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第一章
壱 夢とうつつ
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夢は眠って見るもの。うつつは目覚めた時から眠るまでのこと。
そんなことは誰でも知っている。
だが、この世にはうつつのような夢も、夢のようなうつつもあることを志緒は十九の年に知った。
たとえばいいなずけの幸之助が現れる夢。姿かたちは志緒の知る幸之助であった。だが、いくら志緒が呼んでも応えてくれない。ただ黙って佇んでいるだけ。近づこうと思っても足は少しも動かない。ただそこに志緒の知る幸之助がいる。うつつかと思い安堵する。けれど目覚めれば虚しさに襲われる。
うつつのような夢に志緒は苛まれていた。
さて、志緒たち村田家の三人姉妹といえば、城下では知らない者はいない。
長女の佐登三十歳は婿誠之助の尻を叩き出世させたと言われている。他に比べて家柄に左右されない勘定方で鳴かず飛ばずだった地味な誠之助が奉行の添役にまでなったのは佐登の力だと皆噂している。
次女の美初良二十七歳は城の奥に勤めている。奥に君臨する御国御前でお世継ぎの熊千代様を生んだ亀の方様の傍に仕えている。美貌の持ち主だが気の強い性質で表の男達と堂々と渡りあう姿は奥勤めの女達から憧れの眼差しを向けられている。
三女の志緒は十九歳。姉二人同様に勝気で得意の小太刀は十六の時には目録を頂くほどの腕前になっていた。だからといって女らしいことをしないわけではない。そこそこ家のこともできる。ただし、得意とは言えない。名まえは志緒なのに料理の塩加減を間違えると佐登に笑われる。
「味見をしないからですよ。何事も最後まで手を抜いてはなりません」
母の津根はそう言って志緒をたしなめたものだった。
そんな志緒にはいいなずけがいる。いや正確にはいたと言うべきか。母の友人の津奈の息子の駒井幸之助である。
幸之助は二十三歳。文武に秀で城下の念流の道場では一、二を争う腕前、藩校麟子館でも学頭の助手を務めるほどであった。
志緒には不釣り合いにも見える相手だが、これはまだ幸之助が七つ、志緒三つの時に双方の親が決めたことだった。まさか城下の娘を持つ親たちが幸之助にいいなずけのいることを惜しむようになるとは誰も思わなかったのである。
だからといって、皆志緒を妬みはしなかった。志緒は駒井家の人々にも勘定方の組屋敷の人々にも可愛がられていた。姉たちのような美貌には恵まれていないが、愛嬌のあるえくぼがくっきりとわかる笑顔を見たり明るい挨拶の声を聞けば皆おのずと笑顔になるのだった。
ことに駒井一家は志緒が子どもの頃から家族のように接していた。母親同士が仲がいいこともあって父親が勘定方と馬廻組という違いがあるにも関わらず志緒は駒井一家の年中行事に必ず招かれ、一緒に雛節句や七夕等を楽しんだ。
その席には必ず幸之助がいた。そして志緒より四つ年下の幸之助の妹の佐江も。
幸之助の父甚太夫も陽気でよく笑う人だった。妻の津奈に笑い過ぎですと言われるほどだった。
笑いの絶えない駒井家で過ごすのは志緒にとって楽しいことばかりだった。
何より、幸之助の笑顔と志緒を見つめる優しい眼差し、思いやりのある言葉の数々は志緒の毎日を彩っていた。
そんな日々が終わってしまうなど、志緒だけでなく駒井家の人々も想像していなかった。
それは暑い夏の午後だった。佐登は子どもと一緒に城の奥の美初良に招かれており家にいるのは志緒と母だけだった。
暑いだけでなく妙にムシムシして汗がだらだら出た。母がなんだか気持ちが悪いと言うので、志緒と母は家の裏手にある畑の草取りを予定よりも早く切り上げた。
ちょうど井戸で冷やしていたまくわ瓜があったので志緒は台所で切り分けて母のいる裏庭に面した縁側に持って行った。みずみずしいまくわ瓜が乾いた喉を潤したおかげか、母は少し気分が持ち直したようだった。
「こうして二人で食べられるのも今年で最後」
しみじみとした口調で母に言われ、志緒ははっとした。駒井幸之助との祝言が三カ月後に迫っていた。
「近くなんだから、まくわ瓜くらいいつでも食べに来る」
「祝言を挙げたら、あなたも駒井家の人になるんだから、しょっちゅうここに来てはいけませんよ」
確かに母はめったに自分の実家に帰らない。義兄も実家に帰るのは年に数回だけだった。
「はい。でも、まくわ瓜をもらいに来るくらいはいいでしょ。幸之助さまもうちのまくわ瓜をおいしいっておっしゃってたもの」
「そうね。あら?」
足音が聞こえたかと思うと、駒井家の下働きのいよが血相を変えて裏庭に駆け込んで来た。
「奥様、志緒さま、こちらだったのですね。いますぐおいでください」
いつもはおおらかないよの普通ではない顔つきに志緒は嫌な感じがした。母の具合がよくなりきっていないので、志緒は一人でいよとともに駒井家に向かった。
駒井家に近づくと、近所に住む馬廻組の人々が門の周辺に集まっていた。志緒の姿を見ると、さっと両脇によけて通してくれた。
「ありがとう、ありがとう……」
礼を言いながら屋敷に入ると、誰も出迎える者がいない。これは大変なことがあったに違いないと思った。だが、どれほどのことがあったのか、志緒には想像がつかなかった。
「奥様、志緒さまをお連れしました」
いよが志緒を連れて行ったのは幸之助の部屋の前だった。志緒はどういうことだろうかと思った。
暑い日盛りだというのに立て切った明かり障子に不吉な予感がした。
「志緒です。入ってもよろしいですか」
「……入りなさい」
津奈の声ではなく甚太夫の声だった。この刻限ならいつもはお役目で城にいるのに。
志緒は不安を押し殺し、立ったままゆっくりと障子を開けた。
「え?」
部屋の真ん中に布団があって、手前に甚太夫、布団の向こう側に津奈と佐江が座っていた。佐江は顔を袂で覆って必死に泣き声をこらえていた。津奈は唇を噛みしめているように見えた。
布団の上には幸之助が横たわっていた。道場の稽古着の上に薄い夏用の単衣がかけられているだけだった。まるで昼寝でもしているかのように見えたが、昼寝でないのは明らかだった。
志緒はその場に座り込み、ゆっくりと布団にいざり寄った。
「幸之助さま?」
「道場で稽古中に倒れての。暑気あたりかと着ているものをゆるめたりしたのだが、もう息をしておらなんだと。戸板で家に運び医者を呼んだが……」
甚太夫の話の途中で堪えきれずに津奈が嗚咽した。つられるように佐江も兄上と泣き叫んだ。
志緒は幸之助の眠っているような顔を見つめた。息をする音がしない。胸の上の単衣はまったく動いていない。これはうつつのことなのか。夢ではないのか。
「甚太夫殿、御子息のこと、まことか」
いよがお待ちくださいと止めるのもきかずに、ずかずかと部屋に入って来たのは馬廻組頭の遠藤弥兵衛だった。弥兵衛は幸之助を見るや肩を震わせた。
「なんということじゃ。もしや道場で」
「いや、それはない」
「いやいや、わからぬぞ。とりあえず御家老様に届けてきちんと調べられたほうがよい。何もなくとも有耶無耶にすると道場の者におかしな風聞が立たぬとも限らぬ。わしはこれから城に参って報告する」
すでに幸之助が死んだことを前提に周囲が動いている。これは夢ではない。志緒はうつつだと悟った。
この世には夢のようなうつつがあるのだと知った瞬間だった。
通夜、葬儀と夢のようなうつつが続いた。その間、志緒は泣けなかった。駒井家の津奈と佐江が交互に、時には同時に泣いているさまを見ていると、何故だか泣けなかったのだ。
ただただ心の中で問いかけた。何故、幸之助さまが。幸之助さまが死ぬはずがない。幸之助さまは何も悪いことをしていないのに。これは夢だ。だが頬をつねれば痛い。父や母も姉も義兄も幸之助が死んだと口にしている。誰もが幸之助が死んだと言っている。
しかも幸之助さまは棺桶に入れられ、寺の裏の墓地に埋葬されてしまった。悪夢のようだったが、うつつなのだ。けれどあまりに突然だった。何の病も持たぬ健やかな幸之助が死んでしまうなんて。
家中では病以外に死因があるのではないかと城出入りの医者が幸之助の身体を調べたが、何の傷もなかった。道場で一緒に練習していた者達も口々に突然のことだったと言っている。その場にいた道場主の神坂頼母は幸之助は練習相手に胴を決めた直後に倒れたと言っていた。練習相手の話との矛盾はなかった。
もしこれが誰かに斬られて死んだのなら、突然の死でも納得いくかもしれない。仇を討てば無念が少しは晴れよう。だが、仇となる者は誰もいない。医者にもどうしようもなかった。誰も悪い者はいないのだ。
恨む相手もなく志緒には己の気持ちのやり場がなかった。床に入っても眠れぬ夜が続き、家族は案じた。
とはいえ若く健やかな身体は眠りを欲していた。初七日の前日の夜志緒はやっと眠りに就いた。心配していた家族は安堵した。
その夜、志緒は幸之助の夢を初めて見た。
志緒の知る幸之助が駒井家の庭の植え込みの前に佇んでいた。生きている時と同じ凛々しい姿だった。けれど志緒の声は届かず、足は動かなかった。
目覚めて目尻を伝って落ちる涙に気付いた。幸之助が死んで初めての涙だった。
そんなことは誰でも知っている。
だが、この世にはうつつのような夢も、夢のようなうつつもあることを志緒は十九の年に知った。
たとえばいいなずけの幸之助が現れる夢。姿かたちは志緒の知る幸之助であった。だが、いくら志緒が呼んでも応えてくれない。ただ黙って佇んでいるだけ。近づこうと思っても足は少しも動かない。ただそこに志緒の知る幸之助がいる。うつつかと思い安堵する。けれど目覚めれば虚しさに襲われる。
うつつのような夢に志緒は苛まれていた。
さて、志緒たち村田家の三人姉妹といえば、城下では知らない者はいない。
長女の佐登三十歳は婿誠之助の尻を叩き出世させたと言われている。他に比べて家柄に左右されない勘定方で鳴かず飛ばずだった地味な誠之助が奉行の添役にまでなったのは佐登の力だと皆噂している。
次女の美初良二十七歳は城の奥に勤めている。奥に君臨する御国御前でお世継ぎの熊千代様を生んだ亀の方様の傍に仕えている。美貌の持ち主だが気の強い性質で表の男達と堂々と渡りあう姿は奥勤めの女達から憧れの眼差しを向けられている。
三女の志緒は十九歳。姉二人同様に勝気で得意の小太刀は十六の時には目録を頂くほどの腕前になっていた。だからといって女らしいことをしないわけではない。そこそこ家のこともできる。ただし、得意とは言えない。名まえは志緒なのに料理の塩加減を間違えると佐登に笑われる。
「味見をしないからですよ。何事も最後まで手を抜いてはなりません」
母の津根はそう言って志緒をたしなめたものだった。
そんな志緒にはいいなずけがいる。いや正確にはいたと言うべきか。母の友人の津奈の息子の駒井幸之助である。
幸之助は二十三歳。文武に秀で城下の念流の道場では一、二を争う腕前、藩校麟子館でも学頭の助手を務めるほどであった。
志緒には不釣り合いにも見える相手だが、これはまだ幸之助が七つ、志緒三つの時に双方の親が決めたことだった。まさか城下の娘を持つ親たちが幸之助にいいなずけのいることを惜しむようになるとは誰も思わなかったのである。
だからといって、皆志緒を妬みはしなかった。志緒は駒井家の人々にも勘定方の組屋敷の人々にも可愛がられていた。姉たちのような美貌には恵まれていないが、愛嬌のあるえくぼがくっきりとわかる笑顔を見たり明るい挨拶の声を聞けば皆おのずと笑顔になるのだった。
ことに駒井一家は志緒が子どもの頃から家族のように接していた。母親同士が仲がいいこともあって父親が勘定方と馬廻組という違いがあるにも関わらず志緒は駒井一家の年中行事に必ず招かれ、一緒に雛節句や七夕等を楽しんだ。
その席には必ず幸之助がいた。そして志緒より四つ年下の幸之助の妹の佐江も。
幸之助の父甚太夫も陽気でよく笑う人だった。妻の津奈に笑い過ぎですと言われるほどだった。
笑いの絶えない駒井家で過ごすのは志緒にとって楽しいことばかりだった。
何より、幸之助の笑顔と志緒を見つめる優しい眼差し、思いやりのある言葉の数々は志緒の毎日を彩っていた。
そんな日々が終わってしまうなど、志緒だけでなく駒井家の人々も想像していなかった。
それは暑い夏の午後だった。佐登は子どもと一緒に城の奥の美初良に招かれており家にいるのは志緒と母だけだった。
暑いだけでなく妙にムシムシして汗がだらだら出た。母がなんだか気持ちが悪いと言うので、志緒と母は家の裏手にある畑の草取りを予定よりも早く切り上げた。
ちょうど井戸で冷やしていたまくわ瓜があったので志緒は台所で切り分けて母のいる裏庭に面した縁側に持って行った。みずみずしいまくわ瓜が乾いた喉を潤したおかげか、母は少し気分が持ち直したようだった。
「こうして二人で食べられるのも今年で最後」
しみじみとした口調で母に言われ、志緒ははっとした。駒井幸之助との祝言が三カ月後に迫っていた。
「近くなんだから、まくわ瓜くらいいつでも食べに来る」
「祝言を挙げたら、あなたも駒井家の人になるんだから、しょっちゅうここに来てはいけませんよ」
確かに母はめったに自分の実家に帰らない。義兄も実家に帰るのは年に数回だけだった。
「はい。でも、まくわ瓜をもらいに来るくらいはいいでしょ。幸之助さまもうちのまくわ瓜をおいしいっておっしゃってたもの」
「そうね。あら?」
足音が聞こえたかと思うと、駒井家の下働きのいよが血相を変えて裏庭に駆け込んで来た。
「奥様、志緒さま、こちらだったのですね。いますぐおいでください」
いつもはおおらかないよの普通ではない顔つきに志緒は嫌な感じがした。母の具合がよくなりきっていないので、志緒は一人でいよとともに駒井家に向かった。
駒井家に近づくと、近所に住む馬廻組の人々が門の周辺に集まっていた。志緒の姿を見ると、さっと両脇によけて通してくれた。
「ありがとう、ありがとう……」
礼を言いながら屋敷に入ると、誰も出迎える者がいない。これは大変なことがあったに違いないと思った。だが、どれほどのことがあったのか、志緒には想像がつかなかった。
「奥様、志緒さまをお連れしました」
いよが志緒を連れて行ったのは幸之助の部屋の前だった。志緒はどういうことだろうかと思った。
暑い日盛りだというのに立て切った明かり障子に不吉な予感がした。
「志緒です。入ってもよろしいですか」
「……入りなさい」
津奈の声ではなく甚太夫の声だった。この刻限ならいつもはお役目で城にいるのに。
志緒は不安を押し殺し、立ったままゆっくりと障子を開けた。
「え?」
部屋の真ん中に布団があって、手前に甚太夫、布団の向こう側に津奈と佐江が座っていた。佐江は顔を袂で覆って必死に泣き声をこらえていた。津奈は唇を噛みしめているように見えた。
布団の上には幸之助が横たわっていた。道場の稽古着の上に薄い夏用の単衣がかけられているだけだった。まるで昼寝でもしているかのように見えたが、昼寝でないのは明らかだった。
志緒はその場に座り込み、ゆっくりと布団にいざり寄った。
「幸之助さま?」
「道場で稽古中に倒れての。暑気あたりかと着ているものをゆるめたりしたのだが、もう息をしておらなんだと。戸板で家に運び医者を呼んだが……」
甚太夫の話の途中で堪えきれずに津奈が嗚咽した。つられるように佐江も兄上と泣き叫んだ。
志緒は幸之助の眠っているような顔を見つめた。息をする音がしない。胸の上の単衣はまったく動いていない。これはうつつのことなのか。夢ではないのか。
「甚太夫殿、御子息のこと、まことか」
いよがお待ちくださいと止めるのもきかずに、ずかずかと部屋に入って来たのは馬廻組頭の遠藤弥兵衛だった。弥兵衛は幸之助を見るや肩を震わせた。
「なんということじゃ。もしや道場で」
「いや、それはない」
「いやいや、わからぬぞ。とりあえず御家老様に届けてきちんと調べられたほうがよい。何もなくとも有耶無耶にすると道場の者におかしな風聞が立たぬとも限らぬ。わしはこれから城に参って報告する」
すでに幸之助が死んだことを前提に周囲が動いている。これは夢ではない。志緒はうつつだと悟った。
この世には夢のようなうつつがあるのだと知った瞬間だった。
通夜、葬儀と夢のようなうつつが続いた。その間、志緒は泣けなかった。駒井家の津奈と佐江が交互に、時には同時に泣いているさまを見ていると、何故だか泣けなかったのだ。
ただただ心の中で問いかけた。何故、幸之助さまが。幸之助さまが死ぬはずがない。幸之助さまは何も悪いことをしていないのに。これは夢だ。だが頬をつねれば痛い。父や母も姉も義兄も幸之助が死んだと口にしている。誰もが幸之助が死んだと言っている。
しかも幸之助さまは棺桶に入れられ、寺の裏の墓地に埋葬されてしまった。悪夢のようだったが、うつつなのだ。けれどあまりに突然だった。何の病も持たぬ健やかな幸之助が死んでしまうなんて。
家中では病以外に死因があるのではないかと城出入りの医者が幸之助の身体を調べたが、何の傷もなかった。道場で一緒に練習していた者達も口々に突然のことだったと言っている。その場にいた道場主の神坂頼母は幸之助は練習相手に胴を決めた直後に倒れたと言っていた。練習相手の話との矛盾はなかった。
もしこれが誰かに斬られて死んだのなら、突然の死でも納得いくかもしれない。仇を討てば無念が少しは晴れよう。だが、仇となる者は誰もいない。医者にもどうしようもなかった。誰も悪い者はいないのだ。
恨む相手もなく志緒には己の気持ちのやり場がなかった。床に入っても眠れぬ夜が続き、家族は案じた。
とはいえ若く健やかな身体は眠りを欲していた。初七日の前日の夜志緒はやっと眠りに就いた。心配していた家族は安堵した。
その夜、志緒は幸之助の夢を初めて見た。
志緒の知る幸之助が駒井家の庭の植え込みの前に佇んでいた。生きている時と同じ凛々しい姿だった。けれど志緒の声は届かず、足は動かなかった。
目覚めて目尻を伝って落ちる涙に気付いた。幸之助が死んで初めての涙だった。
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