1 / 14
1 いきなりの婚約破棄と目の前の『わたし』
しおりを挟む
「ソフィア=ドレスデン侯爵令嬢、君との婚約は…解消する」
(…なんて皮肉なのかしら)
遠くで舞踏会のワルツの曲が聞こえている。
奇しくもそれはナイジェル様と踊る為に何度も練習した曲だった。
ここはミルデン王国の王宮の中庭だ。
煌々とした月の光だけが中庭を照らしている。
ナイジェル様は、わざわざここ――中庭に来るようにとわたしに伝言をして下さったらしい。
わたしは小走りで月明りの中、薄暗い王宮の中庭の噴水がある待ち合わせ場所に向かった。
夜も更けて舞踏会の賑わいも高まっている。
(ナイジェル様の御用って何かしら。
今夜は恥ずかしがったりしてないでちゃんとお話ししなくちゃ…)
プラチナブロンドに濃い紫色の瞳の端整な美貌でありながら、長身で鍛えた体躯を持ち、ミルデン王国騎士団の副団長も務めるナイジェル=エヴァンス公爵様は、22歳でエヴァンス家のご次男でいらっしゃる。
お兄様であるランディ=エヴァンス小公爵様には、すでにミルデン王国の3番目の姫君エイダ様が輿入れされる事が決まっている。
今日の晩餐会ではその婚約発表もされたのだ。
いつもはきはきと軍人特有の話し方をするナイジェル様とわたしは対照的な性格だ。
わたしが内向的で会話の途中で直ぐ詰まってしまうし、話すのも回りくどいので、どちらかと言えばせっかちで端的なナイジェル様との会話はいつも続かない。
この間も久しぶりに二人きりになったのに、気にかけて話しかけてくれるナイジェル様になかなか上手く返答できずに、ほとんど無言の時間が2時間近くも続いた。
疲れたのかため息をついたナイジェル様は、少し怒った様に「用事がある為失礼する」とその後に帰ってしまわれた。
+++++
舞踏会…この日の為に新しい――わたしの瞳に合わせた鮮やかなグリーンの絹のドレスもしつらえた。
(似合うと誉めて貰えたら嬉しいな)
もしかしたらそのままダンスも誘っていただけるかもしれないと思いながら、中庭の植え込みの一角を通り過ぎた。
ちょうどその時だった。
植え込みの隙間から。
ナイジェル様が誰か…令嬢を抱きしめているのを見てしまったのだ。
わたしは思わずあっと声を上げてしまった。
そしてその声でわたしが居るのに気づいたナイジェル様は、バツが悪い様子で令嬢から素早く離れた。
「ソフィア…」
一瞬わたしの事を見たナイジェル様は、少し乱れたご自分の服に気が付き直してから、改めてわたしの方を向いた。
ナイジェル様の傍らにはまるで妖精の様に可憐な美しい金髪の令嬢が立っていた。
彼女はとてもほっそりとしていて、流行の身体の綺麗に見えるスッキリとしたスタイルの薄いブルーのドレスを身に着けていている。
まるで今夜の月の妖精の様に美しかった。
大きな満月を背にして妖精のような令嬢と騎士団の凛々しい制服を纏うナイジェル様が二人で並んでいると、おとぎ話の挿絵のようにとても絵になっている。
そして冒頭の――。
「ソフィア=ドレスデン侯爵令嬢…君との婚約は、解消する」
ナイジェル様は、先ほどの婚約破棄の件をわたしに淡々と告げたのだった。
そして続けて
「…このセリーヌ=コンラッド伯爵令嬢と…新たに婚約を結ぶ…つもりだ」
と言いにくそうに告げたのだった。
(…ナイジェル様は何を言っているの?)
初めて聞く話に、わたしは立ちすくんだままぼうっとしてしまった。
次の瞬間、王宮の近くに立つ大聖堂の鐘の音が九時を指して鳴り響いた。
最初はカーン、カーンと聞こえた音が、徐々にグワーングワーンと不協和音の様に聞こえ始める。
(え?何?)
いきなりぐらっと目の前の景色がブレて揺れ始めた。
そして
(あ――頭が痛い!)
頭の中を思い切り揺すぶられるような激しい眩暈――そしてもっと激しくぐわんぐわんとした鐘の音が頭全体で鳴り響いている感覚に、目の前が真っ暗になって行く。
「あっ…!もう…」
(倒れちゃうかも…!)
もう立っていられなくなりそう――と思わず頭を抱えてうずくまった。
その時、
「…フィア…!大丈夫か…!?」
一瞬、ナイジェル様の声が聞こえた気がした。
(ナイジェル様。もしかして…心配してくださったの?)
そう思ったのもつかの間、鐘の音とぴたりと止まると共にいきなり眩暈と頭痛が嘘の様に消えてしまった。
わたしはふらつきながら立ち上がった。
「あ、いきなり治まったわ…?何だったのかしら…あ…あら?」
聞いた事がある凛々しい男性の声が直ぐ側で聞こえる。
(え…これ誰の声??男の人みたいなんだけど…?)
そしてすっくと立ち上がったわたしの視線が――高い。
何と言うか、視点がとても高いのだ。
(な、何故かしら?)
中庭の植え込みが上から見下ろせてしまうくらいの目線の高さだ。
まるでいきなり身長が伸びたかのようだった。
自分を見下ろしてみると、どこかで見た事のある制服とがっしりとした、けれど綺麗な手と指。
「…ご気分は大丈夫ですか?ナイジェル様。大分『頭痛が…』と仰っていましたが」
「はい…?」
(…え?)
音楽のような美しい抑揚をもつ声がすぐ近くで聞こえて、わたしはぎょっとして見下ろした。
すぐ横に金髪で薄水色の瞳の…妖精の様に美しい令嬢が立っている。
(ど…どうしてわたしの側にセリーヌ嬢が立っているの?)
「セ、セリーヌ様…?」
「はい。どうなされましたか?ナイジェル様」
「ナ、ナイジェル様…???」
「…本当に大丈夫ですか?」
不審がるセリーヌ嬢に返答が出来なくてわたしがあうあうとしていると、わたしの真向いからこれまた聞いた事のある声が聞こえた。
「な、何だ?お前…」
その声につられる様に真向いに立つ鮮やかなグリーンのドレスを着た令嬢を見つめて、わたしはあんぐりと口を開けた。
真向いの、少し離れた所でわたしの目の前に立っている
赤毛で緑の瞳に胸元に白い花を付けている鮮やかなグリーンのドレスの令嬢――。
(あれは…わたし?…そっくりだわ)
まるで鏡の中のわたし自身を見ているみたいだ。
彼女は頭を片手で押さえながら、真っ青な顔でわたしを見つめていた。
(…なんて皮肉なのかしら)
遠くで舞踏会のワルツの曲が聞こえている。
奇しくもそれはナイジェル様と踊る為に何度も練習した曲だった。
ここはミルデン王国の王宮の中庭だ。
煌々とした月の光だけが中庭を照らしている。
ナイジェル様は、わざわざここ――中庭に来るようにとわたしに伝言をして下さったらしい。
わたしは小走りで月明りの中、薄暗い王宮の中庭の噴水がある待ち合わせ場所に向かった。
夜も更けて舞踏会の賑わいも高まっている。
(ナイジェル様の御用って何かしら。
今夜は恥ずかしがったりしてないでちゃんとお話ししなくちゃ…)
プラチナブロンドに濃い紫色の瞳の端整な美貌でありながら、長身で鍛えた体躯を持ち、ミルデン王国騎士団の副団長も務めるナイジェル=エヴァンス公爵様は、22歳でエヴァンス家のご次男でいらっしゃる。
お兄様であるランディ=エヴァンス小公爵様には、すでにミルデン王国の3番目の姫君エイダ様が輿入れされる事が決まっている。
今日の晩餐会ではその婚約発表もされたのだ。
いつもはきはきと軍人特有の話し方をするナイジェル様とわたしは対照的な性格だ。
わたしが内向的で会話の途中で直ぐ詰まってしまうし、話すのも回りくどいので、どちらかと言えばせっかちで端的なナイジェル様との会話はいつも続かない。
この間も久しぶりに二人きりになったのに、気にかけて話しかけてくれるナイジェル様になかなか上手く返答できずに、ほとんど無言の時間が2時間近くも続いた。
疲れたのかため息をついたナイジェル様は、少し怒った様に「用事がある為失礼する」とその後に帰ってしまわれた。
+++++
舞踏会…この日の為に新しい――わたしの瞳に合わせた鮮やかなグリーンの絹のドレスもしつらえた。
(似合うと誉めて貰えたら嬉しいな)
もしかしたらそのままダンスも誘っていただけるかもしれないと思いながら、中庭の植え込みの一角を通り過ぎた。
ちょうどその時だった。
植え込みの隙間から。
ナイジェル様が誰か…令嬢を抱きしめているのを見てしまったのだ。
わたしは思わずあっと声を上げてしまった。
そしてその声でわたしが居るのに気づいたナイジェル様は、バツが悪い様子で令嬢から素早く離れた。
「ソフィア…」
一瞬わたしの事を見たナイジェル様は、少し乱れたご自分の服に気が付き直してから、改めてわたしの方を向いた。
ナイジェル様の傍らにはまるで妖精の様に可憐な美しい金髪の令嬢が立っていた。
彼女はとてもほっそりとしていて、流行の身体の綺麗に見えるスッキリとしたスタイルの薄いブルーのドレスを身に着けていている。
まるで今夜の月の妖精の様に美しかった。
大きな満月を背にして妖精のような令嬢と騎士団の凛々しい制服を纏うナイジェル様が二人で並んでいると、おとぎ話の挿絵のようにとても絵になっている。
そして冒頭の――。
「ソフィア=ドレスデン侯爵令嬢…君との婚約は、解消する」
ナイジェル様は、先ほどの婚約破棄の件をわたしに淡々と告げたのだった。
そして続けて
「…このセリーヌ=コンラッド伯爵令嬢と…新たに婚約を結ぶ…つもりだ」
と言いにくそうに告げたのだった。
(…ナイジェル様は何を言っているの?)
初めて聞く話に、わたしは立ちすくんだままぼうっとしてしまった。
次の瞬間、王宮の近くに立つ大聖堂の鐘の音が九時を指して鳴り響いた。
最初はカーン、カーンと聞こえた音が、徐々にグワーングワーンと不協和音の様に聞こえ始める。
(え?何?)
いきなりぐらっと目の前の景色がブレて揺れ始めた。
そして
(あ――頭が痛い!)
頭の中を思い切り揺すぶられるような激しい眩暈――そしてもっと激しくぐわんぐわんとした鐘の音が頭全体で鳴り響いている感覚に、目の前が真っ暗になって行く。
「あっ…!もう…」
(倒れちゃうかも…!)
もう立っていられなくなりそう――と思わず頭を抱えてうずくまった。
その時、
「…フィア…!大丈夫か…!?」
一瞬、ナイジェル様の声が聞こえた気がした。
(ナイジェル様。もしかして…心配してくださったの?)
そう思ったのもつかの間、鐘の音とぴたりと止まると共にいきなり眩暈と頭痛が嘘の様に消えてしまった。
わたしはふらつきながら立ち上がった。
「あ、いきなり治まったわ…?何だったのかしら…あ…あら?」
聞いた事がある凛々しい男性の声が直ぐ側で聞こえる。
(え…これ誰の声??男の人みたいなんだけど…?)
そしてすっくと立ち上がったわたしの視線が――高い。
何と言うか、視点がとても高いのだ。
(な、何故かしら?)
中庭の植え込みが上から見下ろせてしまうくらいの目線の高さだ。
まるでいきなり身長が伸びたかのようだった。
自分を見下ろしてみると、どこかで見た事のある制服とがっしりとした、けれど綺麗な手と指。
「…ご気分は大丈夫ですか?ナイジェル様。大分『頭痛が…』と仰っていましたが」
「はい…?」
(…え?)
音楽のような美しい抑揚をもつ声がすぐ近くで聞こえて、わたしはぎょっとして見下ろした。
すぐ横に金髪で薄水色の瞳の…妖精の様に美しい令嬢が立っている。
(ど…どうしてわたしの側にセリーヌ嬢が立っているの?)
「セ、セリーヌ様…?」
「はい。どうなされましたか?ナイジェル様」
「ナ、ナイジェル様…???」
「…本当に大丈夫ですか?」
不審がるセリーヌ嬢に返答が出来なくてわたしがあうあうとしていると、わたしの真向いからこれまた聞いた事のある声が聞こえた。
「な、何だ?お前…」
その声につられる様に真向いに立つ鮮やかなグリーンのドレスを着た令嬢を見つめて、わたしはあんぐりと口を開けた。
真向いの、少し離れた所でわたしの目の前に立っている
赤毛で緑の瞳に胸元に白い花を付けている鮮やかなグリーンのドレスの令嬢――。
(あれは…わたし?…そっくりだわ)
まるで鏡の中のわたし自身を見ているみたいだ。
彼女は頭を片手で押さえながら、真っ青な顔でわたしを見つめていた。
11
お気に入りに追加
661
あなたにおすすめの小説
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

婚約破棄された私の結婚相手は殿下限定!?
satomi
恋愛
私は公爵家の末っ子です。お兄様にもお姉さまにも可愛がられて育ちました。我儘っこじゃありません!
ある日、いきなり「真実の愛を見つけた」と婚約破棄されました。
憤慨したのが、お兄様とお姉さまです。
お兄様は今にも突撃しそうだったし、お姉さまは家門を潰そうと画策しているようです。
しかし、2人の議論は私の結婚相手に!お兄様はイケメンなので、イケメンを見て育った私は、かなりのメンクイです。
お姉さまはすごく賢くそのように賢い人でないと私は魅力を感じません。
婚約破棄されても痛くもかゆくもなかったのです。イケメンでもなければ、かしこくもなかったから。
そんなお兄様とお姉さまが導き出した私の結婚相手が殿下。
いきなりビックネーム過ぎませんか?

【完結】傷跡に咲く薔薇の令嬢は、辺境伯の優しい手に救われる。
朝日みらい
恋愛
セリーヌ・アルヴィスは完璧な貴婦人として社交界で輝いていたが、ある晩、馬車で帰宅途中に盗賊に襲われ、顔に深い傷を負う。
傷が癒えた後、婚約者アルトゥールに再会するも、彼は彼女の外見の変化を理由に婚約を破棄する。
家族も彼女を冷遇し、かつての華やかな生活は一転し、孤独と疎外感に包まれる。
最終的に、家族に決められた新たな婚約相手は、社交界で「醜い」と噂されるラウル・ヴァレールだった―――。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆

婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。

婚姻破棄された私は第一王子にめとられる。
さくしゃ
恋愛
「エルナ・シュバイツ! 貴様との婚姻を破棄する!」
突然言い渡された夫ーーヴァス・シュバイツ侯爵からの離縁要求。
彼との間にもうけた息子ーーウィリアムは2歳を迎えたばかり。
そんな私とウィリアムを嘲笑うヴァスと彼の側室であるヒメル。
しかし、いつかこんな日が来るであろう事を予感していたエルナはウィリアムに別れを告げて屋敷を出て行こうとするが、そんなエルナに向かって「行かないで」と泣き叫ぶウィリアム。
(私と一緒に連れて行ったら絶対にしなくて良い苦労をさせてしまう)
ドレスの裾を握りしめ、歩みを進めるエルナだったが……
「その耳障りな物も一緒に摘み出せ。耳障りで仕方ない」
我が子に対しても容赦のないヴァス。
その後もウィリアムについて罵詈雑言を浴びせ続ける。
悔しい……言い返そうとするが、言葉が喉で詰まりうまく発せられず涙を流すエルナ。そんな彼女を心配してなくウィリアム。
ヴァスに長年付き従う家老も見ていられず顔を逸らす。
誰も止めるものはおらず、ただただ罵詈雑言に耐えるエルナ達のもとに救いの手が差し伸べられる。
「もう大丈夫」
その人物は幼馴染で6年ぶりの再会となるオーフェン王国第一王子ーーゼルリス・オーフェンその人だった。
婚姻破棄をきっかけに始まるエルナとゼルリスによるラブストーリー。

悪役令嬢は断罪イベントから逃げ出してのんびり暮らしたい
花見 有
恋愛
乙女ゲームの断罪エンドしかない悪役令嬢リスティアに転生してしまった。どうにか断罪イベントを回避すべく努力したが、それも無駄でどうやら断罪イベントは決行される模様。
仕方がないので最終手段として断罪イベントから逃げ出します!

喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。
加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。
そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる