16 / 65
太陽の国から来た男
6 あなたが欲しい ★
しおりを挟む
ほどよいところで首筋から口を離した。咬み痕が小さく残ったが、じきに消えるだろう。
その瞬間、イクサブロウは力を失ったかのようにカロリーネの身体に寄りかかった。血を吸われて貧血になったのだ。
よくあることなので、カロリーネは身体をベッドに横たえてやった。
白い顔が一層白く見えた。
身体の小さいジルパンの人間は吸う血の量を加減しなければならないようだ。だが、味はすこぶる美味だった。あっさりとしているが、旨味があった。これを吸い過ぎないようにするのは難しいだろう。
「んんっ」
何やら呻きを発した。もうすぐ起きるかもしれぬ。カロリーネは部屋を早く出なければならなかった。目覚めて彼女の姿がなければ夢だと思ってくれるだろうから。
けれど、カロリーネはその顔から目が離せなかった。ジルパンの者にしては高い鼻、長いまつげ、濃い桃色の唇など整った容貌は見飽きなかった。唇から発せられる呻きもまた可愛げがあった。ミャーロッパの男達にはない独特の魅力というべきか。
寝台に腰かけたまま、身体を傾けてイクサブロウの顔を見つめた。
と、そのまぶたが開いた。ぱっちりとした目はカロリーネを映した。
「あなたは」
まずいと思い、立ち上がろうとした。だが、イクサブロウの身体の動きが早かった。あっという間もなくカロリーネの身体は、寝台の上に仰向けにされ、イクサブロウに見下ろされていた。彼は柔術を故国で習得していたのだ。
「何をなさいますの?」
イクサブロウのブラウンの瞳はカロリーネだけを映していた。
「夢なら醒めないで欲しい。あなたが欲しい」
どうやら血を吸われてぼんやりしているために夢を見ていると思っているらしい。だが、夢を見ていても女性の身体をベッドに押し倒せるとは、一体いかなる術を使ったのか。もしや、ジルパンではそのような武術を皆会得しているのか。カロリーネは混乱していた。
何より、欲しいなどと言われるのはクロード以来である。好意を寄せる男達はいたが、皆伯爵夫人という肩書のせいか、遠回しな表現しかしない。社交界で欲望をそのまま口にするのは野暮、不作法というものである。
だが、彼は違った。そして、それを不作法とはカロリーネは感じなかった。むしろ、素直で可愛いと思った。はるか年下の東洋の青年に求められていることが嬉しかった。
カロリーネは心の奥にクロードの面影をしまい込んだ。クロード以上に好きになれるはずがない。だから今だけ許してと。
「いいわ、来て」
カロリーネの返事も終わらぬうちに、イクサブロウは身体にのしかかって、口づけた。可愛いことと、カロリーネは青年を抱きしめた。寝間着らしい見慣れぬ衣装を隔てても、昂ぶる若茎の感触がわかった。先ほど吸った血のせいか、体内には精気が漲っている。この青年の可愛い欲望に応えることぐらい造作もないことだと思った。
小鳥のつがい同士がついばむような口づけを繰り返すうちに、身体が熱くなってきた。
「服を脱ぎたいの」
イクサブロウは身体をずらして、カロリーネが寝台から降りるのを助けてくれた。そしてカロリーネがマントを外し、床にそのまま落とすのをじっと見ていた。その目には明らかに情欲が滲んでいた。あの丸顔の青年がティーカップを持つ指に向けた視線を思い出す。あの青年もあの時、もしかするとカロリーネの指に欲望を刺激されていたのかもしれない。だが、イクサブロウの視線のほうが、カロリーネには快かった。身体が自然と潤ってくるような感覚があった。
「手伝って。ボタンを外して」
ドレスを脱ぐのに背中のボタンを外してもらう必要があった。青年はゆっくりとベッドから降り、カロリーネの背後に回った。すぐに一番上のボタンが外れた。首筋が楽になった。ボタンが一つ外れるたびに、身体が自由になっていく。最後のボタンを外した後、袖から腕を抜き、ドレスをそのまま下へ落とした。コルセットはしていない。締め付けなくても、カロリーネの身体にはくびれがあった。
シュミーズとドロワーズだけの姿でカロリーネは振り返った。机の上に置かれたランプの灯りが、青年の頬の赤みを照らしていた。
「あなたもお脱ぎなさい」
カロリーネがそう言うと、青年は寝間着の帯を解いた。カロリーネは脱いだドレスをまたいで、前が開いた寝間着を肩から落としてやった。露わになった白い肌に濃い毛は見えなかった。股間だけを覆った白い下着は「ふんどし」というものらしい。
「それはどうやったらほどけるのかしら」
ふんどしに手を伸ばそうとすると青年は拒んだ。
「自分でやります」
「わかったわ」
カロリーネは青年の手をじっと見つめた。長い指が大切な部分を覆った白い布を巧みに解いていく。解かれた布に覆われていた場所が次第に露わになっていく。ほんのりと若茎の肌色が布の上から透けて見え、カロリーネは息を呑んだ。布をすべて取り去ると若茎が黒い繁みから勢いよく跳ね上がった。
それは青年の物らしい慎ましやかな太さと長さだった。版画の男とは大違いだった。どうやらジルパンの画家たちは強調したいものを大きく描く慣習があるらしい。比較しては悪いが、クロードのほうが長かった。けれど、カロリーネは恥ずかし気に俯く青年を見ているうちに、愛しく思えてきた。慎ましいジルパンの男にふさわしい物ではないか。
「こっち見て」
カロリーネはシュミーズを脱ごうと裾を掴んだ。そのありさまを見つめる青年の目は驚きを隠さなかった。カロリーネはわざと時間をかけてシュミーズの裾をゆっくりと上に捲り上げた。乳房が見えるか見えないかの位置で動きを止め、肩紐からゆっくりと腕を抜いた。すべて脱ぐと、さっとその場に落とした。露わになった乳房に向けられる視線を感じるだけで、先端が固くなった。
ややかがんでドロワーズの上部に手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。右足を抜き、左足を抜き、それをまたその場に落とした。
向かい合う何も身に着けぬ男女は互いの目を見つめ合った。確認の言葉はいらなかった。
カロリーネはベッドに腰かけると、わざと青年の目に見えるように、足を大きく開いて仰向けになった。髪の毛と同じ金色の巻き毛に隠された秘所は湿り気を帯びているためか、ランプの光を受けて輝いた。
青年が生唾を呑み込む音が聞こえた。
まるで生まれたばかりの仔猫が母猫の乳房の匂いに引き寄せられるように、青年はベッドの上のカロリーネの白い身体の上に覆いかぶさり、その乳首に口づけた。
舌の先で舐められた瞬間、久しく忘れていた官能がカロリーネの中に甦った。クロードの面影がよぎった。だが、今は忘れなければならない。クロードのことを思い出しながら、青年と交わるのは青年に失礼だし、地獄の住人となったクロードもいい気分はしないだろう。この可愛い青年を今は思いっきり可愛がってあげよう。年上の女の余裕でカロリーネは微笑んだ。
「イクサブロウ、可愛い人」
ぎゅっと抱き締めると、引き締まった身体が汗ばんでいるのがわかった。けれど嫌な臭いもしないし、胸毛もない。まるで少女のようだ。
「Je t’aime」
青年の口からフロラン語が漏れた。なんと小生意気な。こんな時でもジルパンの言葉を使わぬとは。カロリーネは少しばかり癪な気がして、腹に当たる青年の若茎に手を伸ばした。
「え?!」
指先で触れたそれの硬さに、カロリーネは何かの間違いではないかと思った。
カロリーネはクロードしか知らない。クロードの身体を基準としてイクサブロウの身体を見ていた。
クロードより身体が小さいので、持っている物も相応の物だと思っていた。
けれど、今触れたそれは鋼のように硬く感じられた。クロードの柔らかな感触とは違った。一体これは……。これが人の物とは……。
混乱するカロリーネをよそに、青年はカロリーネのもう一方の乳房を揉み始めた。手のひら全体で包み込んで優しく、ゆっくりと。
「あっ、ああっ!」
思わず漏れた喘ぎに、カロリーネ自身が驚いた。ただこれだけの動きで感じるなど。いくら久しくこういう行為がなかったとはいえ、簡単に声が出てしまうとは。
「気にしないで。タッカーさん達は耳が遠いから」
イクサブロウが囁いた。いまだ冷静な青年を興奮させたくて、カロリーネは触れていた若茎をぎゅっと握った。
「んんん!」
鼻から抜けるような呻き声は艶があった。
それを可愛いと思いながらも、いっそう硬く張り詰めた感触にカロリーネは緊張を覚えた。二十年以上開かれることのなかった場所をこれが押し開いて、クロードのよりも硬い先端に奥を突かれたらどうなってしまうのか想像するだけで下腹がジンジンと熱くなってくる。
と、青年の指が今度は乳房の先端を摘まんだ。すでに固く盛り上がった先端を軽く摘ままれただけで、びりびりと背筋に走るものがあった。思わず抱き付くと、唇に唇が触れた。
「ん!」
半ば開いていた唇を押し開くように舌が入ってきた。思いもかけないことだった。自分よりも背丈が低いのに、こんな口づけを知っているなんて。
舌はカロリーネの口の中を思う存分動いた。歯茎、頬の裏、ありとあらゆる場所に触れ、最後に舌を軽くチョンと突いた。たまらず、カロリーネも舌を舐め、青年の唾液を啜った。それは苦くなかった。クロードは葉巻を吸っていたので独特の苦味があった。
この青年はクロードと比べると無味無臭だった。苦味も体臭もない。肌もきめ細やかで少女のようだった。それなのに、今、カロリーネは青年の口づけと愛撫に我を忘れて夢中になっていた。
唇が離れた途端、カロリーネは口走っていた。
「はあっ! おねがい、もっと!」
イクサブロウの舌が先ほどまで摘まんでいた乳首の先端をぺろりと舐めた。刹那、じわりと泉の水が愛を求めて湧き出した。
青年は身体を起こし、カロリーネの両足の間に座り、泉の入口を凝視した。
見られている。それだけで泉が溢れた。
その瞬間、イクサブロウは力を失ったかのようにカロリーネの身体に寄りかかった。血を吸われて貧血になったのだ。
よくあることなので、カロリーネは身体をベッドに横たえてやった。
白い顔が一層白く見えた。
身体の小さいジルパンの人間は吸う血の量を加減しなければならないようだ。だが、味はすこぶる美味だった。あっさりとしているが、旨味があった。これを吸い過ぎないようにするのは難しいだろう。
「んんっ」
何やら呻きを発した。もうすぐ起きるかもしれぬ。カロリーネは部屋を早く出なければならなかった。目覚めて彼女の姿がなければ夢だと思ってくれるだろうから。
けれど、カロリーネはその顔から目が離せなかった。ジルパンの者にしては高い鼻、長いまつげ、濃い桃色の唇など整った容貌は見飽きなかった。唇から発せられる呻きもまた可愛げがあった。ミャーロッパの男達にはない独特の魅力というべきか。
寝台に腰かけたまま、身体を傾けてイクサブロウの顔を見つめた。
と、そのまぶたが開いた。ぱっちりとした目はカロリーネを映した。
「あなたは」
まずいと思い、立ち上がろうとした。だが、イクサブロウの身体の動きが早かった。あっという間もなくカロリーネの身体は、寝台の上に仰向けにされ、イクサブロウに見下ろされていた。彼は柔術を故国で習得していたのだ。
「何をなさいますの?」
イクサブロウのブラウンの瞳はカロリーネだけを映していた。
「夢なら醒めないで欲しい。あなたが欲しい」
どうやら血を吸われてぼんやりしているために夢を見ていると思っているらしい。だが、夢を見ていても女性の身体をベッドに押し倒せるとは、一体いかなる術を使ったのか。もしや、ジルパンではそのような武術を皆会得しているのか。カロリーネは混乱していた。
何より、欲しいなどと言われるのはクロード以来である。好意を寄せる男達はいたが、皆伯爵夫人という肩書のせいか、遠回しな表現しかしない。社交界で欲望をそのまま口にするのは野暮、不作法というものである。
だが、彼は違った。そして、それを不作法とはカロリーネは感じなかった。むしろ、素直で可愛いと思った。はるか年下の東洋の青年に求められていることが嬉しかった。
カロリーネは心の奥にクロードの面影をしまい込んだ。クロード以上に好きになれるはずがない。だから今だけ許してと。
「いいわ、来て」
カロリーネの返事も終わらぬうちに、イクサブロウは身体にのしかかって、口づけた。可愛いことと、カロリーネは青年を抱きしめた。寝間着らしい見慣れぬ衣装を隔てても、昂ぶる若茎の感触がわかった。先ほど吸った血のせいか、体内には精気が漲っている。この青年の可愛い欲望に応えることぐらい造作もないことだと思った。
小鳥のつがい同士がついばむような口づけを繰り返すうちに、身体が熱くなってきた。
「服を脱ぎたいの」
イクサブロウは身体をずらして、カロリーネが寝台から降りるのを助けてくれた。そしてカロリーネがマントを外し、床にそのまま落とすのをじっと見ていた。その目には明らかに情欲が滲んでいた。あの丸顔の青年がティーカップを持つ指に向けた視線を思い出す。あの青年もあの時、もしかするとカロリーネの指に欲望を刺激されていたのかもしれない。だが、イクサブロウの視線のほうが、カロリーネには快かった。身体が自然と潤ってくるような感覚があった。
「手伝って。ボタンを外して」
ドレスを脱ぐのに背中のボタンを外してもらう必要があった。青年はゆっくりとベッドから降り、カロリーネの背後に回った。すぐに一番上のボタンが外れた。首筋が楽になった。ボタンが一つ外れるたびに、身体が自由になっていく。最後のボタンを外した後、袖から腕を抜き、ドレスをそのまま下へ落とした。コルセットはしていない。締め付けなくても、カロリーネの身体にはくびれがあった。
シュミーズとドロワーズだけの姿でカロリーネは振り返った。机の上に置かれたランプの灯りが、青年の頬の赤みを照らしていた。
「あなたもお脱ぎなさい」
カロリーネがそう言うと、青年は寝間着の帯を解いた。カロリーネは脱いだドレスをまたいで、前が開いた寝間着を肩から落としてやった。露わになった白い肌に濃い毛は見えなかった。股間だけを覆った白い下着は「ふんどし」というものらしい。
「それはどうやったらほどけるのかしら」
ふんどしに手を伸ばそうとすると青年は拒んだ。
「自分でやります」
「わかったわ」
カロリーネは青年の手をじっと見つめた。長い指が大切な部分を覆った白い布を巧みに解いていく。解かれた布に覆われていた場所が次第に露わになっていく。ほんのりと若茎の肌色が布の上から透けて見え、カロリーネは息を呑んだ。布をすべて取り去ると若茎が黒い繁みから勢いよく跳ね上がった。
それは青年の物らしい慎ましやかな太さと長さだった。版画の男とは大違いだった。どうやらジルパンの画家たちは強調したいものを大きく描く慣習があるらしい。比較しては悪いが、クロードのほうが長かった。けれど、カロリーネは恥ずかし気に俯く青年を見ているうちに、愛しく思えてきた。慎ましいジルパンの男にふさわしい物ではないか。
「こっち見て」
カロリーネはシュミーズを脱ごうと裾を掴んだ。そのありさまを見つめる青年の目は驚きを隠さなかった。カロリーネはわざと時間をかけてシュミーズの裾をゆっくりと上に捲り上げた。乳房が見えるか見えないかの位置で動きを止め、肩紐からゆっくりと腕を抜いた。すべて脱ぐと、さっとその場に落とした。露わになった乳房に向けられる視線を感じるだけで、先端が固くなった。
ややかがんでドロワーズの上部に手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。右足を抜き、左足を抜き、それをまたその場に落とした。
向かい合う何も身に着けぬ男女は互いの目を見つめ合った。確認の言葉はいらなかった。
カロリーネはベッドに腰かけると、わざと青年の目に見えるように、足を大きく開いて仰向けになった。髪の毛と同じ金色の巻き毛に隠された秘所は湿り気を帯びているためか、ランプの光を受けて輝いた。
青年が生唾を呑み込む音が聞こえた。
まるで生まれたばかりの仔猫が母猫の乳房の匂いに引き寄せられるように、青年はベッドの上のカロリーネの白い身体の上に覆いかぶさり、その乳首に口づけた。
舌の先で舐められた瞬間、久しく忘れていた官能がカロリーネの中に甦った。クロードの面影がよぎった。だが、今は忘れなければならない。クロードのことを思い出しながら、青年と交わるのは青年に失礼だし、地獄の住人となったクロードもいい気分はしないだろう。この可愛い青年を今は思いっきり可愛がってあげよう。年上の女の余裕でカロリーネは微笑んだ。
「イクサブロウ、可愛い人」
ぎゅっと抱き締めると、引き締まった身体が汗ばんでいるのがわかった。けれど嫌な臭いもしないし、胸毛もない。まるで少女のようだ。
「Je t’aime」
青年の口からフロラン語が漏れた。なんと小生意気な。こんな時でもジルパンの言葉を使わぬとは。カロリーネは少しばかり癪な気がして、腹に当たる青年の若茎に手を伸ばした。
「え?!」
指先で触れたそれの硬さに、カロリーネは何かの間違いではないかと思った。
カロリーネはクロードしか知らない。クロードの身体を基準としてイクサブロウの身体を見ていた。
クロードより身体が小さいので、持っている物も相応の物だと思っていた。
けれど、今触れたそれは鋼のように硬く感じられた。クロードの柔らかな感触とは違った。一体これは……。これが人の物とは……。
混乱するカロリーネをよそに、青年はカロリーネのもう一方の乳房を揉み始めた。手のひら全体で包み込んで優しく、ゆっくりと。
「あっ、ああっ!」
思わず漏れた喘ぎに、カロリーネ自身が驚いた。ただこれだけの動きで感じるなど。いくら久しくこういう行為がなかったとはいえ、簡単に声が出てしまうとは。
「気にしないで。タッカーさん達は耳が遠いから」
イクサブロウが囁いた。いまだ冷静な青年を興奮させたくて、カロリーネは触れていた若茎をぎゅっと握った。
「んんん!」
鼻から抜けるような呻き声は艶があった。
それを可愛いと思いながらも、いっそう硬く張り詰めた感触にカロリーネは緊張を覚えた。二十年以上開かれることのなかった場所をこれが押し開いて、クロードのよりも硬い先端に奥を突かれたらどうなってしまうのか想像するだけで下腹がジンジンと熱くなってくる。
と、青年の指が今度は乳房の先端を摘まんだ。すでに固く盛り上がった先端を軽く摘ままれただけで、びりびりと背筋に走るものがあった。思わず抱き付くと、唇に唇が触れた。
「ん!」
半ば開いていた唇を押し開くように舌が入ってきた。思いもかけないことだった。自分よりも背丈が低いのに、こんな口づけを知っているなんて。
舌はカロリーネの口の中を思う存分動いた。歯茎、頬の裏、ありとあらゆる場所に触れ、最後に舌を軽くチョンと突いた。たまらず、カロリーネも舌を舐め、青年の唾液を啜った。それは苦くなかった。クロードは葉巻を吸っていたので独特の苦味があった。
この青年はクロードと比べると無味無臭だった。苦味も体臭もない。肌もきめ細やかで少女のようだった。それなのに、今、カロリーネは青年の口づけと愛撫に我を忘れて夢中になっていた。
唇が離れた途端、カロリーネは口走っていた。
「はあっ! おねがい、もっと!」
イクサブロウの舌が先ほどまで摘まんでいた乳首の先端をぺろりと舐めた。刹那、じわりと泉の水が愛を求めて湧き出した。
青年は身体を起こし、カロリーネの両足の間に座り、泉の入口を凝視した。
見られている。それだけで泉が溢れた。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
続・上司に恋していいですか?
茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。
会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。
☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。
「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる