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事件
陸 家族になりたい
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「面を上げよ」
「若殿様におかれましては、御機嫌うるわしう」
「堅苦しいことはここまでだ」
又四郎は笑って、佳穂の前に座った。
昨夜の一件などなかったかのように、明るい顔の又四郎であった。
「昨夜はまことに思いもかけぬことで」
「心配してくれてありがとう。おかげでけがはない。吉井の調べは厳しくなかったか」
「いいえ」
厳しいという感じはまったくなかった。吉井の風貌は厳しく見えるが、話し方は柔らかで取り調べという硬さは感じなかった。
「さて、腹もすいただろう」
そう言ったところで、中奥の御膳の係の者らが、夕餉を運んで来た。一汁二菜は殿様や奥方様と同じである。
一汁二菜といえば質素に聞こえるが、汁の具は里芋、ねぎ、揚げがたっぷり入っているし、おかずもタンパク質の多い魚の切り身と豆腐の煮物、野菜三種のごま和え、かぶの漬物もあり、栄養的に見ればさほど不足はないのだった。その上、台所方が殿様一家用に使っている材料はその日の朝、出入りの青物屋が神田の青物市場、魚屋が日本橋魚河岸で選んだ選りすぐりの新鮮なものだから、まずいわけがなかった。漬物も国許の塩田で製造された塩を使用しており、にがりがあるのでミネラルも豊富だった。現代から見れば塩味が濃いが、移動手段が基本的に足の時代だから普通に生活している分には問題はなかった。
そんな話はともかく、佳穂は又四郎を前に緊張していた。一緒の部屋で二晩休んだからといって、こうやって普通に食事をともにするのは初めてのことだから、粗相があってはならないと思えば、食べた気にもなれぬのだった。
とはいえ、仕事柄、佳穂は又四郎の食べ方が気になった。普通、魚は表だけを食べ、裏を食べたい時は小姓がそれを察してお代わりを持ってくる。だが、そばにいる小姓は又四郎が魚を裏返しても動かなかった。
佳穂は思わず言ってしまった。
「これ、若殿様がお庭を拝見なさっておる」
お庭拝見とは、魚の裏を食べる時に言う決まり文句であった。そう言われる前に給仕の小姓はお代わりの魚を持ってこなければならないのだ。
小姓は困ったと言いたげな顔で又四郎の顔を見た。又四郎は微笑んだ。
「お佳穂、お庭拝見はなしだ」
言われて、佳穂は驚いた。
「これからは魚は表も裏も食べる。いちいちお代わりはせぬと決めた」
又四郎は台所方の慣習もなくしたらしい。台所方から不満はなかったのだろうか。
「台所方でも、今まで始末に困っていたようでな。残りが出ると、野良猫が来てあさることがあるゆえ。それに魚は丸ごと一匹食べるのが身体にはよい。表の身だけとは勿体ない」
確かに魚は丸ごと食べるのがよいと、国でも言っていた。
「私は、これまで当たり前と思われていたことを変えていきたいのだ。道理に合わぬことをいつまでも行っていては、家中はたちゆかなくなる。国もまた同じ」
又四郎は閨だけでなく、食事も何もかも変えようとしているようだった。だが、急激な変化は危ういように佳穂は思う。
「あまりになんでも変えてしまうというのは」
「なんでも変えるということはせぬし、できぬ。父上もおいでゆえ。できる範囲のことだけだ」
又四郎は微笑んだ。佳穂を安堵させるように。
不思議と、その笑顔を見ると、昨夜からの騒動がなかったことのように穏やかな気持ちになるのだった。
食後は小姓が酒を持ってきた。国で作られている銘酒である。味がよくなるようにわざわざ大坂から江戸まで船で運ばせている富士見の酒だった。
佳穂は銚子から又四郎の盃に酒を注いだ。又四郎も佳穂の杯に酒を注いだ。
ぬるめに温められた酒は、柔らかく喉を潤していった。
「お佳穂は赤くなるたちなのだな」
佳穂の顔を見て、又四郎は言った。又四郎の顔色はさほど変わらない。
「あまりお顔の色が変わらないのですね」
「父に似たのだろうな」
分家のお殿様は赤くなりにくいと奥方様から聞いたことがある。本家の殿様は赤くなるたちであった。
又四郎は盃が空になったと見るや酒を注ごうとした。
「申し訳ありません。飲み過ぎると寝過ごしますので」
「二杯くらいではそうなるまい」
「でも、この前、若殿様が奥に初めておでましされた際には、前の夜の宴で飲み過ぎてしまいまして起きるのが遅くなってしまいました」
「なんと。道理で顔が赤かったはずだ」
「まことでございますか」
なんということと佳穂は恥ずかしさで顔が赤くなった。
「いやいや、それは冗談だ。次の日まで顔が赤いままというのはなかろう。からかってすまぬ」
からかった。若殿様が。佳穂は呆気に取られてしまった。若殿様が自分をからかうとは。
「いかがした」
佳穂の沈黙に又四郎は不安げな表情を浮かべた。
「すまぬ、からかって。怒っているのか」」
「怒ってなど、おりません。ただ、その、若殿様が、からかうなどと、思ってもいなくて」
女同士でちょっとしたことでからかうというのは、よくあるが、男性からからかわれるというのは経験のないことだった。父も兄も真面目な人達だった。殿様や光信院様も冗談はあまり言わない方々だった。
「これは私が悪かった」
「若殿様は悪くありません」
「いやいや、親しき中にも礼儀ありという。つい、私はそなたと近づけたと思って、調子に乗ったのだ。これは私が悪い」
又四郎は率直に言った。佳穂は自分のような者に対して悪かったという又四郎は、一体自分の身分をどう思っているのだろうと思った。とても御前様になる方とは思えない。やはり、この方はどこか変わっている。
「私のような者に、悪かったなどとおっしゃってはならぬと思うのですが」
「なぜだ。私が顔が赤かったなどと言わねば、そなたは恥ずかしい思いをせずに済んだのだ。私が悪いに決まっている。だから悪かったと言ったのだ。自らの過ちを正すことができぬ者がどうして、人の上に立つことができよう」
この方は違う。佳穂は又四郎に危うさと同時に、一本筋の通った強さを見た気がした。
こんな人を、なぜお志麻の方は光信院様の仇と思ったのか。伶観という尼が唆したといっても、又四郎に会って話をすれば、他人を害する人とは思えぬはずだった。
「若殿様、お志麻はなぜに」
途中で佳穂は口をつぐんだ。ここには小姓もいる。
又四郎もみなまで言わせなかった。
「さて、私も少し飲み過ぎたようだ。お佳穂、今宵は一緒に食事ができて嬉しかった」
「おそれいります」
「こちらこそだ。知っておるか、英吉利でも阿蘭陀でも、王も貴族も庶民と同じように、夫婦や家族は朝夕はともに食事をとるのだそうだ」
またも異国の話である。
「私もそれはいいことだと思う。大名も家族で朝夕食事をともにすれば、家族がもっと親しくなれると思うのだ」
佳穂にはわからない。国では家族で食べていたが、御前様達はそうではなかった。それはそういうことに決まっているからだと思っていた。御前様と家臣は違うのだと。
それに、佳穂は若殿様と家族になることはできない。あくまでも中臈という身分で、奥方様に仕える身なのだから。
「いかがした。今日は何も尋ねぬのか。清と英吉利の戦いの時のように尋ねることはないか」
又四郎は佳穂が黙っているのに気付き、質問を促した。
佳穂は何と言っていいかわからなかった。夫婦にもなれず、家族にもなれぬ身なのである。
「よいお考えだと思います。奥方様になられる姫様もさぞお喜びになられるかと」
そう言うしかなかった。若殿様のようにうるわしい方といつも共に食事ができるなら、奥方様はさぞ嬉しかろうと思う。
「お佳穂」
又四郎の声の響きの強さに、佳穂は顔を上げた。又四郎は佳穂を射抜くように見つめていた。
「私は妻を娶るつもりはない」
今はまだ光信院様の喪中だからであろうと佳穂は思い、うなずいた。
「はい。なれど、喪が明けたらお迎えになるのでしょう」
又四郎は身を乗り出していた。佳穂は思わず座ったまま後ずさった。何か粗相があったのだろうか。
「それは、ない」
どういう意味だろうか。それはない。それとは何なのか。まさか、奥方様を娶られるつもりはないということか。だが、ありえない話である。
「若殿様、何を仰せですか。意味がわかりません」
「妻は娶らぬ」
控えていた小姓もさすがに目を丸くしていた。
「お佳穂以外の女子はいらぬ」
この方は何を言っているのだろうか。佳穂は耳に入った言葉の意味が理解できず、又四郎を見つめるしかなかった。
「そなたとの間に子を生して、家族になりたいのだ。他の女子はいらぬ」
もし、佳穂と又四郎の間に子ができれば、その子は又四郎の家族である。だが、佳穂は奥女中だから家族にはなれないのだ。それなのに家族になるなどとは、意味がわからない。
「家族になるからこそ、そなたにも私を好きになって欲しいのだ。家族とはそういうものだろう。互いに好きあって夫婦になって、子どもを生み育てる。そういうものに私はなりたい」
まるで町人のようだと佳穂は思った。豪商などは違うであろうが、普通の町人は好き合った者同士で夫婦になるという。一般の農民も漁民も、似たような家柄の中から好き合った者同士で夫婦になっている。
だが、武家は違う。御家のために結婚するものである。
危ない。本当に若殿様は危険だった。武家とは思えない考え方だった。
「若殿様、そのような勝手は許されぬことでは」
「お佳穂、勝手ではない。これは、人として当たり前のことだ。互いに好き合っていなければ、子をなしたり、共に暮らすことはできぬ。本家の御前様と奥方様は幸いにも互いに好き合っておいでだが、世間にはそうでない夫婦も多い。家の都合で我慢している者もおれば、別れてしまう者もいる。私は好きでもない女子と夫婦になれるほど心の広い人間ではない。この前も言うたではないか。私は心が狭いと。そなたにも言った。そなたの心が狭くても許すと」
あれはそのような意味だったのかと、佳穂は愕然とした。
「そんな、恐ろしい」
「恐ろしい? なぜだ」
「私は中臈です。若殿様に仕える身です。家族になるなど滅相もないこと。奥方様でもないのに」
「私にとっては、好きでもない女子と夫婦になって、家族でございと言うほうがよほど恐ろしい。私が欲しいのはお佳穂だけだ」
又四郎の感じ方、考え方は、佳穂にとって衝撃だった。
危険過ぎる。大名、いや武家として、根本的に何かが違う。御家ではなく、自分一人の好き嫌いを優先させるなど、佳穂には、いや、他の奥の女性たち、表の家臣達にも理解しがたい考え方だろう。
もし、又四郎のような者があちこちの家中に現われたら、もし公方様がそのような考えになったら、それこそ幕府はなくなってしまうのではないか。そんなことをちらと思い、慌てて打ち消した。そのようなことを思うなど、又四郎の考え方の影響を自分も受けてしまったのかもしれぬと。
「若殿様、それは危ういことでございます」
そう言うのが精一杯だった。
「危うい?」
又四郎のその言葉が終わらぬうちに、足音が近づいたかと思うと襖が開き、益永寅左衛門が転がるように駆け込んで来た。
「大変です」
「いかがした、落ち着け」
寅左衛門は佳穂に気付いた。
「これは、失礼を。若殿様の側用人の益永寅左衛門と申す」
「益永様ですか。佳穂と申します。祖母が益永家の出ですので、はとこになるはず。お初にお目にかかります」
佳穂は寅左衛門が母の弟に少し似ていると思い、親しみを覚えた。寅左衛門も噂の御中臈の顔を拝めたとついにっこりとしてしまった。
「こちらこそ、初めまして。御噂はかねがね」
又四郎は寅左衛門の顔が緩んでいるのに気付き、じろりと睨んだ。寅左衛門はそんな顔で睨まれたことがなかったので驚いた。が、すぐに顔を引き締めた。笑っている場合ではなかった。
「お人払いを」
又四郎は小姓に廊下に出るように言った。佳穂にも隣の部屋でしばし待つように言った。
佳穂はお喜多の控える部屋に入った。お喜多は食事をすでに終えていた。佳穂が突然入って来たので居住まいを正した。
一体、何の話であろうかと思ったものの、表向きの話ならば詮索するのもよくなかろうと佳穂は黙って待った。無論、お喜多も主がなぜ食事の間を出てこの部屋に来たのか詮索はしなかった。
静寂の中、佳穂は吉井の話を聞いただけで袱紗の現物を見ていないことに気付いた。紅梅の印を持った方は何も今の奥方様だけではない。以前の奥方様や姫様も持っていた方がいる。それぞれ微妙に違うと叔母から聞いたことがあった。紅梅の印がどのようなものか、確認せねばならないのではなかろうか。
一方、寅左衛門は声を低めて報告した。
「先ほど南町奉行所の内与力が参りました」
又四郎は背筋に寒気を覚えた。内与力とは町奉行個人の家臣から選ばれた与力で、奉行の側用人、留守居、使番、右筆を行なう。つまり町奉行の秘書的な役割を行なうものである。彼らは事件の捜査や取り調べには関与しない。
内与力が来たということは、町奉行のなんらかの意志を伝えに来たということである。
「仙蔵のことか」
「わかりません。桂木様と吉井様が応対しております」
もし長岡英仙に関することであった場合、非常にまずいことになる。
「何かあれば報告があるはず。うろたえるでない。かえって怪しまれる」
「かしこまりました」
部下が下がった後、又四郎は小姓を呼び酒器を片づけるように命じた。小姓らがいなくなった後、佳穂のいる部屋に声を掛けた。佳穂はすぐに入って来た。
隣室に行く前に「危うい」と言ったことを又四郎に蒸し返されると、先ほどまで考えていたことを尋ねることができないので、佳穂は自分から切り出した。
「隣の部屋で考えたのですが、袱紗はまことにあの方の物なのでしょうか」
「袱紗のことも吉井から聞いたのか」
「はい」
佳穂は図々しい願いかもしれないと思ったが、道理に合わぬことを嫌がる又四郎ならばきいてくれるかもしれぬと思った。実物の袱紗を見ないで、聞いただけで自分が発した言葉は道理に合わぬことかもしれぬのだ。
「あの、実物を見せてもらえないでしょうか。まことに奥方様のものかどうか見て確認したいのです」
「お佳穂は見た事があるのか」
「江戸に上がって数日は分家におりましたので。その時に、お道具の紅梅の印はよく拝見していました。袱紗は拝見することはありませんでしたが。叔母が申すには、以前にも紅梅を使っていた方がいて、同じ紅梅でも少しずつ形を変えてあるとのことです」
「目付のほうで管理しておるはず」
「では目付の仕事部屋に行けば見せてもらえましょうか」
「そうだな。では参るか」
「え」
又四郎は佳穂に手を差し伸べた。
「私と一緒なら、見せないわけにはいくまい」
「よろしいのですか」
「さっきも言うたであろう。そなたは、私の家族になるのだ」
「その話は」
「危うい、か。危うくて結構。そなた、おかしなところで臆病なのだな。平気でシロを背負って梯子を昇ったりしたくせに。そなたのほうが、よほど危なっかしい」
そう言うと、又四郎は佳穂の手を握り、ぎゅっと引き上げた。佳穂は立ち上がらざるを得なくなった。
「手を離してください」
「表御殿は不案内であろう。それに暗くなってきた」
又四郎はそう言って、手を離そうとはしなかった。佳穂は誰かに会ったらと心配でならなかった。
「さような慎みのないまねをすると、奥の年寄に叱られます」
佳穂は鳴滝に悪人になってもらうことにした。
「やれやれ。では、離れずついて参るのだぞ」
やっと手を離した又四郎であった。
廊下に出ると、外はすでに闇に包まれていた。手燭を持った小姓が現われ、又四郎を先導した。
佳穂は又四郎の紺色の帷子を頼りに前に進んだ。歩いたことのない表御殿の廊下だが、その紺色を見ていると、少しも不安は感じなかった。
目付の部屋まで、佳穂は又四郎について行った。途中、小姓や表御殿の役人と行き合ったが、皆、端に寄り頭を下げ、佳穂をじろじろと見ることはなかった。
目付の部屋に又四郎が入ると、配下の者達が恐縮してしまった。
「例の袱紗を見せてもらえぬか」
そう言われて断れるはずもなかった。
又四郎は行灯の光の下で佳穂に見せた。
「これは」
確かに分家の奥方瑠璃姫の紅梅の御印が刺繍されていた。
と、同時に佳穂は不審を覚えた。行灯は明るいだけでなく、油を熱しているのでほんのりと温かい。その熱のせいか、袱紗から香りが漂ってきたのである。
「この香り、どこかでかいだような」
「香りがするのか」
「はい」
又四郎は袱紗を鼻に近づけた。
「そういえば、なんとなく。どこかでかいだような」
又四郎も香りに覚えがあるようだった。
一介の浪人が袱紗に香りが移るほど衣服に香を焚き染めるはずなどなかった。
袱紗に包まれていた一分銀も見せてもらった。こちらからは香りはしなかった。
「一分銀は袱紗に長いこと包まれていたわけではないのですね」
「そうだろうな。それにしても、香で袱紗の持ち主がわかるかもしれぬのに、何故、焚き染めたものを浪人に渡したのか」
「畏れながら、香りというのは慣れてしまうと感じぬものなのです」
「慣れると感じないとは」
「最初は感じても、そのうち、鼻が慣れて匂いを感じなくなるのです。若殿様はご自分の鬢付け油の匂いにお気づきですか」
又四郎は驚いて佳穂を見た。
「あ、そういえばそうだな。髪を整える時に付けてすぐは匂いが強いと感じるが、しばらくすると匂いのことなど忘れているな。今も言われて、匂いがすると気づいた」
「人は己の匂いには気付きにくいのです。他の者はすぐに気付きますが」
「なるほど。つまり、この袱紗を持っていた者は自分の香の匂いに気付いていなかったということか」
「はい」
目付の配下達も二人の会話を聞いて、なるほどと顔を見合わせていた。
「いつもこの香をかいでいるので、鼻が慣れてしまったのでしょう」
「どこでかいだか、覚えていないか。私もかいだ気がするのだが思い出せぬ」
改めて聞かれ、佳穂は記憶を引っ張りだす。
奥では、女達が好みの香りを自分で調えたり、出入りの小間物屋から香を買ったりしている。ただ、鳴滝があまりに濃い香りは下品と言っているので、持ち物までに沁みつくほどの匂いをさせている者はいない。
だとすると、本家の奥ではない。
「まさか」
思い浮かんだ人の顔に、佳穂は当惑を覚えていた。
「若殿様におかれましては、御機嫌うるわしう」
「堅苦しいことはここまでだ」
又四郎は笑って、佳穂の前に座った。
昨夜の一件などなかったかのように、明るい顔の又四郎であった。
「昨夜はまことに思いもかけぬことで」
「心配してくれてありがとう。おかげでけがはない。吉井の調べは厳しくなかったか」
「いいえ」
厳しいという感じはまったくなかった。吉井の風貌は厳しく見えるが、話し方は柔らかで取り調べという硬さは感じなかった。
「さて、腹もすいただろう」
そう言ったところで、中奥の御膳の係の者らが、夕餉を運んで来た。一汁二菜は殿様や奥方様と同じである。
一汁二菜といえば質素に聞こえるが、汁の具は里芋、ねぎ、揚げがたっぷり入っているし、おかずもタンパク質の多い魚の切り身と豆腐の煮物、野菜三種のごま和え、かぶの漬物もあり、栄養的に見ればさほど不足はないのだった。その上、台所方が殿様一家用に使っている材料はその日の朝、出入りの青物屋が神田の青物市場、魚屋が日本橋魚河岸で選んだ選りすぐりの新鮮なものだから、まずいわけがなかった。漬物も国許の塩田で製造された塩を使用しており、にがりがあるのでミネラルも豊富だった。現代から見れば塩味が濃いが、移動手段が基本的に足の時代だから普通に生活している分には問題はなかった。
そんな話はともかく、佳穂は又四郎を前に緊張していた。一緒の部屋で二晩休んだからといって、こうやって普通に食事をともにするのは初めてのことだから、粗相があってはならないと思えば、食べた気にもなれぬのだった。
とはいえ、仕事柄、佳穂は又四郎の食べ方が気になった。普通、魚は表だけを食べ、裏を食べたい時は小姓がそれを察してお代わりを持ってくる。だが、そばにいる小姓は又四郎が魚を裏返しても動かなかった。
佳穂は思わず言ってしまった。
「これ、若殿様がお庭を拝見なさっておる」
お庭拝見とは、魚の裏を食べる時に言う決まり文句であった。そう言われる前に給仕の小姓はお代わりの魚を持ってこなければならないのだ。
小姓は困ったと言いたげな顔で又四郎の顔を見た。又四郎は微笑んだ。
「お佳穂、お庭拝見はなしだ」
言われて、佳穂は驚いた。
「これからは魚は表も裏も食べる。いちいちお代わりはせぬと決めた」
又四郎は台所方の慣習もなくしたらしい。台所方から不満はなかったのだろうか。
「台所方でも、今まで始末に困っていたようでな。残りが出ると、野良猫が来てあさることがあるゆえ。それに魚は丸ごと一匹食べるのが身体にはよい。表の身だけとは勿体ない」
確かに魚は丸ごと食べるのがよいと、国でも言っていた。
「私は、これまで当たり前と思われていたことを変えていきたいのだ。道理に合わぬことをいつまでも行っていては、家中はたちゆかなくなる。国もまた同じ」
又四郎は閨だけでなく、食事も何もかも変えようとしているようだった。だが、急激な変化は危ういように佳穂は思う。
「あまりになんでも変えてしまうというのは」
「なんでも変えるということはせぬし、できぬ。父上もおいでゆえ。できる範囲のことだけだ」
又四郎は微笑んだ。佳穂を安堵させるように。
不思議と、その笑顔を見ると、昨夜からの騒動がなかったことのように穏やかな気持ちになるのだった。
食後は小姓が酒を持ってきた。国で作られている銘酒である。味がよくなるようにわざわざ大坂から江戸まで船で運ばせている富士見の酒だった。
佳穂は銚子から又四郎の盃に酒を注いだ。又四郎も佳穂の杯に酒を注いだ。
ぬるめに温められた酒は、柔らかく喉を潤していった。
「お佳穂は赤くなるたちなのだな」
佳穂の顔を見て、又四郎は言った。又四郎の顔色はさほど変わらない。
「あまりお顔の色が変わらないのですね」
「父に似たのだろうな」
分家のお殿様は赤くなりにくいと奥方様から聞いたことがある。本家の殿様は赤くなるたちであった。
又四郎は盃が空になったと見るや酒を注ごうとした。
「申し訳ありません。飲み過ぎると寝過ごしますので」
「二杯くらいではそうなるまい」
「でも、この前、若殿様が奥に初めておでましされた際には、前の夜の宴で飲み過ぎてしまいまして起きるのが遅くなってしまいました」
「なんと。道理で顔が赤かったはずだ」
「まことでございますか」
なんということと佳穂は恥ずかしさで顔が赤くなった。
「いやいや、それは冗談だ。次の日まで顔が赤いままというのはなかろう。からかってすまぬ」
からかった。若殿様が。佳穂は呆気に取られてしまった。若殿様が自分をからかうとは。
「いかがした」
佳穂の沈黙に又四郎は不安げな表情を浮かべた。
「すまぬ、からかって。怒っているのか」」
「怒ってなど、おりません。ただ、その、若殿様が、からかうなどと、思ってもいなくて」
女同士でちょっとしたことでからかうというのは、よくあるが、男性からからかわれるというのは経験のないことだった。父も兄も真面目な人達だった。殿様や光信院様も冗談はあまり言わない方々だった。
「これは私が悪かった」
「若殿様は悪くありません」
「いやいや、親しき中にも礼儀ありという。つい、私はそなたと近づけたと思って、調子に乗ったのだ。これは私が悪い」
又四郎は率直に言った。佳穂は自分のような者に対して悪かったという又四郎は、一体自分の身分をどう思っているのだろうと思った。とても御前様になる方とは思えない。やはり、この方はどこか変わっている。
「私のような者に、悪かったなどとおっしゃってはならぬと思うのですが」
「なぜだ。私が顔が赤かったなどと言わねば、そなたは恥ずかしい思いをせずに済んだのだ。私が悪いに決まっている。だから悪かったと言ったのだ。自らの過ちを正すことができぬ者がどうして、人の上に立つことができよう」
この方は違う。佳穂は又四郎に危うさと同時に、一本筋の通った強さを見た気がした。
こんな人を、なぜお志麻の方は光信院様の仇と思ったのか。伶観という尼が唆したといっても、又四郎に会って話をすれば、他人を害する人とは思えぬはずだった。
「若殿様、お志麻はなぜに」
途中で佳穂は口をつぐんだ。ここには小姓もいる。
又四郎もみなまで言わせなかった。
「さて、私も少し飲み過ぎたようだ。お佳穂、今宵は一緒に食事ができて嬉しかった」
「おそれいります」
「こちらこそだ。知っておるか、英吉利でも阿蘭陀でも、王も貴族も庶民と同じように、夫婦や家族は朝夕はともに食事をとるのだそうだ」
またも異国の話である。
「私もそれはいいことだと思う。大名も家族で朝夕食事をともにすれば、家族がもっと親しくなれると思うのだ」
佳穂にはわからない。国では家族で食べていたが、御前様達はそうではなかった。それはそういうことに決まっているからだと思っていた。御前様と家臣は違うのだと。
それに、佳穂は若殿様と家族になることはできない。あくまでも中臈という身分で、奥方様に仕える身なのだから。
「いかがした。今日は何も尋ねぬのか。清と英吉利の戦いの時のように尋ねることはないか」
又四郎は佳穂が黙っているのに気付き、質問を促した。
佳穂は何と言っていいかわからなかった。夫婦にもなれず、家族にもなれぬ身なのである。
「よいお考えだと思います。奥方様になられる姫様もさぞお喜びになられるかと」
そう言うしかなかった。若殿様のようにうるわしい方といつも共に食事ができるなら、奥方様はさぞ嬉しかろうと思う。
「お佳穂」
又四郎の声の響きの強さに、佳穂は顔を上げた。又四郎は佳穂を射抜くように見つめていた。
「私は妻を娶るつもりはない」
今はまだ光信院様の喪中だからであろうと佳穂は思い、うなずいた。
「はい。なれど、喪が明けたらお迎えになるのでしょう」
又四郎は身を乗り出していた。佳穂は思わず座ったまま後ずさった。何か粗相があったのだろうか。
「それは、ない」
どういう意味だろうか。それはない。それとは何なのか。まさか、奥方様を娶られるつもりはないということか。だが、ありえない話である。
「若殿様、何を仰せですか。意味がわかりません」
「妻は娶らぬ」
控えていた小姓もさすがに目を丸くしていた。
「お佳穂以外の女子はいらぬ」
この方は何を言っているのだろうか。佳穂は耳に入った言葉の意味が理解できず、又四郎を見つめるしかなかった。
「そなたとの間に子を生して、家族になりたいのだ。他の女子はいらぬ」
もし、佳穂と又四郎の間に子ができれば、その子は又四郎の家族である。だが、佳穂は奥女中だから家族にはなれないのだ。それなのに家族になるなどとは、意味がわからない。
「家族になるからこそ、そなたにも私を好きになって欲しいのだ。家族とはそういうものだろう。互いに好きあって夫婦になって、子どもを生み育てる。そういうものに私はなりたい」
まるで町人のようだと佳穂は思った。豪商などは違うであろうが、普通の町人は好き合った者同士で夫婦になるという。一般の農民も漁民も、似たような家柄の中から好き合った者同士で夫婦になっている。
だが、武家は違う。御家のために結婚するものである。
危ない。本当に若殿様は危険だった。武家とは思えない考え方だった。
「若殿様、そのような勝手は許されぬことでは」
「お佳穂、勝手ではない。これは、人として当たり前のことだ。互いに好き合っていなければ、子をなしたり、共に暮らすことはできぬ。本家の御前様と奥方様は幸いにも互いに好き合っておいでだが、世間にはそうでない夫婦も多い。家の都合で我慢している者もおれば、別れてしまう者もいる。私は好きでもない女子と夫婦になれるほど心の広い人間ではない。この前も言うたではないか。私は心が狭いと。そなたにも言った。そなたの心が狭くても許すと」
あれはそのような意味だったのかと、佳穂は愕然とした。
「そんな、恐ろしい」
「恐ろしい? なぜだ」
「私は中臈です。若殿様に仕える身です。家族になるなど滅相もないこと。奥方様でもないのに」
「私にとっては、好きでもない女子と夫婦になって、家族でございと言うほうがよほど恐ろしい。私が欲しいのはお佳穂だけだ」
又四郎の感じ方、考え方は、佳穂にとって衝撃だった。
危険過ぎる。大名、いや武家として、根本的に何かが違う。御家ではなく、自分一人の好き嫌いを優先させるなど、佳穂には、いや、他の奥の女性たち、表の家臣達にも理解しがたい考え方だろう。
もし、又四郎のような者があちこちの家中に現われたら、もし公方様がそのような考えになったら、それこそ幕府はなくなってしまうのではないか。そんなことをちらと思い、慌てて打ち消した。そのようなことを思うなど、又四郎の考え方の影響を自分も受けてしまったのかもしれぬと。
「若殿様、それは危ういことでございます」
そう言うのが精一杯だった。
「危うい?」
又四郎のその言葉が終わらぬうちに、足音が近づいたかと思うと襖が開き、益永寅左衛門が転がるように駆け込んで来た。
「大変です」
「いかがした、落ち着け」
寅左衛門は佳穂に気付いた。
「これは、失礼を。若殿様の側用人の益永寅左衛門と申す」
「益永様ですか。佳穂と申します。祖母が益永家の出ですので、はとこになるはず。お初にお目にかかります」
佳穂は寅左衛門が母の弟に少し似ていると思い、親しみを覚えた。寅左衛門も噂の御中臈の顔を拝めたとついにっこりとしてしまった。
「こちらこそ、初めまして。御噂はかねがね」
又四郎は寅左衛門の顔が緩んでいるのに気付き、じろりと睨んだ。寅左衛門はそんな顔で睨まれたことがなかったので驚いた。が、すぐに顔を引き締めた。笑っている場合ではなかった。
「お人払いを」
又四郎は小姓に廊下に出るように言った。佳穂にも隣の部屋でしばし待つように言った。
佳穂はお喜多の控える部屋に入った。お喜多は食事をすでに終えていた。佳穂が突然入って来たので居住まいを正した。
一体、何の話であろうかと思ったものの、表向きの話ならば詮索するのもよくなかろうと佳穂は黙って待った。無論、お喜多も主がなぜ食事の間を出てこの部屋に来たのか詮索はしなかった。
静寂の中、佳穂は吉井の話を聞いただけで袱紗の現物を見ていないことに気付いた。紅梅の印を持った方は何も今の奥方様だけではない。以前の奥方様や姫様も持っていた方がいる。それぞれ微妙に違うと叔母から聞いたことがあった。紅梅の印がどのようなものか、確認せねばならないのではなかろうか。
一方、寅左衛門は声を低めて報告した。
「先ほど南町奉行所の内与力が参りました」
又四郎は背筋に寒気を覚えた。内与力とは町奉行個人の家臣から選ばれた与力で、奉行の側用人、留守居、使番、右筆を行なう。つまり町奉行の秘書的な役割を行なうものである。彼らは事件の捜査や取り調べには関与しない。
内与力が来たということは、町奉行のなんらかの意志を伝えに来たということである。
「仙蔵のことか」
「わかりません。桂木様と吉井様が応対しております」
もし長岡英仙に関することであった場合、非常にまずいことになる。
「何かあれば報告があるはず。うろたえるでない。かえって怪しまれる」
「かしこまりました」
部下が下がった後、又四郎は小姓を呼び酒器を片づけるように命じた。小姓らがいなくなった後、佳穂のいる部屋に声を掛けた。佳穂はすぐに入って来た。
隣室に行く前に「危うい」と言ったことを又四郎に蒸し返されると、先ほどまで考えていたことを尋ねることができないので、佳穂は自分から切り出した。
「隣の部屋で考えたのですが、袱紗はまことにあの方の物なのでしょうか」
「袱紗のことも吉井から聞いたのか」
「はい」
佳穂は図々しい願いかもしれないと思ったが、道理に合わぬことを嫌がる又四郎ならばきいてくれるかもしれぬと思った。実物の袱紗を見ないで、聞いただけで自分が発した言葉は道理に合わぬことかもしれぬのだ。
「あの、実物を見せてもらえないでしょうか。まことに奥方様のものかどうか見て確認したいのです」
「お佳穂は見た事があるのか」
「江戸に上がって数日は分家におりましたので。その時に、お道具の紅梅の印はよく拝見していました。袱紗は拝見することはありませんでしたが。叔母が申すには、以前にも紅梅を使っていた方がいて、同じ紅梅でも少しずつ形を変えてあるとのことです」
「目付のほうで管理しておるはず」
「では目付の仕事部屋に行けば見せてもらえましょうか」
「そうだな。では参るか」
「え」
又四郎は佳穂に手を差し伸べた。
「私と一緒なら、見せないわけにはいくまい」
「よろしいのですか」
「さっきも言うたであろう。そなたは、私の家族になるのだ」
「その話は」
「危うい、か。危うくて結構。そなた、おかしなところで臆病なのだな。平気でシロを背負って梯子を昇ったりしたくせに。そなたのほうが、よほど危なっかしい」
そう言うと、又四郎は佳穂の手を握り、ぎゅっと引き上げた。佳穂は立ち上がらざるを得なくなった。
「手を離してください」
「表御殿は不案内であろう。それに暗くなってきた」
又四郎はそう言って、手を離そうとはしなかった。佳穂は誰かに会ったらと心配でならなかった。
「さような慎みのないまねをすると、奥の年寄に叱られます」
佳穂は鳴滝に悪人になってもらうことにした。
「やれやれ。では、離れずついて参るのだぞ」
やっと手を離した又四郎であった。
廊下に出ると、外はすでに闇に包まれていた。手燭を持った小姓が現われ、又四郎を先導した。
佳穂は又四郎の紺色の帷子を頼りに前に進んだ。歩いたことのない表御殿の廊下だが、その紺色を見ていると、少しも不安は感じなかった。
目付の部屋まで、佳穂は又四郎について行った。途中、小姓や表御殿の役人と行き合ったが、皆、端に寄り頭を下げ、佳穂をじろじろと見ることはなかった。
目付の部屋に又四郎が入ると、配下の者達が恐縮してしまった。
「例の袱紗を見せてもらえぬか」
そう言われて断れるはずもなかった。
又四郎は行灯の光の下で佳穂に見せた。
「これは」
確かに分家の奥方瑠璃姫の紅梅の御印が刺繍されていた。
と、同時に佳穂は不審を覚えた。行灯は明るいだけでなく、油を熱しているのでほんのりと温かい。その熱のせいか、袱紗から香りが漂ってきたのである。
「この香り、どこかでかいだような」
「香りがするのか」
「はい」
又四郎は袱紗を鼻に近づけた。
「そういえば、なんとなく。どこかでかいだような」
又四郎も香りに覚えがあるようだった。
一介の浪人が袱紗に香りが移るほど衣服に香を焚き染めるはずなどなかった。
袱紗に包まれていた一分銀も見せてもらった。こちらからは香りはしなかった。
「一分銀は袱紗に長いこと包まれていたわけではないのですね」
「そうだろうな。それにしても、香で袱紗の持ち主がわかるかもしれぬのに、何故、焚き染めたものを浪人に渡したのか」
「畏れながら、香りというのは慣れてしまうと感じぬものなのです」
「慣れると感じないとは」
「最初は感じても、そのうち、鼻が慣れて匂いを感じなくなるのです。若殿様はご自分の鬢付け油の匂いにお気づきですか」
又四郎は驚いて佳穂を見た。
「あ、そういえばそうだな。髪を整える時に付けてすぐは匂いが強いと感じるが、しばらくすると匂いのことなど忘れているな。今も言われて、匂いがすると気づいた」
「人は己の匂いには気付きにくいのです。他の者はすぐに気付きますが」
「なるほど。つまり、この袱紗を持っていた者は自分の香の匂いに気付いていなかったということか」
「はい」
目付の配下達も二人の会話を聞いて、なるほどと顔を見合わせていた。
「いつもこの香をかいでいるので、鼻が慣れてしまったのでしょう」
「どこでかいだか、覚えていないか。私もかいだ気がするのだが思い出せぬ」
改めて聞かれ、佳穂は記憶を引っ張りだす。
奥では、女達が好みの香りを自分で調えたり、出入りの小間物屋から香を買ったりしている。ただ、鳴滝があまりに濃い香りは下品と言っているので、持ち物までに沁みつくほどの匂いをさせている者はいない。
だとすると、本家の奥ではない。
「まさか」
思い浮かんだ人の顔に、佳穂は当惑を覚えていた。
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