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第12.5章 "隠された真実"と"真なる王"
新たなスタートライン
しおりを挟むアルティアは魔法陣を纏いながら私の後ろで笑っていた。
「………………終わったのか?」
「ええ。ごめんね、15分もかかっちゃった。……………でも、すんごいのが出来たわ」
そう言って、アルティアはふわり、と浮遊魔法で浮かんだ。そして、初めて怒りを顕にした顔で金切り声を上げた。
『貴様!何をしているのか分かっているのですか!?私は2代目龍神でありながら初代龍神を継承する者ですよ!』
「ええ、そうね。
貴方が興味深い話をしてくれたおかげで、目が覚めたわ。本当に、なんでこんな事に悩んでいたのか不思議なくらいスッキリしてる。
だから、ね……………敬意を持って新魔法で片付けてあげようと思ったの」
『な、にを…………………!』
アリアドネの黄金色の瞳が大きく見開かれていく。何故なら____アルティアの後ろには、緑色の光の玉が浮かんでいた。見たことの無い魔法に………………大きな力を感じた。
アリアドネはそれでも口を閉ざさなかった。
『わ、私が死ねば龍神になることはできないのです!それに…………私が死んだら初代龍神様は暴れます!貴方の父・ガーランドの身体を乗っ取り、この世界の滅亡が___「貴方が心配することは、何も無いわ」__!』
アルティアは冷たく光る瞳を細めて笑った。
「私がどうにかするから。
貴方は_____もう、死になさい。
超無属性魔法・"世界の終わり"」
『______!』
目の前からアルティアが消え、代わりに緑の大きな玉がアリアドネを包み込んだ。どの属性にも属さない完全未知な膨大な魔力に身体が消えていく中、アリアドネは呟いた。
『バハムート様…………申し訳……ごさ…』
「………………!」
緑の大きな玉はアリアドネを包んだまま圧縮して、弾けた。弾けた緑の光に当たった仲間全員に治癒魔法をかけられたように傷が癒えて行く。
アルティアはそれに背を向け呟いた。
「_____これで、スタートラインだ」
* * *
「…………………うーん」
アルティアは空を見上げながら唸った。
その顔にはもう悲壮感も、怒りもない。むしろ先祖を殺したというのにあっけらかんとしている。
そんなアルティアに声をかけたのはラフェエルだった。
「………………アル、どうした?」
「いやね、今まで聞いた話を思い出してたの。龍神って、死神と闇の精霊の魔力を身体に引き込んで、死神の代わりに魂を取り扱ってる、って。
で、私はこの世界から龍神を無くそうと思ってる。…………となると、魂を取り扱う役目が無くなるってことで…………それはまずいかなぁ、って」
「ほう?」
ラフェエルは驚いた。
あの馬鹿なアルティアが、多少なりとも頭を使っている。どうやら、世界に喧嘩を売ると決めて本気でそれを行おうとしているのだ。
多少感動した。それは私だけが思うことではないらしく、フランが持ち前の明るさで茶化す。
「先輩が主人公っぽいこと言ってる~!今日キレキレですね!」
「本気で悩んでるからやめて。さっきの技アンタにも使うよ」
「アッそれは嫌。でも、死神と闇の精霊をどうするか、ですね~…………………クリスティド様、いい方法ありますかね?」
「私よりもダーインスレイヴ様の方が詳しいのではないか?ダーインスレイヴ様はこの世界に詳しい、私たちを導いてくださったのですから」
「流石の俺でも知らないなぁ…………」
全員で頭を抱える。アリアドネを倒すことだけで精一杯だったのだ。悩む全員を他所に、1番純粋なガロがある事を言った。
「あの、もいっかい、生き返らせる、できる?」
「………!それだッ!ナイスガロ~!」
「わわっ」
アルティアはガロを抱き締める。そうだよ、復活させればいいんだよ!そして役目を返上する!というかこれしかない!
「あの、でも、どうすればいいのでしょう………………?」
「あ……………………」
エリアスの言葉にテンション急降下。人間ならまだできそうな気がするけど、神様の復活って凄く難易度高そうじゃない?というかできるの?
『できるよ』
「うひゃあっ!?」
突然後ろから声がして、思わず肩が跳ねた。
急いで振り返ると_____妖精神、精霊達全員が居た。
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