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第二章*ねじれた視線*
光の影に④
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「―…ジャミル。
そろそろ、出立するぞ?
…陛下も、宜しいですか?」
あれから、一刻程経過して。
遠慮がちに、馬車の外からノックと共に声をかけるアリル。
ー…だが、セリアからの返事は無く。
代わりにジャミルの「開けろ」と短い返事が聞こえた。
「?…どうし―…」
訝しげに馬車の扉を開けると、何とセリアは眠っていたのだ。
―…事もあろうか、ジャミルの膝の上で。
「ー…!!っ、なっ!何をして…!!」
顔を真っ赤に憤怒するアリル。
ジャミルは「黙れ」とだけ言うと、そのまま馬車の中へ引きずり込んだ。
「お前…!」
「静かにしろよ。
…やっと眠れたんだから、よ」
「え…?」
「最近、陛下のお眠りが浅いのは、ジルダ少年が言っていたから知っているだろう?
…先程、お前の事をお話した。
…彼女、…やっと、泣けたんだよ。
ー…わかるか?その“意味”が」
「それは…」
申し訳なさそうに視線を落とせば、セリアの安らかな寝顔に辿り着く。
ジャミルの言葉通り、目元がやや赤くなっていた。
(―…『やっと泣けたんだよ。
わかるか?その“意味”が』
…ずっと、我慢してたんだな。
いや。
我慢、させてたんだな…)
「ごめんね、セリア…」
小さく、本当に小さく呟く。
それは、まるで懺悔を乞うかの様に。
セリアの髪を優しく梳くアリルを見て、ジャミルは問う。
「なぁ、アリル。
お前…、実際どう思っているんだ?
陛下の事は…」
「どうって…。それは…お慕いしているさ。
敬愛の象徴として…」
「それは建前として、だろう?」
「―…何が言いたい?」
ジャミルの、尋問に近い質問にアリルの周りの空気は一変した。
それまでの、甘さを含んだ優しい空気は、パキッと一触即発のそれへと変わる。
「何もなにも。
お前自身、どう想っているか聞いているんだよ。
今更、何とも思っていないとか言うなよ?
…陛下のお言葉通り、『甘言』を撒き散らしていたのか?
恋に不馴れな陛下を誑かしていたのかよ!
アリル!!」
「違う!」
「じゃあ…!」
「セリアの事は、好きだ。
それは間違いない。
髪の先から、足の爪先まで、ぼくのものだと言える日を願っている。
彼女の事を思うだけで、身体の奥が焦れた様に熱くなる。
…今、お前が膝枕をしているこの状況を、ぼくがどんな気持ちで見ているか、わかるか?!」
「それは…。すまん」
アリルの正直な気持ちを、改めて聞き思わず笑ってしまう。
ティニアに対しては、常に完璧な「王子様」だ。
完璧ゆえにティニアに対しヤキモチを妬いている様を見た事が無かった。
―…だが、セリアに対しては、独占欲を素直に露呈しているのだ。
それだけ、焦がれているのだろう。
「…けど。
彼女を求めても、ヴェスパさまから護れなければ、ダメなんだ。
だから、いっその事…。
嫌われてしまいたい…。
今は、そう思うよ」
「たとえヴェスパさまから護っても、結局傷付けてたら、意味が無いだろ?
正直に気持ちを話せば良いじゃないか」
「“ぼくと共に死ぬより辛い目にあってくれ”って?
女王の立場も捨ててか?
させられるかよ、そんな事を。
セリアには幸せになって貰いたいんだよ。
誰よりも…」
「とにかく、陛下ともう一度話してやれよ。
距離を置くにしても事情を言ってやれ。
でないと…。
余りにも惨いぞ?」
「わかってる。…でも」
「ー…ったく。
今度は何だよ?」
煮え切らないアリルに呆れ混じりの視線を投げる。
遠慮が無いのは、それだけ付き合いが長く深い証拠だ。
「でも…。
もし今、彼女と二人で話したら、きっと告白してしまう。
虫が良いのはわかってるけど…」
言いながら、真っ赤になるアリルを見て、ジャミルは「別に、それでも良いんじゃねぇの?」とだけ言い放った。
寧ろ、それが本心なのだから。
「―…まあ良い。
とにかく、直に出立するからな?」
「ああ。わかってる」
話しながら、馬車を下りるアリル。
ふと、ジャミルを一瞥すると、忌々しげに睨み付けた。
「…ジャミル」
「なんだよ」
「―…お前。後で覚えてろよ?」
チッと小さな舌打ちと。
真冬の深夜さながらの極寒な睨みと。
ジャミルは、今自分が親友にどの様に思われているか、否応なしに気付いている。
(素直な奴だなあ)
クスクス笑いながら、「そろそろ良いですよ?陛下」とセリアを揺する。
「―…私、ちゃんと寝たフリ出来てた?」
顔を真っ赤にしながら、起き上がる。
最初から寝てなどいない。
『アリルの真意を聞く為』に、狸寝入りをしていたのだ。
初めて、そう。
産まれて初めて異性の膝枕を体験して、産まれて初めて好きになった人に(親友越しにだが)「好き」と言われ。
もう、セリアは頭の中がグルグルしている。
「…今の陛下のお顔、アリルが見たら発狂しますね?」
「そんなに変な顔をしてるの?」
ジャミルが穏やかな笑みを浮かべながら、茶化すから。
セリアは『?』を頭上に浮かべながら小首を傾げる。
「言うなれば、“恋する乙女”そのものですね。きっと、アイツは陛下のそう言う表情を、他の男に見せたいとは思いますまい…」
「そ、そうかしら…?」
ジャミルの言葉に、暫し翻弄されるも、ハタと動きを止めた。
「陛下?」
「ねぇ。ジャミル神は良いの?」
「なにが、です?」
「だって。
“掟”があるし、何よりアリルにはティニアがいるじゃない。
それなのに、…私を応援してくれてるから…」
「ああ、それは…」
ジャミルが口を開こうとした時、ガコンッと鈍い音と共に馬車は動き出す。
先刻のアリルの言葉通り、休憩が終わった為に移動が始まったのだ。
「―…ジャミル。
そろそろ、出立するぞ?
…陛下も、宜しいですか?」
あれから、一刻程経過して。
遠慮がちに、馬車の外からノックと共に声をかけるアリル。
ー…だが、セリアからの返事は無く。
代わりにジャミルの「開けろ」と短い返事が聞こえた。
「?…どうし―…」
訝しげに馬車の扉を開けると、何とセリアは眠っていたのだ。
―…事もあろうか、ジャミルの膝の上で。
「ー…!!っ、なっ!何をして…!!」
顔を真っ赤に憤怒するアリル。
ジャミルは「黙れ」とだけ言うと、そのまま馬車の中へ引きずり込んだ。
「お前…!」
「静かにしろよ。
…やっと眠れたんだから、よ」
「え…?」
「最近、陛下のお眠りが浅いのは、ジルダ少年が言っていたから知っているだろう?
…先程、お前の事をお話した。
…彼女、…やっと、泣けたんだよ。
ー…わかるか?その“意味”が」
「それは…」
申し訳なさそうに視線を落とせば、セリアの安らかな寝顔に辿り着く。
ジャミルの言葉通り、目元がやや赤くなっていた。
(―…『やっと泣けたんだよ。
わかるか?その“意味”が』
…ずっと、我慢してたんだな。
いや。
我慢、させてたんだな…)
「ごめんね、セリア…」
小さく、本当に小さく呟く。
それは、まるで懺悔を乞うかの様に。
セリアの髪を優しく梳くアリルを見て、ジャミルは問う。
「なぁ、アリル。
お前…、実際どう思っているんだ?
陛下の事は…」
「どうって…。それは…お慕いしているさ。
敬愛の象徴として…」
「それは建前として、だろう?」
「―…何が言いたい?」
ジャミルの、尋問に近い質問にアリルの周りの空気は一変した。
それまでの、甘さを含んだ優しい空気は、パキッと一触即発のそれへと変わる。
「何もなにも。
お前自身、どう想っているか聞いているんだよ。
今更、何とも思っていないとか言うなよ?
…陛下のお言葉通り、『甘言』を撒き散らしていたのか?
恋に不馴れな陛下を誑かしていたのかよ!
アリル!!」
「違う!」
「じゃあ…!」
「セリアの事は、好きだ。
それは間違いない。
髪の先から、足の爪先まで、ぼくのものだと言える日を願っている。
彼女の事を思うだけで、身体の奥が焦れた様に熱くなる。
…今、お前が膝枕をしているこの状況を、ぼくがどんな気持ちで見ているか、わかるか?!」
「それは…。すまん」
アリルの正直な気持ちを、改めて聞き思わず笑ってしまう。
ティニアに対しては、常に完璧な「王子様」だ。
完璧ゆえにティニアに対しヤキモチを妬いている様を見た事が無かった。
―…だが、セリアに対しては、独占欲を素直に露呈しているのだ。
それだけ、焦がれているのだろう。
「…けど。
彼女を求めても、ヴェスパさまから護れなければ、ダメなんだ。
だから、いっその事…。
嫌われてしまいたい…。
今は、そう思うよ」
「たとえヴェスパさまから護っても、結局傷付けてたら、意味が無いだろ?
正直に気持ちを話せば良いじゃないか」
「“ぼくと共に死ぬより辛い目にあってくれ”って?
女王の立場も捨ててか?
させられるかよ、そんな事を。
セリアには幸せになって貰いたいんだよ。
誰よりも…」
「とにかく、陛下ともう一度話してやれよ。
距離を置くにしても事情を言ってやれ。
でないと…。
余りにも惨いぞ?」
「わかってる。…でも」
「ー…ったく。
今度は何だよ?」
煮え切らないアリルに呆れ混じりの視線を投げる。
遠慮が無いのは、それだけ付き合いが長く深い証拠だ。
「でも…。
もし今、彼女と二人で話したら、きっと告白してしまう。
虫が良いのはわかってるけど…」
言いながら、真っ赤になるアリルを見て、ジャミルは「別に、それでも良いんじゃねぇの?」とだけ言い放った。
寧ろ、それが本心なのだから。
「―…まあ良い。
とにかく、直に出立するからな?」
「ああ。わかってる」
話しながら、馬車を下りるアリル。
ふと、ジャミルを一瞥すると、忌々しげに睨み付けた。
「…ジャミル」
「なんだよ」
「―…お前。後で覚えてろよ?」
チッと小さな舌打ちと。
真冬の深夜さながらの極寒な睨みと。
ジャミルは、今自分が親友にどの様に思われているか、否応なしに気付いている。
(素直な奴だなあ)
クスクス笑いながら、「そろそろ良いですよ?陛下」とセリアを揺する。
「―…私、ちゃんと寝たフリ出来てた?」
顔を真っ赤にしながら、起き上がる。
最初から寝てなどいない。
『アリルの真意を聞く為』に、狸寝入りをしていたのだ。
初めて、そう。
産まれて初めて異性の膝枕を体験して、産まれて初めて好きになった人に(親友越しにだが)「好き」と言われ。
もう、セリアは頭の中がグルグルしている。
「…今の陛下のお顔、アリルが見たら発狂しますね?」
「そんなに変な顔をしてるの?」
ジャミルが穏やかな笑みを浮かべながら、茶化すから。
セリアは『?』を頭上に浮かべながら小首を傾げる。
「言うなれば、“恋する乙女”そのものですね。きっと、アイツは陛下のそう言う表情を、他の男に見せたいとは思いますまい…」
「そ、そうかしら…?」
ジャミルの言葉に、暫し翻弄されるも、ハタと動きを止めた。
「陛下?」
「ねぇ。ジャミル神は良いの?」
「なにが、です?」
「だって。
“掟”があるし、何よりアリルにはティニアがいるじゃない。
それなのに、…私を応援してくれてるから…」
「ああ、それは…」
ジャミルが口を開こうとした時、ガコンッと鈍い音と共に馬車は動き出す。
先刻のアリルの言葉通り、休憩が終わった為に移動が始まったのだ。
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