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第四章 紅葉(享保元年~享保三年)
09 事件の余波
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照妙寺の一件は江戸に直ちに報告された。直ちにといっても、江戸と九州の隔て故に八月初めに起きた事件が江戸屋敷に伝わったのは九月になる直前のことであった。
本来ならば死に値する罪を犯した者は評定所で裁かれる。死罪と決まったら藩主の許しが必要とされる。だが、香田角では藩主が江戸在住の場合は、評定所と城代家老に一任されることになっていた。
そのようなことになったのは、天候の関係で国からの事件の報告と藩主の認可の書簡のやり取りだけで二カ月以上かかる場合があるからである。その間に罪人が病死あるいは自裁してしまえば刑の執行ができない。遺体を塩漬けにしておいて江戸から認可が下りた後に処刑することも過去にはあったが、国の気候のためか腐敗がひどく処刑の体を為さぬこともあった。また海から離れた香田角では塩が高価であり、死体を塩に漬けてまで保存することに多少の抵抗もあったようである。
隆礼はこれを初めて聞いた時、人のよさそうな丸顔の城代家老川合平右衛門が死罪の決断を下すのかと、不可思議な心持ちになったものだった。子どもには仏の顔であっても、罪人には厳しくあらねばならないというのは今なら理解できる。
今回は前例のない事件ではあったが、不義密通に関する前例や浮橋の助言等で早々と処罰が決まった。
「して、これは順当な処罰なのだな」
報告を受けた隆礼の問いに江戸家老は頷いた。
「はっ」
「秋葉家は断絶か」
「貞蓮院の不義を見て見ぬふりをし、与力の身でありながら寺社奉行に報告せぬというのは職を汚す振舞、不忠の極みでございます。これを許せば今後の政にも差し障りましょう」
なるほど、そうだろうと隆礼は思う。知っていても知らぬ顔が許されたら、今後同じような振舞をする家臣が出てくるに違いない。
「貞蓮院は評定所屋敷の座敷に永の押し込めとあるが、死ぬまでということか」
「はい。さりながら言い渡しの際に脇差を渡します。皆、自害いたします。本来なら死罪ですが、奥の意向でさように」
恐らく浮橋あたりの考えであろうと隆礼は思った。
「そうか、自害か」
恐らく貞蓮院ことお仙もすでに自害したのだろう。それにしても兄の側に仕え城の奥でそれなりに栄華を極めた女がそのような顛末を迎えるとは予想もできないことだった。
「葬られるのは照妙寺か」
「いえ、罪人の死骸は獄吏に下げ渡されます」
「なんと」
「武家でなければ、打ち捨てられるところですが」
つまり町人に比べればましな扱いということになるらしい。
「下げ渡されるということは、晒されることはないのだな」
「はい。供養はされます」
何か秘められたことがあるような家老の言い回しだった。
殿様と呼ばれるようになってから、いや、その前に世継ぎと定まった頃から、こういう持って回った言い方をされることが多くなった。直接的に言うのは品がないとでも皆思っているのか、回りくどい表現をする。
よほどはっきりとした事を藩主の耳に入れたくないのか、それとも言わずとも察せよということなのか。
ふと、江戸では罪人の骸から薬を作る者がいるという話を思い出した。あれは誰が言っていたか、加部源三郎か、あるいは小ヶ田与五郎であったか。
もしかすると獄吏の中には薬を作り売る者がいるのかもしれない。そういえば守倉平太の家も内職で薬を作っていると聞いたことがある。
まさかそんなことはあるまいと思ったが、ありえない話ではない。今度会ったら平太に聞いてみるかと思ったが、恐らく彼もはっきりと答えないだろう。
その日は奥へ行く日だった。
夕餉の前に祝姫の部屋に顔を出すと、狆の蘇芳丸から吠えられた。
「これ、吠えるでない」
狆の係の奥女中に言われたからと言って止むはずもなかった。
「まあよい。狆にもたまには虫の居所の悪い日もある」
隆礼は笑ってそう言った。奥女中は狆を連れて部屋を退出した。
祝姫は失礼しましたと言い、狆の粗相を詫びた。
「狆の機嫌が悪いのは、奥のせいではない。謝ることはない。勿論、狆にも罪はない」
隆礼はそう言いながら、ふと照妙寺の一件を思い出した。あの報告を受けた後、骸の薬のような禍々しいもののことを考えたからその気配を狆が察したのではなかろうか。
「狆に罪がないと聞き、安堵いたしました」
祝姫は隆礼の思いには気付かず、微笑んだ。
「実は、加部の母から文がありました。栗林丹後守様の奥方様のところにいる蘇芳丸の弟の浅葱丸と加部家の小紫の子がいるので一匹いかがかと」
栗林家の奥方というのは、兄の栗林鈍栗の長男の正室である。そこにも加部家から送られた狆がいるのである。
「もう一匹飼いたいのか」
狆一匹にかかる費えも馬鹿にならない。増えたら世話係も増やさねばならない。厄介なことになった。
「いえ、その子を国許の姫に贈りたく」
思いがけないことだった。
「先日、殿が国許の姫が犬が飼いたいと言っていると仰せでしたので。犬よりも狆のほうが飼いやすいかと」
そういえば先日そんな話を祝姫にした。満津からの文にあったのだ。無論、文を誰が書いたかは祝姫には話していない。祝姫は覚えていて、狆を実家に無心したらしい。年が明ければ十四になる祝姫はそれが奥方たる己の仕事と思ったのだろう。初めて会った時の頑是ないありさまを思えばずいぶんと成長したものである。
何よりくれると言ったものを断れば角が立つ。狆を一匹引き取るしかあるまい。それに国許なら狆に贅沢な暮らしをさせようなどとは誰も思わないだろう。隆礼も初めて見た時は小さい犬っころ程度にしか思えなかったのだから。
「そうか。よく気が付いたな。それでは、国許に一緒に連れて行ってやろう」
「うれしゅうございます。姫はきっと喜ぶことでしょうね」
祝姫は我がことのように喜んでいた。
「では、御殿を作らせよう。蘇芳丸の御殿を作った者に命じよう」
「まあ、では、わらわは肩掛けを作ります」
よもやその狆があれこれと騒ぎを巻き起こすことになろうとは、この時隆礼も祝姫も思いもしなかった。
十一月になると翌年のお国入りに同行する家臣たちが正式に発表された。
久しぶりのお国入りということで家老は行列の人数を理由をつけて増やそうとした。隆礼は留守居役に以前話したように、人数は最低限でよいと命じた。ただでさえ費用がかかる上に今回は狆や鶏を一緒に運搬する。それに御分家の壱姫の婿となる加部源三郎とお供も同行することになったのだ。加部家から費用が出されるとはいえ、それだけで済むはずがない。相応の格式を以て迎えるためには山置家からの持ち出しも必要だった。
道中奉行の尽力もあり、体面を保ちつつも経費を節約できそうだと報告を受けたのは年明けて新年の行事も終わった頃であった。
一方、国からは思いがけない報告ももたらされていた。
お仙が未だ自害していないと評定所からの文にあったのである。これには隆礼のみならず江戸家老や目付も驚きを隠さなかった。
「あのような場所に一日といられるはずがありません」
「まことに女子とはしぶといものよ」
「いやいや、女子だからではないか」
家老たちの言葉を耳にしながら、隆礼は風にも堪えぬ風情であったお仙のことを思い出す。一体、どこに過酷な押し込めに耐える気力があるというのか。
「いかが致しますか。評定所がかような文を送ってきたのは、殿様の御考えを伺いたいということかと存じますが」
家老はお仙へのさらなる処罰を求めているのだろう。この場合、毒による賜死が適当だろう。隆礼が命ずれば執行されるに違いない。
だが、評定所や城代家老が決定したことに不満を述べるようで、望ましいこととは思えなかった。国に戻り政を執るに当たり、城代家老や評定所後見の御分家の協力は必須だった。処罰が手ぬるいとばかりにお仙に死を賜えば、そのような裁きを下した者達の責任が問われる。誰かを罰しなければならない。評定所の責任者の御分家が果たして納得するかどうか。
また、家老は奥の意向と言っていたから、お仙の処罰に御年寄の浮橋の意見が反映されているとすれば、浮橋を処分せねばならぬ。浮橋の奥での尽力は、満津からの文で伝えられている。それを無駄にするわけにはいかなかった。
何より香田角の冬の厳しさに手弱女が耐えられるとは思えない。雷土山から吹き下ろす風とともに降る雪の冷たさは江戸の比ではない。座敷とは名ばかりの板で囲われただけの場所で生きていけるものであろうか。
「川合らが合議した上での仕置きである。何の不足があろうか。余が国入りした後も生きておれば、その時は余の目で見て決める」
「かしこまりました」
家老らが御座の間から退出した後、黙って控えていた岡部惣左衛門が口を開いた。
「もし生きていたらいかがなさいますか」
「その時に考える」
「先延ばしにされるのですか」
「そういうことだ」
「良いこととは思えません。優柔不断の誹りを免れますまい」
惣左衛門は率直に言う。隆礼にとっては有難い男だった。
「死を命じるのはいつでもできる」
「時期を見て、ということでしょうか」
「そうだ」
「かしこまりました」
惣左衛門はそれ以上何も言わなかった。
厳しい処断はここぞという時にやればいいのだ。
その夜は奥に行かなかった。
中奥の私室で文を書くためである。満津と小さな香姫に。
香姫には狆を国に連れていくと仮名で書いた。きっと喜ぶことだろう。
満津には貞蓮院のことを最後に一言書き加えようと思ったがやめた。文字にすればいつまでも残る。真面目な満津を責め苛むように思われた。
ただ一言「疾く帰りたし」とだけ付け加えた。
本来ならば死に値する罪を犯した者は評定所で裁かれる。死罪と決まったら藩主の許しが必要とされる。だが、香田角では藩主が江戸在住の場合は、評定所と城代家老に一任されることになっていた。
そのようなことになったのは、天候の関係で国からの事件の報告と藩主の認可の書簡のやり取りだけで二カ月以上かかる場合があるからである。その間に罪人が病死あるいは自裁してしまえば刑の執行ができない。遺体を塩漬けにしておいて江戸から認可が下りた後に処刑することも過去にはあったが、国の気候のためか腐敗がひどく処刑の体を為さぬこともあった。また海から離れた香田角では塩が高価であり、死体を塩に漬けてまで保存することに多少の抵抗もあったようである。
隆礼はこれを初めて聞いた時、人のよさそうな丸顔の城代家老川合平右衛門が死罪の決断を下すのかと、不可思議な心持ちになったものだった。子どもには仏の顔であっても、罪人には厳しくあらねばならないというのは今なら理解できる。
今回は前例のない事件ではあったが、不義密通に関する前例や浮橋の助言等で早々と処罰が決まった。
「して、これは順当な処罰なのだな」
報告を受けた隆礼の問いに江戸家老は頷いた。
「はっ」
「秋葉家は断絶か」
「貞蓮院の不義を見て見ぬふりをし、与力の身でありながら寺社奉行に報告せぬというのは職を汚す振舞、不忠の極みでございます。これを許せば今後の政にも差し障りましょう」
なるほど、そうだろうと隆礼は思う。知っていても知らぬ顔が許されたら、今後同じような振舞をする家臣が出てくるに違いない。
「貞蓮院は評定所屋敷の座敷に永の押し込めとあるが、死ぬまでということか」
「はい。さりながら言い渡しの際に脇差を渡します。皆、自害いたします。本来なら死罪ですが、奥の意向でさように」
恐らく浮橋あたりの考えであろうと隆礼は思った。
「そうか、自害か」
恐らく貞蓮院ことお仙もすでに自害したのだろう。それにしても兄の側に仕え城の奥でそれなりに栄華を極めた女がそのような顛末を迎えるとは予想もできないことだった。
「葬られるのは照妙寺か」
「いえ、罪人の死骸は獄吏に下げ渡されます」
「なんと」
「武家でなければ、打ち捨てられるところですが」
つまり町人に比べればましな扱いということになるらしい。
「下げ渡されるということは、晒されることはないのだな」
「はい。供養はされます」
何か秘められたことがあるような家老の言い回しだった。
殿様と呼ばれるようになってから、いや、その前に世継ぎと定まった頃から、こういう持って回った言い方をされることが多くなった。直接的に言うのは品がないとでも皆思っているのか、回りくどい表現をする。
よほどはっきりとした事を藩主の耳に入れたくないのか、それとも言わずとも察せよということなのか。
ふと、江戸では罪人の骸から薬を作る者がいるという話を思い出した。あれは誰が言っていたか、加部源三郎か、あるいは小ヶ田与五郎であったか。
もしかすると獄吏の中には薬を作り売る者がいるのかもしれない。そういえば守倉平太の家も内職で薬を作っていると聞いたことがある。
まさかそんなことはあるまいと思ったが、ありえない話ではない。今度会ったら平太に聞いてみるかと思ったが、恐らく彼もはっきりと答えないだろう。
その日は奥へ行く日だった。
夕餉の前に祝姫の部屋に顔を出すと、狆の蘇芳丸から吠えられた。
「これ、吠えるでない」
狆の係の奥女中に言われたからと言って止むはずもなかった。
「まあよい。狆にもたまには虫の居所の悪い日もある」
隆礼は笑ってそう言った。奥女中は狆を連れて部屋を退出した。
祝姫は失礼しましたと言い、狆の粗相を詫びた。
「狆の機嫌が悪いのは、奥のせいではない。謝ることはない。勿論、狆にも罪はない」
隆礼はそう言いながら、ふと照妙寺の一件を思い出した。あの報告を受けた後、骸の薬のような禍々しいもののことを考えたからその気配を狆が察したのではなかろうか。
「狆に罪がないと聞き、安堵いたしました」
祝姫は隆礼の思いには気付かず、微笑んだ。
「実は、加部の母から文がありました。栗林丹後守様の奥方様のところにいる蘇芳丸の弟の浅葱丸と加部家の小紫の子がいるので一匹いかがかと」
栗林家の奥方というのは、兄の栗林鈍栗の長男の正室である。そこにも加部家から送られた狆がいるのである。
「もう一匹飼いたいのか」
狆一匹にかかる費えも馬鹿にならない。増えたら世話係も増やさねばならない。厄介なことになった。
「いえ、その子を国許の姫に贈りたく」
思いがけないことだった。
「先日、殿が国許の姫が犬が飼いたいと言っていると仰せでしたので。犬よりも狆のほうが飼いやすいかと」
そういえば先日そんな話を祝姫にした。満津からの文にあったのだ。無論、文を誰が書いたかは祝姫には話していない。祝姫は覚えていて、狆を実家に無心したらしい。年が明ければ十四になる祝姫はそれが奥方たる己の仕事と思ったのだろう。初めて会った時の頑是ないありさまを思えばずいぶんと成長したものである。
何よりくれると言ったものを断れば角が立つ。狆を一匹引き取るしかあるまい。それに国許なら狆に贅沢な暮らしをさせようなどとは誰も思わないだろう。隆礼も初めて見た時は小さい犬っころ程度にしか思えなかったのだから。
「そうか。よく気が付いたな。それでは、国許に一緒に連れて行ってやろう」
「うれしゅうございます。姫はきっと喜ぶことでしょうね」
祝姫は我がことのように喜んでいた。
「では、御殿を作らせよう。蘇芳丸の御殿を作った者に命じよう」
「まあ、では、わらわは肩掛けを作ります」
よもやその狆があれこれと騒ぎを巻き起こすことになろうとは、この時隆礼も祝姫も思いもしなかった。
十一月になると翌年のお国入りに同行する家臣たちが正式に発表された。
久しぶりのお国入りということで家老は行列の人数を理由をつけて増やそうとした。隆礼は留守居役に以前話したように、人数は最低限でよいと命じた。ただでさえ費用がかかる上に今回は狆や鶏を一緒に運搬する。それに御分家の壱姫の婿となる加部源三郎とお供も同行することになったのだ。加部家から費用が出されるとはいえ、それだけで済むはずがない。相応の格式を以て迎えるためには山置家からの持ち出しも必要だった。
道中奉行の尽力もあり、体面を保ちつつも経費を節約できそうだと報告を受けたのは年明けて新年の行事も終わった頃であった。
一方、国からは思いがけない報告ももたらされていた。
お仙が未だ自害していないと評定所からの文にあったのである。これには隆礼のみならず江戸家老や目付も驚きを隠さなかった。
「あのような場所に一日といられるはずがありません」
「まことに女子とはしぶといものよ」
「いやいや、女子だからではないか」
家老たちの言葉を耳にしながら、隆礼は風にも堪えぬ風情であったお仙のことを思い出す。一体、どこに過酷な押し込めに耐える気力があるというのか。
「いかが致しますか。評定所がかような文を送ってきたのは、殿様の御考えを伺いたいということかと存じますが」
家老はお仙へのさらなる処罰を求めているのだろう。この場合、毒による賜死が適当だろう。隆礼が命ずれば執行されるに違いない。
だが、評定所や城代家老が決定したことに不満を述べるようで、望ましいこととは思えなかった。国に戻り政を執るに当たり、城代家老や評定所後見の御分家の協力は必須だった。処罰が手ぬるいとばかりにお仙に死を賜えば、そのような裁きを下した者達の責任が問われる。誰かを罰しなければならない。評定所の責任者の御分家が果たして納得するかどうか。
また、家老は奥の意向と言っていたから、お仙の処罰に御年寄の浮橋の意見が反映されているとすれば、浮橋を処分せねばならぬ。浮橋の奥での尽力は、満津からの文で伝えられている。それを無駄にするわけにはいかなかった。
何より香田角の冬の厳しさに手弱女が耐えられるとは思えない。雷土山から吹き下ろす風とともに降る雪の冷たさは江戸の比ではない。座敷とは名ばかりの板で囲われただけの場所で生きていけるものであろうか。
「川合らが合議した上での仕置きである。何の不足があろうか。余が国入りした後も生きておれば、その時は余の目で見て決める」
「かしこまりました」
家老らが御座の間から退出した後、黙って控えていた岡部惣左衛門が口を開いた。
「もし生きていたらいかがなさいますか」
「その時に考える」
「先延ばしにされるのですか」
「そういうことだ」
「良いこととは思えません。優柔不断の誹りを免れますまい」
惣左衛門は率直に言う。隆礼にとっては有難い男だった。
「死を命じるのはいつでもできる」
「時期を見て、ということでしょうか」
「そうだ」
「かしこまりました」
惣左衛門はそれ以上何も言わなかった。
厳しい処断はここぞという時にやればいいのだ。
その夜は奥に行かなかった。
中奥の私室で文を書くためである。満津と小さな香姫に。
香姫には狆を国に連れていくと仮名で書いた。きっと喜ぶことだろう。
満津には貞蓮院のことを最後に一言書き加えようと思ったがやめた。文字にすればいつまでも残る。真面目な満津を責め苛むように思われた。
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