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第12章 "幻の島"・ワールドエンド
RPG風味
しおりを挟む「聖魔法!聖なる風!…………はぁ、はぁ……………」
『ギャァァァァァァ!』
辺り一帯に聖を含んだ風が巻き起こる。ゾンビ達は断末魔を上げながら消え去っていく。
「聖の魔法よ!………っく」
『ぐぅっ…………!』
クリスティド聖の魔力を宿した魔法剣を悪魔相手に振り回すクリスティド。
「か、回復します!治癒魔法!………っ、はぁ」
エリアスは大きな緑の魔法陣の上で治癒魔法を広げて仲間を回復させる。
「ふっ、はぁっ!」
沢山のゾンビを巻き込んで大剣で竜巻を作り、ゾンビ達を吹き飛ばすガロ。
「解除魔法・術式解除!」
一部のアンデッドを結界で閉じ込め、命なしで勝手に動いているのを止める作業をしているリーブ。
「ふん」
真っ先に敵陣に突っ込み、上位の指揮官ゾンビをミンチにするラフェエル。
そして。
「みんなー、行くから伏せてね!
聖魔法・天使の導き」
聖の魔力を全身に張り巡らしながら空中に浮くアルティアは、そう明るい口調で言うと、広範囲で聖の稲妻が雨のように降り出した。
____野宿を終え、孤島の最果てにあるという遺跡を目指してアルティア達は一本道をアンデッド達を倒しながら進む。
ワールドエンド内は沢山のアンデッドが住み着いていた。普通の人間であれば失禁するレベルに量がいて強いが、ユートピア全域を旅していた次期龍神一行は簡単にやられない。
慣れたと言わんばかりにそれぞれがそれぞれの力を活かしてアンデッド達を倒していく。
うわー、本当にRPGゲームじゃん。クリスティドがついてきてから薄々感じてたけど、これはRPG!ただ、コントローラーを弄り倒すのではなく本当に現実で自ら倒してるんだけど!
………………こんなにみんな強かったんだ。
旅で盗人を相手に戦いはしてたから強さは分かっていたけど、アンデッドを倒せるって結構すごいことじゃない?
そんなことを考えながら眼下を見下ろしていると、空中で胡座をかいたダーインスレイヴが頷いた。
「まあ、当然だよね。ワールドエンドに足を踏み入れられた時点で全員普通ではないからね」
「そんなこと言ってないでアンタも戦いなさいよ!」
「俺は休憩してんだよ。話を戻すけど、実際実力不足の人間がこのワールドエンドに足を踏み入れていたら呼吸もままならなかっただろうから、全員異常だよなぁ。
俺が旅をした時はガーランドとサイファーと俺とカイテル計4人だったけど、7人もいて7人とも実力通りの力を出すんだからアッパレだ」
「い、い、か、ら!いけ!」
「ぎゃっ!」
アルティアはぶつくさ言っているダーインスレイヴを蹴っ飛ばして地面に落とす。おサボりは許しません!
「みんなー!じゃんじゃん倒しちゃって先に進んでよー!」
アルティアは一際大きな聖なる雷を、背後から来ているゾンビ集団に落とした。
* * *
敵を倒し進んでいくと、空はもうオレンジ色に染まっていた。そして、珍しくアンデッドの気配がない小さな丘に来た。フランはゼーゼー息を切らしながらか細い声で言う。
「き、休憩しようよ……………」
「はあ?いやよ、とっとと進むわよ」
「いや、フラン嬢の言う通り休憩しましょう」
「わたくしたちも、少しだけ…………疲れてしまいまして……………」
フランを援護するようにクリスティドとエリアスが言葉を重ねる。…………本当は、早く進んで遺跡とやらに着きたいんだけどな。そんなことを思う私の足元に、ガロがぴた、とくっつく。
「ガロ、行く前、みんなで、お話、したい」
「お話?」
「いいわね!それ!今までの旅の話でもしましょう!私、セイレーンから仲間になったからみんなが仲間になった時いなかったのよ!
聞きたいなあ、妖精神屈服の旅の物語!ねえ、リーブも話してよ!」
「休憩がてら、今までを振り返るのもいいでしょうね」
フランの言葉にリーブが珍しく笑う。
……………うーん、これは嫌だと言えない空気だな。
それを悟ったアルティアはラフェエルを見た。ラフェエルは大きなため息をついた。
「…………少しだけだぞ」
「やったー!」
フランはぴょんぴょん飛んだ。
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