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家族か?友情か?それと謎の本
しおりを挟むいつものように、住人が悪いことしか
してないため、父さんが滅ぼさんと惑星 ブシローを
侵略していた時、五色戦隊 ストライジャーなる
連中と戦うことになる。調査の末、
彼らの本性は、裏で悪事を平然と働いている
マッチポンプ上等の偽善者共だった。
せっかく戦隊っぽいキャラに会えたのに。
は~~~~~… めっちゃショック。略してめちょっく。
ここは惑星 ゴーチャン。
惑星の中でも最大級とされる匿名掲示板が
あることで有名だ。そこに書かれているのは、
もちろん 感動することをはじめとするいいことも
書いてあるっちゃ書いてあるのだが… そんな事実が
どうでもよくなる程度には 悪いことや何者かを
誹謗中傷しているモノが圧倒的に多く書かれている。
生命体の醜き性がよくわかろうというモノである。
現在 その匿名掲示板を開設し、数々の人物と
討論を重ねてきたこの惑星随一の実業家、『キユロヒ』
がとあるワイドショーの番組で 討論を重ねていた。
「生配信屋やりたい学生さんが多く増えましたけど、
う~ん、多分 そういう人は成功しないっすねぇ…
まずぅ… 生配信中の人って言っても… たくさんいるん
ですよねぇ…。僕含めてゲーム実況とか…
芸能人も多い中でたかだか登録者数人のチャンネル
なんて誰も見ようとしないんですよねぇ…。
僕に影響されたのかは知らないですけど こういう人
ってすぐ結果が出ないとやめ…ア"ッ!!!」
いつものように間違ってこそいないが否定じみた
発言をしていたキユロヒの首は一瞬で跳ね飛ばされた。
辺りには鮮血が飛び散り、スタジオ中から悲鳴が
あがる。そして首を跳ね飛ばした元凶の男が
フレンドリーにスタジオに声をかけてくる。
「なっ、何だ君たちは!?」
「なんだチミたちはってか?そうです、我々こそが!
世間を騒がす、コズモルチー・ファミリー!」
「うわっ!?こ、こいつらがあのコズモルチー!?」
「そうよぉん…♡ アレみたいなことになりたく
なかったらさっさと私達の姿を映してちょうだい!
はいキャスターっぽいアンタどいたどいた…」
そう、今回の襲撃対象はこの惑星 ゴーチャン。
掲示板に当たり前のように書かれまくる誹謗中傷の
嵐に 我々は痺れを切らし、その元を絶つべく
今回馳せ参じたわけだ。ならびに、あーゆータイプは
このぼく、オリンピアスを含め 我々がもっとも
嫌うタイプの人間だ。金と権力に胡座をかき、
荒事の際には口先だけで実際は何もできずに
紙切れのように無様に殺られていく。
そーゆー存在をボクらは何人も見てきた。
「よぉ、惑星 ゴーチャンの者共。俺様は
コズモル・ロワイヤル。この宇宙には
こんな言葉がある。『天網恢々』!
天の道は厳しく、悪事はすぐに露見し、
報いを受けるっていうことだ。本来であれば、
俺らみたいな連中のことを言うんだろうが、
お前らもある意味 我等と同類のような
モノだ!!ネットでしかイキれず、ただ己の
ストレス解消がために、匿名性に胡座をかき、
誰かに誹謗中傷を繰り返す!そんな連中に
生きる時間は与えない!よって、我等
コズモルチー・ファミリーはこの惑星を侵略する!!
この俺らに目をつけられたのが運の尽きだ!
大人しく滅びを受け入れるこったな!そう、
この… 無惨な姿のキユロヒみたいになぁ!!
ダアーッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
後に風の噂で聞いた話だけど、父さんのこの
演説をゴーチャンの民衆に混ざって、
この惑星に滞在していた、
オレンジのあの人が聞いていたらしい。
まぁそんなことは今はいい。こうして、
父さん達のその一声をはじまりに、惑星 ゴーチャン
は我々 コズモルチー・ファミリーの襲撃を受け、
木端微塵に、なおかつド派手に破壊された。
多分その時に、オレンジのあの人は脱出してた
だろう…。抜け目のないであろうあの人のことだし。
ちなみに、生配信の話についてだが、
ぼくの見解としても あまりいい印象は抱いていない。
たしかに輝かしいとは思うが、そこに至るまでの
努力はまさしく命懸けだろう。ボクはそこまでして
輝きたくはないし、それだったら真面目に働いた
方がまだマシに思えてくる。脇目もふらず働いて、
とにかくがむしゃらに働き続けて、そして…
定年後 すぐにゆっくりと、ポックリ逝く事の方が
なんかいいようにも思えてくる。いや、
それもそれであまりいいとは言えないけど…
でもこのご時世、働く以外に時間取ることなんて
多分 無理であろう…。…ねぇそうじゃないのぉ?
そうだって言えよ ほら頼むから言ってくれよホント
惑星 ゴーチャン。ヘッ… 強ぇ奴がそんなに
いなくて、イマイチ物足りねぇ侵略だったぜ…。
よう!こうやって語り部るのは初めてだな!
俺は、レッダー・アカイヤル。ただいま、
絶賛 トレーニングルームで筋トレ中の六帝将の
暴将だ! 俺は、食うことと戦うことに並んで、
身体を動かすことが大好きだ。たとえ外が
土砂降りの雨でも、雷ゴロゴロ鳴ってても、
ジーッとしてるのは性に合わねぇってもんだ。
まぁそんなこんなでバーベルを片手で持ち上げて
たら、扉が盛大にブッ壊れる音が聞こえる。
やれやれ、またかよアイツ。
「うぃーっす、アカイの秀一」
「おう。ってかアカイしかあってねーし。
また扉ブッ壊しやがったな ロワイヤル。
どーすんだよ今月で3回目だぞ 流石に
三度目ともくればアイツも黙っちゃいねーだろ」
「まぁそんなことはさておきさ、これ手土産の
ゴミに捨てようと思った空き缶。捨てといて」
「ウッヒョ~ッ!最高にクソだ~っ!」
「まぁ冗談冗談… ほれっ」
ロワイヤルは持っていたスポーツドリンクを
投げ渡す。俺はそれを腕と胸でキャッチすると
グビグビ飲み始めた。ちょうど喉乾いてたんだ。
「サンキュー。あ、そうだロワイヤル」
「ん?なんだ?」
「久しぶりに俺と遊びに行かねーか?
ここ最近… オメー、家族とばかりで
俺たちとそんなに絡んでもくれねーしさぁ…」
「別にいいけど… いつがいいの?」
「今週の土曜なんかどうだ?
そっちの予定がよけりゃだけど…」
「土曜… って事は、3日後か。よし、いいぜ
それなら多分 何もないはずだ」
「マジか!?サンキュー!!ありがとな~!!」
「ちょ、おい!肩組むのはいいけど、
お前 力強すぎんだよ!!もっと抑えて頼むから!」
「ナッハッハッ!たまには"家族"だけじゃなくて、
俺たちとも遊ぼうぜ~!!あ、"捨てて"くるわ」
俺はロワイヤルから手を離すと、空になった
スポドリをゴミ箱までダッシュして捨てた。
「なんだ? 投げないでダッシュ?」
「おう、"駆け"たぜ。せっかく投げても、
ゴミ箱にヒットしないで変なとこに
"落ち"たら 気分わりーだろ?」
「"うん"、それはわかる。とにかく、
土曜だな。"OK!"承った」
まぁ、なんともないこの会話。すると
次の瞬間、何やら廊下から悲鳴が響く。
『いや~~~~~っ!!お二人に
そんなシュミがあったなんて~~~!!!』
「「!?」」
「…今の声って、グリーネアだよな?」
「なんかあったのか?ってオイ、アレもう扉
直ってんぞ。アイツが魔法で直してくれたんかな?」
「マジか、感謝だわグリーネアちゃん」
「いや、もう壊すなよ…?」
後々さっきのなんともないあの会話がきっかけで
ある意味 とんでもねぇことになるだなんて
俺も、ロワイヤルも、知るよしがなかった。
少なくとも、今はな…
ここは氷結工房。ブルーネアさんはパソコンに
向かって、黙々とキーボードを打ち続けています。
私… グリーネアはそんなブルーネアさんに
差し入れとしてミントのティーを淹れました。
果たして彼女の反応は、どうでしょう…!?
「アカイヤル君専用ゾードも完成し、
続いてアオイヤル君のゾードも完成間近。
いやはや、全くいい按配だねぇ~」
「ふふっ、よかったですね。あと、
どうですか?私の淹れたミントティーは」
「ん?あぁ、美味しかったよ。心が落ち着く。
グリーネアらしい味だと思うよ」
「ホッ、ホントですか!?ありがとうございます!!」
「ふぅ…。キミのおかげでやる気がも~っと出た!
頑張ってアオイヤル君のゾードを完成させるぞ~」
「ふふふ。ところで、ミドイヤル君の
ゾードの方はどうなっているのでしょうか…」
「…え~、あの裏切りかけた風忍者にやるゾード
なんて 正直言って、ないんだけどなぁ~…」
「そっ、そんなご無体な!ちゃんとロワイヤルさんが
説得してくれて、罰も受けたじゃないですか!」
「…冗談だよ。ちゃんとミドイヤル君用の
ゾードも同時進行で作っている」
そう言うと、数あるディスプレイの画面にジェット機
型のゾードの、デジタル設計図が提示されたのです。
おそらくこれが、ミドイヤル君用のゾード。
「アカイヤル君、アオイヤル君、そして
ミドイヤル君が使う予定であるこれらのゾードは
デストロワイヤルを強化する鎧になると同時に、
新たなメガゾードの部品ともなるゾードだよ。
炎を司る大地を駆ける車、
水を司る海へと潜む潜水艇、
風を司る空へと羽ばたくジェット機、
次のメガゾードはこの三体のゾード
なくしては誕生しない。そして、そのメガゾードが
誕生し、デストロワイヤルと団結を紡いだその時、
更なる力が解放される。この力があれば、
そんじょそこらの連中なんざ屁でもない」
「団結を紡いだ時、更なる力が解放される…?
そ、それは一体どういう意味でっ!?」
ブルーネアさんは何も答えません。
なんか、ちょっと出過ぎてしまったのでしょうか…
気まずい空気が場を支配し始めました。
「…すっ、すみません。ちょっと出過ぎたマネを…」
「いいよ。その真意もいずれ君たちは知る時が来る。
兎にも角にも、まずはこの3つのメガゾードシステム
の完成が先。それらの真意は、そのあとさ」
「……気が早すぎましたね」
「そんな気に病む事はないよ。あっ、そうだ」
ブルーネアさんはパソコンの席から離れると
何やら引き出しをガサゴソと弄り、黄緑色の綺麗な
ワイヤレスイヤホンを私に渡しました。
「これって…!私にですか?」
「うん、こんなにもいいお茶を淹れてくれた
お礼。そのうちキミ専用のゾードも作るカモ
しれないね♫」
「ホントですか?ありがとうございます!」
やがて私は氷結工房を出ると、嬉しい気持ちで
ワイヤレスイヤホンを見続けていました。すると、
通りかかったトレーニングルームの扉が盛大に
破壊されているのを目撃しました。
「…しょうがないですね~。ハガ・レンキー!」
私が呪文を唱えながら、輝く指を向けると
一瞬で扉は元の状態へと直りました。これが今の
呪文の効果。壊れたものを一瞬で直せる
一種の錬金術でもあります。ホッと一息ついて
通り過ぎようとしたら窓から何やらロワイヤル君と
アカイヤル君の話し声が聞こえてきました。
窓が厚手なのであまり詳しい事は聞こえません
でしたが、2人とも声は大きな方なので、
比較的聞こえました。しかし、その肝心の内容は
とんでもないモノだったのです…!!
『ナッハッハッ!家族… 捨てて… 駆け… 落ち…』
「…えっ!?アカイヤル君!?」
『うん… OK!』
「ロッ、ロロロ… ロワイヤル君まで!?」
な、な、ななな… なんということでしょう!?
アカイヤル君がロワイヤル君に家族を捨てて、
駆け落ちをお願いしたじゃ… ありませんか!?
しかも、ロワイヤル君はそれをOKして…
何より、お二人は『男』であるはずなのに…!?
まさか…!男同士で駆け落ち… だなんて…!?
「いや~~~~~っ!!お二人に
そんなシュミがあったなんて~~~!!!」
私は気づいたら、悲鳴をあげ、
その場からもうダッシュしていたのでした…。
僕たちがこれから赴こうとする惑星、惑星 ライグでは
ある事件がここ最近、頻発していたのだ。
宇宙でも五指に入るといわれている難関大学、
ムァーサニューセッツ大学の論文を理解する頭脳の
持ち主… 現役高校生の超人気モデル兼アイドル…
強靭な肉体を持つ超有名な映画スター…
その他諸々の有名人がとある赤い本を手にした
瞬間、恐ろしい怪物に変貌したという… この都市伝説
が、宇宙中にまことしやかに囁かれているのだ。
「ふむふむ、なるほど… んで、それをちょっくら
調べたいがために惑星 ライグに行きたい… と。
…あたしは別にいいよ~。面白そうなことには
できる限り 首を突っ込みたいしさ」
「ありがとうエレーネアちゃん。さぁ、
次はキミの番だ。キミの方も… 僕に用が
あるって言ってたけど、何だい?」
「あぁ、そうだったっけ… まぁ、この
惑星 ライグのアレが終わってからでいいけど、
ちょっとここを調べてもらいたいの」
エレーネアちゃんに渡されたのは、何やら
パンフレットだ。それを見てみると、そこには
惑星 ガトーの、ザーナミ湖の近くにある、
テーマパーク形式の廃れた感じの遊園地、
ウォールドダイヤモンドパークのだ。
「…ここを?」
「そっ♫」
「いや、別にやってもいいけど… ここって確か、
富豪しか入れない高級テーマパークになったって
聞いたけど?それに、ここ 異星人には厳しく、
ガトー星人以外の異星人がこのテーマパークに
入ったこともないって噂もあるし…」
「確かにそうらしいわね。でも、大丈夫でしょ?
……『ブルス』の名を使えば」
僕はその名を聞いた途端、有無を言わず
彼女にバシャバシャフトを向けていた。
「…やっぱり、気に障ったみたい… ね?」
「…僕はもうあの家とは一切、全く関係ない…っ!
むしろ、君たちの方が行けばいいじゃないか。
君の名の方が、僕の名よりはるかに上のはずだ」
「そりゃあそうだけどさぁ… でもアレ、裏社会
じゃないと ほとんど意味をなさないと思ってさ。
でもその名なら、表社会では十分 通じる名前
でしょう?なんせ宇宙中の経済界を回してるんです
もの。簡単に顔が効きそうじゃない?」
「…い、いや ホントに僕はあの家とはっ…!」
「じゃあ、他にどういう手があるわけ?金持ちに
化けても、あそこ結構 ガードも警備も厳しいよ?
だからここはいっちょ、正攻法で行くしかない」
「い、いやしかしっ…!」
「アオイヤル」
鋭い声で名を呼ばれた瞬間、前にいたエレーネア
ちゃんの姿は消えていた。ふと背中に指で指されてる
ような感触を覚え、振り向くと そこには鋭い目つき
で、僕の背中に指鉄砲を向けるエレーネアちゃんがいた。
「…もし、コイツらが何か裏でクソみたいなこと
やってて、それで苦しむ人達がいたら
あなたはそれを、見捨てるって言うわけ…?」
「…そっ、そんなこと、するわけないだろっ…!」
「なら!アオイヤルが辛いのも… それを知ってて
こんな頼みするのも酷だってのは 承知の上。
今だけは…、個人の事情は引っ込めなさい!」
重苦しくシリアスな空気が部屋全体を支配する。
どうあがいても逃れられないということを悟った
僕は歯を食いしばり、その提案を了承するのだった。
「わ、わかったよ…」
「大変大変大変です~~~っ!!
エレーネアさ~~~~~ん!!」
僕が了承したすぐ後のタイミングで
扉から大声をあげてグリーネアちゃんが現れた。
「ちょっと!いきなり何!?せめてノックくらい…」
「それどころじゃないんですよっ!!」
「…えっ?どうしたの?何があったんだい?」
「あっ、アオイヤル君も。聞いてくださいっ…!
ロワイヤル君が……」
「え…?ロワピーがどうかしたの…っ!?」
「ロワイヤル君が…」
「ロワイヤルが、何だい…?」
「アカイヤル君と…」
「え?アカイヤルと…?」
「アカイヤル君と…」
「アカイヤルと、何…!?」
「…家族を捨てて、駆け落ちするって…!」
「「……えぇっ???」」
え?どーゆーことだい…?ロワイヤルが、
アカイヤルと?家族を捨てて、駆け落ち…?
は? え?全然意味がわからんのだけど?
そもそもあのふたりは男だよね?
仲良い親友同士なのは周知だけど、男同士だよね?
駆け落ちって普通 男女間のことを言うんじゃな
かったっけ? アレ、違ったかな…? え…?え?え?
「ファッ!?な、なにぃ!?」
「え~っと、グリーネアちゃん。もう一回
言ってくれないかな? もしかしたら僕達の
空耳、あるいは海耳かもしれないからさ…」
「ロワイヤル君がアカイヤル君と
家族を捨てて、駆け落ちするそうです!」
僕とエレーネアちゃんはそれを聞いて
昭和のアニメの如くズッコケたのだった。
「いやいやいやいやいやいやいや!!
確かにあの2人が大親友なのはわかるけどさぁ!
ぶっちゃけ信じられないんだけど!?えぇ!?」
「ホントに2人はそんなこと言ったのかい?」
「えっ、えぇ…。窓越しですが…」
「いやぁ~~~っ!!そんなの認めるかぁ~っ!!
アカイヤルとなんて~!!どうすんのよコレ!
ロワアカ… またはアカロワなんてのが誕生したら!
腐った女子の皆様ホイホイじゃない!えぇっ!?
ウチは別に、それ♂を推してるわけじゃないのに!
ロワイヤルと私みたいな、自然の摂理に沿った
男と女の王道たる愛を提唱してる作品なのにぃっ!!」
「ちょっと待てちょっと待てちょっと待て!!
今お前 いろんな方面にケンカ売るような発言
してんのわかってる!?」
「いや、別に否定はしてないよ!?…それよりも、
許さない…!ロワピーが、ロワイヤルがそんな
性癖持ってるはずないよ…!仮にそんな性癖
持ってんならなんであたしと結婚したんだって
話になるわけだしさぁ…!ロワイヤルもそうだけど
まずはアカイヤルを問い詰めなきゃ…!あたし達に
内緒で駆け落ちなんかぜ~ったいにさせないっ…!!
誰がなんと言おうと、ロワイヤルは
あたしのものなんだからっ…!!」
「…おいおい、なんかヤンデレみたいだぞぉ…」
「コレは、ちょっとまずいような…」
エレーネアちゃんは怒りに震え、部屋を
出ていったのだった。僕はとりあえず
それについていくことにしたのだった。
俺はロワイヤルと別れた後、
自分の部屋へと向かっていた。
「ふ~、久々に筋トレすっと、身体が整うな…
この流れで、サウナにでも行こっかねぇ」
「お~い、アカイヤル!大変だよぉ~!」
「あぁ?どしたミドイヤル。そんな慌ててよぉ」
「なんかさ、エレーネアが怒ってた。
アカイヤルに対して」
「…はぁ?どういう事だよ?なんでエレーネアが、
俺に…?俺、アイツになんかしたか?」
「俺も通りかかっただけで
詳しいことはよくわかんないけど…」
『いやぁ~~~っ!!そんなの認めるかぁ~っ!!
アカイヤルとなんて~!!』
「…ってな感じでさ、なんか怒ってたんだよ
なんかあったの?」
「…もしかして、俺とロワイヤルが遊びに行く件
について、行ってんのかなぁ…?」
「えぇ?アカイヤル、ロワイヤルと遊びに行くの?」
「あぁ。もしやエレーネアの奴、それに反対して
こんなこと言ってんのかもしれねェな」
「いや、別にお供と遊びに行くくらいいいじゃん。
いくら愛する人とはいえ、流石にそこまでの
反対は… よくないってことはわかる」
「…とにかく、ホントかどうか確かめに行くか。
そうなら、ちょいとガツンって言ってやんないとな…!」
「…俺も一緒に行こ~っと」
つーわけで、俺はエレーネアの元へと向かった。
ジャークネスの郊外の公園にて、私は
料理の本を読みながら、かりんとうごっこを
して遊んでる子供達を眺めていました。
かりんとうごっことはその名の通り、かりんとうの
着ぐるみをきて、床に転がるだけの遊びです。
え? それの何が楽しいんだ? …ですって?
う~~~~~ん、俺にもわからん。
「お~い、ジイもかりんとうやろうよ~」
「なんだかちょっとだけリラックスできるよ~」
「「一緒にやりましょおやび~ん」」
「…んまっ、いまさら料理本なんて見なくても、
俺の料理は天下一品だからなっ…。は~い!
今 そっちに行きマッスルハッスル~~!!」
その呼びかけに応じ、行こうとする私は
なにやら宙を飛び、こちらに接近しつつある
"何か"を発見したのです。接近するにつれハッキリと
見えるその"何か"。そして、ハッキリと見えたそれは
鳥のように飛んでいる赤い本でした。その赤い本は
私たちの上空で停止すると、こう喋り出したのです。
「なんだあれは?」
「我の名は、ダッシュ・ベルグ…!!」
「キェェェェェアァァァァァシャァベッタァァァァァ‼︎」
「うるせぇぞヴァルーナ!
ってかそのネタやめろお前!!」
「ダッシュ・ベルグ?」
「なんかどっかで聞いたことある名前ですねぇ」
「この要塞から凄まじい力を感じる。
貴様ら、私の力となるのだ!
その力で、私は最強の王様になるのだ!」
「最強の、王様だって?」
その赤い本はオリンピアス様とヴァルーナ様の
元へ接近しようとしましたが、間一髪
ウミギロンとサヒダロンがそれを槍からのビームで
阻止したのです。反撃と言わんばかりに赤い本は
電撃を発射し、私たちを攻撃。その後、赤い本は
何かを感じたようで、私たちを無視し、向こうへと
飛んで行ったのです。向かった先にいたのは、
なんと… ロワイヤル様!まさかあの本は…!?
「ロッ、ロワイヤル様ーっ!お逃げください!」
「あっ?どうしたの… へぶっ!?」
「あっ、本が父さんの顔面に!」
「ちょっ、なんだ… こりゃ!?」
「貴様の力、貰い受ける!そして、
この力で、私が最強の王様になるのだ!」
「ちょっ、なんだこりゃ!?うっ、
うわあああぁぁぁーーーーーっ!!」
ロワイヤル様の悲鳴と共に、ロワイヤル様は
赤い本から放たれたエネルギーを、身体に浴びて
悍ましい金色の怪物へと姿を変えたのです。
「…素晴らしい、力が沸る…!早速、
この力を 試してみるとしようか!」
そう言って、怪物は街の方へと走って行きました。
なんということでしょう。"まだ"『6話』だという
のに主人公が、敵に乗っ取られて怪物と化して
しまうという… おそらく前代未聞のこの展開。
「まずい…!奴を追いかけて、
ロワイヤル様に戻すぞ!」
「けど、どうやって元に戻せば…」
「そんなのあとで考えときな!」
私たちは即座に武器を持ち、怪物を追ったのでした。
私たちはアカイヤルの元へ向かおうとすると、
アカイヤル… それとミドイヤルと偶然 鉢合わせ。
私たちは何も言わず、目配せし 拓けた外へと出た。
「アカイヤル… どういうつもりなの?」
「そっちこそ… ひでぇと思わねぇのか?」
「ひどい!?それはそっちでしょーが!?」
「…エレーネア、お前… ロワイヤルのこと好きだろ?」
「…そうだよ。何 分かりきったこと言ってんの?」
「だったら、なんで俺たちと一緒にいる…!?」
「…は?そりゃあ、アンタ達は私達のお供で…」
「だったらよぉ!!ロワイヤルを縛るんじゃねぇ…!
ロワイヤルはお前の旦那であると同時に、
俺のマブダチでもあんだよっ!!」
「…そのマブダチが、私の旦那を盗もうとはねぇ。
ロワイヤルはあたしのモノ。それを奪おうとするの
ならば、たとえ誰であっても 容赦はしないよ…!!」
あたしはエレネアローサーベルをアカイヤルに向ける。
「…盗む? 奪う…?何言ってんだ?そんなに
俺とつるむのが嫌だってんのかよ。あと、剣
向けやがったな?いいよ。そっちこそ…
ケンカ売るってんなら、いい値で買うぜぇ…?」
アカイヤルもメラメライザーを私に向ける。
空気はまさに一触即発。そして、近くの空き缶が
風に揺られた音を合図に、私たちの戦いは幕を開けた。
エレネアローサーベルとメラメライザーが
交わる音が響く。合間に行われるパンチやキック、
やはり、本気のバトルは命懸けだ。たとえそれが…
部下や仲間同士であったとしても。
「ロワイヤルは私の愛する人よ!
ぜ~ったいに渡してなるもんかっ…!」
「ハッ!恋だの愛だの言ってる女にはわかんねぇ
だろうがなぁ、男にはなぁ… 男の友情ってモンが
あんだよ!それを否定するのなら、たとえそれが
ダチの女であっても、許さねぇ…!!」
「何が友情よ!あんた、駆け落ちってのは
友情でもなんでもないのよ!?」
「そっちこそ!!ダチと遊びに行くくらい
別にいいじゃねぇかよぉ!?」
「ハァッ!?何よ!? …え?」
「なんだとぉテメェ!? …ん?」
さっきまで、本気のガチバトルをしていた
私たちはようやく何か 違和感に気づき出し、
キョトンとしながら お互いに尋ね合う。
「え?遊びに行く?」
「え?駆け落ち?」
「「…どういう事なの???」」
「いやこっちが聞きたいよ!?」
「え?何、この状況…?」
「一体、なんなんですか~!?」
戦いをハラハラしながら傍観していたみんなも
この現状に混乱するばかり。その時、
「なんだ貴様ら!!王の御前で争いとは見苦しい!
だが、貴様らからも力を感じる…!
その力、貰い受けようではないか!!」
何やら王とか言ってる、ここジャークネスでは
まるで見慣れない怪物が現れる。
「なっ、なんなのコイツ!?」
「王だぁ?ここの王はロワイヤルだよっ!」
「そのロワイヤルが、アイツなんですよ~!」
そこへジイの声と共に、ジイと子供達が走って現れる。
一部は汗だくで息切れ気味だ。
「ロワイヤルがアイツ?どういう事なの?」
「ロワイヤル様が、あの ダッシュ・ベルグと
名乗る怪物に取り込まれたのです!」
「ダッシュ・ベルグ… またなんかヤバい気が…」
「取り込まれただぁ?どういう事だよ?」
「なんか赤い本が父さんにくっついて、
その姿を変えさせたんですよ」
「そうそう、私が最強の王様になるとかどうとかって…」
「赤い本!? それって、まさか…」
アオイヤルはスマホを出して、惑星 ライグの
例の赤い本の記事をみんなに見せる。
それを見てジイは驚愕。
「そうです!これですよ!
この本に間違いありません!」
「まさか、調べに行こう思った矢先に
自分からここに来てくれるなんて。ラッキーねぇ」
「ロワイヤルの体を さっさと返しやがれっ!」
俺達は勇猛果敢にダッシュ・ベルグ (通称:ダッシュ)
に向かっていく。俺はメラメライザーを振るいながら
ダッシュの放つ電撃にぶつかりながらも、
ダッシュの繰り出す拳にころがりながらも、
他の奴らが次々に倒れ伏していく中、俺は傷だらけに
なっても ひたすらに情熱のままに、立ち向かい続けた。
「貴様、しつこいぞ!?だが、そんな
貴様からも強いオーラを感じるぞ…!」
「あぁそうだ。取り込むってなら俺にしろ!
ロワイヤルはエレーネアに返してやれ!」
「え…?」
「俺との遊びに行くことなんて、いつだって
できる…!けどよ、家族の時間はやっぱ、何よりも
大切だ!!ダチの幸せは 俺の幸せだ…!
それを邪魔する野郎は、命かけて ぶっ潰す!!」
そして俺は、ダッシュの繰り出す電撃による
爆発の中を走り抜け、渾身の必殺技を放った。
「メラメライザー・大炎上斬り!!」
炎を纏ったメラメライザーによる連続斬撃で、
ダッシュは大ダメージを負ったみてぇだった。
「くぅぅう…!!凄まじき友情の力…!!
気に入った!貴様の力、貰い受ける!」
そう言って、ダッシュは赤い本に戻り、
ロワイヤルは解放される。意識を失って
ドサって倒れる ロワイヤルにジイ達が駆け寄る。
そして赤い本が今にも俺を飲み込まんとする。
俺は手を広げ、それを甘んじて受け入れようとする。
「さぁ、来いよ…!俺を取り込んでみやがれ!」
今度はロワイヤル、お前がなんとかしてくれよな…!
俺は、信じてるぜっ…!でも、ワンチャンもしや…
「アカイヤルーーーっ!!」
甲高い叫びと共に、赤い本の上の方が光の矢に
よって、射抜かれた。振り向くとそれは、
エレネアローを構えた エレーネアだった。
エレーネアはそのまま 俺に駆け寄ってくる。
「…エ、エレーネア…?」
「…ホント バカね…!その身体で無茶して…!
こんな状態で取り込まれてたら、アンタ
ただじゃすまなかったのよ!?」
「へっ… そん時ゃそん時だろ。それによ、
もし俺が取り込まれても 今度はロワイヤルが
助けてくれるって信じてるし、こんな風に
オメーが なんとかしてくれるとも思ったしなぁ…」
「…さっきまで、ガチ喧嘩してたのに…?」
「そうかもだけどよ、オメー… こーゆーの
絶対に見捨てることはできないってのは
わかってんだぜ? 喧嘩をどれほどしようが、
なんたってオメーも、俺のダチなんだからよ…」
「ッ! …ホント、バカのくせにずるい男…」
「ま~な、それが俺のいいところだ。
あとバカってなんだよ!?ちゃんと筋肉をだな…」
「おいおいコラコラ、な~に仲良くなってんの~?」
後ろから聞き慣れた声が響く。なんとそいつは
ロワイヤル!もうすっかり回復したみてぇだ。
「まぁ、いつのまにかこんなに仲良くなってる
のは何故なのかはあとで聞くとして…
まずはアイツをぶっ倒すぞ!」
「おう!」
「えぇ!」
ロワイヤルの号令で、俺達3人は赤い本から
実体化したダッシュに立ち向かった。
「ふぅ… 強い奴らのパワーを取り込んで、
さらに強くならんとする我が野望を阻むとは…!」
「バカかテメェは!?強くなりたきゃ、
自分の力でなんとかするもんだろうがよぉ!!」
「うるさい!喰らえ!バケル!」
ダッシュは、その変な言葉と共に 電撃を放つ。
俺はそれをメラメライザーで受け止めると、
ロワイヤルとエレーネアは俺の方を踏み台に
ジャンプ。ダッシュの後ろに回り込み、同じ
タイミングでの斬撃をお見舞いした。
「ぐあぁっ!?お、おのれ~… バケルガ!」
次は電撃のレーザービーム。しかし今いるところの
丘の部分を歩きながら 俺達はそれをかわしていき、
エレーネアはジャンプと共にエレネアローから
光の矢を 射るのだった。
「リシルド!」
ダッシュはその言葉と共に、中央に雷の紋章が
ついた盾を空間に出現させて、光の矢を防いだが、
その隙にロワイヤルからのエンペライトセーバーから
のビームを背中に受け、結局 ダメージを負った。
「おのれぇ…!!ならば、我が奥義を喰らえ…!
ガオウ・バケルガ!!」
その叫びと共にダッシュは 竜の形をした雷の
エネルギー体を呼び寄せ、俺たちをそれで
噛み砕こうとする。
「ヤッ、ヤバみ系って感じ…!?」
「ちょっ、ちょっと流石にこれは…」
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その甲高い声と共に空から飛んできたのは…
なんと!!この場に唯一いなかったイエーネアだ。
「試合終了だーーーい!!」
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をお見舞いし、竜のエネルギーを消滅させた。
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ふたりは互いの武器を合わせ、悪魔みてぇな
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閃光は炎を纏いながら飛んでいく。
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よ~し、ラブラブペアフィニッシュ改め…」
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ダッシュは悲鳴を上げながら、凄まじい火花を
飛び散らせ、倒れたのでした。
「「やった~!!勝ったった~!!」」
「流石は父さんと母さん!」
「アカイヤル様とイエーネア様も大手柄です!」
「うんうん… んんっ!? いや、まだだ…!!」
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ダッシュの野郎、まだ生きてやがった。
「おのれぇ…!!惑星 ゴーチャンで活躍を
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王様に歯向かうとは 貴様ら、許さん…!!
必ず我が手で、殺す!!」
ダッシュはそう言いながら、全身に電撃を
浴びると共に、巨大化していった。
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ロワドルーンはロワイヤルの一声で
デストロワイヤルへと変形した。そしてっ…!
「よ~し、行くぜアカイヤル!
しっかりついてこい!!」
「おうよ!ロワイヤル!」
「「武甲鎧装!!アカトライカー!!」」
アカトライカーは分離して、デストロワイヤルの
兜、鎧、そして巨大な爪型の手甲になった。
そして鎧がデストロワイヤルのボディに付くと共に
俺の場所も自動的に移送され、ロワイヤルと
一緒のコックピットになったのだ。
「あっ、どうも~!」
「おおっ、ご丁寧に。よし、コイツは
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「フレイム・デストロワイヤル… なるほど、
いい名前だ!!」
「「フレイム・デストロワイヤル、活動開始!」」
「なっ、なんだその姿はぁ…!?
…どっちにしても、我が敵ではないっ!!
ソルド・バケルガ!」
ダッシュは巨大な電撃の刃を持つ剣を腕から
生成し、フレイム・デストロワイヤルに
斬り掛かったが、フレイム・デストロワイヤル…
なげーからフレイムだけでいいわなこりゃ
「ぅおい!!俺様がせっかく考えた
名前を略するんじゃねーよぉ~!!」
ともかく、フレイムは左の巨大な手甲でそれを
防ぐと、炎を纏わせた爪のパンチでダッシュを
跳ね飛ばす。その後も間髪を入れずに、
何度も何度もパンチを浴びせまくる。
「おのれぇ…!!ならば我が最終奥義・破壊雷神を
喰らうがいい…!!ゼガディ・グル・バケルガ!!」
その叫びと共にダッシュは羽の生えた巨大な
雷神を模した砲台を召喚する。その砲台から
今にも何か… ビーム的なやつが放たれようとしていた。
「うひぃ~…。トドメってカンジだなぁ…!」
「なら、こっちもトドメといこうぜ?」
「おうよ。どっちが強ぇか、見せてやるぜ!!」
「「アビリティギア全開!!」」
フレイムは両腕の手甲に、内部メカに組み込まれて
いるアビリティギアのエネルギーを全て込めて、
手甲を炎で包むことで、エネルギーを溜め…
「激熱覇拳!!」
「「フレイム・フィストラクション!!」」
その叫びと共に飛び上がると、炎を纏った
両腕の手甲で、あと1秒でビームみたいなのが
放たれていた雷神の砲台ごと、ダッシュを
切り裂いたのだった。崩壊した砲台から
悲鳴をあげ、身体中から火花を散らしながら
ダッシュは落ちていく。
「くたばりな!!王様気取りの魔物野郎!!」
「私はァ…!強い王様にぃ…!
なりたかったのだぁぁぁ~~~!!」
その言葉を最期に、ダッシュは空中で大爆発。
俺たちふたりの、友情の勝利だぜ!!
「ハ~ッハッハッハッハッハッハッハ~!
俺とアカイヤルの!!」
「友情の勝利だぜーっ!!
ガ~ッハッハッハッハッハッハッハ~!」
俺とロワイヤルは盛大な高笑いを響かせるのだった。
「…なるほど、ロワイヤルと遊びに行きたかった
んだぁ。…ごめんねぇ…!あたし、盛大に誤解
しちゃって…!ホントごめんアカイヤル!!
全然いいよ~?ロワピーと遊びに行くのは!
楽しんでらっしゃいっ!」
「いや、オレの方こそごめんだよ…。まさか、
駆け落ちするって話になっちまってるなんて…
けど、冷静に考えてみろ? 男同士で駆け落ち
なんて まずありえねぇだろ?ってか俺がそんな
シュミないこと知ってんだろお前!?」
「いやもしかしたら 目覚めた可能性もあるカモ
しれないからさ… まぁ、あの勘違いを間に受けて
ガチの殺し合いをすることになった私たちも
だけど、…まっ 一番悪いのはあのふたりだからねぇ…」
「んだなぁ…。ところでアオイヤルの奴は
どこ行ったんだ?さっきブルーネアと一緒に
飛んでいく様子を見たけどよ」
「あぁ、あのふたりなら 惑星 ガトーの、
ウォールドダイヤモンドパークに行ったよ。
… もう惑星 ライグに行く理由もなくなったし、
すぐにでも行かせたの。そしたらさぁ、
ブルーネアも着いていくことを志願したから…」
「なんだ、デートか?」
「んふふ…、そうかも♫」
ジャークネスの比較的 広いかもしれない廊下。
俺とグリーネアはそこで雑巾掛けを行っていた。
今回、エレーネアとアカイヤルの行動を誤解した末に
その誤解した情報を教えて 殺し合いに発展させた
ことの罰として、雑巾掛けを命じられたのだ。
こないだのトイレ掃除に比べたら まだいい方だけど
今回は監視役が常にいるので これはこれでキツいカモ。
「オラオラ~!サボんじゃね~ぞ!?」
「…ロッ、ロワイヤルくんっ…。あの、
このイヤホン 使ってもよろしいでしょうかっ…」
「何それ?いつの間に買ったの?」
「ブルーネアさんにもらって…
これで音楽聞いて、集中したいんです」
「へぇ~… 別にいいけど…。
ちなみに… 何聞くつもり?」
「ブタの鳴き声か、般若心経を…」
「いや何聞くつもりなのキミ!?」
「なっ!グリーネアがいいなら、俺も
部屋からヘッドホン持ってくるから…」
「ダメだダメだ、オメーはその隙に絶対逃げる」
「いや別に逃げるわけないじゃん!
そーゆー偏見みたいなの、マジねーし!!」
「ちなみに持ってきたとして、
そっちは何を聞くつもりなワケ?」
「嵐聞くつもりだけど…」
「ほぉ。随分いいシュミしてるねぇ…」
「うん、風の音が心地よくてさ…」
「ホントの嵐聞くの!? ダメダメダメ やっぱダメ、
逆に集中できねーだろあんなの聞いたら!」
「いやいや俺は風属性だし、それくらいは…」
(もう私はやってますよ…? 言い争ってないで、
早く始めては… と、表立って言えないのが
私の悪いクセ~ です~……)
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