気づくはず。
だからそれまで、ミドイヤルさんはなんとか
時間稼ぎをしてほしい。
今ばかりは、私を信じて…!」
「……わかった。その話のった!」
「おおっ、サンキューで~す!」
「何をさっきからコソコソ話している?」
「ヘッ、お前を倒す方法を相談してたんだよ!」
「何?」
「行くぜ!」
「まずは入口まで案内してもらおうか!」
私とミドイヤルさんは各々の得物を構え、
トゥマースに飛びかかった。そしてなんとか
洞窟の入口から地上に出た私たち。
ミドイヤルさんが私からトゥマースを
遠ざけんと交戦し続けている。
「よ~し… ちと体力使うけど、久しぶりに
ぼちぼち ちょっくら本気出しますかぁ…
はぁ~~~~~っ…… フンッ!トゥアーーーッ!!
高度経済成長ォォォーーーーーッ!!!!」
私は気合を入れると、肩の四つの煙突から
夥しい量の煙を空に向かって放出した。
おそらくその気になれば この惑星の空をも
この煙で埋め尽くせるはず。確かコレ…
いざとなった時の緊急非常用装備だって
言ってたし、みんなきっと気づいてくれるっ…!
ある時はクワガタムシみたいな形態に変身しての
カマキリみたいな鎌による攻撃、んでまたある時は
ワイバーンのような怪人に変身しての空中からの
攻撃、そしてまたある時はハチのような形態に
変身しての電気攻撃。こういったトゥマースの
変幻自在な攻撃の中、俺は傷つきながらも必死に
ヴァルーナちゃんを守りつつ、トゥマースと戦った。
「トゥマース!俺を獲物とか
言ってたな…。なんで俺を狙う!?」
「お前に怨みはない。俺は一千万で
あの方に雇われただけだ!」
「あの方…?もしや依頼された系なのかな…?
だとしたら…簡単には、教えてくれない系?」
「あぁそうとも、力づくでだな。最も、
この様子じゃ、お前は聞く前に倒れるがな」
「…フッ、残念だけど ぶっちゃけここで
殺られるわけにはいかないんだよね」
「何…?」
「根性、気合だぜ…!」
俺は肩からヴァルーナちゃんの方を見ると、
ヴァルーナちゃんも自然に気づいたのか
申し訳なさそうな表情を返してくる。
心なしか、煙の量も減っているような気がする。
大丈夫だよ、ヴァルーナちゃん。自分のペースで
いいからさ。それまでにキミは俺が守るから!
俺は… 強いから!少なくとも、今はキミを守る程度に!!
俺は瞑想し 風太刀丸を持ち直すと、目を見開き
気合いの雄叫びと共にトゥマースに立ち向かう。
「…!ヴァローズ、ブラストオン!」
トゥマースはヴァローズとかいうバラと炎が
合わさったようなプラスタンを召喚すると、
バラと炎の合成怪人みたいな姿になり、
全身から火球を連射する。その爆発の中を俺は
駆け抜け、トゥマースに竜巻とヴァルーナちゃんが
放った少量の煙を纏った、渾身の一撃を振り下ろした。
「煙巻乱舞!!」
受けたトゥマースはどうやらこのワザが効いたのか、
身体中を爆発させながら後退りし 膝をついた。
「…あっ、ミドイヤルさん やったの…!?」
ヴァルーナちゃんももう限界を迎えたのか、
肩からの煙が収まって、力なくへたり込んだ。
「さぁ、教えてもらおうか!
一体誰が、俺の殺しを依頼したわけ!?」
俺は風太刀丸の一刀の先端を突きつけ、
トゥマースを尋問した。
「フフフ… スキあり!」
その瞬間、トゥマースは火球を 後ろでへたり込む
ヴァルーナちゃんに向けて発射する。
俺もそれに気づき、風の速さで急いで
ヴァルーナちゃんの元に向かおうとしたが
間に合わない…!クソォッ、なんてヘマを…!
ヴァルーナちゃんは腰からヴァルナスチームガンを
取り出そうとするが、力がないのか動きが鈍い。
ダメだ…!このままじゃヴァルーナちゃんに…
ロワイヤルに、あんなに大見得きったのに…
こんなんじゃ、まだまだだよなぁ…
強く… なれるはずないよなぁ…。
「「完全ガード!!」」
ふぇっ…?俺が前方を見てみると、そこには
得物をクロスさせて火球を防いでる…
ウミギロンとサヒダロンがいた。そして、
その火球は向こうに打ち返されると、ふたりは
腰からヴァルナスチームガンを取り出し、トゥマース
に連射。トゥマースはソレを喰らいまくる。
「ヴァルーナ様!大丈夫ですか!?」
「あぁ、おいたわしやヴァルーナ様…
こんなになるまで頑張って…」
「…伝わったみたいだね。あたしの秘策…」
「あぁ、そうともさ!」
その声と共に振り向くとロワイヤルとエレーネアが
各々の得物で、トゥマースを切り裂き 現れた。
「ヴァルーナ!ミドイヤル!大丈夫!?」
「そのケガ… ヴァルーナを守れたみたいだな!」
「あぁ… ちょっと、危なかったけどね」
「でも、コレでちょっとはわかったろ?」
「ふぇっ?」
「誰かを守るための力こそ、本当の強さだってな!」
「…ロワイヤル」
もしかしてロワイヤルは、コレを教えるために
俺にヴァルーナちゃんを守れって言ったの…?
「なんとか間に合ったみたいでよかったですよ」
「ヴァルーナ様、ミドイヤル様、あとはお任せ
ください。私たちがコイツを倒します!」
オリンピアスとジイも現れて、コズモル一家集結!
「い、いやいや俺はまだやれるって!」
「そのキズでやるの!?」
「これくらいのキズがなんだってんだぃ!」
「そんなに言うならば、やらせてみては?
このくらいでへたばるようなヤツじゃ、
六帝将は務まりませんしねぇ~!」
「へへっ、ジイわかってるじゃ~ん!」
「ヴァルーナ様は、私が
ジャークネスに連れて行くので!」
「ごめんミドイヤルさん、今回のあたしが
スタミナ不足なばかりに… でも、ありがとう…!」
「あぁ…!あとは任せて!」
ヴァルーナちゃんはジイと共に撤退した。そして
俺達は、各々の得物を手にトゥマースと対峙する…!
「これでお前の死は決まったも同然だなっ!」
「えっ!?は、はぁ?突然出てきたと
思ったら、何を…!?どうしてそうなる!」
「決まってるじゃない。ピンチの時に
こうやって駆けつけるということは… 相手の
敗北フラグって 相場は決まってるのだーっ!!」
ドーン!と言わんばかりにトゥマースを指差す
エレーネア。なるほど… エレーネアが言うと、
確かになんだかそんな気がする!
「なんてメタいことを言うんだこの女!?」
「よ~し、なら早々に有言実行だ!」
ロワイヤルの号令と共に、まずはジイが触手を
出して、トゥマースを捕縛。その隙にオリンピアスが
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切り放題。そして触手から離れたのち、今度は
ウミギロンとサヒダロンの連携攻撃!トゥマースは
抵抗する間もなく、エレーネアの元に飛ばされ
エレネアローの一撃を受ける。
「フィニッシュは必殺技で…」
「決まりってことっしょ!俺も一緒に!」
「おうよ!」
俺とロワイヤルは共にトゥマースに飛びかかり、
エンペライトセーバーと風太刀丸で斬りまくった。
「喰らえ!ロイヤル・ダイナミック!」
「俺も!ハリケーン・ハーレー!」
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俺は風太刀丸でX字に それぞれ斬り裂いた。
決定的な一撃を受けたトゥマースは身体全体から
火花を散らし、大爆発したのだった。
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たちまち巨大化したのだった。
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鎖で引っ張ってる~っ!?」
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「ぁぁ…!おうっ!!」
ロワイヤルはロワドルーンに、俺は緑の
ジェット機に それぞれ乗り込んだ。コックピットに
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『ミドイヤル君。ヴァルーナちゃんを守った件、
お見事だったね。その功績を讃えると言っては
アレだけど… この『ミドルジェット』は君のものだ!
…コレで、我々を裏切りかけた一件はチャラね』
「まだ根に持ってたんだ… 3話のアレ…」
『当たり前でしょーが!!まぁとにかく、
アカトライカー、アオザブダイバーと同様、
デストロワイヤルの速を司る武装になれる。
是非、やってみておくんなましっ!』
その言葉を最後にブルーネアの通信は途切れた。
「ロワイヤル、聞いた!?」
「モチのロンとも!行けっか?」
「…フッ!トーゼン!!行くぞ!」
「巨人変形!デストロワイヤル!」
そして!ロワドルーンは変形し、
デストロワイヤルとなった。そしてここから…!
「「武甲鎧装!!ミドルジェット!!」」
デストロワイヤルは大きくジャンプ。そして
ミドルジェットは空中で分離し、デストロワイヤルの
兜、胸に着くアーマー、肩に着くウィングに。そして
アーマーが胸に着くと共に、俺はロワイヤルの
コックピットに転送された。
「あっ…」
「コイツの名前は決まった。
『ハリケーン・デストロワイヤル』だ!」
「いいじゃん!じゃあそれで!」
「よしっ…!」
「「ハリケーン・デストロワイヤル、活動開始!」」
それを見た巨大トゥマースは、オウムのような
姿をしたプラスタンを召喚する。
「コレは、コイツで行った方がいいな…
フェザール、ブラストオン!」
トゥマースはオウム型プラスタン、
フェザールと合体。オウムのような姿となり、
ハリケーン・デストロワイヤルに向けて飛んだ。
ハリケーン・デストロワイヤルも負けじと
飛び上がり、空中を舞台とした高速のバトルが
開始された。トゥマースは全身からビーム弾を
放射するが、ハリケーン・デストロワイヤルは
素早くそれを全てかわしていく。ならば今度はと、
トゥマースは腕についた翼型のカッターを
振り下ろすが、ハリケーン・デストロワイヤルは
それを瞬時にかわして 後方に移動。得物の大剣、
キングレイモアで背後から斬り裂いた。それを
モロに喰らったトゥマースは元の姿に戻り、
地上へと墜落した。
「くぅぅぅ…!ならば、最終兵器のコイツをば…!
ドンゴラゴン、ブラストオン!!」
巨大トゥマースは、巨大なドラゴンのような
プラスタン・ドンゴラゴンを召喚し、合体すると
巨大なカブトムシのような戦車の形態に変身。
砲台らしき場所にエネルギーを溜めて
今にもこっちに撃たんとしていた…!
「まっ、まずいよこりゃ…!こうなったら
こっちの必殺技で相殺するしかない!」
「どんな必殺技?」
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「えぇーっ!?ロマンじゃないの?」
「とにかく行くぜ!」
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空に掲げ、内部メカに組み込まれているという
アビリティギアのエネルギーを全て込める。
「速風回転!!」
「「ハリケーン・ドリルスピン!!」」
ハリケーン・デストロワイヤルは
キングレイモアを両手で持ち、大回転。
ものすごい竜巻を発生させながら トゥマースに
突っ込んだ。トゥマースの方は砲台らしき
場所からビームを発射!しかしこっちは
竜巻の威力でそのビームをかき分けて
近づいていき、トゥマースを貫いた。
そして次の瞬間、トゥマースは元の姿に戻り、
怪物のような悲鳴をあげながら、
身体中から火花を散らして、爆発四散!
やった…!俺らの勝利みたい!!
「ハ~ッハッハッハッハッハッハッハ~!
よくやった ミドイヤル!お前も一歩前進って
感じだな!この調子で頑張ってよ~ん♫」
「うっ、うるさいっ!そんなのそっちに
言わなれなくたって わかってるってーの!」
俺のこの跳ねっ返りな答えもさして気にせず、
ロワイヤルは盛大な高笑いを響かせたのだった。
その光景を 謎の美女が電話をしながら見ていたのは
この時の俺たちは誰も知らなかった。
「…はい、トゥマースの奴は殺られました。
あなたの息子… あぁいえいえ、申し訳ありません…
ミドイヤルの抹殺も失敗したようです。
権力を使って、大っぴらに誘き寄せてまで…
いえ、ご心配には及びません。かくなる上は
私が直々に抹殺しに行きます。ミドイヤル…
そしてあなた方の障害になりかねない存在、
コズモルチー・ファミリーをねぇ…!」
ジャークネスの司令室にて、俺はロワイヤルに
トゥマースの気になる発言を報告していた。
「一千万であの方に雇われた…
アイツはそう言ってたのか?」
「うん…」
「じゃあやっぱり依頼された系かもな…
そのうちきっと、依頼者の方から俺たちに
挑戦しに来るかもしれない。こっちでも警戒は
しておくから、そっちも警戒は怠るなよ」
「うん…」
俺は司令室を出て行こうとするが、
ロワイヤルのこのあとの発言に足が止まる。
「あぁ~。それと… お前には勝ちたい相手がいた
そうだな。ヴァルーナから聞いたぜ、
それがお前が強さを求める要因か…?」
「…それに関してはノーコメントだから」
自分でも驚くくらいの冷たい声を出して、
俺は司令室を去った。…俺を狙ったトゥマース。
いったい誰が依頼した? まぁ確かに、強いやつ
には人懐っこくて、弱いやつにはちょっと
冷たい… 俺の性格から顧みて 怨みを買いそうな
人はいそうだけど… 何もあそこまで大がかりな
ことをしてまでとは考えにくい… 惑星全体に
ウワサを流して、デモをさせるあの大がかりな
やり方。下手すりゃコズモルチー全体から
命を狙われるリスキーなやり方… ここまで
するってことはよっぽど肝が据わってて、
なおかつ覚悟があるってことだ。…やっぱり
あの家なのか…?けど、俺はもう…
いろいろと考えてみても、やっぱり答えは
わからない。もし真実があるとすれば、
自分のこの眼で確か見てみるしかない。
それまでもっと、強さを、腕を磨くぞっ…!
俺はそう誓って、外へと駆け出していった。
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