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シャルル=ヘイストンの華麗なる事情 【side B】
シャルルの事情 ⑲
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「ではこれから社交ダンスの試験を開始します」
ハイネ先生の声がやっと落ち着いた講堂内に響いた。
「一番目のアビゲイル=ジョンソン、二番目のアデル=ゴールドバーグ。パートナ―と共に準備をして下さい。準備が出来次第、一番目からテストを始めます…」
「さあ、邪魔にならない様に端っこへ行きましょ」
「…姉さま!…ちょっと、そんなに引っ張らないでよ、姉さまってば」
小さな姉さまの身体の何処にこんな力があるのだろう。
僕は講堂の隅の場所へ移動するのにグイグイと僕の腕を引っ張るピンクのドレスの姉さまの指を剥がすのに一苦労した。
僕は姉さまに向き直り、改めて尋ねた。
「何だよ姉さま。そんなにあっさりと僕と試験にでるなんて…僕にこんなに簡単に屈していいのかい?」
自分の目標はそこにあったとは言え、僕は姉さまの言葉と態度が信じられなかった。
「仕方がないわ…とても悔しいけれど、背に腹は代えられないもの。今回はわたしの負けよ」
姉さまは僕を見上げると、頷いてあっさりと言った。
姉さまのやや投げやりで簡単な回答に、僕はあんぐりと口を開けた。
(姉さまにとって…この戦いはそんな程度のものだったのか?)
「ねぇ、分かってるの?ヘイストン家の当主争いが絡んでるんだよ?それを諦めるの?」
すると姉さまは薄笑いを浮かべたままで、少し得意気に説明を始めた。
「シャルル…当主争いはね。これから何度でも出来るのよ」
「どういう意味さ、それ…」
「実はね、お父様にはもう頼んであるの。
16歳でわたしが成人してからも、社交界デビューした後も、お見合いや婚約や結婚の準備よりも優先的にわたしをヘイストン家の当主争いに参加させて下さいって。そして期限を高等科卒業まで延ばしてくださいって」
「失礼…何だって?聞いていないよ。高等科卒業まで?それって…僕もって事?」
初耳の情報に僕は思わず聞き直してしまった。
女の子は学園の高等科へ進むと直ぐにデヴュタントをするのが普通だ。
社交界の中で様々な交流を深めつつも、大抵卒業と同時に(時折卒業を待たずに)結婚や婚約をする貴族の娘が多い。
姉さまは頷いて僕へと言った。
「その通りよ。言っておきますけれどね。最終的にヘイストンの当主を決めるのはあんたやわたしじゃない…お父様よ?でも、それには条件があったの」
「条件?何だい?それは…」
姉さまは僕を真っ直ぐに正面から見上げて言った。
「それはね…『本気』のシャルルと戦うって事よ」
姉さまの言葉を聞いて僕は思わず笑ってしまった。
彼女はやはり賢い。
「ふふ…僕が『本気』じゃないと何時分かったの?
今回の『出来ない振り』は、僕も流石に飽きちゃったからやっていないよ」
姉さまは『そうでしょうね』と頷いた。
「前々から少し変だなとは思っていたのよ。でもハッキリと分かったのは学園に入ってから。明らかにわたしよりも勉強が分かっているのに、テストの点数になると途端にわたしと同じかそれよりも低くなる」
姉さまは少し声のトーンを落として寂しそうに僕を見上げた。
「それが分かった時わたしは『シャルルはわたしを対等な相手として見ていない。だから結局わたしの事を適当にあしらっているんだわ』と思ったの」
「姉さま…それは違う。僕は…」
姉さまの言葉にぼくは慌てて否定したが、姉さまはまた俯いて言葉を続けた。
「本気のシャルルに…正当な男である後継者に勝てなければ、わたしはヘイストンの女侯爵にはなれない。
だからシャルルを煽って本気にさせる必要があった」
姉さまはにこっと可愛らしく笑うと、僕を見上げて言った。
「返って良かったわ。少なくとも今回はシャルルを本気にする事が出来たんだから。わたしにとって…これは『勝ち』の一つよ」
++++++
(…何てことだ)
僕はみすみす姉さまの策略に乗って…いつの間にか本気を出してしまっていたのか。
『――何だよ、その顔は。僕が望んでいた展開とは違うじゃないか』
僕はこんなスッキリとした姉さまの表情を望んでいたわけじゃない。
(もっと姉さまを地べたにひれ伏させたかったのに。
僕に敵わないと泣いて――僕に屈させたかったのに)
『それでこそ――僕は勝利を実感できるのに』
僕の中で真っ黒いモヤの様な――どうしようもなく攻撃的な感情が湧き出てくるのを抑えられない。
「…そんな事を云っても、今回姉さまが僕に負けたのは変わりはしないんだよ?」
姉さまの晴れやかな笑顔に激しく反発を覚えた僕は、まるで子供の様な口調で姉さまに反論していた。
「分かっているの?…姉さまは今回――僕に負けたんだ」
姉さまは僕の言葉に頷き見上げて――なんと不敵に笑ったのだ。
「…そうね。今回は負けたわ。でもわたしは切り替えが早いの。
今回負けても、まだ当主争いの勝負を挽回出来る機会がきっと来るわ。
――最終的にわたしが勝てればいいんだから。
シャルル…わたしみたいなのがあんたみたいに強敵に勝負を挑む時はね。
あんたみたいに完璧に勝ち抜ける方法じゃなくて、絶対に負けない方法を考える。
どうしたら損を少なく実を取れるかを考えるの」
『あんたとは戦い方が違うの』
そう言った姉さまを見て、僕は今朝の食事の会話を思い出した。
『人間はね、霞を食べて生きているんじゃないのよ』
そう――小さな頃から庭で泥だらけになって遊び、馬乗りになって喧嘩もする。
泥臭く戦うのは元々彼女の十八番だった。
「今回のダンスの試験は元々不安要素が大きかったの。
後半になるとイーサンとのダンスの相性が悪くて、正直言うと全体的な出来栄えはあまり良くなかった。
どちらにしろエリーとの対決は危うかったから、返ってシャルルが来てくれて助かったわ。
あんたとの勝負はまだチャンスがあるだろうけれど、エリーとは今回だけの一発勝負だから絶対に負けられないじゃない?」
++++++
つまり姉さまは『僕との勝負は捨てる』と割り切って『フィリプス家との勝負を選んだ』――と言いたいのか。
何と云うか…僕は姉さまの言葉にすっかり毒気を抜かれてしまった。
僕と姉さまの『ヘイストン家の絶対勝利』を目指す目的は同じでも、その過程と拘りは違うのかもしれないと思った。
その時、ハイネ先生とアシスタントの声が聞こえた。
「…一番目と二番目の生徒の講評をする間に、三番目のアグネス=チャップマン、四番目のアリシア=ヘイストンは準備をしてください」
「呼ばれたわ…行きましょう、シャルル。準備をしなくちゃ」
「…嫌だよ、僕。姉さまが僕に何も訊かず勝手にパートナーに決めたじゃないか」
「…ええ!?だって…このままじゃフィリプス家に負けちゃうわ。だからシャルルが来たんじゃないの?」
「…そうだけれど…」
(フィリプス家に負けてはいけないとは分かっているけれど)
僕は自分が子供の様に…駄々っ子の様に姉さまに反抗をしているとは理解はしている。
これは僕の予想した流れでは無い。
なぜなら僕はもっと…。
僕の本心はもっと…姉さまに必死で僕を求めて欲しかったのだ。
+++++++
僕は子供っぽく、自分の事しか考えていない本当に愚か者だ。
この時も自分自身の勝敗と姉さまの諦め宣言(仕方が無い状況ではあったが)と初耳の当主争いの情報で頭が一杯になり、様々な情報を深く追求しなかった事を後に激しく後悔したのだ。
その後姉さまとの当主争いで僕が実感したのは、実際の彼女は
『驚く程タフで、用意周到で、諦めが悪い』という事実だ。
そう…諦めの悪い姉さまが、何故僕との戦いを半ば降参する様な形で早々にリングから下りたのか。
それはダニエラ=フィリプスとの勝負に必ず勝たなければならなかったからだった。
『彼女に勝つ』為に――僕に決して意に添わない降参をしなければならなかったのである。
ハイネ先生の声がやっと落ち着いた講堂内に響いた。
「一番目のアビゲイル=ジョンソン、二番目のアデル=ゴールドバーグ。パートナ―と共に準備をして下さい。準備が出来次第、一番目からテストを始めます…」
「さあ、邪魔にならない様に端っこへ行きましょ」
「…姉さま!…ちょっと、そんなに引っ張らないでよ、姉さまってば」
小さな姉さまの身体の何処にこんな力があるのだろう。
僕は講堂の隅の場所へ移動するのにグイグイと僕の腕を引っ張るピンクのドレスの姉さまの指を剥がすのに一苦労した。
僕は姉さまに向き直り、改めて尋ねた。
「何だよ姉さま。そんなにあっさりと僕と試験にでるなんて…僕にこんなに簡単に屈していいのかい?」
自分の目標はそこにあったとは言え、僕は姉さまの言葉と態度が信じられなかった。
「仕方がないわ…とても悔しいけれど、背に腹は代えられないもの。今回はわたしの負けよ」
姉さまは僕を見上げると、頷いてあっさりと言った。
姉さまのやや投げやりで簡単な回答に、僕はあんぐりと口を開けた。
(姉さまにとって…この戦いはそんな程度のものだったのか?)
「ねぇ、分かってるの?ヘイストン家の当主争いが絡んでるんだよ?それを諦めるの?」
すると姉さまは薄笑いを浮かべたままで、少し得意気に説明を始めた。
「シャルル…当主争いはね。これから何度でも出来るのよ」
「どういう意味さ、それ…」
「実はね、お父様にはもう頼んであるの。
16歳でわたしが成人してからも、社交界デビューした後も、お見合いや婚約や結婚の準備よりも優先的にわたしをヘイストン家の当主争いに参加させて下さいって。そして期限を高等科卒業まで延ばしてくださいって」
「失礼…何だって?聞いていないよ。高等科卒業まで?それって…僕もって事?」
初耳の情報に僕は思わず聞き直してしまった。
女の子は学園の高等科へ進むと直ぐにデヴュタントをするのが普通だ。
社交界の中で様々な交流を深めつつも、大抵卒業と同時に(時折卒業を待たずに)結婚や婚約をする貴族の娘が多い。
姉さまは頷いて僕へと言った。
「その通りよ。言っておきますけれどね。最終的にヘイストンの当主を決めるのはあんたやわたしじゃない…お父様よ?でも、それには条件があったの」
「条件?何だい?それは…」
姉さまは僕を真っ直ぐに正面から見上げて言った。
「それはね…『本気』のシャルルと戦うって事よ」
姉さまの言葉を聞いて僕は思わず笑ってしまった。
彼女はやはり賢い。
「ふふ…僕が『本気』じゃないと何時分かったの?
今回の『出来ない振り』は、僕も流石に飽きちゃったからやっていないよ」
姉さまは『そうでしょうね』と頷いた。
「前々から少し変だなとは思っていたのよ。でもハッキリと分かったのは学園に入ってから。明らかにわたしよりも勉強が分かっているのに、テストの点数になると途端にわたしと同じかそれよりも低くなる」
姉さまは少し声のトーンを落として寂しそうに僕を見上げた。
「それが分かった時わたしは『シャルルはわたしを対等な相手として見ていない。だから結局わたしの事を適当にあしらっているんだわ』と思ったの」
「姉さま…それは違う。僕は…」
姉さまの言葉にぼくは慌てて否定したが、姉さまはまた俯いて言葉を続けた。
「本気のシャルルに…正当な男である後継者に勝てなければ、わたしはヘイストンの女侯爵にはなれない。
だからシャルルを煽って本気にさせる必要があった」
姉さまはにこっと可愛らしく笑うと、僕を見上げて言った。
「返って良かったわ。少なくとも今回はシャルルを本気にする事が出来たんだから。わたしにとって…これは『勝ち』の一つよ」
++++++
(…何てことだ)
僕はみすみす姉さまの策略に乗って…いつの間にか本気を出してしまっていたのか。
『――何だよ、その顔は。僕が望んでいた展開とは違うじゃないか』
僕はこんなスッキリとした姉さまの表情を望んでいたわけじゃない。
(もっと姉さまを地べたにひれ伏させたかったのに。
僕に敵わないと泣いて――僕に屈させたかったのに)
『それでこそ――僕は勝利を実感できるのに』
僕の中で真っ黒いモヤの様な――どうしようもなく攻撃的な感情が湧き出てくるのを抑えられない。
「…そんな事を云っても、今回姉さまが僕に負けたのは変わりはしないんだよ?」
姉さまの晴れやかな笑顔に激しく反発を覚えた僕は、まるで子供の様な口調で姉さまに反論していた。
「分かっているの?…姉さまは今回――僕に負けたんだ」
姉さまは僕の言葉に頷き見上げて――なんと不敵に笑ったのだ。
「…そうね。今回は負けたわ。でもわたしは切り替えが早いの。
今回負けても、まだ当主争いの勝負を挽回出来る機会がきっと来るわ。
――最終的にわたしが勝てればいいんだから。
シャルル…わたしみたいなのがあんたみたいに強敵に勝負を挑む時はね。
あんたみたいに完璧に勝ち抜ける方法じゃなくて、絶対に負けない方法を考える。
どうしたら損を少なく実を取れるかを考えるの」
『あんたとは戦い方が違うの』
そう言った姉さまを見て、僕は今朝の食事の会話を思い出した。
『人間はね、霞を食べて生きているんじゃないのよ』
そう――小さな頃から庭で泥だらけになって遊び、馬乗りになって喧嘩もする。
泥臭く戦うのは元々彼女の十八番だった。
「今回のダンスの試験は元々不安要素が大きかったの。
後半になるとイーサンとのダンスの相性が悪くて、正直言うと全体的な出来栄えはあまり良くなかった。
どちらにしろエリーとの対決は危うかったから、返ってシャルルが来てくれて助かったわ。
あんたとの勝負はまだチャンスがあるだろうけれど、エリーとは今回だけの一発勝負だから絶対に負けられないじゃない?」
++++++
つまり姉さまは『僕との勝負は捨てる』と割り切って『フィリプス家との勝負を選んだ』――と言いたいのか。
何と云うか…僕は姉さまの言葉にすっかり毒気を抜かれてしまった。
僕と姉さまの『ヘイストン家の絶対勝利』を目指す目的は同じでも、その過程と拘りは違うのかもしれないと思った。
その時、ハイネ先生とアシスタントの声が聞こえた。
「…一番目と二番目の生徒の講評をする間に、三番目のアグネス=チャップマン、四番目のアリシア=ヘイストンは準備をしてください」
「呼ばれたわ…行きましょう、シャルル。準備をしなくちゃ」
「…嫌だよ、僕。姉さまが僕に何も訊かず勝手にパートナーに決めたじゃないか」
「…ええ!?だって…このままじゃフィリプス家に負けちゃうわ。だからシャルルが来たんじゃないの?」
「…そうだけれど…」
(フィリプス家に負けてはいけないとは分かっているけれど)
僕は自分が子供の様に…駄々っ子の様に姉さまに反抗をしているとは理解はしている。
これは僕の予想した流れでは無い。
なぜなら僕はもっと…。
僕の本心はもっと…姉さまに必死で僕を求めて欲しかったのだ。
+++++++
僕は子供っぽく、自分の事しか考えていない本当に愚か者だ。
この時も自分自身の勝敗と姉さまの諦め宣言(仕方が無い状況ではあったが)と初耳の当主争いの情報で頭が一杯になり、様々な情報を深く追求しなかった事を後に激しく後悔したのだ。
その後姉さまとの当主争いで僕が実感したのは、実際の彼女は
『驚く程タフで、用意周到で、諦めが悪い』という事実だ。
そう…諦めの悪い姉さまが、何故僕との戦いを半ば降参する様な形で早々にリングから下りたのか。
それはダニエラ=フィリプスとの勝負に必ず勝たなければならなかったからだった。
『彼女に勝つ』為に――僕に決して意に添わない降参をしなければならなかったのである。
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