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われてもすゑに
陸 愛をつくる
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初冬にしては珍しくよく晴れた温かい日であった。小春日和と言うのであろうか。
風もなく埃が舞うこともない大名屋敷の並ぶ通りを壮麗な嫁入り行列がゆっくりと進んでいた。多くの供侍、道具を運ぶ中間、お供の女中らを前後に従えるのは四人の六尺が担ぐ女乗り物である。その中に主役の花嫁御前がいた。
江戸の町人達はどこで聞き付けたのか、嫁入り行列の見物に沿道に集まって来た。彼らは美男ぞろいのお供の侍や美女ばかりの奥女中を見て、あれこれと勝手に品定めをしていた。
見物人の中に深編笠をかぶった一人の浪人がいた。彼は女乗り物が見えると深々と頭を下げ、遠ざかるまでそのままの姿勢でいた。彼の前に並ぶ町人の子どもら七人もそれを真似た。
「おや、先生じゃありませんか」
浪人に話しかけたのは同じ長屋に住む若い大工だった。肩に道具箱を載せている。浪人は振り返った。
「熊さんか、この辺で仕事かい」
「へい。ちょいと壁の修繕を頼まれやして、さっき終わったとこでさあ」
「それはご苦労様」
「ご苦労なんて、大袈裟な。先生に比べりゃ。あれ、今日は手習いは」
「子どもらを見物に連れて来たのだ」
「こりゃあえれえ行列だな」
大工も行列の長さに目を見張った。
「それじゃおいらは、次の仕事があるんで」
大工は器用に人込みを抜けて走り去った。
行列がほぼ終わり、浪人は子どもらを連れて神田までの道のり歩き始めた。早くしないと日が暮れてしまう。
子どもらをそれぞれの家に送り届けながら小川町の長屋に戻ると暮れ六つの鐘が鳴った。
隣の家に最後の子を送り届けると、おかみさんが作り過ぎたからと煮物を鍋から分けてくれた。亭主が青物を棒手振で売っているので時々売れ残った野菜で惣菜を作って御裾分けしてくれるのだ。
「いつもかたじけない」
「いいんだよ、先生にはうちの子が世話になってんだし。前いた赤岩先生が神隠しにあったみたいにいなくなっちまったもんだから、通り向こうの手習いにまでやらなきゃいけないって困ってたところに先生が来てくれてほんと助かったよ」
家に戻り煮物をおかずに朝炊いた飯を食い、この日のために準備していた徳利の酒を湯呑に継いだ。
佐野覚兵衛にとって、これはけじめだった。仕えていた主が世継ぎとなり、花嫁を迎える日にこの酒を飲もうと決めていた。
ここはお玉ヶ池の佐久間象山の私塾も近い。子どもらに手習いを教える傍ら、私塾に通い蘭学を学ぶには絶好の場所だった。
いつの日か主が国政に重きをなすことになったら、微力ながら手助けできればと願う覚兵衛であった。
行列は愛宕下の大名屋敷の間を抜け外桜田へと向かい、やがて大きな門の中に吸い込まれて行った。すべてが中に入るまで一刻ほどかかった。
広敷の玄関まで来ると、乗り物の担ぎ手は奥の御末ら八人に代わった。奥座敷の入口まで来ると乗り物が置かれその周囲が屏風で囲まれた。
そこへやって来たのは花婿である。花婿は乗り物の戸に手を掛けた。本来は形式的なもので手を掛けるだけなのだが、花婿はさらに戸を開けた。
真っ白な綿帽子に白無垢の花嫁はゆっくりと顔を上げた。
花婿はささやいた。
「待ちわびたぞ」
花婿は花嫁の手を取った。介添え役の仕事だが、花婿が自分ですると言って聞かなかったのである。花嫁はゆっくり立ち上がり、花婿に従った。
座敷に入る前に花婿は介添え役と交代し、先に入った。その後から花嫁が入って来た。
座敷には媒酌人の大名や縁組の手続きの労を取った先手の旗本、親戚らが居並んでいた。
稚児小姓と奥の稚児髷の小姓が、向かい合わせに座った二人の前に三方に乗った盃を置いた。
花嫁の盃に酒が注がれた。花嫁は口を付けた。次に花婿も盃の酒を飲んだ。固めの盃である。
この後、花嫁と花婿はそれぞれ別室でお色直しをする。花嫁は花婿側から贈られた装束、花婿は花嫁側から贈られた装束にそれぞれ着替えて、再び座敷に出た。
綿帽子を取った花嫁の美しさに皆ため息をついた。花婿も時折、花嫁の顔を見ては微笑んでいた。
「これで月野家本家も安心ぞ」
そう言ったのは分家の主となった月野下野守斉陽だった。
「次は下野守殿だな」
月野斉尚、今は隠居となり兎走と号している花婿の父は酒が入り機嫌がよかった。
「丹後守殿は果報者、三国一の花嫁じゃ」
遠縁の老人もニコニコと笑っている。
婚礼の宴はさんざめく笑い声に包まれたのだった。
やがて、花嫁が介添え役に手を引かれ先に座敷を出た。これから新床の支度があるのだ。
花婿は勧められる酒を飲みながら、今宵のことを想像した。
花婿が寝所に入ると、花嫁はすでに床の横に座っていた。ただし畳の上ではなく、畳の上に置かれた椅子にである。隣に置かれた椅子に花婿も座った。そこへ家老と奥の年寄が入ってくると目録を広げ、両家の家臣からの祝いの品を披露した。
すべてを披露し終えるのに半刻近くかかった。
最後に奥の年寄が言った。
「奥方様の今宵の衣裳は当家の奥の者達が殿様の御指示で仕立てたものでございます」
花婿である殿様は二人をねぎらった。二人が退室した後、添い寝役が挨拶に来た。といっても声など聞こえない離れた部屋で控えているだけなのだが。
挨拶が終わった後、やっと部屋には二人だけになった。
「立ちなさい」
慶温の言葉に従い、花嫁は立ち上がった。すると白い衣裳の裾が辺りに広がった。
「なんと美しい」
慶温はそう言って白い絹のドレスを着た花嫁を抱き締めた。
「御前様もよく似合っておいでです」
「阿蘭陀人の服を貸してもらって仕立てさせたのだ。足がもっと長ければ似合うのだが」
前裾の短い赤いフロックコートに袴と違って細身のぴったりした白いズボンというのは日本人には似合わないものらしかった。それでも姿勢のいい慶温は他の日本人男性よりも似合っていた。
「姫のドレスはクイン・ビクトリアが白い絹のドレスを婚礼で着たと聞いて作らせた。阿蘭陀人に女子のドレスの絵を見せてもらって、仕立てのうまい奥の女達に作らせたのだ」
「かたじけのうございます」
「一度着せてみたかったのだ」
「なれど、御前様、もし御庭番などに知られたら」
花嫁は不安げな表情を見せた。
花婿は微笑んだ。
「お佳穂は相変わらず心配性だな。いや、佳穂姫だったな」
そう言うと慶温は佳穂の唇に口づけた。佳穂はこれは夢ではないかと思った。けれどこの温かな感触は現実だった。
温かな口づけの後、慶温は慌ただしく、自分の装束を脱いだ。
「異国の服は困る」
何が困るのか、佳穂は察してうつむいた。着替えを見るなど畏れおおいことだった。
「顔を上げよ」
寝間着を着た慶温の声で顔を上げた。
「そなたは美しい。このままでとも思うが、せっかくの衣裳を汚すわけにはいかぬ」
そう言うと背後にまわり、ボタンというものを外した。それが一つ外れるたびに締め付けられていた身体から緊張が解けていくようだった。
慶温は前に立ち、今度は上の部分を肩から外した。あっという間に短い袖から腕が抜け、二つの胸が露わになった。佳穂は慌てて胸を両腕で隠した。
「異国では胸当てを付けるそうなのだが、これでもよいな」
竹を編んで作らせた小ぶりのパニエで膨らんだドレスのスカートの部分を下に引くと上半身の部分とともに佳穂の足のまわりに裾が花のように広がった。パニエも外され湯文字一つの姿になった佳穂は顔を赤らめた。
「まことドレスというのは紐がなくてよいな」
慶温は佳穂をそっと抱き寄せた。
「今宵こそ」
「御前様、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
慶温は佳穂を床に招き入れた。二人は横向きになり互いの顔を見つめた。
「この日が待ち遠しかった」
「はい」
佳穂にとっても短いようで長い日々だったのだ。ことに婚礼が決まってからは。
星川家の尽力によって雪村家十五万石の姫となることが決まり、上屋敷の奥に入ったのが七月の下旬であった。佳穂は姫としての教育を一から受けた。中臈と違い、すべてを人に任せるというのは慣れぬことだった。言葉遣いも全く違う。着る物も髪型も変わり、起居振舞すべて一から鍛え直された。
幸いにも雪村家の奥方様も奥の方々も、これまで姫がいなかったということで、物珍しさからか佳穂のことを姫として遇してくれた。ことに奥方様は瑠璃姫や聡姫と歌のやりとりをしており、佳穂のことを以前から知っていたので、実の娘のように接してくれた。
又四郎と会えぬ寂しさを感じる暇もないほど毎日が慌ただしく過ぎていった。
そんな中、又四郎が月野家本家の家督を継いだと知らされた。佳穂も雪村家の姫として御公儀に認められた。国許で側室が産んだ姫が丈夫に育ったので姫として江戸屋敷に引き取ったという名目である。年齢も十七と四つ若くなり又四郎と同い年になってしまった。
早速婚儀の届けが出され婚礼支度が本格的に始まった。
御公儀の許しが出たのは九月の初め、そして十月の十五日の月次御礼を過ぎた今日の日に婚礼が行なわれたのだった。
慶温はあばたに口づけた。
「お佳穂、愛しいお佳穂」
それから長い口づけが始まった。お互いを貪り合うように、お互いを確かめあうように。
慶温は星川家に行く前の佳穂から貪った唾液の成分を己の身体にさらに供給するかのように佳穂の口の中を味わった。
久しく忘れていた感触に佳穂は気が遠くなりそうだった。身体に力が入らず、腕の中に身を委ねるしかできなかった。
やがて唇は唇から離れ身体中に落とされていった。首、胸、腹……。慶温だけでなく、佳穂もまた愛する人の身体に口づけた。
「これを」
佳穂の唇が胸から離れると、慶温は上掛けを外した。寝間着はすでに脱いでおり下帯一枚の姿である。
「私にもあるのだ」
左の太ももの上のほうに小さなあばたがあった。
「いつぞや、そなたにあやつを可愛がって欲しいと言うたであろう。あの時、これを見せて千代だと教えようと思ったのだ」
「まあ」
「あの頃は、余も少しばかり焦っていたのだ」
佳穂はそっと顔を近づけてあばたをよく見た。自分の物とさほど大きさは変わらない。
そっと唇を寄せた。そして痕がつくほどに口づけた。
「お佳穂」
慶温は微笑んだ。なんと可愛いことをするのだろう。
「お返しだ」
佳穂は布団の上に横たえられた。慶温は両足の間に座り、左足の太ももに口づけた。ちょうど佳穂が口づけた部分である。赤い痕が付いたのを満足げに見た慶温はその手で佳穂の身体をゆるゆると触れ始めた。
「お佳穂の身体はすべて柔らかい」
温かな手の感触とうずくような感覚に佳穂の吐息は甘さを含んだものになっていく。離れている間に忘れかけていた感覚はすぐに取り戻された。
その手がやがて両足の間に伸びた。
佳穂は夢を見ているのではないかと思った。
温かな声が聞こえた。
「お佳穂、これからする行ないを、英吉利ではメイクラブというのだ。メイクは作る、ラブは愛。愛を作るということだ」
愛を作る。肌の色、髪の色、目の色、話す言葉は違っても、考えることは同じなのだと佳穂は思った。身体に触れ合って愛を作る。それはどこの人々も一緒なのだ。
「なれど、愛は一人では作れぬ。二人で作るのだ。お佳穂も手伝ってくれるな」
「はい」
佳穂は慶温の指示に従って、もう少し足を広げ膝を曲げた。
ゆっくりと撫でられるうちに佳穂の身体は慶温を受け入れる支度が整い始めていた。
はしたないと思うものの、甘い声は抑えられなくなっていた。
次第に佳穂は甘いうずきを身体の奥に感じ初めていた。
それはどこかつかみどころのないものだった。酔っている時のように足元がおぼつかず、頭はぼおっとしていた。
いにしえの人の言う「成り合はぬ処」から全身に広がるその感覚は、佳穂の恐れと違和感を薄めていった。それに呼応するように「成り余れる処」が慶温を追いつめ始めていた。
「お佳穂、ああ、そなたはなんとうるわしい……、もう、どうにもならぬ」
佳穂は手を伸ばした。慶温が可愛がって欲しいと言っていたそれに触れてみた。人肌なのに、まるで鋼のようだった。
「な、なにを」
慶温は慌てていた。こんな時に、なんということを。
「可愛がって差し上げたいのですが」
「それは、今は。ああ、駄目だ、もう、堪えきれぬ」
触れていたそれが急に熱を持ったように思われ手を離した。すぐにたくましい何かを感じた。佳穂は驚いたが、花嫁修業の間に読んだ書物を思い出し、息を整えた。あの熱い鋼のような慶温の「成り余れる処」がいよいよ「成り合はぬ処」と結ばれる時が来たのだ。
「力を抜くのだ」
その言葉も終わらぬうちに、たくましい「成り余れる処」は「成り合はぬ処」へと侵入を開始した。
声も出せぬほどの驚きと同時に慶温の熱を感じ、佳穂のまなじりから涙があふれた。ここまでの短いようで長い道のりが思い出された。
あの早春の日の出会いがすべての始まりだった。会えなくなっても、千代の言葉は佳穂の中で生き続けた。国許でも江戸でも。
痛みの瞬間、佳穂は前のめりになっている慶温にすがっていた。この人がここにいれば、どんなことでも耐えられる。
「痛くはないか」
「又四郎様と一緒なら」
慶温の中でそれまでなんとか押さえていたものが弾けた。
「すまぬ。こやつが暴れたがって」
「成り余れる処」は佳穂の中で慣れぬながらも一生懸命動き始めた。汗が佳穂の身体の上に滴り落ちた。
愛を作るとはかくも激しいものなのかと佳穂は頭の片隅で思った。けれどそれは一瞬のことだった。
激しさに翻弄され、佳穂は自分でも聞いたことのないような声を上げていた。こんな声を上げたらはしたないと思うゆとりもなかった。嵐が二人が翻弄した。
が、不意に嵐は終わった。慶温は動きを止めて、はあっと息を吐いた。愛のほとばしりが佳穂の中に満ちていく。
「かたじけない」
慶温の言葉は温かく佳穂の中に染み入った。
「かたじけのうございます」
佳穂も同じ気持ちだった。
愛を作ることは一人ではできない。二人で身体も心もつながり合ってこそ、愛は作られていく。これからもずっと二人で。
「お佳穂」
「又四郎様」
二人は固く抱き合った。お互いの身体のぬくもりと鼓動を感じながら。
やがて身体を離すと、慶温は枕元に用意された懐紙で佳穂の「成り合はぬ処」を拭った。それを丁寧に畳み、懐紙の横に置かれた狗張り子の蓋を開けて入れた。この狗張り子は明日の朝、佳穂の実家となった雪村家に届けられることになっている。
佳穂は痛みの中にも満ち足りた思いを感じていた。
だが、慶温は違った。
「お佳穂、すまぬが、こやつがどうもまだ物足りぬようでな」
「えっ」
慶温は驚く佳穂の上にのしかかった。
「あの、どうすれば足りるようになるのでしょうか」
「それは余にもわからない。なにしろ初めてのことゆえ」
困惑しているのは慶温も同じようだった。
「それでは、試してみましょう」
「そうだな、何事もやってみなければわからない。もし痛みが耐えがたいようだったら、言ってくれ」
「はい」
その返事も聞かぬうちに、慶温は佳穂を抱き締め「成り余りたる処」で「成り合はぬ処」を満たし始めた。
少し気持ちにゆとりが出たのか、慶温は動きながら言葉をかけた。
「そなたはなんと美しいのだ」
「ああ、ぬくうて気持ちがよい」
「ずっとこうしていたい」
「なんと、なんと、よいのだ」
佳穂は思う。男とは「あやつ」に翻弄されるものなのかもしれない。慶温も、そして彼の父斉理も。翻弄されても、それが暴走せぬように手綱を握るのが妻の役目かもしれぬと思った。
だが、考えはそこで止まった。またも嵐が佳穂を襲った。今度は最初のものよりも長く、激しかった。
慶温はそんな佳穂の乱れるさまに心が揺さぶられていた。女子とはかような面も持つものなのかと。けれど、それは不快な感覚ではなかった。なぜならこの姿は自分だけが知るものなのだから。
甘い吐息、快楽を覚え始めて次第に高くなる声、潤んだ目からこぼれる歓びの涙、紅潮した頬、汗に濡れた額にかかる黒髪、口づけの痕。誰も知らぬ姿を己だけが知っている。
さらには誰も侵入したことのない女体の城。なかなか侵入できなかった城門の奥には汲めども尽きぬ快楽の秘宝が隠されていた。城門を幾度も攻めて手にいれた秘宝の価値以上に貴い宝を慶温は知らなかった。
これさえあれば何もいらぬ。
そう思った瞬間、ほとばしる愛がまたも城の奥深くに注ぎ込まれた。
再び、嵐は治まった。
慶温は少しだけ冷静になり振り返る。父は恐らく、誤ったのだと。まことの愛を捧げる瑠璃姫ではなく、力を求めた千勢を宝だと見誤ったのだと。千勢も愛を捧げていたのかもしれぬが、あまりに彼女は欲張り過ぎたのではないか。権力を欲する余りに、あるべき生き方を見失ったのではないか。確かに瑠璃姫に比べ彼女の持つ物は少なかったかもしれない。けれど、人は一度に何もかもを得ることはできぬのだ。
花嫁となった佳穂もまたかけがえのない肉親とのつながりを断って、大名の姫としてここに来た。
慶温自身、この地位を得るとの引き換えに最大の理解者である友人を失ってしまった。ただ彼は佳穂という宝を己に残してくれた。
この宝をこの先輝かせるのも鈍らせるのも、己次第。
「又四郎さま……」
御前様と言うのも忘れ、佳穂は慶温を見上げた。その潤んだ目が求めているように感じられ、慶温の中でまたも猛々しいものがうごめきだした。
「すまぬ。まだ足りぬ。そなたが欲しい」
佳穂は驚きながらもどうしようもないくらいあふれる愛おしさを感じていた。
「よいか」
「お気に召すままに」
「英吉利では As You Like It と言うのだ」
「アズユウライクイット」
二人の甘い嵐は早朝まで吹き荒れた。
愛を作る二人の人生は始まったばかりである。
風もなく埃が舞うこともない大名屋敷の並ぶ通りを壮麗な嫁入り行列がゆっくりと進んでいた。多くの供侍、道具を運ぶ中間、お供の女中らを前後に従えるのは四人の六尺が担ぐ女乗り物である。その中に主役の花嫁御前がいた。
江戸の町人達はどこで聞き付けたのか、嫁入り行列の見物に沿道に集まって来た。彼らは美男ぞろいのお供の侍や美女ばかりの奥女中を見て、あれこれと勝手に品定めをしていた。
見物人の中に深編笠をかぶった一人の浪人がいた。彼は女乗り物が見えると深々と頭を下げ、遠ざかるまでそのままの姿勢でいた。彼の前に並ぶ町人の子どもら七人もそれを真似た。
「おや、先生じゃありませんか」
浪人に話しかけたのは同じ長屋に住む若い大工だった。肩に道具箱を載せている。浪人は振り返った。
「熊さんか、この辺で仕事かい」
「へい。ちょいと壁の修繕を頼まれやして、さっき終わったとこでさあ」
「それはご苦労様」
「ご苦労なんて、大袈裟な。先生に比べりゃ。あれ、今日は手習いは」
「子どもらを見物に連れて来たのだ」
「こりゃあえれえ行列だな」
大工も行列の長さに目を見張った。
「それじゃおいらは、次の仕事があるんで」
大工は器用に人込みを抜けて走り去った。
行列がほぼ終わり、浪人は子どもらを連れて神田までの道のり歩き始めた。早くしないと日が暮れてしまう。
子どもらをそれぞれの家に送り届けながら小川町の長屋に戻ると暮れ六つの鐘が鳴った。
隣の家に最後の子を送り届けると、おかみさんが作り過ぎたからと煮物を鍋から分けてくれた。亭主が青物を棒手振で売っているので時々売れ残った野菜で惣菜を作って御裾分けしてくれるのだ。
「いつもかたじけない」
「いいんだよ、先生にはうちの子が世話になってんだし。前いた赤岩先生が神隠しにあったみたいにいなくなっちまったもんだから、通り向こうの手習いにまでやらなきゃいけないって困ってたところに先生が来てくれてほんと助かったよ」
家に戻り煮物をおかずに朝炊いた飯を食い、この日のために準備していた徳利の酒を湯呑に継いだ。
佐野覚兵衛にとって、これはけじめだった。仕えていた主が世継ぎとなり、花嫁を迎える日にこの酒を飲もうと決めていた。
ここはお玉ヶ池の佐久間象山の私塾も近い。子どもらに手習いを教える傍ら、私塾に通い蘭学を学ぶには絶好の場所だった。
いつの日か主が国政に重きをなすことになったら、微力ながら手助けできればと願う覚兵衛であった。
行列は愛宕下の大名屋敷の間を抜け外桜田へと向かい、やがて大きな門の中に吸い込まれて行った。すべてが中に入るまで一刻ほどかかった。
広敷の玄関まで来ると、乗り物の担ぎ手は奥の御末ら八人に代わった。奥座敷の入口まで来ると乗り物が置かれその周囲が屏風で囲まれた。
そこへやって来たのは花婿である。花婿は乗り物の戸に手を掛けた。本来は形式的なもので手を掛けるだけなのだが、花婿はさらに戸を開けた。
真っ白な綿帽子に白無垢の花嫁はゆっくりと顔を上げた。
花婿はささやいた。
「待ちわびたぞ」
花婿は花嫁の手を取った。介添え役の仕事だが、花婿が自分ですると言って聞かなかったのである。花嫁はゆっくり立ち上がり、花婿に従った。
座敷に入る前に花婿は介添え役と交代し、先に入った。その後から花嫁が入って来た。
座敷には媒酌人の大名や縁組の手続きの労を取った先手の旗本、親戚らが居並んでいた。
稚児小姓と奥の稚児髷の小姓が、向かい合わせに座った二人の前に三方に乗った盃を置いた。
花嫁の盃に酒が注がれた。花嫁は口を付けた。次に花婿も盃の酒を飲んだ。固めの盃である。
この後、花嫁と花婿はそれぞれ別室でお色直しをする。花嫁は花婿側から贈られた装束、花婿は花嫁側から贈られた装束にそれぞれ着替えて、再び座敷に出た。
綿帽子を取った花嫁の美しさに皆ため息をついた。花婿も時折、花嫁の顔を見ては微笑んでいた。
「これで月野家本家も安心ぞ」
そう言ったのは分家の主となった月野下野守斉陽だった。
「次は下野守殿だな」
月野斉尚、今は隠居となり兎走と号している花婿の父は酒が入り機嫌がよかった。
「丹後守殿は果報者、三国一の花嫁じゃ」
遠縁の老人もニコニコと笑っている。
婚礼の宴はさんざめく笑い声に包まれたのだった。
やがて、花嫁が介添え役に手を引かれ先に座敷を出た。これから新床の支度があるのだ。
花婿は勧められる酒を飲みながら、今宵のことを想像した。
花婿が寝所に入ると、花嫁はすでに床の横に座っていた。ただし畳の上ではなく、畳の上に置かれた椅子にである。隣に置かれた椅子に花婿も座った。そこへ家老と奥の年寄が入ってくると目録を広げ、両家の家臣からの祝いの品を披露した。
すべてを披露し終えるのに半刻近くかかった。
最後に奥の年寄が言った。
「奥方様の今宵の衣裳は当家の奥の者達が殿様の御指示で仕立てたものでございます」
花婿である殿様は二人をねぎらった。二人が退室した後、添い寝役が挨拶に来た。といっても声など聞こえない離れた部屋で控えているだけなのだが。
挨拶が終わった後、やっと部屋には二人だけになった。
「立ちなさい」
慶温の言葉に従い、花嫁は立ち上がった。すると白い衣裳の裾が辺りに広がった。
「なんと美しい」
慶温はそう言って白い絹のドレスを着た花嫁を抱き締めた。
「御前様もよく似合っておいでです」
「阿蘭陀人の服を貸してもらって仕立てさせたのだ。足がもっと長ければ似合うのだが」
前裾の短い赤いフロックコートに袴と違って細身のぴったりした白いズボンというのは日本人には似合わないものらしかった。それでも姿勢のいい慶温は他の日本人男性よりも似合っていた。
「姫のドレスはクイン・ビクトリアが白い絹のドレスを婚礼で着たと聞いて作らせた。阿蘭陀人に女子のドレスの絵を見せてもらって、仕立てのうまい奥の女達に作らせたのだ」
「かたじけのうございます」
「一度着せてみたかったのだ」
「なれど、御前様、もし御庭番などに知られたら」
花嫁は不安げな表情を見せた。
花婿は微笑んだ。
「お佳穂は相変わらず心配性だな。いや、佳穂姫だったな」
そう言うと慶温は佳穂の唇に口づけた。佳穂はこれは夢ではないかと思った。けれどこの温かな感触は現実だった。
温かな口づけの後、慶温は慌ただしく、自分の装束を脱いだ。
「異国の服は困る」
何が困るのか、佳穂は察してうつむいた。着替えを見るなど畏れおおいことだった。
「顔を上げよ」
寝間着を着た慶温の声で顔を上げた。
「そなたは美しい。このままでとも思うが、せっかくの衣裳を汚すわけにはいかぬ」
そう言うと背後にまわり、ボタンというものを外した。それが一つ外れるたびに締め付けられていた身体から緊張が解けていくようだった。
慶温は前に立ち、今度は上の部分を肩から外した。あっという間に短い袖から腕が抜け、二つの胸が露わになった。佳穂は慌てて胸を両腕で隠した。
「異国では胸当てを付けるそうなのだが、これでもよいな」
竹を編んで作らせた小ぶりのパニエで膨らんだドレスのスカートの部分を下に引くと上半身の部分とともに佳穂の足のまわりに裾が花のように広がった。パニエも外され湯文字一つの姿になった佳穂は顔を赤らめた。
「まことドレスというのは紐がなくてよいな」
慶温は佳穂をそっと抱き寄せた。
「今宵こそ」
「御前様、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
慶温は佳穂を床に招き入れた。二人は横向きになり互いの顔を見つめた。
「この日が待ち遠しかった」
「はい」
佳穂にとっても短いようで長い日々だったのだ。ことに婚礼が決まってからは。
星川家の尽力によって雪村家十五万石の姫となることが決まり、上屋敷の奥に入ったのが七月の下旬であった。佳穂は姫としての教育を一から受けた。中臈と違い、すべてを人に任せるというのは慣れぬことだった。言葉遣いも全く違う。着る物も髪型も変わり、起居振舞すべて一から鍛え直された。
幸いにも雪村家の奥方様も奥の方々も、これまで姫がいなかったということで、物珍しさからか佳穂のことを姫として遇してくれた。ことに奥方様は瑠璃姫や聡姫と歌のやりとりをしており、佳穂のことを以前から知っていたので、実の娘のように接してくれた。
又四郎と会えぬ寂しさを感じる暇もないほど毎日が慌ただしく過ぎていった。
そんな中、又四郎が月野家本家の家督を継いだと知らされた。佳穂も雪村家の姫として御公儀に認められた。国許で側室が産んだ姫が丈夫に育ったので姫として江戸屋敷に引き取ったという名目である。年齢も十七と四つ若くなり又四郎と同い年になってしまった。
早速婚儀の届けが出され婚礼支度が本格的に始まった。
御公儀の許しが出たのは九月の初め、そして十月の十五日の月次御礼を過ぎた今日の日に婚礼が行なわれたのだった。
慶温はあばたに口づけた。
「お佳穂、愛しいお佳穂」
それから長い口づけが始まった。お互いを貪り合うように、お互いを確かめあうように。
慶温は星川家に行く前の佳穂から貪った唾液の成分を己の身体にさらに供給するかのように佳穂の口の中を味わった。
久しく忘れていた感触に佳穂は気が遠くなりそうだった。身体に力が入らず、腕の中に身を委ねるしかできなかった。
やがて唇は唇から離れ身体中に落とされていった。首、胸、腹……。慶温だけでなく、佳穂もまた愛する人の身体に口づけた。
「これを」
佳穂の唇が胸から離れると、慶温は上掛けを外した。寝間着はすでに脱いでおり下帯一枚の姿である。
「私にもあるのだ」
左の太ももの上のほうに小さなあばたがあった。
「いつぞや、そなたにあやつを可愛がって欲しいと言うたであろう。あの時、これを見せて千代だと教えようと思ったのだ」
「まあ」
「あの頃は、余も少しばかり焦っていたのだ」
佳穂はそっと顔を近づけてあばたをよく見た。自分の物とさほど大きさは変わらない。
そっと唇を寄せた。そして痕がつくほどに口づけた。
「お佳穂」
慶温は微笑んだ。なんと可愛いことをするのだろう。
「お返しだ」
佳穂は布団の上に横たえられた。慶温は両足の間に座り、左足の太ももに口づけた。ちょうど佳穂が口づけた部分である。赤い痕が付いたのを満足げに見た慶温はその手で佳穂の身体をゆるゆると触れ始めた。
「お佳穂の身体はすべて柔らかい」
温かな手の感触とうずくような感覚に佳穂の吐息は甘さを含んだものになっていく。離れている間に忘れかけていた感覚はすぐに取り戻された。
その手がやがて両足の間に伸びた。
佳穂は夢を見ているのではないかと思った。
温かな声が聞こえた。
「お佳穂、これからする行ないを、英吉利ではメイクラブというのだ。メイクは作る、ラブは愛。愛を作るということだ」
愛を作る。肌の色、髪の色、目の色、話す言葉は違っても、考えることは同じなのだと佳穂は思った。身体に触れ合って愛を作る。それはどこの人々も一緒なのだ。
「なれど、愛は一人では作れぬ。二人で作るのだ。お佳穂も手伝ってくれるな」
「はい」
佳穂は慶温の指示に従って、もう少し足を広げ膝を曲げた。
ゆっくりと撫でられるうちに佳穂の身体は慶温を受け入れる支度が整い始めていた。
はしたないと思うものの、甘い声は抑えられなくなっていた。
次第に佳穂は甘いうずきを身体の奥に感じ初めていた。
それはどこかつかみどころのないものだった。酔っている時のように足元がおぼつかず、頭はぼおっとしていた。
いにしえの人の言う「成り合はぬ処」から全身に広がるその感覚は、佳穂の恐れと違和感を薄めていった。それに呼応するように「成り余れる処」が慶温を追いつめ始めていた。
「お佳穂、ああ、そなたはなんとうるわしい……、もう、どうにもならぬ」
佳穂は手を伸ばした。慶温が可愛がって欲しいと言っていたそれに触れてみた。人肌なのに、まるで鋼のようだった。
「な、なにを」
慶温は慌てていた。こんな時に、なんということを。
「可愛がって差し上げたいのですが」
「それは、今は。ああ、駄目だ、もう、堪えきれぬ」
触れていたそれが急に熱を持ったように思われ手を離した。すぐにたくましい何かを感じた。佳穂は驚いたが、花嫁修業の間に読んだ書物を思い出し、息を整えた。あの熱い鋼のような慶温の「成り余れる処」がいよいよ「成り合はぬ処」と結ばれる時が来たのだ。
「力を抜くのだ」
その言葉も終わらぬうちに、たくましい「成り余れる処」は「成り合はぬ処」へと侵入を開始した。
声も出せぬほどの驚きと同時に慶温の熱を感じ、佳穂のまなじりから涙があふれた。ここまでの短いようで長い道のりが思い出された。
あの早春の日の出会いがすべての始まりだった。会えなくなっても、千代の言葉は佳穂の中で生き続けた。国許でも江戸でも。
痛みの瞬間、佳穂は前のめりになっている慶温にすがっていた。この人がここにいれば、どんなことでも耐えられる。
「痛くはないか」
「又四郎様と一緒なら」
慶温の中でそれまでなんとか押さえていたものが弾けた。
「すまぬ。こやつが暴れたがって」
「成り余れる処」は佳穂の中で慣れぬながらも一生懸命動き始めた。汗が佳穂の身体の上に滴り落ちた。
愛を作るとはかくも激しいものなのかと佳穂は頭の片隅で思った。けれどそれは一瞬のことだった。
激しさに翻弄され、佳穂は自分でも聞いたことのないような声を上げていた。こんな声を上げたらはしたないと思うゆとりもなかった。嵐が二人が翻弄した。
が、不意に嵐は終わった。慶温は動きを止めて、はあっと息を吐いた。愛のほとばしりが佳穂の中に満ちていく。
「かたじけない」
慶温の言葉は温かく佳穂の中に染み入った。
「かたじけのうございます」
佳穂も同じ気持ちだった。
愛を作ることは一人ではできない。二人で身体も心もつながり合ってこそ、愛は作られていく。これからもずっと二人で。
「お佳穂」
「又四郎様」
二人は固く抱き合った。お互いの身体のぬくもりと鼓動を感じながら。
やがて身体を離すと、慶温は枕元に用意された懐紙で佳穂の「成り合はぬ処」を拭った。それを丁寧に畳み、懐紙の横に置かれた狗張り子の蓋を開けて入れた。この狗張り子は明日の朝、佳穂の実家となった雪村家に届けられることになっている。
佳穂は痛みの中にも満ち足りた思いを感じていた。
だが、慶温は違った。
「お佳穂、すまぬが、こやつがどうもまだ物足りぬようでな」
「えっ」
慶温は驚く佳穂の上にのしかかった。
「あの、どうすれば足りるようになるのでしょうか」
「それは余にもわからない。なにしろ初めてのことゆえ」
困惑しているのは慶温も同じようだった。
「それでは、試してみましょう」
「そうだな、何事もやってみなければわからない。もし痛みが耐えがたいようだったら、言ってくれ」
「はい」
その返事も聞かぬうちに、慶温は佳穂を抱き締め「成り余りたる処」で「成り合はぬ処」を満たし始めた。
少し気持ちにゆとりが出たのか、慶温は動きながら言葉をかけた。
「そなたはなんと美しいのだ」
「ああ、ぬくうて気持ちがよい」
「ずっとこうしていたい」
「なんと、なんと、よいのだ」
佳穂は思う。男とは「あやつ」に翻弄されるものなのかもしれない。慶温も、そして彼の父斉理も。翻弄されても、それが暴走せぬように手綱を握るのが妻の役目かもしれぬと思った。
だが、考えはそこで止まった。またも嵐が佳穂を襲った。今度は最初のものよりも長く、激しかった。
慶温はそんな佳穂の乱れるさまに心が揺さぶられていた。女子とはかような面も持つものなのかと。けれど、それは不快な感覚ではなかった。なぜならこの姿は自分だけが知るものなのだから。
甘い吐息、快楽を覚え始めて次第に高くなる声、潤んだ目からこぼれる歓びの涙、紅潮した頬、汗に濡れた額にかかる黒髪、口づけの痕。誰も知らぬ姿を己だけが知っている。
さらには誰も侵入したことのない女体の城。なかなか侵入できなかった城門の奥には汲めども尽きぬ快楽の秘宝が隠されていた。城門を幾度も攻めて手にいれた秘宝の価値以上に貴い宝を慶温は知らなかった。
これさえあれば何もいらぬ。
そう思った瞬間、ほとばしる愛がまたも城の奥深くに注ぎ込まれた。
再び、嵐は治まった。
慶温は少しだけ冷静になり振り返る。父は恐らく、誤ったのだと。まことの愛を捧げる瑠璃姫ではなく、力を求めた千勢を宝だと見誤ったのだと。千勢も愛を捧げていたのかもしれぬが、あまりに彼女は欲張り過ぎたのではないか。権力を欲する余りに、あるべき生き方を見失ったのではないか。確かに瑠璃姫に比べ彼女の持つ物は少なかったかもしれない。けれど、人は一度に何もかもを得ることはできぬのだ。
花嫁となった佳穂もまたかけがえのない肉親とのつながりを断って、大名の姫としてここに来た。
慶温自身、この地位を得るとの引き換えに最大の理解者である友人を失ってしまった。ただ彼は佳穂という宝を己に残してくれた。
この宝をこの先輝かせるのも鈍らせるのも、己次第。
「又四郎さま……」
御前様と言うのも忘れ、佳穂は慶温を見上げた。その潤んだ目が求めているように感じられ、慶温の中でまたも猛々しいものがうごめきだした。
「すまぬ。まだ足りぬ。そなたが欲しい」
佳穂は驚きながらもどうしようもないくらいあふれる愛おしさを感じていた。
「よいか」
「お気に召すままに」
「英吉利では As You Like It と言うのだ」
「アズユウライクイット」
二人の甘い嵐は早朝まで吹き荒れた。
愛を作る二人の人生は始まったばかりである。
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