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第13章 最終決戦・"龍神の体内"
元次期龍神VS初代龍神
しおりを挟む私にはガーランドがいた。
カイテルが、リングがいた。
クリスティドが、エリアスがいた。
フランが、リーブがいた。
ガロがいて、他の妖精神や精霊がいた。
そして___ラフェエルが、いた。
だから、私は変われたんだ。
人を憎む以外の感情を得られたんだ。
でも。この初代龍神は……………それを知らずに、気づかせてもらえずに10万年も生き続けた。
どれだけ苦しかったのだろう。
どれだけ悲しかったのだろう。
………………でも、もう大丈夫。
私が________
そこまで考えた所で、アルティアは全員の顔を見ながら口を開いた。
「クリスティド、アンタのその爽やかさ、大好きだった。
エリアス、アンタの努力家な所、大好きだった。
リーブ、アンタのわんこみたいな性格大好きだった。
フラン、アンタの騒がしい性格、ムカついたけど大好きだった。
ガロ、アンタは純粋で可愛くて大好きだった」
「…………?」
「え?」
「いきなりどうなさいました?」
「ガロ、ほめられた?」
ふふ、みんな、驚いている。楽しかった、とっても。
そして_____
「ラフェエル」
「…………………………」
私が呼ぶと、眉を下げて私を見つめていた。…………多分、私の考えていること、察しちゃったんだろうな。けどごめんね、言わせないよ。
「ラフェエル____愛してるよ」
「……………ッ!」
私はそれだけ言って、みんなに背を向ける。身体が熱くなって、着ている服が破けていく。
目の前にいる白い光も大きくなって、私と同じような姿になっていく。
向かい合う両者は………………白と黒の龍になった。
『ガァァァッ!』
白い龍が口を大きく開いて私に襲いかかってきた。私はそれを躱して空間内を飛ぶ。追いかけっこが始まった。
鬼は白い龍。炎を吹いているけど、低レベルな炎で熱さすら感じない。その他にも沢山の魔法を放ってきた。
どれも痛くなかった。…………たとえ痛くても止まれなかった。
『ちょこまかと____!? 』
白い龍__初代龍神・バハムートの言葉が途中で途切れる。黒い龍___アルティアが自ら体に巻きついてきたのだ。
白と黒の龍はお互いに絡み合い、顔を合わせる。
『な、にを…………!』
「……………ねえ、初代、貴方が思う"1番威力が強い魔法"って何?」
黒い龍は目を細めながら大きな口には似つかない女の声で言う。
質問の意味がわからない白龍を他所に、黒龍は答えを言う。
「私は_____自爆魔法だと思うの」
『………………!?貴様ッ………は、離れろ!』
白龍は暴れる。しかし黒龍は離れない。自分より小さい身体なのにとんでもない力で締め付けてくる。
「怖がらなくていい。一人ぼっちじゃないよ。___私が、一緒に逝ってあげる」
龍神は、もういらない。
私を含めて________要らないのだ。
アルティアは愛する人の顔を思い浮かべる。今まで見てきた沢山の顔を思い出して、静かに滅びの言葉を唱えた。
「自爆魔法_____"私は自由"」
そう呟いた瞬間、二人の体は光り出し………………大きな音を立てて、大爆発を起こした。
ねえ、ラフェエル____生きてね。
アルティアは、目を閉じた。
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