【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

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第13章 最終決戦・"龍神の体内"

龍神親子の"宿命"

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 私達は仲間を置いて先に進んだ。

 そして、ある場所に辿り着く。


 _____私がよく、居た場所。


 _____寧ろ、18になるまでここから出たこと無かった場所。




 ここは…………………





 「………………アトランティス……………?」 





 進んだ先には、アトランティスが広がっていた。ガーランドの寝床で、私がリビング代わりにいつもいた場所。




 そして。


 「………………ようやく来たか、アル」



 「_____ガーランド」




 その寝床の真ん中に、人間の姿で立つガーランドが……………居たんだ。ガーランドは私達に背を向けて、ぽっかり空いた天井の穴を見ている。




 「…………………ダーインスレイヴも遅すぎだよ」



 「………………すまない」




 「まあ、いいよ。…………アル」



 ガーランドは振り返った。
 私がよく知っている、優しい笑顔。
 その笑顔を貼り付けて、笑う。



 「アル、大きくなったね。身長伸びた?

 ………けど、ヒョロヒョロだね。ちゃんとご飯食べてる?だめだよ、まだまだ成長するんだから。


 でも本当、あの小さな子供が、大きくなったね」



 「…………まだ、アンタの方が大きいでしょ」



 「そりゃあ、我は"龍神"だからな」



 「……………笑えないわ」




 アルティアは俯いて、消えそうな声で言う。ガーランドはそれを見てはは、と空笑いを零す。



 「うん、今のは良くなかったね。でも、うん、だから………そうだな…………


 終わりに、しよう」



 ガーランドは言いづらそうにそう言って、笑う。アルティアは小さな声で囁くように口を開いた。



 「……………ガーランド」



 「ん?」



 「……………ばか」




 やっと言えた言葉が、これだった。
 それを聞いてもガーランドはやっぱり笑っている。声を上げて、笑っている。

 その声が鼓膜を揺らして…………悲しかった。




 「……………それでいいさ。

 どうすればいいのか、もう分かってる?」



 「……………うん」


 「流石、我の娘は優秀だ。……………もう我………いや、俺の身体は、俺の思うように動かない。この意識も、初代龍神に…………侵食されているんだ。

 間に合って、本当によかった。


 ………………娘と戦うのは、ちょっと………いや、すごく辛いけど…………初代龍神が邪魔して、手加減、できなくなる。


 ごめんね」


 「もういいよ!うだうだ言ってないでさぁ!」



 これ以上聞きたくなくて、私は怒鳴った。こんな時まで優しいのは逆に傷つく。戦いたくない気持ちが生まれちゃう。



 アルティアの言葉を聞いたガーランドは一瞬目を見開いて、でもすぐに細めた。




 「そうだな。………じゃあ、始めよう」



 「____!」




 ガーランドの姿が、ゆっくりと龍になっていく。私は思わずガーランドに走り寄って手を伸ばしたけど…………空を切って。



 ガーランドは黒龍になった。
 私はすぐさま後ろに下がって魔剣となったダーインスレイヴを手に取った。


 「____アル、剣で戦うつもりか?」


 「うん。ガーランドの特殊能力は………………魔法完全無効化だから」




 そう。私の特殊能力が"想像"だったら、ガーランドの特殊能力は"無効化"なのだ。魔法は勿論異常攻撃は全て無効。


 ダーインスレイヴと出会ったのは、この時の為なのかもしれない。



『……………嫌な運命だな』




 「……………本当にね。



 ラフェー!行くよ!」




 私は、ガーランドに向かって走った。





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