漆黒の短編集

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税の使い道

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「はぁ… 今月もこれっぽっちか…」

給与明細を見てみると、今月の給与は
変わらずの20万行くくらい。しかし、
その半分を 最近上がった税金で取られて
しまい、なんとかギリギリ暮らしていけてるって
感じ。将来や老後に向けて貯蓄して
おきたいのに… なんで税金なんて増やすんだ。
増税して、少しでも世の中がよくなった
試しがあったか? なんだか俺の見立てでは、
世の中は変わらないどころか、どんどん
崩れ落ちそうな気がしないこともない。

…まぁ、そんなことをいくら考えても
しょうがないか。俺は職場を出て、
家への道を行く。途中、見るからに
幸せそうなフードの男とすれ違う。

「…なんかいいことあったのかな。
…まったく、金持ちは羨ましいぜ…」

今の時代、あんなに幸せそうな顔が
できるのは 若い家族かカップル、それか
金持ちくらいだ。俺のようなバカで
なんの才能もない 存在意義皆無の独身者は、
こうやって無駄に生きるくらいしか
選択肢がないのだから…



「…で、どうかね?たくさん宝くじ
買ったと聞いたが、当たったのか?」
「いやぁ、だいたい一万くらい買いましたけど、
全ッ然 当たりませんでしたよ!」
「えぇっ!?また!?」
「大丈夫ですって!明日はカジノ行ってくる
んで、そこで倍にして返しますから!」
「…いやあのね、そう言って実際に
返してもらったことないんだけど?
キミたちが倍にするって言うから、
こーゆーことしてるのに… そろそろ
儲けてくれないと、こっちとしても
ヤバいんだけど?金だっていつまでも
あるワケじゃないんだし、このままでは…」
「ハァ… どーせあと10~20年くらいすれば
滅びるような国でしょう?そんな見えない未来に
期待するくらいなら、を思いっきり
楽しむべきですよ!とゆーわけで…
またジャンジャン金を集めてください!」
「…わかったよ、でもホントに今度こそ
ちゃんと有言実行してくれよ?でないと、
国民からヘイト向けられるの私なんだから…」
「安心してください!我々は生まれつき優秀な
人材が集められた機関ですよ。ギャンブルでの
失敗が続こうが、それを帳消しにする
くらいの大勝利を収めてみせますから!
ではお願いしますね~」



「え~、内閣総理大臣の菱田 邦雄ひしだ くにおです。国民の皆様に、
今回は重要なお知らせがございます。国民の
皆様のためを思って、増税を敢行致します。
将来の若き世代に苦労や負担をかけさせない
ためにも、今を生きる我々が少しでも
努力をしようではありませんか!そのためにも
増税が何よりも必要なのです!どうか国民の
皆様、増税にご協力くださいませ!
全ては国民の皆様と、この国の未来のために!
私は常に我が国の安寧を願っております!」

そんな総理の口先だけの演説をテレビで
聞きながら、俺はフードを着た、
カジュアルな服装で カジノに入り浸っていた。

「イヨッホ~~~ッ!!随分すっちまったなぁ!
この快感、やっぱり終わらせたくねぇ…!よ~し!
追加で500億追加!金なら腐るほどある!」

今わかった。この地球ほしの真理の一つが…。
こうやって、自分のじゃない…
を、自分の私利私欲のために
使うのは最高だってことだ~~~っ!!
アーッハッハッハッハッハッハッハッハッ…




税金。私たちは皆、生きるために納めていますが、
それは 本当に私たちのためになっているの
でしょうか?もし本当に私たちのために使って
いたならば、大なり小なり結果は出てるはず。
にも関わらず、世の中はまるで変わっていない。
こうして… 連中の私利私欲に使われているのかも
しれません。もし本当にそうであれば、
さぁ 世の中はどうなることやら…。
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