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お清の中臈
参 佳穂のため息
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「もおおおおおおおおお」
六つ半(朝七時頃)になると、殿様の起床を知らせる小姓の声が屋敷中に響く。
ここは江戸外桜田にある望月藩月野家の上屋敷。
先月四月に参勤のため江戸に到着した殿様月野丹後守斉尚の住む屋敷である。
月野家は関ヶ原の戦いの後に幕府に従ったいわゆる外様大名で、瀬戸内に面した中国地方の一部を治めている。石高は十万石。
彼が起居するのは屋敷の中奥と呼ばれる区域である。起きて身支度を終えると朝食をとり、夏は毎日、冬は隔日入浴する。その後、袴を付けて奥に行く。
奥とは殿様の妻である奥方様が生活する区域。そこには奥方だけでなく、身の回りの世話をする奥女中たちが住んでいる。
奥には御先祖様をまつる仏壇があるので、奥方様と一緒に礼拝する。それが終わると、政務をとる表御殿に行って仕事をする。また、月に三度(一日・十五日・二十八日)の月次御礼と年始、五節句、八朔、謡初め・嘉祥・玄猪などの行事が行われる日はそれぞれに決められた装束を身につけて登城、将軍様にご挨拶に伺うことになっている。
この日は登城の日ではなかったので、斉尚は午前中は国からの報告を受け家老に指示を出し、約束していた来客に会った。ごく普通の一日である。
昼食を食べた後に奥方様のいる奥に顔を出した。
殿様は奥方様のいる座敷に入ると、上座に着いた。
「御前様には御機嫌うるわしう」
奥方様の挨拶に殿様は鷹揚にうなずいた。御前様とは殿様のことである。殿様の呼び方は大名家によって違いがある。お殿様というのが一般的だが、中には戦国の世さながらに御館様などと呼ぶ家もある。月野家では御前様である。
「うむ。奥の者も皆息災で何より。皆、面を上げよ」
御前様は奥方様の背後に控える女達の顔を見渡した。
奥方様に仕える年寄の鳴滝を始めとする奥女中たちが控えている。全員、髪を御目見え以上に許された片外しという型に結い上げ、化粧は完璧、装束もきちんと身に着けて、少しの乱れもない。年少の小姓は稚児髷という、二つに分けた髪を頭上で輪の形に束ねた髪型に薄い化粧をして、緊張した顔で控えている。
彼女達は夜明けの頃に起きて身だしなみを整え、他の部屋の奥女中らには決して素顔を見せることはない。それが御殿女中の意地というものであった。
殿様はいつも見る顔がないことに気付いた。
「ん、淑はどうした。それにお佳穂とお園の顔も見えぬ」
奥方様の顔が曇った。
「淑は部屋に。お佳穂が呼びに行っております」
「またか」
殿様はため息をついてしまった。子どもの頃から、ため息はなりませんと守役に言われていたのに。
殿様にとって、まつりごと以外での目下の最大の悩みの種は淑姫である。一昨年譜代の花尾家に嫁入ったのだが、離縁するからと戻って来たのが先月のこと。離縁の理由は、夫の許しを得ずにお忍びで芝居見物に行ったからということだった。
輿入れ道具や持参金が戻ってきたとはいえ、姫とそのお付き五人が再び実家に戻ってきたため、奥の出費は増える上に、離縁されたとあっては外聞も悪い。
その兄の嫡男斉倫は非の打ちどころのない出来のいい息子で、何の心配もない。某家の姫との縁談も近々まとまる予定である。
斉倫は中屋敷に住んでいるので、将来その妻が小姑の淑姫と顔を合わせることはないのだが、出戻りの姉の存在は縁談に関する両家の話し合いの場でも話題になることがあった。今のところ問題は起こしていないが、何かあれば破談になりかねないので、殿様は奥に行くたびに淑姫に奇矯の振舞をせぬようによくよく言って聞かせていた。
恐らくそれが淑姫は面倒で、顔を出さないのであろうと殿様は推察していた。
「わかった、わかったから」
野太い声が近づいてきたので、奥方様はほっと息を吐いた。
「どうやら参ったようですね」
また別の声が聞こえた。
「姫様、どうか、御心安らかに、御前様にご対面を」
「わかってるって。お佳穂、もういいから」
殿様は乱雑な娘の物言いが嘆かわしく顔を曇らせた。
「申し訳ありません。昼寝をしておりました」
そう言って入って来たのは、すらっとした背の高い女性だった。平均的な女性の背丈よりも頭一つ大きく、目鼻立ちがはっきりした顔は美人の枠から大きく外れていた。だが、笑顔には愛嬌があった。それゆえに甘やかしてしまったと、殿様は最近反省している。
奥方様は娘を急き立てた。
「淑、早う挨拶を」
衣擦れの音とともに、淑姫は母のやや斜め後ろに座った。その後方に影のようにすっと一人奥女中が控えた。
「御前様には御機嫌うるわしう」
「昼寝とは、見苦しいぞ」
「申し訳ありません」
「お佳穂」
殿様は淑姫の背後に控えた奥女中に声を掛けた。
「はい」
顔を上げた奥女中は年の頃は二十ばかり。片外しに結った髪は豊かで、表情はきりりと引き締まっている。
「そなたは奥付き。淑の面倒までみなくても構わぬ。お園はいかがしたのだ」
「おそれながら、お園は癪で休んでおります」
答える声は柔らかいが、はっきりと聞き取れる声だった。
「そうか。お園にも伝えよ。次からは起こしに行かずともよいと。余が叩き起こしに行くゆえ」
「ええっ、それはあんまりです」
淑姫は叫んだ。母親の聡姫は珍しく声を荒げた。
「淑、声が大きい」
「すみません」
言葉とは裏腹に表情には不服の色が見えた。殿様はこれでは嫁ぎ先の姑や奥女中らもさぞかしあきれ果てたに違いないと、情けなくなってきた。いや、それ以前に婿が愛想を尽かしたのであろう。
「よいか、淑。この先、中屋敷の斉倫が嫁をとる。そなたの大声を聞いたら怯えるではないか。もう少し優しく話ができぬか」
「これは生まれつきでございます。それに御先祖様も戦場では大声を張り上げておいでかと」
「今は戦の世ではない。そなたは誰と戦うつもりじゃ」
「先月までは夫であった殿と戦っておりましたが、今のところは戦う相手はおりません」
数人の奥女中が笑いをかみ殺していた。
「ならば、少しは控えよ」
「かしこまりました」
殊勝げな顔で淑姫は頭を下げた。
年寄の鳴滝、佳穂、奥方様付きの小姓二人だけが殿様と奥方様と同席し、淑姫と他の奥女中は座敷から退出した。
殿様と奥方様の前にお茶と菓子が運ばれ、少し部屋の空気がなごやかになった。
「お佳穂、お園とともに、淑のことで苦労しておるのではないか」
まず、殿様は佳穂をねぎらった。
「お言葉ありがたき幸せ。なれど、苦労のうちには入りません。姫様のお健やかな声を聞くと心強く思われます」
佳穂は正直に答えた。が、鳴滝はお健やか過ぎじゃと心の内でつぶやいていた。
「ほんに、淑には困っております」
奥方様は、婚家から戻された後も相変わらず隙を見ては外へ芝居を見に行こうとする淑姫に手こずっていた。幸い、奥の玄関や通用口の者達は昔から淑姫をよく知っていて、多少手荒に追い払っても怪我などしないことを知っていた。それにいくら変装しても屋敷の女の中で一番の背の高さは誤魔化せない。
「あちらさまでは、責任をとって、家老が腹を切る切らぬの騒ぎになったというのに」
淑姫の勝手な芝居見物の責任をとって家老が切腹すると言いだし、夫である殿様は離縁を決断したのだった。淑姫を奥方にしていては、家老が何人いても足らぬと。ちなみにこの家老は隠居を命じられ、切腹は免れた。
「畏れながら」
奥の女達を取り締まる年寄の鳴滝はさらに憂慮すべき事態を告げた。
「先日、広敷にももんじなるものを商う龍田屋なる店の掛け取りが参りまして。姫様に尋ねると十日前に通いの御末を通じてぼたんを掛けで買ってお部屋で煮て食べたとのことでございます」
「なんと」
殿様はあまりのことにそれ以上言葉が出なかった。
ももんじとは猪や鹿等の獣の肉である。それを商う者はももんじ屋という。ぼたんとは山鯨とも称された猪の肉の隠語である。
当時は仏教の影響もあり、四足の獣の肉を食べることは避けられていた。それは庶民も大名家も同様である。ただし、病気などで身体が弱っている場合は薬食いと称して食べることがあった。
だが、淑姫はどう見ても身体が弱っているようには見えない。
何より、月野家も他の大名家同様財政が苦しく、殿様は質素倹約を家中に命じている。奥も例外ではなく、倹約をして一汁二菜の食事をしている。
それなのに、娘の淑姫がももんじ屋から猪の肉を買って部屋で煮て食べたとは、家来たちに示しがつかない。
「御前様、わたくしどもの責任でございます」
「いや、あれは国許で生まれ、生母を早くに亡くしたゆえ、わしが甘やかしてしまったのじゃ。奥は厳しく躾けてくれたが、性根が入らなかったと見える」
殿様は困ったものとまたもため息をつくしかなかった。
「畏れながら、姫様におかれましては早く年上のしっかりした殿様と再婚されるべきかと。あちらの殿は年下で姫様の手綱をうまくさばけなかったのではありますまいか」
鳴滝の提案に殿様も奥方様も佳穂も小姓もなるほどとうなずいた。
淑姫の前の夫花尾播磨守斉靖は七つ年下で、現在十四歳である。十二の年に父親を亡くし元服して跡を継ぎ、淑姫をめとった。七つ上の淑姫にとっては物足りぬ夫であったことは間違いない。ちなみに、この若い殿様は跡を継いだ時に幕府には十七歳と届けを出している。十七歳以上なら、万が一男子が生まれぬまま病気などで死亡した際に養子を認められ家が存続するからである。つまり、公式には現在十九歳で淑姫より二つ年下ということになっている。
結婚当時十二歳の若い殿様と十九歳の肉食大好きわがまま姫君が、うまくいくと思ったこと自体とんでもない話だが、この程度の年の差はよくある話であり、誰も心配していなかった。しっかりした年上の奥方を迎えれば、早く御世継も生まれようと相手の家では思っていた節がある。だが、結果は惨憺たるものだった。
年下ではうまくいかなかったからといって、次に年上の殿様とうまくいくかどうかはわからぬのだが。
「手綱さばきか」
殿様はつぶやいた。
「そうだな。考えておこう。まだ、離縁の手続きも終わっておらぬゆえ、そう急ぐこともあるまい」
親戚筋の家で後添いを求めている殿様の顔がいくつか浮かんだ。猪の肉を好む奥方を気に入るかどうかはわからぬが。
ふと奥方様が言った。
「分家の又四郎殿はどうであろうか」
「部屋住みの方か」
又四郎は先月の下屋敷での宴に遠慮して来なかった分家の斉理の「次男」である。
部屋住みとは跡継ぎとなる嫡男以外の男子で養子に行かず実家に住んでいる者を言う。部屋住みの名の通り屋敷の中の部屋に住み、結婚もできない。兄に万が一のことがあった場合には家を継ぐことができるが、一生を部屋住みで終わる者も多い。
「又四郎殿は学問も武術も優れておいでとか。お佳穂、分家に仕えておるそなたの叔母から、又四郎殿の噂を何か聞かぬか」
奥方様は分家の奥方瑠璃姫の言葉をそのまま信じてはいない。夫である殿様から蘭癖の若殿様らと交遊があり、武術も嗜んでいると聞いていたので、学問も武術も優れているらしいと推定していた。
「畏れながら、何もうかがっておりませぬ」
奥方様の問いにお佳穂は正直に答えた。分家の屋敷は本家の上屋敷の敷地と隣接していて、長男の斉陽はよく本家にも顔を出すが、又四郎は本家に来ることはない。従って、本家の家臣の大半と奥女中は顔も知らない。
佳穂の叔母は分家の奥に勤めているが、挨拶に年に一度行くくらいで、後は季節ごとに手紙などをやり取りする程度であった。職務に忠実な叔母がきかれもせぬのに、分家の家族、それも部屋住みの方の話など自分からするわけもなかった。
「お佳穂は国許の月影から出て以来、日夜奥で働いて分家に滅多に行かぬゆえ。たまには身体を休めるように言うておるのですが」
鳴滝の言葉通り、佳穂は月野家上屋敷の奥でこの六年働き続け、月のものと上からの指図以外では休んだことはない。
「では、明日にでも月影の屋敷に行き、叔母に会い又四郎殿のことを伺って参れ」
殿様の命令は絶対である。
お佳穂は謹んで承りますと頭を下げた。
佳穂は自分の部屋を持つ奥女中である。
その夜、勤めを終え部屋に戻った佳穂を待っていたのは小姓二人である。
二人はまだ十歳と十二歳で、父親はそれぞれこの屋敷で働いている。先月殿様の参勤で父親とともに江戸屋敷に入り、奥方様の小姓として仕え始めたのである。
歌を教えるということで、有名な歌人の歌について話をしたり、作った歌の評価をするのだが、実のところは、故郷を離れた少女の不安を解消するための方便だった。
半刻ほど歌の話をした後、癪で休んだお園からもらった金平糖を食べさせていると、少女達は最近の出来事をぽつりぽつりと語り始める。それを聞くのが、実は歌の講義よりも重要なことだった。
家族が恋しくないか、苛められていないか、他の者と仲良くできているか、お佳穂は注意深く話を聞く。実際、小姓同士の苛めが発覚し、苛めた小姓を去年国許に帰している。
幸いにも二人は苛められている様子もない。だが、十二歳のおくらという少女がいつもよりおとなしい。先に十歳のおくめを部屋に戻し、おくらに、最近何か困ったことがないか尋ねた。
少しの間、おくらはためらっていたが、意を決したように口を開いた。
「この頃、胸が痛くなるのです。何か悪い病ではないかと怖くて」
「胸とはこのあたりか」
佳穂は自分の胸乳のあたりを手で示した。
「はい」
それは佳穂にも心当たりがあった。佳穂は乳母に尋ねたのでそれほど長く悩まなかったが、おくらは他の少女達との集団生活の中で尋ねることもできず苦しんでいたようだった。
「私もおくらの年頃には痛いことがあった。病ではない」
おくらの顔がぱっと明るくなった。
そういえば、おくらも母が亡くなっていたのだと思い出した。女のきょうだいもいなかったはずである。父親の身分があまり高くないので、乳母もいない。教えられていないことがたくさんあるのだろう。
「子どもの身体は大人に近づくにつれ変わっていく。もし困ったことがあったら、いつでも話しておくれ」
「はい」
おくらは明るい足取りで部屋へ戻った。
よかった。佳穂は心からそう思った。
こういうことを始めたのは、幼い頃の経験があったからである。話を聞いてくれる人がいる、それがどれほど心を安定させるか、佳穂は知っていた。母を亡くした佳穂に声を掛けてくれたあの人のようになりたいと心密かに願っていた。
だから、佳穂は年少の者には特に注意を向けて声をかけるようにしている。
けれど、佳穂自身には自分の心の鬱屈を相談する相手はいない。
女ばかりの奥では、ちょっとした言葉を漏らしただけで、何倍にも大きくなって広まる。勤め始めた頃、同室の小姓に髪の毛に隠れた部分にもあばたがあることを話したら、翌日には頭だけではなく他の部分にも広がっているという話になっていた。彼女の口の軽いことをお園から知らされて、佳穂は心のうちに思うことをすべて話してはならないのだと悟った。彼女は数か月後、淑姫の機嫌を損ねたという理由で暇をとらされている。
そんな過去もあり、個室が与えられる中臈になるまで、部屋でため息をつくこともはばかられた。
今は化粧を落とすとわれ知らぬうちにため息をついていることが多い。
ことに明日のことを考えると気が重い。叔母は悪い人ではないのだが、隙あらば縁組を勧めてくるのだ。その前には、本家の若殿様の気を引くような振舞をするように言うこともあった。若殿様がお志麻の方を側に置くようになってからはその話はしなくなったが。
それさえなければ叔母は佳穂にとって奥女中としての生き方の見本のような人だった。
六つ半(朝七時頃)になると、殿様の起床を知らせる小姓の声が屋敷中に響く。
ここは江戸外桜田にある望月藩月野家の上屋敷。
先月四月に参勤のため江戸に到着した殿様月野丹後守斉尚の住む屋敷である。
月野家は関ヶ原の戦いの後に幕府に従ったいわゆる外様大名で、瀬戸内に面した中国地方の一部を治めている。石高は十万石。
彼が起居するのは屋敷の中奥と呼ばれる区域である。起きて身支度を終えると朝食をとり、夏は毎日、冬は隔日入浴する。その後、袴を付けて奥に行く。
奥とは殿様の妻である奥方様が生活する区域。そこには奥方だけでなく、身の回りの世話をする奥女中たちが住んでいる。
奥には御先祖様をまつる仏壇があるので、奥方様と一緒に礼拝する。それが終わると、政務をとる表御殿に行って仕事をする。また、月に三度(一日・十五日・二十八日)の月次御礼と年始、五節句、八朔、謡初め・嘉祥・玄猪などの行事が行われる日はそれぞれに決められた装束を身につけて登城、将軍様にご挨拶に伺うことになっている。
この日は登城の日ではなかったので、斉尚は午前中は国からの報告を受け家老に指示を出し、約束していた来客に会った。ごく普通の一日である。
昼食を食べた後に奥方様のいる奥に顔を出した。
殿様は奥方様のいる座敷に入ると、上座に着いた。
「御前様には御機嫌うるわしう」
奥方様の挨拶に殿様は鷹揚にうなずいた。御前様とは殿様のことである。殿様の呼び方は大名家によって違いがある。お殿様というのが一般的だが、中には戦国の世さながらに御館様などと呼ぶ家もある。月野家では御前様である。
「うむ。奥の者も皆息災で何より。皆、面を上げよ」
御前様は奥方様の背後に控える女達の顔を見渡した。
奥方様に仕える年寄の鳴滝を始めとする奥女中たちが控えている。全員、髪を御目見え以上に許された片外しという型に結い上げ、化粧は完璧、装束もきちんと身に着けて、少しの乱れもない。年少の小姓は稚児髷という、二つに分けた髪を頭上で輪の形に束ねた髪型に薄い化粧をして、緊張した顔で控えている。
彼女達は夜明けの頃に起きて身だしなみを整え、他の部屋の奥女中らには決して素顔を見せることはない。それが御殿女中の意地というものであった。
殿様はいつも見る顔がないことに気付いた。
「ん、淑はどうした。それにお佳穂とお園の顔も見えぬ」
奥方様の顔が曇った。
「淑は部屋に。お佳穂が呼びに行っております」
「またか」
殿様はため息をついてしまった。子どもの頃から、ため息はなりませんと守役に言われていたのに。
殿様にとって、まつりごと以外での目下の最大の悩みの種は淑姫である。一昨年譜代の花尾家に嫁入ったのだが、離縁するからと戻って来たのが先月のこと。離縁の理由は、夫の許しを得ずにお忍びで芝居見物に行ったからということだった。
輿入れ道具や持参金が戻ってきたとはいえ、姫とそのお付き五人が再び実家に戻ってきたため、奥の出費は増える上に、離縁されたとあっては外聞も悪い。
その兄の嫡男斉倫は非の打ちどころのない出来のいい息子で、何の心配もない。某家の姫との縁談も近々まとまる予定である。
斉倫は中屋敷に住んでいるので、将来その妻が小姑の淑姫と顔を合わせることはないのだが、出戻りの姉の存在は縁談に関する両家の話し合いの場でも話題になることがあった。今のところ問題は起こしていないが、何かあれば破談になりかねないので、殿様は奥に行くたびに淑姫に奇矯の振舞をせぬようによくよく言って聞かせていた。
恐らくそれが淑姫は面倒で、顔を出さないのであろうと殿様は推察していた。
「わかった、わかったから」
野太い声が近づいてきたので、奥方様はほっと息を吐いた。
「どうやら参ったようですね」
また別の声が聞こえた。
「姫様、どうか、御心安らかに、御前様にご対面を」
「わかってるって。お佳穂、もういいから」
殿様は乱雑な娘の物言いが嘆かわしく顔を曇らせた。
「申し訳ありません。昼寝をしておりました」
そう言って入って来たのは、すらっとした背の高い女性だった。平均的な女性の背丈よりも頭一つ大きく、目鼻立ちがはっきりした顔は美人の枠から大きく外れていた。だが、笑顔には愛嬌があった。それゆえに甘やかしてしまったと、殿様は最近反省している。
奥方様は娘を急き立てた。
「淑、早う挨拶を」
衣擦れの音とともに、淑姫は母のやや斜め後ろに座った。その後方に影のようにすっと一人奥女中が控えた。
「御前様には御機嫌うるわしう」
「昼寝とは、見苦しいぞ」
「申し訳ありません」
「お佳穂」
殿様は淑姫の背後に控えた奥女中に声を掛けた。
「はい」
顔を上げた奥女中は年の頃は二十ばかり。片外しに結った髪は豊かで、表情はきりりと引き締まっている。
「そなたは奥付き。淑の面倒までみなくても構わぬ。お園はいかがしたのだ」
「おそれながら、お園は癪で休んでおります」
答える声は柔らかいが、はっきりと聞き取れる声だった。
「そうか。お園にも伝えよ。次からは起こしに行かずともよいと。余が叩き起こしに行くゆえ」
「ええっ、それはあんまりです」
淑姫は叫んだ。母親の聡姫は珍しく声を荒げた。
「淑、声が大きい」
「すみません」
言葉とは裏腹に表情には不服の色が見えた。殿様はこれでは嫁ぎ先の姑や奥女中らもさぞかしあきれ果てたに違いないと、情けなくなってきた。いや、それ以前に婿が愛想を尽かしたのであろう。
「よいか、淑。この先、中屋敷の斉倫が嫁をとる。そなたの大声を聞いたら怯えるではないか。もう少し優しく話ができぬか」
「これは生まれつきでございます。それに御先祖様も戦場では大声を張り上げておいでかと」
「今は戦の世ではない。そなたは誰と戦うつもりじゃ」
「先月までは夫であった殿と戦っておりましたが、今のところは戦う相手はおりません」
数人の奥女中が笑いをかみ殺していた。
「ならば、少しは控えよ」
「かしこまりました」
殊勝げな顔で淑姫は頭を下げた。
年寄の鳴滝、佳穂、奥方様付きの小姓二人だけが殿様と奥方様と同席し、淑姫と他の奥女中は座敷から退出した。
殿様と奥方様の前にお茶と菓子が運ばれ、少し部屋の空気がなごやかになった。
「お佳穂、お園とともに、淑のことで苦労しておるのではないか」
まず、殿様は佳穂をねぎらった。
「お言葉ありがたき幸せ。なれど、苦労のうちには入りません。姫様のお健やかな声を聞くと心強く思われます」
佳穂は正直に答えた。が、鳴滝はお健やか過ぎじゃと心の内でつぶやいていた。
「ほんに、淑には困っております」
奥方様は、婚家から戻された後も相変わらず隙を見ては外へ芝居を見に行こうとする淑姫に手こずっていた。幸い、奥の玄関や通用口の者達は昔から淑姫をよく知っていて、多少手荒に追い払っても怪我などしないことを知っていた。それにいくら変装しても屋敷の女の中で一番の背の高さは誤魔化せない。
「あちらさまでは、責任をとって、家老が腹を切る切らぬの騒ぎになったというのに」
淑姫の勝手な芝居見物の責任をとって家老が切腹すると言いだし、夫である殿様は離縁を決断したのだった。淑姫を奥方にしていては、家老が何人いても足らぬと。ちなみにこの家老は隠居を命じられ、切腹は免れた。
「畏れながら」
奥の女達を取り締まる年寄の鳴滝はさらに憂慮すべき事態を告げた。
「先日、広敷にももんじなるものを商う龍田屋なる店の掛け取りが参りまして。姫様に尋ねると十日前に通いの御末を通じてぼたんを掛けで買ってお部屋で煮て食べたとのことでございます」
「なんと」
殿様はあまりのことにそれ以上言葉が出なかった。
ももんじとは猪や鹿等の獣の肉である。それを商う者はももんじ屋という。ぼたんとは山鯨とも称された猪の肉の隠語である。
当時は仏教の影響もあり、四足の獣の肉を食べることは避けられていた。それは庶民も大名家も同様である。ただし、病気などで身体が弱っている場合は薬食いと称して食べることがあった。
だが、淑姫はどう見ても身体が弱っているようには見えない。
何より、月野家も他の大名家同様財政が苦しく、殿様は質素倹約を家中に命じている。奥も例外ではなく、倹約をして一汁二菜の食事をしている。
それなのに、娘の淑姫がももんじ屋から猪の肉を買って部屋で煮て食べたとは、家来たちに示しがつかない。
「御前様、わたくしどもの責任でございます」
「いや、あれは国許で生まれ、生母を早くに亡くしたゆえ、わしが甘やかしてしまったのじゃ。奥は厳しく躾けてくれたが、性根が入らなかったと見える」
殿様は困ったものとまたもため息をつくしかなかった。
「畏れながら、姫様におかれましては早く年上のしっかりした殿様と再婚されるべきかと。あちらの殿は年下で姫様の手綱をうまくさばけなかったのではありますまいか」
鳴滝の提案に殿様も奥方様も佳穂も小姓もなるほどとうなずいた。
淑姫の前の夫花尾播磨守斉靖は七つ年下で、現在十四歳である。十二の年に父親を亡くし元服して跡を継ぎ、淑姫をめとった。七つ上の淑姫にとっては物足りぬ夫であったことは間違いない。ちなみに、この若い殿様は跡を継いだ時に幕府には十七歳と届けを出している。十七歳以上なら、万が一男子が生まれぬまま病気などで死亡した際に養子を認められ家が存続するからである。つまり、公式には現在十九歳で淑姫より二つ年下ということになっている。
結婚当時十二歳の若い殿様と十九歳の肉食大好きわがまま姫君が、うまくいくと思ったこと自体とんでもない話だが、この程度の年の差はよくある話であり、誰も心配していなかった。しっかりした年上の奥方を迎えれば、早く御世継も生まれようと相手の家では思っていた節がある。だが、結果は惨憺たるものだった。
年下ではうまくいかなかったからといって、次に年上の殿様とうまくいくかどうかはわからぬのだが。
「手綱さばきか」
殿様はつぶやいた。
「そうだな。考えておこう。まだ、離縁の手続きも終わっておらぬゆえ、そう急ぐこともあるまい」
親戚筋の家で後添いを求めている殿様の顔がいくつか浮かんだ。猪の肉を好む奥方を気に入るかどうかはわからぬが。
ふと奥方様が言った。
「分家の又四郎殿はどうであろうか」
「部屋住みの方か」
又四郎は先月の下屋敷での宴に遠慮して来なかった分家の斉理の「次男」である。
部屋住みとは跡継ぎとなる嫡男以外の男子で養子に行かず実家に住んでいる者を言う。部屋住みの名の通り屋敷の中の部屋に住み、結婚もできない。兄に万が一のことがあった場合には家を継ぐことができるが、一生を部屋住みで終わる者も多い。
「又四郎殿は学問も武術も優れておいでとか。お佳穂、分家に仕えておるそなたの叔母から、又四郎殿の噂を何か聞かぬか」
奥方様は分家の奥方瑠璃姫の言葉をそのまま信じてはいない。夫である殿様から蘭癖の若殿様らと交遊があり、武術も嗜んでいると聞いていたので、学問も武術も優れているらしいと推定していた。
「畏れながら、何もうかがっておりませぬ」
奥方様の問いにお佳穂は正直に答えた。分家の屋敷は本家の上屋敷の敷地と隣接していて、長男の斉陽はよく本家にも顔を出すが、又四郎は本家に来ることはない。従って、本家の家臣の大半と奥女中は顔も知らない。
佳穂の叔母は分家の奥に勤めているが、挨拶に年に一度行くくらいで、後は季節ごとに手紙などをやり取りする程度であった。職務に忠実な叔母がきかれもせぬのに、分家の家族、それも部屋住みの方の話など自分からするわけもなかった。
「お佳穂は国許の月影から出て以来、日夜奥で働いて分家に滅多に行かぬゆえ。たまには身体を休めるように言うておるのですが」
鳴滝の言葉通り、佳穂は月野家上屋敷の奥でこの六年働き続け、月のものと上からの指図以外では休んだことはない。
「では、明日にでも月影の屋敷に行き、叔母に会い又四郎殿のことを伺って参れ」
殿様の命令は絶対である。
お佳穂は謹んで承りますと頭を下げた。
佳穂は自分の部屋を持つ奥女中である。
その夜、勤めを終え部屋に戻った佳穂を待っていたのは小姓二人である。
二人はまだ十歳と十二歳で、父親はそれぞれこの屋敷で働いている。先月殿様の参勤で父親とともに江戸屋敷に入り、奥方様の小姓として仕え始めたのである。
歌を教えるということで、有名な歌人の歌について話をしたり、作った歌の評価をするのだが、実のところは、故郷を離れた少女の不安を解消するための方便だった。
半刻ほど歌の話をした後、癪で休んだお園からもらった金平糖を食べさせていると、少女達は最近の出来事をぽつりぽつりと語り始める。それを聞くのが、実は歌の講義よりも重要なことだった。
家族が恋しくないか、苛められていないか、他の者と仲良くできているか、お佳穂は注意深く話を聞く。実際、小姓同士の苛めが発覚し、苛めた小姓を去年国許に帰している。
幸いにも二人は苛められている様子もない。だが、十二歳のおくらという少女がいつもよりおとなしい。先に十歳のおくめを部屋に戻し、おくらに、最近何か困ったことがないか尋ねた。
少しの間、おくらはためらっていたが、意を決したように口を開いた。
「この頃、胸が痛くなるのです。何か悪い病ではないかと怖くて」
「胸とはこのあたりか」
佳穂は自分の胸乳のあたりを手で示した。
「はい」
それは佳穂にも心当たりがあった。佳穂は乳母に尋ねたのでそれほど長く悩まなかったが、おくらは他の少女達との集団生活の中で尋ねることもできず苦しんでいたようだった。
「私もおくらの年頃には痛いことがあった。病ではない」
おくらの顔がぱっと明るくなった。
そういえば、おくらも母が亡くなっていたのだと思い出した。女のきょうだいもいなかったはずである。父親の身分があまり高くないので、乳母もいない。教えられていないことがたくさんあるのだろう。
「子どもの身体は大人に近づくにつれ変わっていく。もし困ったことがあったら、いつでも話しておくれ」
「はい」
おくらは明るい足取りで部屋へ戻った。
よかった。佳穂は心からそう思った。
こういうことを始めたのは、幼い頃の経験があったからである。話を聞いてくれる人がいる、それがどれほど心を安定させるか、佳穂は知っていた。母を亡くした佳穂に声を掛けてくれたあの人のようになりたいと心密かに願っていた。
だから、佳穂は年少の者には特に注意を向けて声をかけるようにしている。
けれど、佳穂自身には自分の心の鬱屈を相談する相手はいない。
女ばかりの奥では、ちょっとした言葉を漏らしただけで、何倍にも大きくなって広まる。勤め始めた頃、同室の小姓に髪の毛に隠れた部分にもあばたがあることを話したら、翌日には頭だけではなく他の部分にも広がっているという話になっていた。彼女の口の軽いことをお園から知らされて、佳穂は心のうちに思うことをすべて話してはならないのだと悟った。彼女は数か月後、淑姫の機嫌を損ねたという理由で暇をとらされている。
そんな過去もあり、個室が与えられる中臈になるまで、部屋でため息をつくこともはばかられた。
今は化粧を落とすとわれ知らぬうちにため息をついていることが多い。
ことに明日のことを考えると気が重い。叔母は悪い人ではないのだが、隙あらば縁組を勧めてくるのだ。その前には、本家の若殿様の気を引くような振舞をするように言うこともあった。若殿様がお志麻の方を側に置くようになってからはその話はしなくなったが。
それさえなければ叔母は佳穂にとって奥女中としての生き方の見本のような人だった。
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