254 / 270
第13章 最終決戦・"龍神の体内"
龍神親子の"宿命"
しおりを挟む私達は仲間を置いて先に進んだ。
そして、ある場所に辿り着く。
_____私がよく、居た場所。
_____寧ろ、18になるまでここから出たこと無かった場所。
ここは…………………
「………………アトランティス……………?」
進んだ先には、アトランティスが広がっていた。ガーランドの寝床で、私がリビング代わりにいつもいた場所。
そして。
「………………ようやく来たか、アル」
「_____ガーランド」
その寝床の真ん中に、人間の姿で立つガーランドが……………居たんだ。ガーランドは私達に背を向けて、ぽっかり空いた天井の穴を見ている。
「…………………ダーインスレイヴも遅すぎだよ」
「………………すまない」
「まあ、いいよ。…………アル」
ガーランドは振り返った。
私がよく知っている、優しい笑顔。
その笑顔を貼り付けて、笑う。
「アル、大きくなったね。身長伸びた?
………けど、ヒョロヒョロだね。ちゃんとご飯食べてる?だめだよ、まだまだ成長するんだから。
でも本当、あの小さな子供が、大きくなったね」
「…………まだ、アンタの方が大きいでしょ」
「そりゃあ、我は"龍神"だからな」
「……………笑えないわ」
アルティアは俯いて、消えそうな声で言う。ガーランドはそれを見てはは、と空笑いを零す。
「うん、今のは良くなかったね。でも、うん、だから………そうだな…………
終わりに、しよう」
ガーランドは言いづらそうにそう言って、笑う。アルティアは小さな声で囁くように口を開いた。
「……………ガーランド」
「ん?」
「……………ばか」
やっと言えた言葉が、これだった。
それを聞いてもガーランドはやっぱり笑っている。声を上げて、笑っている。
その声が鼓膜を揺らして…………悲しかった。
「……………それでいいさ。
どうすればいいのか、もう分かってる?」
「……………うん」
「流石、我の娘は優秀だ。……………もう我………いや、俺の身体は、俺の思うように動かない。この意識も、初代龍神に…………侵食されているんだ。
間に合って、本当によかった。
………………娘と戦うのは、ちょっと………いや、すごく辛いけど…………初代龍神が邪魔して、手加減、できなくなる。
ごめんね」
「もういいよ!うだうだ言ってないでさぁ!」
これ以上聞きたくなくて、私は怒鳴った。こんな時まで優しいのは逆に傷つく。戦いたくない気持ちが生まれちゃう。
アルティアの言葉を聞いたガーランドは一瞬目を見開いて、でもすぐに細めた。
「そうだな。………じゃあ、始めよう」
「____!」
ガーランドの姿が、ゆっくりと龍になっていく。私は思わずガーランドに走り寄って手を伸ばしたけど…………空を切って。
ガーランドは黒龍になった。
私はすぐさま後ろに下がって魔剣となったダーインスレイヴを手に取った。
「____アル、剣で戦うつもりか?」
「うん。ガーランドの特殊能力は………………魔法完全無効化だから」
そう。私の特殊能力が"想像"だったら、ガーランドの特殊能力は"無効化"なのだ。魔法は勿論異常攻撃は全て無効。
ダーインスレイヴと出会ったのは、この時の為なのかもしれない。
『……………嫌な運命だな』
「……………本当にね。
ラフェー!行くよ!」
私は、ガーランドに向かって走った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】召喚されましたが、失敗だったようです。恋愛も縁遠く、一人で生きて行こうと思います。
まるねこ
恋愛
突然の自己紹介でごめんなさい!
私の名前は牧野 楓。24歳。
聖女召喚されました。が、魔力無し判定で捨てられる事に。自分の世界に帰る事もできない。冒険者として生き抜いていきます!
古典的ファンタジー要素強めです。主人公の恋愛は後半予定。
なろう小説にも投稿中。
Copyright©︎2020-まるねこ
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

白い結婚のはずでしたが、王太子の愛人に嘲笑されたので隣国へ逃げたら、そちらの王子に大切にされました
ゆる
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」
オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。
「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」
そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。
「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」
このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。
オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。
愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん!
王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。
冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる