Galaxy Day's

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燃えろ!!! 六帝将!!!

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前回までのマンス… 「あらすじだよバカ野郎!!
どこに冒頭からそんなの説明する話があるのよッ!!」
あー、そうだ間違えた 今回の伸二。「誰 ソイツ!?
それだったらまださっきのが近いんですけど!?」
じゃあ、次回の政治。「政治は今回も次回も
変わんないでしょうが!!」今のはエレーネアの今日の
格言という事で。ラストでまた紹介するとしよう。
「いや別にしなくていいからそんなの!!」
えー、せっかくかっけぇこと言ったのに… 
「いやどこがよ!?それっぽいこと言ってるけども、
中身ペラッペラのトペランタだから!」

まぁいいや、前回までのあらすじっ!!
「やっと始まったか… あらすじまで248文字(推定)
も使う話とか、まじきっしょいわよね」


やぁみんな オレオレ、コズモル・ロワイヤルだ!
前回、俺はやたらと悪趣味そうな美女に恋文ラブレターらしき
手紙と、やたら胸を主張しまくったきっしょい自撮り
写真をもらい、お見合いみたいな質問をされ、危うく
キスをされかけた。すんでのところで 家族の皆が助け
に来てくれて、彼女の正体が79の惑星で 有名人な
イケメン男達の生気を吸って、19の星を壊滅させた
下半身がイカの悪女、マラカロ・ヤーズミで
あることが分かった。皆が駆けつけなければ、危うく
俺は生気を吸われるところだった… まぁ、生気を
吸われても、あいつの方が耐えられなかったけどね。
おぉウザいウザい。そして、一家団結してマラカロの
野郎を殺って、嫁のエレーネアが可愛すぎるあまり
キスをすると、前方から突然のおやじギャグに
夫婦共々、物理的に凍ったのであった。んで今回は
ジイ、俺と来て… うっし、エレピーだな、お願い。
「しょ~がないわねー。語り部っちゃいますわ!」



ーしても冷めない

前方から聞こえてきた冷たく凛とした声から放たれた
このおやじギャグによって、私達2人の全身は氷漬け
にされた。今は絶賛 暖かい時期のはずで、2ヶ月
くらい前にそのシーズンは過ぎ去ったつもりが、
まだまだ度々の頻度で味わう春特有の肌寒さ。
なんてものを凌駕する久々の冷たさを、私達は全身で
感じていた。すると、そのおやじギャグが聞こえて
きた方から、1人の女性が歩いてくる。

「ふぅ… 結婚してだいぶ経つはずだが、相変わらず
君達は倦怠期とかそーゆーのとは無縁そうだねぇ…」

私の服装とマントと、被っている帽子とも冠とも
言えないやつを水色にした、服装は 細部や下に
着てるものは異なれど、パッと見 私の色違いと
言ってもいいくらいの見た目。明確な違いを挙げる
なら、白衣を羽織り、髪型は胸くらいに届く長さの
水色のロングポニーテール、右目に片眼鏡モノクル代わりの
スカウターみたいなものをつけた、歳と身長と
胸のサイズは私と同じくらいだけど、性格は違う。
自分でも言うのもアレだけど、天真爛漫で明るい元気
タイプの私とは真逆の、氷のようにクールな理系美女、
絵に描いたような クールビューティーって感じ。

「ハッハッハッハッハッ… 相変わらずオメーの
おやじギャグは寒いなぁ、おかげですっかり、この春
の暖かさで浮かれた心と体が冷えたぜ、ブルーネア」
「いやあんたの場合は頭を冷やしてほしいけど…」
「それ以前にキミらの場合は、春に限らず一年中 
心も体も頭も浮かれているんじゃないのかい?」
「いやあたしの方も!?」
「うん、そうでしょう?」

いつの間にか溶けた氷から解放され、他愛もない会話
を繰り広げる私達3人。そう彼女こそ、初回からその
存在が名前だけ言及されていた、私達 コズモル家に
仕える部下、『六帝将ろくていしょう』の中で一番 メカに強く 賢い、
賢将けんしょう』の称号を持つ、『スカイグ・ブルーネア』。
私達2人との付き合いも結構長く、一部では

「ロワエレ夫妻の愛人」、
「ロワイヤルのもう1人の嫁」、
「エレーネアのもう1人の婿」と… 

そう影で喩えられるくらい、作戦や仕事を
共にした回数は多い。とゆーか最近では
Twitterとかで自分から そう豪語し始めた。
念のため、彼女の名誉のために言っとくと 愛人
とか嫁とか婿とか あくまで喩えなのでそーゆー仲
では断じてない。とゆーか私が百合なら最初から
ロワイヤルと結婚してないし!!ちなみに、Twitter
なら私もロワイヤルも、子供達チルドレン以外は皆やってる。
なんならあたしに至ってはInstagramもやってる。
っと、話がだいぶそれたわね、このままだと延々と
SNSについての話が続きそうだから時を戻そ… 
ゲフンゲフン、話を戻そう。ブルーネアはやれやれと
言わんばかりに呆れながら私達にこう言う。

「それで、あの例の装置はどこだい? 君達が
なかなか来ないもんだから、こっちから来てみれば 
案の定君達は、あれだ…。あの調子だと、延々と
イチャついて本来の目的もいずれ忘れるだろうから、
我がお得意のおやじギャグで ちょっとばかり
頭を冷やさせてもらったよ」
「全身氷漬けにされたらちょっとばかり
のレベルを超えているような気がするけど…」

超えてるわよね絶対アレ。あっ そうそう~、先程も
ロワイヤルがチラリと言ったけど、おやじギャグを
言ったのはこのブルーネア。これが彼女の能力の
1つ。この圧倒的おやじギャグの寒さ。それはもう
天下一品級であり、たちまちさっきの私達みたいに、
人であれ、物であれ その寒さであらゆるものを
凍らせてしまう能力を持つ、生粋の氷属性女子。
しかもそれだけじゃなく、『六帝将』の中で一番 
メカに強く 賢い、『賢将』の称号を持つ通り、
頭脳の冴えもキレッキレで、技術、開発、化学、研究、
発明、メカニック といった高度な頭脳を要する担当を
一手に担うすっごい奴。ジャークネスにある機械や
系統、初回に出てきたメガゾード、デストロワイヤル
も彼女の開発によるモノ。最もデストロワイヤルの方
は、メカいじりの達人たるロワイヤルの方が主に担当
し、ブルーネアはその助手ポジで造ったわけだけど。
とにかく、彼女こそまさに私達が誇る、
てぇんさい 賢将…なのだ!

「それで、例の装置はと… コレだ」

ロワイヤルが取り出したのは、初回のラーベムの
一件以降、一室に保管していた、惑星 オートマーリ
にある ラーベムが社長となって支配していた、
『ゴールドマスク・コーポレーション』製の装置。
魅入った者の心を狂わせ、やがて惑星を破壊させる
ように仕向けるとんでもない機能付き。しかし、
惑星全体が爆発しても、汚れるだけで 傷一つ
つかない程度のとんでもない強度という、思わぬ長所
を見つけて興味を持ったお陰で、惑星 オートマーリに
潜むラーベムの奴をぶっ倒したわけ。最も、流石に
惑星全体の爆発に巻き込まれた影響はあったらしく、
魅入った者の心を狂わせ、やがて惑星を破壊させる
ように仕向けるという本来の機能は、壊れていたのか
すっかり失われていた。私達はこの装置の、惑星爆発
にも耐えられる とんでもない強度に目をつけ、
これを有効活用できないか ブルーネアの元に相談を
しに来たのだ。そして今に至るわけ。

「よし、これ以上の立ち話もなんだし、
早いうちに工房の方へ向かおう」
「うぃ~っす」
「はーい!」

ロワイヤルはどこか気怠げな返事、私はそれと真逆の
元気いっぱいな返事をしながら、私達ふたりは
自分専用の研究室、『氷結工房』に向かう
ブルーネアについて行った。

氷結工房。名の通り、結晶のように美しく輝く氷を模
した壁や床に、ダークパレス内の部屋の例に漏れず、
近未来的なメカニカルっぽさだったり、サイバー
チックな意図をした、そこそこの広さを持つ
ブルーネア専用の研究室。部屋内には作りかけの
メカだったりなんだりが無造作に並び、奥にある
コレクションケースの棚にはブルーネアの好きな 
巨大ロボや合体ロボ、メカ怪獣の玩具や人形が
鎮座している。自分の発明品や開発した物などに
反映される、メカやロボ好きな彼女の趣向がここに
よく顕れている。装備の開発や解析は基本的にここで
行われ、ブルーネアの生活部屋にも直結しているため、
彼女は基本 ここに常駐し、コズモルチー・ファミリー
の技術開発などを担っている。ブルーネアは水色の
ゲーミングチェアのような形状の椅子に座り 早速、
装置をデスクトップのパソコンに繋ぎ解析を始めた。
その間、私たちふたりは ブルーネアの作業の邪魔に
ならないよう、本棚に置いてある本を読んだりして 
静かに過ごす…わけもなく、奥のコレクション棚に
興奮したり、作りかけのメカだったりなんだりに
クッソウザくやかましく 興味を示しまくるのだった。

「ヨッホッホのホイ!やっぱいつ見てもワンダー
スゲェなぁ!ブルーネアのコレクション!!昔の
●人28号から、SDガン●ムに アー●レスト、
さらには最新のドンオ●タイ●ンまで完備!!それで
いてこの美しいレイアウトの仕方、俺様も実に鼻が
高いぜブルーネア! ねぇ黙ってないでなんか返してよ
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ…」
「ねぇねぇねぇこのメカなんに使うやつなの?
ねぇねぇこっちは何に使うの?鼻くそほじる用?
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ…」

ブルーネアはそんなあたし達のやかましい声や、
クッソウザい絡みに見向きもしないし、相槌のひとつ
も返さない。ひたすら真剣な表情と 静寂と 
キーボードを打ち続ける音だけを返す。しかし無視と
いう彼女らしい よく言えばクール、悪く言えば
冷たい、この対応は やめる気になるどころか、私達を
ますます増長させ、やかましさやクッソウザい絡みを
かえってヒートアップさせることになっていった。

「ちょっと、ちょっとちょっと!なんで無視するの
ブルーネア!もしかして新しい研究を始めたの~?」
する事でを発生させる
装置ってか!ハハハハ、ハイっ、アルトじゃー…」

ロワイヤルがブルーネアに負けじと、おやじギャグを
披露してすぐ、私とブルーネアは凍った…りはせず、
頭から 突然水が降ってきた。私とロワイヤルはそれを
全身で受け止め、たちまちびしょ濡れになった。
しかし床を見てみると、濡れている様子はない。
周りを見回しても、前方のブルーネアを見ても、
かけられた水が反動で周りに飛び散っている様子も
ない。当のブルーネアは未だに解析を続けていて、
後ろで起こってる事に全く関心がなさそうで
かけられた音が響いた時も、振り向く様子もなかった。
確かに水がかけられた感覚に陥ったのに、周りには
影響がない… これはもしや幻覚の類だ! そう私は
ロワイヤルと目で確信し合うと、正解というように
いつのまにか びちゃびちゃだった衣服が乾き、
後ろから足音が近づいてきた。私達ふたりは えっ!?
と振り向くと、

「静かにしなよ研究中やぞ」

流れるような感じのイケボで発せられるツッコミと
共に、突然ロワイヤルは顔面を 青いハリセンで
引っ叩かれて倒れた。そしてロワイヤルがやられて
5秒もしないうちに、私もロワイヤルと全く
同じことをハリセンでされて倒れた。私達が倒れると
ようやくブルーネアは振り向き、その人物の顔を見て
今まで真剣な表情が ぱあっと明るい表情に緩んだ。
まるで氷が暖かい光を受けて、溶けていくように。

「おや、アオイヤルく~ん!」

ロワイヤルの服装とマントと、被っている帽子とも
冠とも言えないやつを青くした、服装は 細部や下に
着てるものは異なれど、パッと見 ロワイヤルの色違い
と言ってもいい。それに歳も身長も彼と同じくらい。
明確な違いを挙げるなら、髪型や、メガネをしている
こと。とくにメガネは彼の1番のトレードマーク。
それをかけた その顔立ちは線の細い美男。見たものの
第一印象としては理知的かつ冷静沈着なイメージを
与えるでしょう。そんな彼の名は、これまで
ブルーネアと同様 名前だけが言及されていた
『六帝将』の中で一番 精神攻撃や作戦を立てるのが
上手いため『策将さくしょう』の称号を持っている
『ブルース・アオイヤル』。あっ、初回冒頭の
クソ茶番でツッコんでいた【青い姿をした
メガネの美青年】っていうのは、彼のことよ♡

「おいィィィィィ!!!いやちょっと
待てよ!これ今から始まるんだよ!?
何コレ!?前回とかないよ!?
…って言ったのは僕のセリフです」

彼はブルーネアと並ぶくらいの優秀な頭脳を持ち、
精神攻撃や それを元に立てる作戦立案の腕は
非常に優秀で、『六帝将』の中で一番 策を立てる
のが上手い『策将』の称号を与えられた。また先程、
私達にかけた水の幻覚のように、幻覚やらを見せて 
敵を攻撃する 搦手タイプの名手でもある。その中でも
水を使った攻撃が得意な水属性の眼鏡男子… なのだが、
その中でも彼は他にはない独自の個性がある。
それは、ツッコミにおいては他の追随を許さない
ほどのキレを持っているということ。先程の
ツッコミの描写、そしてクソ茶番のアレからも見ての
通り、今までツッコミをしてたオリンピアスや私とは
比べものにならないくらいのキレを誇ってる。という
のもこの後 出てくる六帝将達の中で、何より この先
出てくる予定の奇人変人、狂人の一歩手前みたいな
奴らが集うコズモルチーこの組織の中において、真っ当な感性と
考えを持つ 数少ない常識人であるために、こうツッコミ
担当になるのは ある意味必然なのかもしれない。
ちなみに ブルーネアの方もまた、コズモルチーこの組織の中
では真っ当な考え方を持っている常識人タイプの方。
たま~に研究開発や悪事の際にマッドサイエンティスト
じみた気質が出てくることは置いといて。

「まぁそんな現実メタいことはさておき、
ブルーネアちゃん♫ この前のコズモル家の健康診断の
カルテ持ってきたから、ここに置いとくね」
「あぁ、ありがとうアオイヤル君、ついでにあの2人
にもツッコんでくれて。もし君が来なかったら、また
おやじギャグで凍結し、永久保存していたところさ」

そう言って、アオイヤルはカルテを引き出しの上に
置く。この前、コズモル家の健康診断がブルーネアが
中心になって行われたから、おそらくそれみたい。
そしてさりげなく物騒な言葉が聞こえてきて、私達
ふたりは数分前のウザ絡みを少し後悔した。もし
アオイヤルが来なくて、ブルーネアがキレて
やってたら… 考えただけでも背筋が凍りつく。あと、
会話でだいたい察した人がいるかは知りませんが、
驚くなかれ。ブルーネアちゃん、技術、開発、化学、
研究、発明、メカニック といった高度な頭脳を要する
担当を一手に担うだけでなく、医学方面への知識も
豊富で、ジャークネスの医療担当責任者も兼任してる
のだ!技術開発担当のみならず、医療担当まで 平然と
やってのける このてぇんさいっぷり。最近、密かに
思ってるけど、もう全部 彼女1人でいいんじゃないか
って思うくらいの万能っぷり。でもでも、そんな彼女
でも出来ないことはやはりある。戦闘力は強い部類に
入るかもしれないけど、コレから出てくるであろう
他の六帝将に比べれば、頭脳が秀でている分、はるか
に劣る。運動力だって、格闘技だって、速さだって、
魔法力だって、そして作戦立案力だって、他と
比べれば あんまり良い結果が出たためしがない。
平たく言えば、頭は賢いけど、運動はイマイチって
とこかな。これはアオイヤルも同様。魔法と作戦立案
は彼女でもできるけど、アオイヤルやグリーネアに
比べれば まだまだ。てぇんさいだのやたら
褒めちぎった矢先に、欠点を言う。こういうのは私
あるある…なのかもしれない。あっ、グリーネアは
このあと出てくる予定なので、もうちょい待っててね!

「僕もちょっとは見たけど、
全員どれもパッと見 異常はなかったよ」
「ロワイヤル君やオリンピアス君はあれほど
コーラをカブカブ飲んでるのに、ヴァルーナちゃんは
あれほどポテトを貪ってるのに、異常なしか…」
「なんでだろうねぇ?」
「さぁ…? 今度 どーしてなんともないのか 
解剖でもして調べてみるかな…」
「えぇっ!?解剖すんの!?」
「ふふっ、冗談だよ」
「冗談きついよブルーネアちゃ~ん…」

カルテを一緒に見ながら、いつのまにか吹き出し、
笑い合うふたり。まぁこんなわけで、運動がてんで
ダメな反面、頭脳面に天才レベルで秀でている、
『ブルース・アオイヤル』と『スカイグ・ブルーネア』
このふたりという名のアオブルを総括して、別名
『ビショップ級カップルズ』。策略や技術開発と
いった、頭を使ったやり方に このふたりの右に出る
者はいないっ!ちなみに他にも、『ルーク級カップル
ズ』、『ナイト級カップルズ』がいるわけだけど、
それはまたこのあと紹介するとして…。なお、私達
ふたりの別名は、『キング&クイーン級カップルズ』。
名付けたのはロワピー。チェス持ってるのにやったこと
ない。のに、雰囲気がいいという理由で名付けたそう。

「よし、解析終了。大体のことは分かった。この
装置の素材を使えば、調整中のデストロワイヤルの
防御力もより増すはずだよ」
「ホントかブルーネア!?」
「あぁ、でも誰かさんが勝手に出撃させ、挙句 
勝手に変形させてよろしくやったもんだから、
その辺の細かい整備もやっといたがねぇ全く…」

口元は笑っていたが、冷ややかな目と声で
ロワイヤルの方を向くブルーネア。ロワイヤルは
頭をかきながら苦笑した。

「えへへ… それは申し訳ねぇ…」
「むぅ… まあとりあえず報酬のハー●ンダッツは、
増やしてもらおうかい、ロワイヤル?」

ちょっと可愛くほっぺを膨らました後、意地悪に
笑うブルーネア。ロワイヤルはへーへーと、
不貞腐れながらあしらった。頭脳を使う役職のため、
糖分補給は怠らないブルーネア。なんて説明すると
カッコはいいが、実際は彼女、甘いもの大好き甘党。
日頃から頭脳を使っている故、糖分補給と言わんばかり
に甘いものを摂取しているうちに、いつのまにか
甘党になっていった。まぁ~、あたしも甘いものは
大好きだし? 甘党仲間が増えて嬉しいけどね~♡

「あっ、そうそう~、これで新しい盾か
何か 作るのはどうだい?」
「盾か~、いいかもな~」
「確かに!防御力ももっと上げとくべきかもね」
「どんな盾を造るの~?」

そんな感じで工房にいる私達4人は談笑していると、
ドタドタ走る足音が聞こえてきた。それも、次第に
大きくなって、こっちに近づいて来ている。やがて
自動ドアが開くと、先程まで走ってきた証たる 汗を
額に滴らせながら、ふたりの男女が入ってきた。
片や、ロワイヤルの服装とマントと、被っている帽子
とも冠とも言えないやつを赤くした、服装は 細部や
下に着てるものは異なれど、パッと見 ロワイヤルの
色違いと言ってもいい。それに歳も身長も彼と同じ
くらい。明確な違いを挙げるなら、ロワイヤルや
アオイヤルに比べ、服の上からでは分かりにくいが、
逞しい筋骨隆々な肉体を確かにしていることと、
髪型が無造作に刺々しいツンツンな頭を
していること。見たものの第一印象としては
いかにも暑苦しそうで、かつ体育会系なイメージを
与えるでしょう。服装にも炎のような意図が
あることにそのイメージに拍車をかけている。
もう片や、私の服装とマントと、被っている帽子とも
冠とも言えないやつを黄色くした、服装は 細部や
下に着てるものは異なれど、パッと見 私の色違いと
言ってもいいくらいの見た目。明確な違いを挙げる
なら、髪型は若干 ウェーブがかかった黄色の
ロングヘア、歳と身長と胸のサイズは 私とだいたい
同じくらいだけど、両腕に指に穴が空いたグローブ
をしている。服装にも雷のような意図があったり。

「ようよう!!ロワイヤルにエレーネア!
アオイヤルにブルーネア!元気やってっかぁ?」
「今日の分の手合わせは終わったわ。
はぁ~、いい汗かいたわ~♬」
「相変わらず肉体派だねぇ、ルーク級カップルズの
君達は…。あぁ… アカイヤル君にイエーネア、
何度も言うけど、ここにあるものは繊細で緻密な…」
「わーってるって!みなまで言うな!俺はこう
見えて乙女のように繊細でもあるから大丈夫よ~♡」
「きっしょ、そう言っときながら、うっかり
踏んづけるわ、うっかり触って 爆発させるわ、
何遍もやらかしてる奴の言えたセリフなわけ?」
「う、うるせーなイエーネア!!オメーも
たまにやらかしてっだろ!?」
「たまにです~!アンタ程 頻繁にやらかしてません~」
「何だと~!?」

見ての通り、この『ルーク級カップルズ』こと…
アカイエのふたりは見事なまでのケンカップル。という
わけで、頭脳派カップルのアオブルのお次は、その真逆
肉体派・武闘派カップルのアカイエのふたりについての
紹介をすると致しましょう。まず赤い男の方は
『六帝将』の中で一番 凄まじいほどの暴れっぷりと
強大無比な力を持つ故、『暴将ぼうしょう』の称号を誇る、
『レッダー・アカイヤル』。戦闘力はもちろんのこと、
運動神経や耐久力、持久力 その他肉体に関わることは
全て彼の右に出る者がいない。特に運動神経たるや
驚異的なもので、スポーツ万能なんて言葉すら生ぬるい
ほど、スポーツに対しての腕前は天性の才能レベルに
まで達していた。しかし、だいたいお察しした方も
多分いらっしゃる通り、頭脳面に関しては天性の…
とゆーか、一種の才能レベルでバカ。頭の出来は
いまいちとかそういう言葉すら生ぬるいほど、
どーしよーもないほどのバカだった。数学や理科に
関しては全く理解できず、たまに一桁の計算すらも
間違える… そのため0点を取ることはしょっちゅう… 
うちの旦那ことロワイヤルもアカイヤルほどではない
にしろ 勉強法面はダメダメなアホだったので、この
2人はお互いに同じ頭ダメな者同士だということを
知るや、すぐに意気投合し、男の友情を築いたのだ。
ちゃんと勉強しろだのと優等生タイプの私や、
アオブル、グリーネアから何度 ツッコまれようが
お構いなし。とにかく、彼はだいたいそういう奴だ。

「こんの~、バカのくせして相変わらず力強いなオイ」
「バカとは何だ ちゃんと筋肉をつけやがれ筋肉を!」
「じゃあこの筋肉バカ野郎が!!」
「それでいいんだよそれで」
「いや何で納得するのそれで!?」

ケンカを続けるこのふたり。アカイヤルがボケて、
アオイヤルがツッコむ。これが彼らのいつもの
パターン。今度はそんなアカイヤルに対して
筋肉バカと言った黄色い女の方を。彼女は『六帝将』
の中で一番 格闘技が豪快レベルに強い、『豪将ごうしょう
の称号を持つ、『キールス・イエーネア』。
空手、柔道、合気道、太極拳、テコンドー、
その他あらゆる拳法技をマスターした格闘技達人マスター
六帝将の中でも素手での腕っ節はトップクラス。
見た目の華奢な肉体を生かした 軽やかな動きで、
それでいて その華奢な肉体からは考えもつかないほど
の豪快かつ苛烈な拳法を繰り出し、敵を攻め立てる。
一方、4人兄妹の1番上の長姉であるため、面倒見はよく
六帝将の姉御担当兼まとめ役 としての顔も持つ。そんな
彼女、同じ肉体派担当のアカイヤルには、妙に素直に
なれないところがあるらしく、ああやって突っかかった
り、からかったりしてはよくケンカし合ってる。
大好きなことには違いないはずだけど。だからあの
2人のケンカも側から見れば微笑ましいとゆーか、
犬も食わないとゆーか。なお、肉体派とは言ったが、
彼女まで成績が壊滅的というわけではなく、だいたい
よくもなく 悪くもなく 某スマート●レイン社長の
言葉を借りて例えるなら…中の下ですね。と言った
感じ。それでも成績下の下な大バカ三人衆トリオ
ロワイヤル、アカイヤル、ミドイヤルに比べたら 
まだまだいい方なのだが。あっ、ミドイヤルは
グリーネアと共に このあと出てくる予定なので、
もうちょい待っててね!んで、なおもケンカを続ける
ふたり。するとその拍子に、アカイヤルとイエーネア
は、それぞれ戸棚に置いてあった、下にタービンが
ついている回転式の携帯電話を模した装置と、巨大な
緑と黄緑の手裏剣を模した武器を 落としてしまう。
落とした音が工房全体に響き、先程まですまし顔で
ケンカを見ていたブルーネアは狼狽えながら、
やっちまった顔のアカイヤルとイエーネアをよそに、
急いで落ちた装置と武器の元に駆け寄った。

「Oh my god!! ななな、なんてこったァ…! あぁ、
あぁ…大丈夫かな、うん、壊れてはいないみたい…
はぁ~、よかったぁ…。」

ちょっと触っただけで壊れているか否かを判別できる
辺り、流石はてぇんさいだと感じさせられる。そして
自分の造ったモノの無事に安堵する声は、一瞬で
冷血・冷酷・冷徹、この三拍子を揃えた冷たい声に
変わった。さぁどうなるルーク級カップルズ。

「やはり… バカには何度言っても分からないようだね
ここにあるモノは繊細で緻密な構造をしているんだ…
故に!落としたりでもしたら壊れることもある…。
現にそれをキミ達は何回も繰り返しているじゃないか…
今回は壊れなかったからよかったものの、もし壊れて
いたらどう責任を取るつもりだったんだい…!?」

振り向いてルーク級のふたりを見るブルーネアは、
全く感情のない顔をしていた。目は完全に冷え切って
て、それでいて物凄い怒りと圧を相手に与えるもん
だから本気ガチで怖い。しかもそんな顔に加え、長いセリフ
を狂ったかの様に早口で言うものだから、その怖さに
なおさら拍車をかけている。もう見てください完全に
アカイエのふたりはメドゥーサの如く、見たら
凍ってしまうくらいに冷え切ったブルーネアの目に
完全に気圧きおされ、萎縮しきっていますよもう!
いつものうるさいくらいの威勢の良さはどこへやら。

「い、いや申し訳ないと思うけど、
アレは、その… わざとじゃないし…」
「そ、そうだぜ…!別に 壊れても… また直しでも
すりゃあ、お前 天才だろ? だから簡単じゃ…」
「言い訳するんじゃあない!」

あんな冷え切った怖い目でなんか言われたら、
反論や言い返すことさえも 常人は全くできない。
しかしこのふたりも私達と同じ悪役。常人を軽く
超えた存在。まだ反論できるくらいの勇気はあった。
そこは心の底で褒めたが、ブルーネアの全身を
突き刺すかの如く冷たいが、さっきよりかは声の
ボリュームが大きい一声に怯え、再びそしてさらに
萎縮しきってしまう。言い返すことをやめたふたりに
ブルーネアが何か言おうとしたその時、某ショット
ライザーの待機音が流れ出した。初回を見た人は
覚えているかもだけど、ロワイヤルの着メロだ。

「いやこんな小ネタ覚えてないだろって!
…ったく、誰だ? こんな時に… せっかく
面白くなるところだってのに… あ、ジイだ」

ロワイヤルはそう呟きながら懐にしまってあった
スマホを手に取り 耳に当てた。電話の主はジイ。今回
ジイ、オリンピアス、ヴァルーナ、ミギヒダの5人は
私達とは別行動。ロワイヤルの指令の元、
惑星 オートマーリに赴き、他にも使えそうな
装置を探しに、装置の開発元である企業、
ゴールドマスク・コーポレーションに赴いていたのだ。

「しもしも~。どうしたジイ? へぇ~、あぁ、
うん… えっ!?そうなの本気マジか!?」

そこそこ長い時間 通話していると、ロワイヤルは
何かに驚き、声を張り上げた。その声の大きさには、
その場にいた彼以外の全員がビックリ。すぐさま
ロワイヤルの方を向き、通話してる彼を凝視した。

「…よし、皆に何かあったらアイツらも一緒に
行かせるか。えっ? あっ、今 アイツらといてさ。
…分かった、直ちにやろう。うん OK. バ~イ」

電話を切ったロワイヤルに
ブルーネアが話しかけてきた。

「ジイさんは何を言っていたんだい? それに、前に
私と電話してた時もそんな驚き方してたような…」
「そのことについてだが… まぁとりあえず、
詳しいことは 司令室に行って大画面で通話しよう」
「大画面で通話か… 今のところ その機能が出来るのは
司令室だけ。この氷結工房にもそのうち、そんな
機能を造らなくてはね… ともかくアカイエふたり」
「ヒェッ!?は、はい…」

ビビりながら返事をするアカイエにブルーネアは
背中を向けながら冷たい声で釘を刺した。

「今回の一件はまず保留にしておく。しかし、いずれ
然るべき罰を下すから そのつもりでいるように。
コズモルチーの治安を管理する ビショップ級幹部の
名に置いてね…」

そう言って振り向き様に、アカイエを完全に冷え切った
目で睨んだ。その結果、あまりの圧にふたりは完全に
力尽きた。私はそれを見かねてブルーネアに言った。

「もぉ~、分かったから早く行きましょ!」

私の一声で ここにいる全員はロワイヤルを先頭に、
氷結工房を出て 司令室に向かった。なお、アカイエの
ふたりはしばらくは力尽きていたが5秒後… この屈服
された悔しさは忘れまい!この思いをバネに、いつか
ブルーネアに仕返ししてやろう!と思い立ち、再起し
司令室に向かった…のは後でふたりから聞いた話。
また同じことになると思うからやめといたほうが…
と言っても聞く耳持たないのがこのルーク級カップル
のちょっと困ったところでもあるのだ。

司令室。私達 コズモルチーのたまり場にして、
ロワイヤル曰く、俺様のお気に入りの部屋だとか。
入ってすぐに、昔 地球チーキュで大人気だったスーパー
ファミ●ンを模したコンソールがついた 巨大モニター
があり、向かって右にはテーブルとソファ、観葉植物
や棚などが置いてある簡単な生活空間、左の方には、
タッチパネル式のコントローラーが付いている
小型のモニターがいくつかある。それと棚の方には
いろいろと置いてあるが それは別に説明しなくたって
いいでしょう。これ以上言うと、もっと長くなる…
ただでさえ、六帝将の内の4人の説明が長くなった
ってゆーのに、あとふたりの『ナイト級カップルズ』
も控えているのに、長々と語り過ぎたと少し反省。
こんな時に余談言ってる場合じゃないし。話を戻そう。
ロワイヤルはジイに電話をかけると、コンソールに
スマホをセットした。すると、巨大モニターに
海上の要塞みたいな島を背に、ジイが映り出した。
周囲には暇そうなオリンピアスにヴァルーナ、
ミギヒダもところどころに映っている。

「あっ!ロワイヤル様!」
「ジイ!こっちのスマホから見れるか?」
「あっはい!大丈夫ちゃんと見れてます!」
「どうやらあそこみてぇだな。ジイが言ってたのは」
「はっ」
「ジイさん、ロワイヤルに一体
何を言っていたんですか?」

アオイヤルの質問にジイはこう返す。

「ゴールドマスクのとこに行ってみたら、
ビルが既に売却されていたんです。そして、
気になって中を調べてみたら」
トラップとかあったわね、大変だったでしょう?」
「いや、それが警備システムが既に破壊されていた
らしくて… 警備システムの起動する部屋が、
なんと言うのでしょうか… が熱線か何かで溶かされて
いたかのような痕跡があったんです」
「そうそう、んであたしらは警備システムを起動する
部屋の隣にあった、監視カメラで撮った映像を
管理するだろう部屋に行ったわけよ」

ジイが話しかけたところに、先程まで暇そうだった
筈のヴァルーナが割り込んで話してくる。次に
オリンピアスも割り込んで話しかけてきた。

「そしたらなんとだ!多くあった筈のモニターも、
なんか溶かされてて、唯一生き残ったモニターに
白黒で砂嵐ノイズ混じりだが、映っていたんだよ。
魚人みたいな奴が、社員を熱線で溶かしてる映像が!」
「魚人みたいな奴?」
「ソイツは映像内でこう言いかけた… 『ここでの証拠
は全て隠滅した。あとはナリマ半島に戻り…』って。
それを最後にモニターは壊れて…」
「皆の後ろに映っているなんか
要塞みたいな島がナリマ半島か…」
「あっ、そういや思い出した!」
「? 何かあったの?」

私が問うと、ジイは映像越しに
激しくロワイヤルに詰め寄った。

「ロワイヤル様ったら、もし『私達に何かあったら』
アイツらも一緒に行かせるか って言いましたけど!
『私達に何かあったら』って何があるわけなんだよ
オイ!?」
「あたし達のこと信用してないって事…?」
「いや、それはゴメンって!けど念の為さ」
「あっ、アイツらも一緒に
行かせるってどういう事なん?」

ヴァルーナ…、ジイにノッてロワイヤルに高圧的に
詰め寄ってきたかと思ったら 急に落ち着いて質問。
この感情の起伏はまさにジェットコースター並みだ。

「いや、もし俺達も行くことになったら 
六帝将の奴らも行かせるってことさ」
「マジかよ!? 久々に戦線に行けるのかぁ!」

さっきまでおとなしかったアカイヤルは
この発言でテンションMAX。メラメラ状態。

「そうみたいなので、六帝将の皆様が一緒にいる
と聞いたので、折角なので こうやって皆様にも
現状を報告しようと提案したのです。しかし、
忙しいのかと思ってずっとスルーしてましたけど、
あとふたりいませんね… どちらに?」
「ジイの憶測通り。アイツらは忙しいんだとよ。
でもあのふたりにもあとで言っとく。そして行く時に
なったら無理矢理にでも行かせとくわ」
「なるほど、ではお喋りはここまでにして…
私達はナリマ半島に潜入…」
「たっ、大変ですおやびん!なんか来ましたよ!?」

ウミギロンの驚く声の後に走って現れたのは、
サングラスに黒いスーツの、典型的なSPの姿をした
軍団。見た感じ20~30人はいて、5人に近づくなり
突然襲ってきた。ジイはスマホを持ちながら彼らの
攻撃を躱し続ける。私達は突然の出来事に
呆然としながらその光景を見続ける。

「コッ、コイツらは一体なんなんでしょうか!?」
「ゴールドマスクの関係者か、それとも
あの魚人みたいな奴の仲間か!?」

戸惑う声を漏らすオリンピアスとサヒダロン。
ヴァルーナからはキレる声が。

「畜生!あんな事言ったから、ホントに
何かあったじゃねーか!親父のドアホゥ!」
「ゴメンヴァルーナ…」
「とにかく、一旦切りますね!申し訳ありませんが、
あとのことはどうかお願いします!我々もコイツらを
なんとかしたらすぐに合流しますので!」
「OK. ありがチュー。あとゴメン」

この会話を最後に通信は切れ、画面は真っ黒になった。

「よし、ちゅーわけで六帝将達よ、早速 惑星 
オートマーリのナリマ半島に向かうぞ!アタック!」
「おう!」
「うん!」
「OK」

ロワイヤルは指パッチンしながら、高らかに宣言した。

そして早速、私達は惑星 オートマーリへ向かった。
私とロワイヤルにとっては この惑星ほしに行くのは初回
以来の2回目であるため、再び  と付け加えておこう。
今回は人数が多いため、前二回のロワイヤクラウン
ではなく ロワイヤルの専用ゾード、ロワドルーン。
ブルーネアの、操縦している間にも防御の方を調整
したいという要望もあったり。しかし操縦している
間にも 防御の調整が出来るなんて… 普通はそういうの
基地とかでもやれるんじゃないかとは思ったけど、
結局 ブルーネアの持つ化学の力ってすげー!と感心が
上回って、そんな考えは脳の片隅に煙と共に消えた。
しばらくして惑星 オートマーリのナリマ半島に着くと、
最初にロワドルーンから降り立ったのは緑の影だった。

「ここがナリマ半島か… 無骨な要塞って感じっしょ」

そう呟く男はロワイヤルの服装とマントと、
被っている帽子とも冠とも言えないやつを緑にした、
服装は 細部や下に着てるものは違えど、パッと見 
ロワイヤルの色違いと言ってもいい。それに歳も
彼と同じくらい。明確な違いを挙げるなら、
ロワイヤルやアオイヤルに比べ、服の上からでは
分かり辛いが、ほんの少し小柄で 少し痩せ気味な
ことと、髪型がアカイヤル程じゃないにしろ、
無造作な感じをしていること。あと 私達は全員
童顔っぽいけど、彼の場合は心なしか若干 私達よりも
歳下の童顔な感じがする。見たものの第一印象と
しては幼げでちょっと可愛く、でも少し生意気?な
イメージを与えるでしょう。そんな彼の名は、
『六帝将』一、軽快に動く身軽さと目にも止まらぬ
速さを持つ故、『速将そくしょう』の称号を持っている、
『グリング・ミドイヤル』。身軽さと同時に、忍術も
会得している宇宙忍者であるため、分身だったり、
姿を消したり、多数の強力な宇宙忍法を使いこなす
なかなかの実力者。性格のほどは今時の若者らしく、
明朗快活で無邪気だが、やや子供っぽい一面もある。
歳はもう大人なはずなのに、少年のような甲高い声も
そんなイメージに拍車をかけている。子供っぽい
一面の方は私やロワイヤルにも若干いえるけど…。
ただ彼にはちょいと困ったところがある。それは、
『強さこそが正しさ』という、戦闘狂キャラによく
ある考え方だ。それに対して異なる考えで口を挟もう
とならば、すぐさま毒舌の一言で切り捨てる。彼が
何故 そのような考え方を持つに至ったのかは、今は
分からないし、調べる気はないけど、多分これだけ
言える。おそらくコズモルチーこの組織に入った 理由わけ
自分をさらに強くするという野心があるのだろう。
でもその考え方に見合った実力は紛れもなく本物で、
その甲斐あって こうして六帝将につい最近選ばれた。
でも、いずれもっと強くなるためにコズモルチーこの組織
トップである、私達ふたりもそのうち襲ってきそうで
怖い。まぁでも、本気で牙を剥こうものなら殺るしか
ない。せっかく、弟ができたみたいで結構可愛いと
思ったのにな~…。

「ちょっと、待ってくださいよミドイヤルく~ん…」
「遅いぞぉ、グリーネア」

ミドイヤルに続いて出てきたのは、私の服装と
マントと、被っている帽子とも冠とも言えないやつを
黄緑にした、服装は 細部や下に着てるものは異なれど、
パッと見 私の色違いと言ってもいいくらいの見た目。
明確な違いを挙げるなら、髪型は後ろを結い上げた
黄緑のボブヘア、歳と身長は私と同じくらいだけど、
胸のサイズは私より結構小さめ。とゆーか私達3人が
ボインとデカいだけで、これくらいが普通の大きさ
なのかもだけど。…ヤバい。今 全宇宙の貧乳ひんぬー
皆様を敵に回すような言い方を…。一応 フォローにも
ならないどうでもいいことを言っときますが、
ヴァルーナはまだ子供なのでつるぺたです。
ロリ体型とはアイツのこと。って、主要キャラの紹介
をしてた筈なのに、なんで下ネタの話題になっちゃった
のかしら…? このままだと猥談にでもなりそうだから
時を戻そ… ゲフンゲフン、話を戻そう。そんな彼女の
名は、『六帝将』一、魔法や妖術といった 聖なる力を
操ることに長けている故、『聖将せいしょう』の称号を持つ、
『キミルド・グリーネア』。彼女は科学や機械全般に
優れたブルーネアとは まさに対極にある、妖術や呪術、
そして魔法といった あらゆる不思議な力、あるいは
聖なる力に精通している 本人に自覚こそないけども
凄腕レベルの魔術師。肝心の性格は魔術師の幹部
らしく陰湿…かと思いきや、恥ずかしがり屋で
引っ込み思案。でも案外 世話焼きなところもある。
よく言えばいい人の典型かもしれない性格だが、
コズモルチーこの組織は悪の組織。言ってしまえば
悪役には向いてない性格。でも悪役でなくても
こういう性格を私とゆーか、我々は求めているので
いくらおどおどしていようと、ひ弱そうだろうと、
先程 述べたように不思議な術に対しての実力は
折り紙付きだし、六帝将の1人に割と最近選ばれる
辺り、戦闘力もちゃんとそこそこあるのでとりあえず
OKってことにしてる。流石にルーク級カップルズと
比べるのは酷かもだけど…。まぁこんなわけで、
忍術と魔法、特殊な力を駆使して戦うのが得意な
『グリング・ミドイヤル』と『キミルド・グリーネア』
このふたりという名のミドグリを総括して、別名
『ナイト級カップルズ』。速さと忍術&魔法と妖術、
これらの分野に対しては、このふたりにおまかせ!
そしてグリーネアに続いて、残りの私達も
次々にロワドルーンから出てきた。

「調べたところによると このナリマ半島、
ゴールドマスク・コーポレーションの株主の
ひとりにして、この惑星ほし屈指の大富豪、
『バキシー・ム・バンリキー』の所有地らしいよ」
「俗に言う、『フィクサー』ってやつねぇ…」
「へ~、島一つ所有すっとか、相当な金持ちなのねぇ」
「気をつけるんだよ皆、ロワイヤル君とエレーネアの
ふたりがゴールドマスク本社に赴いた時みたく、
なにかトラップがここにもあるのかもしれない」
「た、確かに… いかにもって感じのところですね」

グリーネアはブルーネアに引っ付く。対極にあるとは
書いたが、科学者のブルーネアとは真逆の力を持つ故
に仲が悪い… と思いきやそんなことはなく、このよう
に仲は普通にいい。とゆーかグリーネアは ブルーネア
の科学や医療に対しての完璧超人っぷりに憧れている。
某デルザー軍団然り、某次元戦団然り、構成員同士の
仲の悪さが原因の元、破滅していく悪の組織は
これまでに多数の例が確認されている。
それを反面教師として、コズモルチーこの組織はアットホームで
上下問わず 構成員同士がとっても仲良しで良好な関係で
あることをいつも心がけているのだ。その方が目的が
円滑に進むし、何より見ていて楽しい。まぁそんな事
はまたそのうち話すとして… 

「なんだよブルーネアにグリーネア、ビビってんの?」
「心外だね ミドイヤル君、慎重と言ってくれないかい」

ミドイヤルの生意気な一言に、ブルーネアは声の
トーンはそのままだが、少しムッとした表情で返す。
それを見逃ず、軽く諌めるかの様にブルーネアの
肩に手を置き、ロワイヤルはこう言った。

「まぁとにかくだ、ここにゴールドマスクの
秘密があんのと、社員を溶かしたっていう
魚人とやらがいるのは間違いない」
「ここは広そうだからね、早速 手分けして当たろう」

アオイヤルの提案に、ミドイヤルはこう言う。

「その魚人って奴、強いかな? 見つけたら 
俺の強さでブッ倒して一瞬で
終わらせてやるよ!この強い俺がね!」

強さを主に 主張しまくるミドイヤルに
アカイヤルの堪忍袋の尾がキレた。

「あー、さっきからオメェうるせぇな!!
『強さ、強さ』ってよぉ!!」
「全くだ!何が出てくるかも分からない以上… 標的ターゲット
しとめるためにも、ここは力を合わせるんだ!」

ロワイヤルもアカイヤルの言葉に同調したものの、
ミドイヤルはすぐさま毒舌の一言で切り捨てる。

「ハッ!マジねーし!」
「あぁ…?」
「強けりゃいいんだ!戦いにおいて
これ以上の信頼はないね!」
「なんだと~!? さっきから言わせ
ときゃあよぉ…、なに勘違いしてやがる…?」
「ホントホント…」
「一番強ぇのはよぉ、俺だろうが!!」
「いやそっちかよ!?」

アカイヤルのまさかの発言に
アオイヤルのツッコミが光る。

「と~に~か~く~、俺の方が強い!さっさと
その魚人って奴見つけて、俺が先にぶっ倒す!」
「待ってください、ミドイヤル君!
迂闊に行ったら危険です~~~っ!」
「クォラァ!待ちやがれミドイヤルこの!」

ミドイヤルはそう言うと、先に要塞的な施設の中に
走り、入っていった。それを心配し 追いかける
グリーネア、怒鳴りながら追いかける アカイヤル、
私達も中に入ろうとしたら、イエーネアが私と
ロワイヤルに待ったをかけた。

「ねぇ~、ロワイヤルにエレーネア、ホントに
あの2人、大丈夫なわけ?」
「なんだ、まだあいつらの六帝将入りに反対か?」

つい最近選ばれた、割と最近選ばれた、ナイト級の
ふたりを紹介する際にそう述べたけど、もともと
六帝将は6人ではなく、これの前身は アカイヤル、
アオイヤル、イエーネア、ブルーネアの4人からなる
四帝将よんていしょう』だった。しかし、私達ふたりが
コズモルチーの戦力増強のためにミドイヤルと
グリーネアを選び、彼ら4人に加えたことにより、
『四帝将』は『六帝将』にグレードアップし、
今に至るというわけなのだ。

「ミドイヤル君は我々に比べ、悪役としての実績は
あんまりないし、ちょっと…、未熟なところもある。
さっきだって、一応 立場は上であるはずの
ロワイヤル君にも突っかかって…。私からみれば、
あんなの まだまだ若輩者さ…」
「若輩者ってw あたし達と歳はほとんど一緒
じゃない!精神年齢は多分最年少かもだけど」

顔を顰めながら言うブルーネア、笑いながら
返す私。次に口を開いたのはアオイヤル。

「グリーネアちゃんも、魔法や妖術の腕前がプロで
あることを差っ引いても、引っ込み思案で
恥ずかしがり屋で、ちょっと鈍臭いところもある。
あんまり悪役っぽくない性格してるからさ、
その辺 少し心配だよ…」
「まぁ、まずはほんの様子見ってこった。
アイツらはアイツらなりに、きっと
面白いことをしてくれるさ… それより早く
俺らも行こうぜ。新入りに先越されっぞ!」

そう言って駆け出し、要塞的な施設の中に
入っていったロワイヤルに私達も続いた。後ろから
その魚人に見られているということを知らずに…

中に入った私達は、被っている帽子とも冠とも
言えないやつに内蔵されたライトをつけて、薄暗い
施設の中を物色した。もう使われていないのか、
そこら中 ボロボロの廃墟で、とても企業の秘密が
隠されているようには見えないし、トラップも見たところ 
ない。でもどこかに何か手がかりみたいなのは、
きっとあるはず。それを見つけたらアカイヤルに
ミドイヤル、グリーネアの3人も見つけてみせる。
…! そうだ!スマホで連絡を入れれば…

「どうやらこの要塞、電波繋がらないみたいだ。
アカイヤルかミドイヤル、それかグリーネアちゃんに
電話しようとしたけど、圏外だって」

ズコッ!いやダメなのかい!あたしは思わず
拍子抜けしてすっ転んだ。アオイヤルが
ブルーネアに自分の青いスマホを見せてそう言う。
ブルーネアはすっ転んだ私に気がつき、手を差し
伸べ、私はその手をとって立った。その矢先、
何やら耳を澄ませているイエーネアが目に入った。

「イエーネア、何やって…」
「しっ!静かに!」

声をかけたロワイヤルを制し、イエーネアは両耳に
両手を当てて、耳を澄ませている。そして彼女は
しゃがむと、薄汚い地面に耳をつけた。それを見た
ロワイヤルも無言で私達に合図をすると、イエーネア
と同じくしゃがみ、地面に耳をつけた。そして
私も、ビショップ級のふたりも同じことをやり、
しばらくそのまま地面の音を耳に吸収した。すると
地面から何か小さな声が微かに聞こえた。唸るような
低い声と少年のような甲高い声の言い争いが微かに
聞こえる。この声はアカイヤルとミドイヤル、
とゆー事は…!私が立って気づいたことを言おうと
した直前、イエーネアが突如立ってこう言った。

「分かった!みんな!地面からアカイヤルと
ミドイヤルっぽい声が微かに聞こえるの!だから
あの3人はもしかしたら地下にいるかもしれないわ!」
「うんそうだけどあたしが言いたかった
こと全部言いやがったなこの野郎」
「えっ?エレーネアも気づいてたの?」
「いや私達もバッチシ気づいてたし」
「地面に耳つけんの、俺の合図で皆もやったんだ」
「ええっ!?見てるだけじゃなくて…!?」
「急にやり出すから何かと思ったよ」
「んもう/// 見てるだけだと思ったのに、鬼恥ず…///」

イエーネアは驚いた後に、ひどく赤面した。

「とにかく、アイツらは地下にいる。ゴールドマスク
の秘密を見つけてから アイツらを探そうと思ったけど
場所がわかったのなら予定変更!地下に早速行くぞ!」

私達は地下に通じる階段を降りて、地下へと降りて
いった。途中、固そうな扉があったが 力づくで破壊
されたような大穴が空いており、アカイヤル達も
ここを通ったのだと秒速で悟った。扉の先には
先程までの薄暗く狭そうな廃墟とは一転、未来的な
ネオンを放つ大空間が広がっていた。下には緑色の
水が湖のように広がっており、不思議に思った私が
試しにポケットに入れっぱなしだったゴミを
投げてみると、そのゴミは一瞬で溶けて消滅した。
どうやらこの緑色の水は、酸らしい…。
前を見てみると、そこにあったのは扉。またも
アカイヤルが力づくで破壊したのか、穴が開いてて、
その向こうの室内にいたのは、何か言い争っている
アカイヤルとミドイヤル、それを仲裁している
グリーネアがいた。私達は早速前に向かって
駆け出し、3人の元に辿り着いた。

「お~~~い!オメーら~!!」
「あっ!皆さん!来てくださったんですね!」
「あっ!聞いてくれよオメーら!ミドイヤルの野郎、
ここを見つけたのは自分だから、俺は強いだなんて
言いやがんだ!扉ぶっ壊したのは俺なのによぉ!」
「ゴールドマスクの秘密もここにあったんだから
実質 俺が全部見つけたってことだろコレ!」
「あっ、ロワイヤルさん、この室内にあった
ゴールドマスク・コーポレーションに関する
データは全てコピーしました。これです」

グリーネアは黄緑のUSBメモリをロワイヤルに渡した。

「ず、随分とデジタルなやり方でコピーしたね…」
「あぁ、魔法で中にあるデータをコピーし、
このUSBの中に封じたんです」
「あ ちゃんと魔法は使ってたんだ!?」

アオイヤルのツッコミが終わったその時、突然 
アカイヤルと言い争ってたはずの ミドイヤルが
アカイヤルを突き飛ばし、グリーネアの腕を引っ張り
室内から出た。そしてミドイヤルはジャンプすると
風の力で高く飛び、一気に大空間の出入り口に渡った。

「いっつー、なんだよ急に…」

急に突き飛ばされたアカイヤルはそうぼやく。

「ミドイヤル君、これは一体…?」
「悪いな… このデータは俺がもらった!
わかったか、これが俺の強さ… 首領ボスのお前を
超える強さだ、コズモル・ロワイヤル!」

グリーネアが混乱する中、
ミドイヤルはそう高らかに宣言した。

「どういうつもりだいミドイヤル君!?」

キレ気味で問うブルーネアに
勝ち誇りながらミドイヤルは答えた。

「俺、実はどーしても納得がいかなかったんだよね…。
大ボケしまくるし マヌケだし、その上、特撮やら
アニメやらのサブカルチャーを愛する、強さとは無縁
のキャラっぽそうだし? そんな奴がコズモルチーこの組織
首領ボスやってんだぜ? マジねーって話だわ。だから
この作戦を俺1人で成功させて、首領ボスであるお前に、
俺の強さを見せつけてやるってな!」

困惑する私とアオイヤル、憤るルーク級カップルズ、
その中で散々言われてて、一番キレるべきはずの
ロワイヤルは何故か冷静に笑みを溢し、呟いた。

「ふ~ん、期待以上みてーだな。ミドイヤル…」

蹲るグリーネアはミドイヤルに問う。

「じゃあ何故…、私をこうやって連れ出したんです
か…? データが欲しいなら、USBを奪うだけで…」
「別に。同期の、同じナイト級カップルズの好で
助けただけだし。まっ、あとはここに潜む魚人だな。
そいつさえぶっ倒せば、俺は強いってことが証明
されるってことだ…!行くぞグリーネア!」
「そんな!せっかく六帝将に選ばれたのに!?」
「別にそんなのいいんだよ。何?まさかお前… !?」

ミドイヤルが言い終わらないうちに、突然 ナイト級の
ふたりは何者かの攻撃を受ける。そこに現れたのは
肩や頭部から大きな鰭を生やし、鋭利な牙を並べる
強靭そうな顎を持った、爬虫類と半魚人の中間のよう
な見た目をした異形の怪物だった。しかも顎の方を
よく見てみると、口の中にはもう一つ小さな口が
マトリョーシカのごとくあったり。

「そのデータ、我等にとって重要機密…。
返して頂こう…。泥棒猫ごときが触れるでない…」

怪物は呻くような低い声で言うと、ミドイヤルに
向かって、身体から小型のピラニアをミサイルの如く
放った。ミドイヤルは自分の武器である緑と深緑の
2本の刀、『風太刀丸かぜたちまる』を構え、自分に向かってくる
ピラニアの軍団を叩き落とし続ける。
イエーネアは怪物に向かって問いただした。

「ゴールドマスク・コーポレーションの
社員達を殺した魚人ってのはアンタ!?」
「…その通り。『宇宙の平和を勝手に乱す悪魔のような
怪獣』や『生気を吸うバケモノ』をあの会社に
入れてしまい、挙句、戦争を求める他の世界や星々に
売ろうとしている 特殊な素材の機密情報を 貴様らの
ような外部の存在に流出してしまったと世間に知られ
れば、我が主人あるじに責任問題が追求されかねない…
そうなると、我が主人あるじ最大の強みである政財界との
パイプも危うい。そこでいざとなった時のために
創られ、ここで休眠していた我『ビラゴン』は、
ゴールドマスク・コーポレーションは表向きは倒産
したということにしておいて、裏ではその証拠が
少しでも漏れないよう、社員全員や株主の者達と
いった関係者各位を、全て抹殺したのだ」
「そんな大事な秘密、私達の前で
ペラペラ話していいんですか…?」

グリーネアがそう問うた矢先、ビラゴンはグリーネア
の首を掴み、未だにピラニアを叩き落とし続ける
ミドイヤルに向かって、両目から熱線を放射する。
ミドイヤルはそれをモロに喰らい、崖まで後退し、
その瞬間、バランスを崩して転倒、なんと崖から
落ちてしまった…!驚愕する私達をよそに、
ビラゴンはこう吐き捨てる。

「フンッ、この事実、公表することも口外することも
出来まい。何故なら、貴様達はここで 死ぬからだ…!
これはせめてもの冥土の土産… この侵入禁止の島に 
攻め入ってきた勇気に敬意を払って… な」

そう言うと、ビラゴンはグリーネアを
抑えながら立ち去っていった。

「嘘でしょ~!?目の前で部下になる
予定だった奴がいきなり死ぬなんて~!?」

あまりにも衝撃的な出来事にテンパる私を
ロワイヤルが冷静に諌める。

「勝手に死んだことにしないでやれよ!
流石、悪運は強いみてぇだぜ」

ロワイヤルが指刺した 下の方を見ると、何とか枠の
ような残骸を掴んで運良く助かったミドイヤルの姿が。

「オメーら!グリーネアを連れ戻してこい!」
「わかった、ロワイヤルは?」
「俺はアイツの元に行く」
「ええっ!?」

ロワイヤルの一言に驚く私達。
ブルーネア、イエーネアが順に口を挟む。

「けどアイツは…」
「別に助けるつもりはねぇ。ちょっと
アイツに言っておきたいことがあるだけだ」
「アイツは六帝将になるつもりは
なかったのよ!? アイツ助けて…」
「俺様の言ったことだ!もう一度言うぞ、グリーネア
を連れ戻してこい!心配しないで、後は任せな」

そういうと、ロワイヤルは 何とか隆起したところに
座れたミドイヤルの元に飛び降りた。そして
ここからこの空間のシーンはロワイヤルの
語りのもとでお送り致します。


隆起したところに座るミドイヤルの元に
俺は着地すると、ミドイヤルが口を開いた。

「わざわざ嗤いにきたわけ? マジねーのは俺の方…」

ミドイヤルはくっ殺に近いような屈辱を味わっている
ような表情をしながらそう吐き捨てる。次の瞬間、
俺はミドイヤルを立たせて、腕に唸りをつけてアイツ
の頬をぶん殴った。その瞬間 ミドイヤルは落ちそうに
なるが、胸ぐらを掴んで何とか 落ちずに済ませ、
心に溜めた言葉と思いを 怒鳴り声と共にぶつけた。

「甘ったれんじゃあねぇ!!! もう一度選ぶ権利を
やる!俺様についてくか、このまま酸に溶かされ
死ぬか、どっちかをなぁ!!」
「な、何だと…?」

いきなり怒鳴られて ミドイヤルの全身が一瞬ビクリと
震えたが、すぐにいつもの調子で言い返す。ただ、
震えは隠せておらず、明らかに強がってる態度だった。
俺はそんな彼の態度を気にせず 思いを言い続ける。

「オメー、俺に言ったよなぁ? 強けりゃいい、って。
自信満々に言った癖に今のテメーはこんな醜態ザマ
晒した… 戦いにおいて本当に信じなきゃならない
もんわかってない癖に、あてにならねーもん
信じたって、こうなるだけなんだよ!」

ミドイヤルはその言葉にハッとして、俺に言った。

「初めから分かってたのか…? 俺が、
裏切って そしてこうなるって…」
「まーな、でもあのやり方は完全に想定外って
とこだったな。まっ、これくらいの行動力って名の
強さがなくちゃあ、六帝将は務まりゃしねぇがな」


一方、外に出たビラゴンはグリーネアの
首を掴み、彼女を抹殺せんとする。

「くうっ…! このデータは絶対に渡しません…!」
「渡さない?何を言っている。それは元々、我々の
ものだ。渡してもらおう…。貴様を殺して… な」

グリーネアは首を絞められ、苦悶の表情を浮かべる。
そこへ私達は駆けつけ、ルーク級のふたりは今にも
ビラゴンに飛びかからんとするが、アオイヤルと
ブルーネアに無理矢理 物陰に隠れさせられる。

「お、おいっ!?何すんだよお前ら!?」
「グリーネアを早く助けないと!!」
「いや待つんだ、無闇に飛びかかったって
さっきの小さなピラニアみたいなので
返り討ちにされるかもしれない…!」
「そんなのやってみなきゃわからねぇだろ!?」
「早くしないとグリーネアが…!」

言い争うアオイヤルとルーク級のふたり。

ビラゴンはグリーネアの首を絞めている方の腕から
雷撃を放つ。締めつけられる首と雷撃の二重苦に
悲鳴をあげるグリーネア。

「グッ、グリーネア!!」

あたしは心配のあまり、思わず声を上げてしまい、
お約束通りビラゴンに気づかれてしまった…!
ヤバい いずれこうなるとは思ってたけど…!

「邪魔はさせん…」

ビラゴンはそう呟くと、私達に向かって 身体から
小型のピラニアを弾丸の如く放った。


その頃、大空間内では 俺達も脱出しようとしていた。
長々とこんなとこで男2人で語り合うのも何だし。

「やってみっか? 酸の中でどれくらい
素潜りできっか、フフン… 面白そうだろ?」
「いつかお前を超えるくらい… お前の助けなんて
借りないくらい強くなってやる…!それまではっ…!」

ミドイヤルは心の底で見下してた筈の俺に助けられた
悔しさと、弱い自分に対する憤りが混じった眼で
そう言った。どうもこの状況には、流石にコイツも
己の弱さを痛感ぜさるを得なかったみたい。でも…

「ハァッ… 別に助けてやったつもり
なんざ ねーんだけどよぉ…」
「え?」
「俺はオメーにさっきの一言を言いたくて
ここに来た、それだけだ。でも気が変わった!」
「えぇっ?」
「何でそんなに強さ強さって うっせぇくらいに 
こだわんのか、オメーから吐かせるつもりはねぇし、
調べるつもりもねぇ。でも お前から言うか、
何かの拍子で知るのが先か、いつか必ず
解き明かしてみせるから。そのつもりでな!」

そう言うと、俺は下の酸に向かって 飛び降りた。
この行為にはミドイヤルも驚愕した。

「ちょっ!? おぉぉ、おい!? ロワイヤル!?」

ミドイヤルが俺の名を呼んだ瞬間、俺の身体は酸の
海にドボン。しかしそれから十秒も経たないうちに、
酸は途端に噴水… いや、鯨の潮吹きのように
噴き出し、その上に俺は笑いながら無傷で立っていた。

「ハッハッハッハッハッハッ!」
「ちょっ…? 平気なの…!? 」
「こんなの、俺様にかかれば 熱いくらいだぜ!
ハッハッハッハッハッハッ!」
「こっ、これが… アイツの強さだっていうのか…?」
「驚いてる暇があったら俺に掴まれミドイヤル!
さっさと俺達もアイツらのもとに合流するぞ!」
「おっ、おう…!」

驚きっぱなしのミドイヤルは俺の手を取り、吹き出す
酸はエレベーターのように上昇していく。やがて
出入り口に着くと、俺達はすぐに外へ向かった。


一方、私達は宙を舞うピラニア軍団に苦戦していた。
私はエレネアローサーベルで、アカイヤルは2本の
大剣、『メラメライザー』で、アオイヤルは錫杖と
槍を合わせたような武器、『バシャバシャフト』で、
イエーネアは電気を帯びたパンチやキックで
叩き落とし、ブルーネアは二丁拳銃、
『アイスナイパー』で撃ち落とし続けていたが、
ちょこまかと動く上、落としても落としても数が
減っている様子のない、この状態に次第に
追い詰められつつあった。

「クッソ… やってもやってもキリがねぇ…!」
「このままじゃ、グリーネアが…!…痛っ!?」
「あーっ!ちょっと噛んでんじゃないわよ!
あたし喰っても美味しくないよ!痺れるよ!?」

私やイエーネアに至ってはピラニアに噛まれる始末。
そうこうしてるうちに、グリーネアはもうダメそうな
状態となっている。早くしないとグリーネアが…!

「そのまま、そいつらと遊んでいろ!」
「うぅ…っ!」
「さぁ死ぬがいい…。最初は貴様だ」
「…それは、どうかなぁ…?」
「…何?」

ビラゴンが声を発してすぐ、グリーネアは自らの
武器、『ローズティッカー』をビラゴンの下腹部分に
突きつける。至近距離で放たれた ローズティッカーの
黄緑のビームが、ビラゴンの胴を貫通する。

「ぐおぉぉ…!くうぅッ…!」

ビラゴンは苦しみ 膝を突いた瞬間、宙を舞っていたり
あたし達に噛み付いていた小型のピラニア軍団は
一瞬で消滅した。次の瞬間、予期せぬ怒鳴り声が。

「はぁ~っ… さっきから貴方はねぇ… 力一杯 首を
絞めて、本気ガチで息が止まるかと思ったじゃねーか
こんちくしょう!!あぁ!?スカタンかこの野郎!?」

驚くことに怒鳴り声を発していたのは先程まで
首を絞められ、挙句 電撃を体に浴びせられて
いたはずのグリーネア。私達は恥ずかしがり屋で
引っ込み思案、でも世話焼き という彼女の大まかな
イメージとは10㎞程 かけ離れた口調に絶句していた。
そうか、彼女 怒らせたら怖いタイプなんだ~… と
私は本能的にどこか察し、グリーネアに駆け寄った。

「グリーネア!大丈夫なの?」

私が声をかけると、グリーネアはハッと
したかと思うと、急に頭を下げた。

「…ハッ!? すっ、すみません!私、今 すっごく
口汚くなっていましたね、申し訳ございません!」
「いや別に謝るようなことじゃないと思うけど…」
「んなこたぁどーでもいいけどよ、大丈夫か?」
「あっ、はい。なんとか大丈夫です…」
「いやぁ~、ビックリしたわぁ~。まさかアンタに
あんな一面があったなんて、正直 ナメてたわゴメン…」
「僕も、ちょっとキミを侮ってたみたい、ゴメン…」
「いっ、いえ… むしろ忘れてほしいですよ…」

言ってしまえば悪役には向いてない性格。そう言った
けど、ただし怒らせると悪役じみた性格になる。
と付け加えておきましょう。そんな会話を
していると、ビラゴンが声をかけてくる。

「おっ、おのれ 貴様らァ…!」

すっかり忘れてた。でも流れはもう完全にこっち側!

「さぁ、次はこっちのターンよ!」

私はその一声と共に、エレネアローを射り、光の矢を
ビラゴンにぶつける。そしてそれを皮切りに皆も
次々に攻撃を加え出した。まずはルーク級カップルズ。
アカイヤルはメラメライザーに炎を纏わせ重たく熱い
一撃を、イエーネアは手刀に電気を纏わせ、痺れる
チョップの一撃をビラゴンに喰らわせる。お次は
ビショップ級カップルズ、アイスナイパーを構える
ブルーネアの肩を台に、アオイヤルは大きく飛び、
バシャバシャフトで脳天を突き、その次の瞬間、
ブルーネアはアイスナイパーから強力な弾丸を放った。
撃たれまくって相当なダメージを負った様子の
ビラゴン。当然ながら反撃の隙も与えず、今度は
グリーネアが駆け出していく。ローズティッカーから 
茨状の細身の剣を伸ばし レイピアの形状にすると、
先程までの仕返しと言わんばかりに、
容赦のない攻撃でビラゴンを攻め立てた。

「さっきまでの、…仕返しですよっ!」
「そしてコレは俺が落とされた分の仕返しよっ!」

突然、どこかから声が聞こえてきたかと思ったら、
これまたどこからともなく巨大な手裏剣が飛んできて
宙に舞いながらビラゴンを斬りまくる。そして一通り 
相手を斬りまくった手裏剣は 現れたミドイヤルの
手元に戻った。アオイヤルが驚きの声をあげる。

「あっ、生きていたのかい!?」
「勝手に死んだことにすんなっつーの!」

逆にツッコまれてて草。ミドイヤルがここにいるって
ことはもしかして流れ的にお次は~…?

「その通り!最後は俺様の出番だ~!」

出ましたっ!我らがコズモル・ロワイヤル!
ロワイヤルはエンペライトセーバーによる荒々しい
剣裁で ビラゴンを斬って、斬って、斬りまくった!

「さぁ、1番の見せ場!とどめ行っちゃうぜ~?」

チャラ男みたいなノリの軽い一言とは裏腹に、その
表情は雄々しい男らしさに溢れた カッコよすぎる
イケメン。やだそんな顔しないでよ惚れちゃう…♡
刀身に思いっきり闇のエネルギーを込め、
縦に一刀両断!とどめの一撃を叩き込んだ。

「ロイヤル・ダイナミック!!!」

この技を受け、ビラゴンは全身から火花を散らし、
再び膝をつく。が、静かにこう呟き出した。

「我はあくまで我が妹のスイッチに過ぎない。
これから起動する我が妹が、貴様らを殺し、
真の意味での証拠隠滅に… かからんと… す…」
「はっ?妹?」

その言葉を最後に、ビラゴンは倒れ爆発。すると、
途端に島が揺れ出し、地鳴りが響き出す。次第に
地面にはヒビが入り出した。ブルーネアはこれを見て、

「まっ、まずい…!島が崩れる!皆、
直ちにロワドルーンに戻るんだ!」

ブルーネアのその言葉で、私達は全員、
近くに停めていたロワドルーンに搭乗した。
そして、ロワドルーンがナリマ半島から飛び立つと、
ナリマ半島は崩壊し その中から巨大な体躯のビラゴン
が出てきたのだ。私は驚きのあまり 声を漏らす。

「妹ってもしかして、あのデカいビラゴンのこと…?」
「おいおい、等身大のやつ倒したら ソイツの巨大な
下の兄妹が出てくるとか、エゴスの悪魔ロボットかよ」

ロワイヤルが分かる人には分かる例をあげながら
ツッコむと、ブルーネアが言った。

「ロワイヤル君、防御の方はもう調整完了
したから、デストロワイヤルで戦うんだ!」
「いよっしゃ~…!任せとけ。行くぞ!
巨人変形メガゾードライズ!デストロワイヤル!!」

ロワイヤルのその叫びと共に、ロワドルーンは
巨大ロボメガゾード、デストロワイヤルに変形した。

「デストロワイヤル、活動開始アクティビティオン!」

ポーズを決め、海上に着地し、巨大ビラゴンと
対峙するデストロワイヤル。巨大ビラゴンは咆哮を
あげると、右腕に装備された魚の骨を模した剣で
デストロワイヤルに襲いかかってきた。妹ということ
は多分 性別は女性かもしれないが、まんま等身大の
ビラゴンと同じ見た目な上、そこそこ喋ってた兄と
違い、全く喋らずケダモノ同然に鳴く様はまさに
正真正銘の化け物といっても過言ではないくらい。
デストロワイヤルはすぐさま キングレイモアで応戦
し、激しい鍔迫り合いを繰り広げる。それを心配そう
に見ていたアカイヤルは ブルーネアに尋ねる。

「クッソ…!なぁブルーネア、俺達にも
メガゾードはねぇのかよ? ロワイヤルだけに
巨大戦をヤらせるのはのよぉ…」
「あぁ、君達3人に与えるつもりのデストロワイヤル
支援用の武装ゾードなら 考えては、あるよ」
「ホントかいブルーネアちゃん?」
「でも、まだ完成には時間がかかりそうだし、
何よりミドイヤル君があんなことしたしお寿司…」
「そっ、それはっ、その…」

なんて事をアカイヤル、アオイヤル、ミドイヤルの
3人とブルーネアがやりとりしているうちに、
巨大ビラゴンは隙をつき キングレイモアを退かし、
その鋭利な牙で デストロワイヤルの胸部分に
噛み付いてきたのだ。あたしは驚いて声をあげた。

「ちょっ!?噛まれてるわよ ロワイヤル!?」
「いくら普通のやつよりちょっと頑丈な装甲とは
いえ、長いことかみかみされては危険だ!」
「し~んぱ~いないさ~ みんな~!」
「だからそれ何年前のネタ?」
「危機を脱するためには、卑怯な手を使うのさ!」

ロワイヤルは得意気にそう言うと、
デストロワイヤルに、未だに胸部分に噛み付いて
離れようとしない巨大ビラゴンの股関節部分に
キックをさせたのだ。すると、痛みが応えたの
だろうか、巨大ビラゴンは跳ね飛び 倒れた。その
衝撃で、海の水滴が飛び散り、薄いが美しい虹を
創り出した。アレ? そういやこの巨大ビラゴン
妹って言ってたよね? まんま等身大のビラゴンと
同じ見た目だけど、仮に性別 女性なら なんで
金的やられてダメージ受けてたんだろ? そんな疑問が
あたしの中で逆巻いたけど、結局 ビラゴンが倒れた
文字通りの余波で発生した虹を見たことで、あっ!
虹だ 綺麗!なんて考えが上回って、そんな考えは
脳の片隅に虹のキラメきと共に消えた。そう言ってる
うちにデストロワイヤルは必殺技の体勢に入った。

「フィニッシュは必殺技で決まりだぜぃ!
アビリティギア全開!!」
「行けぇー!ロワピー!!」

デストロワイヤルはキングレイモアに、内部メカに
組み込まれているアビリティギアのエネルギーを
全て込めて、時計回りに回しながらエネルギーを溜め…

「ギガンティック・ダイナミック!!」

その叫びと共に巨大ビラゴンの肉体を一刀両断!!
巨大ビラゴンは断末魔の咆哮を上げながら、全身から
火花を散らし、粉々に爆散していった。文字通り
その爆発で発生した余波で海の水滴が飛び散り、
デストロワイヤルの黒光りのボディを濡らした。

「ワ~ッハッハッハッハッハッハッハ~!
まさに、水も滴るいいメガゾードだ~!
ハッハッハッハッハッハッ!!」

こうして、ロワイヤルは勝利の高笑いを響かせた。
ここからは俺様、ロワイヤルが語り部っちゃいます。
何故 急に変わるのかは、このあとを見れば分かる。


そして、俺達はデストロワイヤルから降り、
すっかり夕焼けに染まった海を見ていた。
グリーネアは懐から黄緑のUSBメモリを
取り出し、ブルーネアに渡した。

「なんとか、このデータは捕られずに済みました」
「うん」

するとUSBメモリを触ったブルーネアは
何か違和感を感じたかのような表情をして、

「……ん? ん? アレ、アレ?
ちょっと待ってちょっと待っておねーさん…」
「なんか懐かしいフレーズw」

アオイヤルのツッコミの通り なんか一昔前 どっかで
聞いたようなフレーズを言いながら、ブルーネアは
左手から煙と共にノートパソコンを出し、黄緑の
USBメモリを差し込んだ。すると、画面には
データはおろか、何も入っていない様子が映った。
これにはブルーネアも流石に驚愕せざるを得ない。

「バッ、バカな!?何も入ってない!?」
「えぇ!?わっ、私 ずっと
この中に入れてましたよ!?」
「おっ、俺も あの時 掴んだのはグリーネアだけだ!
そのメモリは、触ってすらもいないぜ!?」

グリーネアは懐を叩きながらそう言って、
ミドイヤルは慌てて弁解する。ブルーネアは 口調は
冷静ながら、まだ驚いている声色でこう言った。

「あぁ、キミ達は何もやってはいない。このメモリ
には… いや、あの室内には、ゴールドマスクのデータ
なんて、最初から何も入っていなかった。つまり、
グリーネアが魔法でコピーしたっていう、データは
おそらく 手応えがあるだけの空のエネルギー」
「じゃあ、アレは罠だって事!?」
「俺達ゃまんまと騙されちまったって事か!?」

エレーネアとアカイヤルの言葉にブルーネアは…

「おそらくそうなるね」

あっけらかんとしながら言った。するとその時、
突然 海の上の空が割れたかと思うと、その割れ目から
ものすごい勢いの風が吹き出す。このままじゃあ、
俺達全員、掃除機に吸い込まれるゴミのように
その割れ目に吸い込まれてしまう…!しばらく
俺達全員はなんとか耐えていたものの、真っ先に
宙に浮き、吸い込まれそうになったのはミドイヤル。
アイツ、素早いし風使いだし 軽いから真っ先に
浮いたのかな…? その次に吸い込まれそうになった
のはイエーネア。アレこれ軽いとか関係ないのかな?

「うっ、うわあぁぁぁぁぁっ!?」
「ミッ、ミドイヤル!?イエーネア!!」
「ミドイヤル君!?」

吸い込まれそうなミドイヤルの手をグリーネアが、
イエーネアの手をアカイヤルが掴み、必死に
引き戻そうとするが、あるものを見て様子が一変。

「どひゃあぁぁぁぁぁ!?こりゃ掃除機か~~い!!
いや俺らはそれに吸い込まれるゴミあつカーイ!?」
「ブラックホールに消えたやつになるのか~~い!?」
「いやそもそもこれブラックホールなの~~~!?」
「なっ、なんとか宙を泳げば、回避、できっかな!?」
「いや出来るかっ!」

なんと、吸い込まれそうになっていたのは俺達
だけではなかった。この惑星ほしでハンターもどきと
戦い、俺の推定ではおそらくそれは終えたはずの
ジイ、オリンピアス、ヴァルーナ、ミギヒダの5人が
宙に舞い、吸い込まれんとしていた。俺とエレーネア
は驚いて、声を張り上げる。

「!? ジイ!! オリンピアス!! ヴァルーナ!!
ウミギロン!!サヒダロン!!」

そして同じく驚愕し、その光景に気を取られている
内にアカイヤルもグリーネアも宙に浮き、吸い込まれ
そうになっていた。アオイヤルとブルーネアは
なんとかアイツらの手を掴もうと進んだ。
そして同じ頃、エレーネアも宙に浮き始め、
吸い込まれそうになってしまう。

「ハッ!? エレーネアッ!!!」
「あぁ…!? うわあぁ…!? ロワイヤルーッ!!!」

俺はエレーネアの手を握り、どこぞのピンクボールに
匹敵しかねないほどのビックバン級の吸引力の中、
この手は絶対に離すまい と強く誓いながら掴み続けた。

「ロワイヤルーッ!このままじゃ、あなたまで…」
「諦めるなぁぁッ!!絶対に、離しはしないぜ…!」

しかし、そんな俺の想いと頑張りも虚しく、限界は
近づいていた。その時、エレーネアの手を離すまい
とばかり考えていたんで 周りを見ていなかったため、
どこかから飛んできた灰色のエネルギー弾を
避けれず、モロ直撃してしまう。そしてその衝撃で
必死に繋いだはずのその手は離れてしまった…。

「エレーネアァァァァーーーーーッ!!!!」
「ロワイヤルゥゥゥゥーーーーーッ!!!!」

俺達ふたりは名前を叫び合ったが、それでどうにか
なるようなものではない。そしてエレーネア、
ジイ、オリンピアス、ヴァルーナ、ミギヒダ、
そしてアカイヤルとイエーネアルーク級のふたり
ミドイヤルとグリーネアナイト級のふたり、彼等は皆、
割れ目に吸い込まれてしまった…。
そして彼等が割れ目の彼方に消えていくと同時に、
割れ目は一瞬で消え、元の茜色の空に戻った。

「クッ… 間に合わなかったか…!」
「手を掴む寸前だったのになぁ…!」

そう悔しそうに溢すアオイヤルとブルーネアビショップ級のふたり
エレーネアの手を離すまいとばかり考えていたんで 
後ろを見ていなかったが、どうやら手を掴む前に
アイツらも吸い込まれたようだ。俺はショックの
あまり、砂浜に膝をついた。子供達を、第二の親とも
呼べる執事を、お供達を、そして生涯かけて
愛すると誓った妻をも。そんな愛する者達を
目の前で引き離された、やり場のない哀しみは 
口から叫びとなって茜色の美しい景色にこだまする。

「エレーネアァァァァァーーーーーーッ!!!!!」

が、叫んで戻ってくるはずもない。それでも例え
虚しく響くだけでも、俺は叫ばずにはいられなかった。




Galaxy Day's   今日の格言

「政治は今回も次回も変わんないでしょうが!!」

「いや結局紹介するの!?」
次回でエレーネア達を必ず取り戻す意も込めて
紹介してんだ!それくらい察さんかいアオイヤル!
「なんで僕 怒られたんだろ…?」
以上!
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