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第8章 死体の側にいる

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8章

「取り敢えず、2人は離れない方が良いよね」

ヒカルさんが坂田さんとユウキさんに言った。

『うんうんうん。怖いもん離れない」

『ほんとそれ、死んでも離れない』

『死体のの側にいる』

『ずっと一緒がいい』

「いや、お前らそれキモイから。なんか、ヤバい系の奴に見える」

ヒカルさんが冷めた目でみる。
それは俺も同感。

でも、そこまで、人を狂わせるんだ。
人は極限状態になると、おかしな行動に出る。精神を壊すとか。
なんか、JAXAの実験? でも実証されてた。
なんか、1人の大学生を太陽光の当たらない空間に入れて1週間だか10日だか閉じ込めておく。
最初は平気だけど、だんだんと奇行に及ぶとか……

「じゃあな、ユウキ。坂田さんとお幸せに。店長ごち! お疲れ様っす、さいならー!」

あやめさんはいつの間にか食事を終えていて、帰り支度をパッと済ませてスマホをポケットにしまう。

『え? あやめ?! もう? 会えなくなるかもしれないんだよ?! せめて、、!』

「だーかーら! あたしはアンタの1番かもしれないけど、アンタはあたしの1番じゃないの! バイバイ。帰ってこられたら飯でも奢ってやんよ」

『あやめぇ!!!! 飯! 行きたい! 生きて帰る!』

あの、一応、お付き合いはされてるんですよね?

「なんなら、ワンナイトしても良いよ」

『したい! 生きる! 俺生きるよ!』

いやいやいや、なんか、色々おかしい!
付き合ってるのに、ご飯行ってない感じだし、ワンナイトって! 他所のカップルにとやかく言う趣味はないがまだ、致してないのね!!
そして、ワンナイト! ワン! 1度きり!
ユウキさん、気付いてる?
そして、ユウキさんはこんなに邪険にされても好きなんだ。
恋って難し。

『ユウキくん! 頑張って帰ろう!』

『頑張りましょう! 坂田さん!』

謎の友情芽生える。

『ちょ! 俺は? 俺は無視!?』

今度はサトルが騒ぐ。

「お前はウハウハーレムなんだろ? 勝手にしろバーーカ」

未婚・彼女無しの店長が荒れています。

『ぐあああー! 帰りたいけど! 帰りたくない!』

サトルが頭をワシャワシャっと掻きむしる。

ふとサトル が画面からフェイドアウト。
向こうで呼ばれたらしい。

『あぁ、ワリィーな、おめぇーら、国王様? が俺の事を呼んでるらしい。どうやら俺は隣国の宿敵・アンゴルモア大王を斬ったらしい』

サトルが言った。

「らしい」

俺は繰り返す。

『いや、だって俺、斬ってないし。倒してないし。知らないし! 気付いたらここにいて、なんか、崇め奉られてる』

よくわからないがゲームでありそうな話だな。

「アンゴルモア大王? ノストラダムスの予言?」

「ヒカルさんそれ懐かしいね! 1999年の7月だけ?」

え? ノストラダムスは聞いた事ある気がさるけど。
なんだっけ? 

「愛さんわかる?」

さー? と両手をあげてみせる。
 
『取り敢えず俺は行くぜ! 美女が俺を呼んでいる~♪』

あぁ、もうこいつ、しらね。帰ってこなくていーわ。

「知らない? ノストラダムス。ググってみ。世界1有名な予言者だよ。16世紀のせいせんじゅつ占星術師で」

うんうん。
と、ヒカルさんも頷くが、1999年なんて、俺はオムツ履いてミルク飲んでた頃だ。記憶があるわけない。

試しに【アンゴルモア大王 ノストラダムス】とGoogle先生に打ち込む。

それっぽいウィキさん発見。

1999年7か月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アンゴルモアの大王を蘇らせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために。

だと。
つまりは、このノストラダムスの予言をもとに作った世界? なのか?

空から来るってことは来た世界なのか?
もしくは空の話なのか?

訳がわからん。

『ノストラダムス懐かしいですねぇー! 俺は滅亡すると信じて疑わなかったから、散財しまくって、大変だったよお!』

ははははは! 坂田さんは軽快に笑うが、また、ヒカルさんは冷めた目で見ている。

「その、散財したアホに金貸したり、住まいを提供した恩人は誰かね」

『ヒカル様でございます~』

このふたりの関係性って、一体……

『そーいや、最近、作家仲間から聞いたな、そのフレーズ! ゲーム? ノストラダムスの予言集? をベースにしてそれを回避してくゲームみたいなの。結構マイナーだけど、ニッチな界隈で人気らしいよ』

せんせー! ニッチの意味が分かりませーん!

「ニッチとか死語だよ。坂田、ケンくんや隣りのユウキくんがわからずに困ってるよ」

教えてGoogle先生!

【ニッチ 意味】 原作!!
ニッチとは、「隙間」を意味する言葉で、語源は英語の「niche」です。 

いや、これ、絶対違うやろ! これやないやろ!

「あぁ、そうでたか。んとね、マイナーと同じ様な意味だよ。マニアックとか小規模で盲目的とか風変わりとか……まぁ、要するに全然有名じゃなくて、流行らないゲームって事だね。一部の界隈で密かな人気を集める的な」

「なるほど! ヒカルさん頭良いねぇー!」

「そそそれくらい、俺も知ってたぞ!」

店長が謎に対抗する。

「店長は知ってても、ちゃんとした説明はできないでしょ~」 

愛さんにジトっと睨まれてショゲる店長。
愛さんはバイトで、店長は雇われとはいえ店長。
俺も勿論バイトだが、愛さんほどの発言力も影響力も権力もない。
なんで、愛さんはそんなに強いの!?!?



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